4月11日~4月12日 大杉谷登山歩道合同パトロールを実施しました。
大杉谷は日本有数の多雨地域に位置し、雨粒の浸食作用による険しい地形によって登山道が作られる以前は「秘境の地」とされていましたが、登山道の整備後は、急峻で複雑な地形によって育まれた多様な森林生態系や大小様々な滝を間近で見ることができるため、多くの登山客に親しまれています。その一方で登山道から滑落事故等や遭難等も過去に起こっており、楽しい登山は危険と隣り合わせの一面を持っています。
そのため毎年山開きの前に関係各所と登山道の合同整備を行い、登山者の方に安全に登ってもらえるよう危険な箇所の点検を行っています。
今年の登山パトロールでは4月19日の大杉峡谷の山開きに先立ち、三重県、環境省、大台町、大台警察署、奥伊勢消防署、防災航空隊、山岳連盟、三重大学、大杉谷登山センター等、総勢22名が4月11日から1泊2日の日程で登山道入口から日出ヶ岳までの区間を、転石や滑りやすそうな落葉の除去、吊橋アンカーの清掃を行いながら登りました。
大杉谷登山道パトロール1日目
1日目は最初に雲行きが怪しくなり降雨が懸念されましたが、登るにつれてどんどん晴れ間が広がり、とても歩きやすい登山日和となりました。危険箇所の点検を行いつつ適宜休憩を挟みながら桃ノ木山の小屋を目指し約7時間の行程を歩いていきます。
登山道の道すがらにあるシシ淵(写真1)やニコニコ滝(写真2)の絶景で疲れを癒やしつつしっかりと整備を行い、無事桃ノ木山の小屋までたどり着くことができました。
大杉谷登山道パトロール2日目
2日目は桃ノ木山の小屋から七ツ釜滝(写真3)や堂倉滝(写真4)を抜け、残雪や樹氷が各所に残る日出ヶ岳の山頂までの約7時間を歩きました。昨年の登山パトロールの際には前日の雨の影響なのか雪は無かったのですが、今年は多く残っていたのでとても驚きました。残雪の中、足下に注意を払いながら山頂にたどり着きました。(写真5)
日出ヶ岳の山頂は標高1695.1mで山開きの後も雪が残り滑りやすい状態の部分もありますので、注意深く歩いてもらうとともに防寒対策をしっかりとして、早春の大杉谷の美しさを楽しんでもらえればと思います。
大杉谷は富山の黒部峡谷、新潟の清津峡とともに、日本三大峡谷の1つに数えられ、世界的にも極めて豊かな自然を育んでいることから、ユネスコエコパーク(生物圏保存地域)の核心地域にも指定されています。今後とも登山者の皆さんに自然を満喫してもらえるように関係各所と協力し取り組んで行きたいと思います。
大台ヶ原・大峯山・大杉谷ユネスコエコパークについて(外部リンク ユネスコエコパークHP)
お問合せ先
三重森林管理署
ダイヤルイン:050-3160-6110