合法伐採木材等に関する情報:ルーマニア
(2025年7月30日:全面更新)
1.木材等の生産及び流通の状況
2.木材等に関連する法令等及びその運用
・森林管理制度
・伐採許可書
・経済事業者認定
・木材の流通管理(SUMAL 2.0)と輸送添付文書(AVIZ)
・法令
・関係行政機関一覧
3.木材等の適正な流通の確保に関する情報
・民間の森林認証スキーム
4.合法性の確認に活用できる書類の事例
5.関連する報告書
注 国別情報については、平成30年度調査及び令和6年度調査の成果を、参考情報として掲載しています。
注 合法性の確認に活用できる書類の事例はこちら
1.木材等の生産及び流通の状況
ルーマニアの森林面積は664万6,000haであり、国土面積の27%を占めています。針葉樹広葉樹別森林面積の割合は、針葉樹が23%、広葉樹は77%であり、ブナを中心とした広葉樹が優勢な林相を示しています(2023年)。
伐採量は、2020年以降、1,900万m3を上回る水準で推移し、2023年の伐採量は1,917万m3でした。
ルーマニアの木材・木材貿易額は輸出入ともに増加傾向にあり、2022年の輸入額は11億2,600万ユーロ(2019年比50%増)、輸出額は23億6,400万ユーロ(同47%増)でした。2022年の主要相手国は、輸入がウクライナ(1億6,500万ユーロ)、ポーランド(1億5,100万ユーロ)及びドイツ(1億3,900万ユーロ)であり、輸出はイタリア(2億8千万ユーロ)、中国(1億9,600万ユーロ)及び日本(1億7,700万ユーロ)でした。
2022年の主要木材・木材製品の品目別輸入量は、丸太が137万m3、切削板が35万2,000m3、製材品が33万1,000m3、繊維板は27万1,000m3でした。主な輸入相手地域は欧州であり、品目別輸入相手国別輸入量のシェアは、丸太ではチェコが27%、ドイツが21%、スウェーデン及びオーストリアは各17%、切削板ではハンガリーが31%、製材品ではウクライナが33%、繊維板ではトルコが24%、ポーランドが21%、ドイツは20%を占めています。
2022年の主要木材・木材製品の品目別輸出量は、製材品が170万m3、切削板が132万4,000m3、繊維板は57万7,000m3でした。輸出市場は輸入市場に比べて広範囲であり、北米、アジア、中近東への輸出がみられます。品目別主要輸出相手国別輸出量のシェアは、製材品では米国が20%、中国は14%(日本は第6位の輸出相手国でシェアは6%)、切削板では中国が14%、繊維板はイタリアが34%のシェアを占めています。
なお、ルーマニアでは、2021年1月1日からEU域外向けの丸太輸出を禁止しています。
2.木材等に関連する法令等及びその運用
森林管理制度
ルーマニアでは、林地を含む土地を「ファンド」として国又は法令が定める機関が管理しています。土地ファンド法は、「土地所有者は民法上の所有者ではあるが、土地という財産に対する権利の所有者である」と定めています。さらに森林法は、森林を「所有権の種類にかかわらず国家森林ファンド(国全体の森林ファンド)を形成し、国家森林ファンドは公有財産又は私有財産であり、国の利益となる資産である」と定めています。
森林ファンドの管理は、所有形態に関わらず環境水森林省が森林管理機関として指定している国営企業であるロムシルバ(Romsilva)が主に林業地区(Ocoal Silvice)を通じて行っています。
林業地区は、森林ファンドの管理及びロムシルバが提供する森林管理サービス(伐採を除く森林に係る全ての技術的経済的法的活動)の受入れを行う目的で設立された国が認可した森林を管理する法人です。林業地区には私有森林ファンドを所有する個人・法人で構成する林業地区、森林ファンドを所有する地方自治体で構成する林業地区及び森林ファンドを所有する国家機関の林業地区があります。
森林法により、森林ファンド所有者には森林法令の遵守及び森林管理計画の作成及びその確実な実施、森林ファンドの保護、森林再生事業の実施その他の「森林ファンド所有者の義務」の履行が課せられています。私有林ファンド所有者が林業地区に加入した場合、「森林ファンド所有者の義務」は、所有者に代わって林業地区が負います。
私有森林ファンド所有者の林業地区への加入は任意ですが、林業地区に加入すると林業地区が森林ファンド所有者の義務の履行を代行し、さらにこの義務履行とともに商業伐採を行うための要件であるロムシルバが林業地区を通じて提供する森林管理サービスの受入れも代行するので、一部の林産企業等を除き、多くの私有森林ファンド所有者が林業地区に加入しています。
このように、林業地区は、ロムシルバとともに森林ファンドを管理・運営する中心的な実務組織として機能しています。
伐採許可書
伐採は、伐採許可に基づいて行われます。
伐採許可は、森林ファンド所有者の義務及び森林管理サービスの利用その他の法令が定める森林ファンドを管理する上で必要な行為を履行し、伐採及び木材の輸送に係る機関の指示を実施している法令が定める者に対して林業地区が発行します。伐採地の森林ファンドの管理権は、伐採を行う前に林業地区から県の行政機関である地域森林狩猟管理局に一時的に移され、伐採、搬出その他の伐採地の管理監督は同局が担当します。
伐採地の位置、伐採面積、伐採方法、伐採本数及び材積、伐採目的、使用する林業機械、自然を再生させる方法その他の伐採許可の要件は、伐採許可書に記載されています。伐採許可書は、樹木の伐採に係る原産国の法令に適合して伐採されたことを証する情報の一つです。
なお、ルーマニアにおける丸太の生産者及び出荷者は、次のとおりです。
- 林業地区
- 林業地区に加入していない私有林ファンド所有者
- 森林ファンド以外の森林植生がある土地(農地、都市等)の所有者
経済事業者認定
ルーマニアで伐採並びに木材・木材製品の生産、輸送、流通及び加工の業務(法令が定める個人の自家用伐採を除く)を行うためには、消費者法が定める経済事業者への登録が必要です。経済事業者の認定証明書を取得した事業者は森林ファンド内外の伐採施業を含む木材を取扱う権利を行使できます。
木材の流通管理(SUMAL 2.0)と輸送添付文書(AVIZ)
森林法は、伐採地、木材選別・加工センター、木材倉庫、木材の販売が許可された施設及び輸入相手国の6か所の流通拠点を「原産地」と位置付けており、環境水森林省は木材・木材製品の合法性を確保するために、これらの流通拠点間の輸送を法令が定める輸送添付文書を用いて管理する方法を採用しています。
環境水森林省は、この流通管理を支援するオンラインシステムとして、違法伐採及びそれから派生する木材製品の市場への投入を迅速に阻止するための木材のトレーサビリティーの確保及び木材管理の標準化を行うためのツールとして、2008年からSUMAL(木質原料追跡システム)の運用を開始しました。同省は、2021年からSUMALと森林管理情報システムを統合し、トラッキング機能などを強化したSUMAL 2.0を運用しています。法令により、経済事業者が木材の生産又は木材・木材製品の輸送を行うときは、SUMAL 2.0の使用が義務付けられています。
経済事業者が木材・木材製品を出荷するときは、SUMAL 2.0のデータベースに標準化されたデータを入力し、SUMAL 2.0の書類の自動生成機能を使って輸送車両別に輸送添付文書を作成します。輸送中のトラックには、輸送添付文書の携行が義務付けられています。
輸送添付文書にはデータベース上のIDである輸送許可番号が付与され、このIDに基づき、出荷者及び荷受人はSUMAL 2.0を利用しながら木材の入出荷在庫管理及び業務用文書の作成を行い、行政機関は木材の流通を監督しています。さらにSUMAL2.0は一般国民に輸送過程にあるトラックに発行した輸送添付書類などをリアルタイムで公開しており、環境水森林省は一般国民に不信な木材の輸送を目撃したときはデータベースの情報を確認して警察に通報するよう呼びかけています。
輸送添付文書は、製材品その他の木材製品の輸出申告書の添付書類として指定されており、税関も輸送添付文書とSUMAL 2.0を使用して輸出物品の管理をしています。SUMAL 2.0が自動生成した輸送添付文書は、日本の事業者がルーマニアから木材製品を輸入するときの基礎的な情報として利用できます。
SUMAL 2.0による伐採許可書及び輸送添付文書(AVIZ)の運用イメージ
法令
木材・木材製品の合法性の確認に関係する主な法令は次表のとおりです。施行中の森林及び木材に係る法令は、ルーマニア司法省のウェブサイト(https://legislatie.just.ro/)から閲覧できます。このページの一覧表に表示されない場合は、その法令が廃止された可能性があります。
木材の合法性を確認するための主な法令
その他の関連法令
伐採に係る法令
貿易及び輸送に係る法令
労働安全衛生に係る法令
関係行政機関一覧
(Ministerul Mediului, Apelor și Pădurilor) 森林を管轄する中央行政機関
環境保護、グリーン経済、生物多様性、自然保護地域及び気候変動の分野における国家政策実現のための戦略及び特定の規制の策定並びに管轄分野における政府戦略の確保及び調整、国家機関間の統合、調整、規制、監視、検査又は管理を実施
林業地区の登録
森林管理計画の承認
災害処理のための伐採の管理
森林関連許認可の監督
SUMAL 2.0の運営管理
経済産業者及び輸送専門業者の登録
ワシントン条約の管理当局
EUTRの監督当局(Competent Authority)
EUTRに基づく国産材の出荷者監理
(INCDS: Institutul Naţional de Cercetare-Dezvoltare în Silvicultură/ Marin Drăcea) 国有森林ファンド内の実験林を管理運営する研究機関
国有森林ファンドの森林管理計画を作成
(Inspectoratului Teritorial de Regim Silvic şi de Vânătoare) 県の行政機関
伐採地における伐採及び森林再生施業の管理監主体
(Romsilva/ Regia Naţională a Pădurilor Romsilva) 環境水森林省が森林法に基づく森林管理機関として指定する国営企業
環境水森林省が策定した林業政策の現場への適用
国有林を含む国全体の森林ファンドを管理監督
林業地区を通じて伐採を除く各種森林サービスを森林ファンド所有者に提供
(Agenția Națională de Administrare Fiscală) 各種徴税監理
(Inspecția Muncii) 各種労働安全衛生監理
3.木材等の適正な流通の確保に関する情報
民間の森林認証スキーム
認証スキーム別森林認証面積は、FSCが280万3,000ha(2025年2月)、PEFCは65万4,000ha(2024年9月)でした。さらに、FSCとPEFCが共同で積算して発表している両方の認証スキームを取得している(「ダブル認証」)森林が1万2,000ha(2023年中頃の時点)存在しています。
2018年度の時点では、ルーマニアにPEFCによる森林認証実績はありませんでしたが、その後PEFCによる森林認証が開始されました。森林に占める認証林面積の割合は、2018年度の4割程度から2024年度には5割を超える水準まで拡大しました。
CoC認証については、FSCが873件、PEFCは84件であり、FSCによる認証件数が多くなっています。
4.合法性の確認に活用できる書類の事例
原材料情報(証明書)に該当する書類(樹木の伐採に係る原産国の法令に適合して伐採されたことを証する情報)
なお、SUMAL 2.0が伐採地を始点とする輸送のための輸送添付文書を自動生成するときは、入力済みの伐採地の立木資源調査及び伐採許可のデータとの照合を行います。
その他関連情報として活用できる書類(合法性の確認の信頼性を高める情報)
5.関連する報告書
- (平成30年度調査)平成29年度「クリーンウッド」利用推進事業のうち生産国における現地情報の収集(欧州地域等)(H31.3月)(ルーマニア抜粋)(PDF:1,811KB)
- (平成30年度調査)平成29年度「クリーンウッド」利用推進事業のうち生産国における現地情報の収集(欧州地域等)_現地調査結果報告会(平成31年2月15日)ルーマニア資料(PDF:2,433KB)
- 令和6年度「クリーンウッド」実施支援事業のうち専門委員会の設置・運営及び違法伐採関連情報等の提供(生産国における情報調査)(R7.3月)(ルーマニア抜粋)(PDF:14,651KB)
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