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富士の国 やまなしの魅力
クニマスは秋田県田沢湖のみに生息していましたが、1940年(昭和15年)に灌漑と水力発電のため田沢湖に入れられた玉川の水が酸性であったため、絶滅してしまいました。これより以前、田沢湖から本栖湖・西湖・琵琶湖などへクニマスの卵が移植された記録はありましたが、その後の生息は確認されていませんでした。西湖では時折、色の黒いマスが捕獲されることが知られていましたが、2010年(平成22年)3月に京都大学中坊徹次教授のもとに届けられた西湖の黒いマスが、詳しい研究の結果、田沢湖で絶滅したクニマスであることが判明しました。このことが同年12月に発表され、日本中に大きな驚きと感動を与えました。2011年(平成23年)2月、中坊教授の研究チームはこの結果を学会誌に論文として発表し、環境省レッドリストで絶滅が見直されました。天皇陛下は平成22年のお誕生日の記者会見のお言葉で、クニマスを「奇跡の魚(うお)」とお話しになりました。
現在、クニマスが生存するのは世界で唯一山梨県だけであり、早急な調査と保護が求められています。またクニマスはかつて「魚一匹米一升」と呼ばれ珍重されたと言われ、水産資源としての潜在的価値は高く、山梨県の内水面漁業への活用も期待されています。
クニマスの生態等については謎が多く、近縁種のヒメマスとの生態的関係等も謎につつまれています。そこで山梨県水産技術センターでは、クニマスの生息環境等から生態を明らかにするための研究や、増殖及び養殖技術の確立に向けた研究を行っています。得られた成果は今後、クニマスの保護や活用、本県内水面水産業の振興に活かされることが期待されます。
西湖が世界中で一箇所だけのクニマスが生息している湖であることや、クニマスやその生息環境の保全に取り組んでいることなどを紹介する展示施設として、「-奇跡の魚-クニマス展示館」が平成28年4月、西湖ネイチャーセンター内にオープンしました。
水槽を泳ぐクニマスを間近で見ることができるのをはじめ、秋田県田沢湖での絶滅から西湖での発見に至るまでの経緯や山梨県での取り組みなどを、年表パネルやクニマスシアターで学ぶことができます。クニマスが発見された西湖周辺の地域をジオラマで再現もしているので、地勢についてもより深く知ることができます。