共同発表機関ロゴマーク
産官学民の連携・共創による 千葉県富里市の湿地
「八ツ堀のしみず谷津」の再生・活用の取組が
第4回グリーンインフラ大賞「国土交通大臣賞」を受賞!
〜 2024年度はネイチャーポジティブを目指す産官学民の取組を強化 〜
(環境省記者クラブ、環境記者会、千葉県庁記者クラブ同時配付)
アースウォッチ・ジャパン
国立環境研究所
清水建設
富里市経済環境部環境課
NPO富里のホタル
おしどりの里を育む会
認定特定非営利活動法人アースウォッチ・ジャパン、国立研究開発法人国立環境研究所、清水建設株式会社、富里市経済環境部環境課、特定非営利活動法人NPO富里のホタル、おしどりの里を育む会の6団体は、連名応募した「八ツ堀のしみず谷津〜産官学民の連携・共創による湿地の再生と活用〜」が、グリーンインフラ官民連携プラットフォーム(国土交通省主幹)が主催する第4回グリーンインフラ大賞において国土交通大臣賞を受賞したことを発表します。2024年度は「自然共生サイト」※(注記)1の認定を取得し、地域社会との連携を強化していきながら、ネイチャーポジティブを目指すネットワークのさらなる拡大に取り組んでいく計画です。
本取組における各社・団体の役割
・企業・市民による管理や調査の支援
・活動成果の評価
・リビングラボ※(注記)2のアプローチによる多種多様な団体との連携
・建設ICT技術の導入によるモニタリング
・SNS等での情報発信による湿地グリーンインフラの重要性を啓発
・自然とかかわる窓口の拡大・提供
・水循環や多様な動植物の生息・生育の場といった谷津や里山における環境学習及びイベントの後援・周知
・国立環境研究所・西廣淳氏(市行政アドバイザー)のフィールド活動への協力
NPO富里のホタル
・フィールド活動を行う水田などの地権者との調整・地域社会と連携した湿地の再生活動を推進するための支援
本取組の概要
本取組は、2020年11月にスタートした、研究機関・民間企業・行政・NPO・市民団体の連携による、荒廃した谷津田※(注記)3を再生するプロジェクトです。「八ツ堀のしみず谷津」と命名した千葉県富里市の谷津において、月1回の管理作業を通じ、水循環や多様な動植物の生息、生育の場の提供といった多様な機能を有する湿地のグリーンインフラづくりを進めています。地域固有の自然を維持するだけでなく、新たな「人と自然のかかわり方」を構築すべく「リビングラボ」のアプローチを採用したことで、都市部との共創や自然体験、越境学習の場の創出など、さまざまな機能や価値が生み出されています。
主なフィールド活動
1.湿地グリーンインフラ整備活動
モニタリング 湿地再生によるグリーンインフラ機能のモニタリングのため、研究者と清水建設社員、一般ボランティアによる水生昆虫・植生・水質・ホタル・ニホンアカガエルの卵塊調査を実施。
2.しみず谷津を活用した連携による活動
(1)湿地整備活動で作成したバイオ炭を有機農家が土壌にすき込み、土壌改良剤として使用することで脱炭素や地域内の資源循環に貢献。 (2)都内でイベントを行う団体と連携し、谷津の竹を七夕イベント用に提供。使用後は谷津でバイオ炭にして再利用するなど都市部との連携活動を実施。 (3)秘密基地づくりなどのイベントを開催し、オンライン参加も受け付けることで、地域内外の小学生に体験の機会を提供。 (4)地元である富里市の市民にも谷津を知ってもらうために、近隣の4つの谷津を巡るウォーキングイベントを開催。 (5)2020年〜現在までの4年間継続して、年4回の企業従業員や一般市民参加による生物多様性調査プログラムを実施。毎回10人前後、延べ160人程度の参加を得ている。
今後の展開
本取組は2024年度も継続し、「自然共生サイト」の認定などを通じて、活動を進化させていく計画です。また、地域社会との連携を強化していきながら、ネイチャーポジティブを目指すネットワークのさらなる拡大や社会啓発活動にも取り組んでいく方針です。
<2024年度における主な活動概要> ・「自然共生サイト」認定取得(2024年度上期を予定) ・ ウェルビーイング向上に資する科学的データの蓄積と活用 ・ 地域経済の活性化につながるエコツーリズムへの発展 ・ ICT技術の更なる活用による技術開発等 ・ 一般市民を対象に湿地グリーンインフラ再生普及活動を実施(5/25,10/12に予定) ・ 湿地再生活動及びグリーンインフラに関する講義など
受賞コメント(各社・団体の担当者)
「八ツ堀のしみず谷津」は、活動の連携を始めて2024年で5年目を迎えます。その節目の年に国土交通大臣賞という栄誉に輝き、感無量です。私たちアースウォッチ・ジャパンは、これからも野外での実践的な研究と市民、企業をつなげて、生物多様性への気候変動等の影響を考えるプログラムを通じて、エビデンスに基づいて人びとの行動を促して、生態の保全に寄与していきます。
理事・事務局長:伊藤雪穂
気候変動と人口減少が進む今後、遊休農地を含む自然環境の機能を活用することはますます重要になるはずです。類似した地形・土地利用の特徴をもつ場所は全国に存在するため、今後の水平展開が期待されます。
気候変動適応センター 副センター長:西廣淳
アースウォッチ・ジャパンとの活動を受け継ぎ、これまでのCSR活動と異なる事業に活かせる環境再生活動を目指してきました。参加してくださる皆さんのご協力がなければ、ここまで様々な連携の実現は難しかったと思います。皆さん、ありがとうございます!ネイチャーポジティブ実現のためには、活動の持続と拡散が不可欠だと思います。まだまだ道半ばですので、これからも枠にとらわれず、順応的で新しい人と自然のかかわり方を継続していきたいと思います。
環境経営推進室 グリーンインフラ推進部 部長:橋本純
本市の環境基本計画に掲げる「豊かな自然に抱かれた安心して暮らせるまち富里」を目指し、自然環境の保全と活用を図る取組の実施及び周知を行うことが重要であり、市民・事業者の皆様と一体となって活動を実践できることに感謝し、今後も環境保全活動に取り組んでまいります。
富里市環境課長:山﨑秀幸
産官学民の連携による湿地再生の取組みが、荒廃した谷津をわずか3年間で美しい里山に再生できたことは驚きです。ホタルとサシバを呼び戻す計画も実現し、今回の受賞は私たちの活動への大きな励みとなっています。受賞の喜びをお世話になっている地権者や地域の方々とも分かちあい、八ツ堀のしみず谷津を富里の宝として守るため、末永く支援活動を続けたいと思います。
副理事長:岡本伸正
活動に参画している地域住民として嬉しい。この受賞を契機にそれぞれの地域でこのような活動を展開したいという方が現れるといいと思います。極端な異常気象と自然災害や生物多様性の損失を止め、自然を回復軌道に乗せられるよう関連する団体間の連携を強めて、更なる取組を進める所存です。
参考情報
国立環境研究所 国立研究開発法人国立環境研究所は、地球環境保全、公害の防止、自然環境の保護及び整備その他の環境の保全に関する調査及び研究を行うことにより、環境の保全に関する科学的知見を得、及び環境の保全に関する知識の普及を図ることを目的とした環境省所管の独立行政法人です。1974(昭和49)年に国立公害研究所として設立されたのち、1990(平成2)年に国立環境研究所に改組され、現在に至ります。2024(令和6)年3月には創立50周年を迎えました。
現在は「建設事業(建築、土木、海外建設)」を柱に、非建設事業である「不動産開発」「エンジニアリング」「LCV(ライフサイクル・バリュエーション)」「フロンティア」の4分野で事業を展開しています。今後は「ネイチャーポジティブ」実現に向け、引き続き自然の価値に関する理解促進や情報発信に取り組み、シミズグループ環境ビジョン「SHIMZ Beyond Zero 2050」で目指す自然共生社会の実現に貢献していきます。
北総台地の高台地帯にある本市は、根木名川・高崎川などの源をなし、肥沃な農地や自然環境に恵まれています。富里市で開催される「富里スイカロードレース」は、スイカで乾いた喉を潤しながら走るユニークなレースで、全国から参加者が集まります。
活動地域は富里市中沢城址及び大谷津です。この地域の遊休田の湿地再生化及び山林の健全化を進め、休耕田の水質保全機能の向上、生物多様性の回復を図り、里山グリーンインフラとしての資源を次世代 に引き継ぐ事を目的として活動しています。
問合せ先
【報道に関する問合せ】
アースウォッチ・ジャパン 理事(広報担当): 長沼 史宏
E-mail: fnaganuma(末尾に@asteria.comをつけてください)
関連新着情報
-
2025年4月30日報道発表生物群集はエネルギー地形の高低に従い変化する
—データ駆動型の生物多様性の変化予測を実現—(筑波研究学園都市記者会、環境省記者クラブ、環境記者会、文部科学記者会、科学記者会同時配付) -
2025年3月25日報道発表気象研究所と国立環境研究所による
気候変動に関する連携の強化
—研究連携・協力をより一層推進するため
基本協定を締結—(筑波研究学園都市記者会、気象庁記者クラブ、環境省記者クラブ、環境記者会、科学記者会同時配付) -
2024年11月5日報道発表気候変動リスク産官学連携ネットワーク公開シンポジウム
〜サステナビリティ情報開示における気候関連データの活用と「リスクと機会」への実践〜
開催のお知らせ【終了しました】
(筑波研究学園都市記者会配布(環境省、文部科学省、国土交通省、金融庁同旨発表)) - 2024年7月8日報道発表「環境創造センターにおける連携協力に関する基本協定」の締結について
- 2024年7月5日報道発表企業との協働による報告書「サステナブル分野の統合評価の現状と課題、今後に向けた提言」を公表(筑波研究学園都市記者会、環境省記者クラブ、環境記者会同時配付)
- 2024年6月28日報道発表国立研究開発法人国立環境研究所と公益財団法人印旛沼環境基金の連携協定の締結について(お知らせ)(筑波研究学園都市記者会、環境省記者クラブ、環境記者会配付)
-
2023年11月7日報道発表気候変動リスク産官学連携ネットワーク公開シンポジウム
〜気候変動リスクに対する企業のレジリエンス強化に向けて〜
開催のお知らせ【終了しました】(筑波研究学園都市記者会同日配布(環境省、文部科学省、国土交通省、金融庁同旨発表)) - 2021年8月25日報道発表沖縄島北部及び西表島の世界自然遺産登録地における保全管理に係る連携協定締結式について