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諫早湾干拓関係訴訟

訴訟の概要

1 開門請求訴訟
    諫早湾干拓事業をめぐって、諫早湾近傍の漁業者の方々が、諌早湾干拓事業のために国が設置した潮受堤防により漁業被害が生じたなどとして、国に対し、同堤防に設置された排水門(以下「排水門」といいます。)の開門等を求めている事案です。

2 請求異議訴訟
    国が、福岡高等裁判所が平成22年12月に国に対して排水門の開門を命じた判決について、同判決の口頭弁論終結後の事情変更等により、同判決に基づく強制執行は許さない旨の判決を求めている事案です(請求異議訴訟で勝訴した場合、福岡高等裁判所確定判決の執行力が失われ、強制執行をすることができなくなります。)。

訴訟の現状及び国側の方針

1 開門派漁業者らが、潮受堤防の締切りによる漁業被害を訴えた佐賀開門訴訟において、福岡高等裁判所は、平成22年12月6日、国に対し、排水門の開門を命じました(「判決確定日から3年以内に、防災上やむを得ない場合を除き、5年間にわたって開門せよ」という旨の主文)。この判決に対し、国が上告をしなかったため、この判決は確定しました。
2 他方、開門反対派営農者らは、国に対し、排水門を開門した場合には被害が生じるなどとして、開門の差止めを求める訴えを提起し、長崎地方裁判所は、平成25年11月12日、国に対し、開門の差止めを命じる仮処分決定をしました。
3 このように、国は、福岡高等裁判所確定判決に基づく開門義務と、長崎地方裁判所仮処分決定に基づく開門禁止義務の相反する義務を負うという状況に置かれたことから、このような状況を打開すべく、平成26年1月9日、福岡高等裁判所確定判決に基づく強制執行は許さない旨の判決を求めて、請求異議訴訟を提起しました。一審の佐賀地方裁判所は、平成26年12月12日、国の請求を棄却する判決をしましたが、控訴審である福岡高等裁判所は、平成30年7月30日、強制執行の不許と停止を認める判決をしたため、開門派漁業者らは最高裁判所に上告しました。最高裁判所は、令和元年9月13日、平成30年の福岡高等裁判所判決を破棄し、福岡高等裁判所に審理を差し戻す判決をしました。その後、差戻審である福岡高等裁判所で審理され、令和4年3月25日、同高等裁判所は、強制執行の不許と停止を認める判決をしました。これに対し、開門派漁業者らは再び上告しましたが、令和5年3月1日、最高裁判所は上告を認めない決定をしたため、強制執行の不許と停止を認めた令和4年の福岡高等裁判所の判決が確定しました。
また、開門派漁業者らが、長崎地方裁判所に提起した長崎一次開門訴訟において、福岡高等裁判所は、平成27年9月7日、漁業者らによる開門請求及び損害賠償請求をいずれも棄却する判決をしたため、開門派漁業者らが最高裁判所に上告したところ、最高裁判所は、令和元年6月26日、上告を認めない決定をしました(国勝訴確定)。さらに、後続の同種訴訟である長崎2次3次開門訴訟において、福岡高等裁判所は、令和5年3月28日、開門派漁業者らの請求を棄却する判決をしたため、漁業者らは上告し、現在、最高裁判所に係属しています。
4 なお、開門反対派営農者らが、長崎地方裁判所に提起した開門差止訴訟においては、平成29年4月17日、長崎地方裁判所は、国に対し、開門の差止めを命じましたが、国は、排水門を開門しないとの方針を明確にし、この判決に対し控訴しませんでした。
5 国は、排水門を開門しないとの方針を明確にし、開門によらない和解を目指すとともに、引き続き、関係訴訟の統一的な解決に向け、真摯に努力していきます。

係属裁判所

最高裁判所、福岡高等裁判所、長崎地方裁判所(令和6年1月31日現在)

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