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公安調査局長・公安調査事務所長会議における長官訓示

2006年5月24日 更新
公安調査局長・公安
調査事務所長会議

公安調査局長・公安調査事務所長会議で訓示する大泉隆史・公安調査庁長官

公安調査局長・公安調査事務所長会議で訓示する大泉隆史・公安調査庁長官

長官訓示

本日,ここに公安調査局長・公安調査事務所長会議を開催するに当たり,所懐の一端を申し述べます。
我が国を取り巻く国際情勢を見ますと,まず国際テロに関しては,サミット開催中の英国ロンドンにおいてイスラム過激派によると思われる同時多発テロが発生するなど,その脅威は世界各地に広がりつつあり,また,国際テロの動向に大きな影響を及ぼす中近東情勢も,イラクにおいて本格政権樹立の動きが具体化しているものの依然として各地でテロが相次ぎ,イランの核問題やパレスチナ問題なども複雑に絡み合って,厳しい状況になっております。
次いで,我が国周辺の情勢を見ますと,北朝鮮の核問題に関しては,昨年9月の6か国共同声明後,北朝鮮は,中国との関係緊密化などを背景に核放棄の先延ばしを企図していると考えられ,米国のいわゆる「金融制裁」への反発もあって6者協議復帰を長期にわたり拒否する一方,拉致問題等に関しても我が国に対し不誠実な対応を続けております。
さらに,我が国と中国,韓国及びロシアとの関係でも種々の困難な問題が生起するなど,複雑かつ不透明な状況が続いております。
国内情勢に目を転じますと,オウム真理教については,依然危険な体質を保持していることから,観察処分の再度の更新が行われたところ,麻原彰晃こと松本智津夫に対する裁判の動向などに関連して組織内の対立が顕在化しつつあり,また,過激派等が在日米軍再編問題等に反対する活動を継続し,右翼団体も近隣諸国との領土・歴史問題等をめぐり抗議活動を活発化するなど,重要政治課題をめぐり公共の安全確保上警戒を要する状況が認められます。
このような情勢にかんがみ,当面の重要課題について申し述べます。
第1は,国際テロ関連情報の収集強化についてであります。
国際テロは,国際社会全体にとって最大の脅威であり,我が国においても,その脅威を現実のものと認識して対処すべきところ,当庁は,政府の「テロの未然防止に関する行動計画」に基づき,テロ関連情報の収集・分析に努めなければなりません。それに加え,当庁は,今般の出入国管理及び難民認定法の改正によって,法務大臣に対しテロリスト認定に関する適切な意見を述べるという重要な責務を担うこととなりました。その結果,テロ関連情報の収集・分析を一層充実させることが当庁喫緊の課題となったのであり,当庁は,庁全体としてこの課題に真剣に取り組み,その責務を果たすことが必要となっております。
第2に,北朝鮮関連情報の収集強化についてであります。
北朝鮮に関わる核・ミサイル問題及び日本人拉致問題等は,我が国と国民の安全にとって最重要課題であり,かねてから北朝鮮の指示に従って我が国各界への様々な働き掛けを強め,最近在日本大韓民国民団との共同声明に署名するなど,従来にない行動に出た朝鮮総聯の動向とともに,これらについて重点的な調査を行うことは当庁に課せられた重要な責務であります。
特に,我が国政府が一体となって,北朝鮮及び朝鮮総聯関係団体等に対する「対話と圧力」,現行法の厳格適用などの諸般の対策を講じている現在,当庁は,かかる政府の施策への貢献も強く求められているのであります。
皆様には北朝鮮・朝鮮総聯の内外動向,北朝鮮指導部の拉致問題への対処方針や拉致被害者の安否・動静,北朝鮮関係者の薬物密輸等の不法活動等並びに北朝鮮と中国,韓国,ロシアとの関係などに関し,高度情報の多角的収集に一層尽力していただくとともに,得られた情報は時期を失することなく迅速に本庁に報告していただくようお願いします。
第3に,オウム真理教調査についてであります。
同教団については,今なお,麻原彰晃こと松本智津夫を絶対視し,サリン事件をも正当化するなど,依然として危険性を保持しており,また,麻原に対する裁判の動向に対し,信徒らの動揺や危険な行動も懸念されるところであり,関連の危険な兆候をいち早く察知して,国民及び地域住民の不安解消に努めることも当庁の重要な責務であります。また,今般の観察処分の期間更新決定で課された事業概要報告の義務化等を十分活用し,経理面からもその危険性の有無を解明していくことも必要であります。加えて,教団内には,幹部信徒間の対立から新団体を設立しようとの言動もみられますので,皆様には,その動向をも注視しつつ教団に対する観察処分を厳正に実施し,実態解明に遺漏なきを期していただきたいのであります。
このほか,国内の公安情勢に関しては,在日米軍再編などに反対する過激派等の動向にも注意を要するほか,右翼団体の中には近隣諸国との領土・歴史問題等をめぐって過激な行動に出る動きも看取されますので,国内外の時事問題にも幅広く注意を払い,これら団体の動向に関連する情報の迅速な入手に努めていただきたいと思います。
以上,当面の諸課題について申し述べましたが,国内外の情報の収集・分析などに関し,当庁に課せられた責務がまことに重大なものとなっている現在,我々はより高い水準でこの責務を果たすことが必要となっていると言わねばなりません。現場の指揮官である皆様方には,この点を深く自覚し,部下職員を的確に指導するとともに,国内外の諸情勢を正しく見据え,常に新しい発想と問題意識の下,局・事務所一丸となって当庁の使命を果たし,国民の期待と信頼に応えていただきたいと思います。
終わりに当たり,皆様方の平素のご労苦に対し,心から敬意と謝意を表し,私の訓示といたします。

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