テロ等準備罪について
テロ等準備罪について
テロ等準備罪を分かりやすく解説します。
1 TOC条約締結の必要性
テロ等準備罪の新設により、国際組織犯罪防止条約(TOC条約)の締結が可能となり、平成29年7月にTOC条約を締結しました。
テロ等準備罪は、TOC条約を締結するために設けられたものです。
TOC条約は、テロを含む組織犯罪を未然に防止し、これと闘うための条約であり、令和2年7月時点で、我が国を含め190の国や地域が締結しています。
我が国は、テロ等準備罪を設け、TOC条約を締結したことによって、組織犯罪に立ち向かう国際協力の輪に参加し、これらの国際協力を促進することができるようになりました。
1) テロ等準備罪を新設しなければTOC条約を締結できませんでした
TOC条約第5条は、テロを含む組織犯罪を未然に防ぐため、締約国に対し、「重大な犯罪を行うことの合意」又は「組織的な犯罪集団の活動への参加」を、未遂罪や既遂罪とは別個の犯罪として処罰できるようにすることを義務付けています。これらの義務を果たさない限り、条約を締結することはできません。
しかし、テロ等準備罪を新設する前は、資料のとおり、TOC条約が犯罪化を義務付けている合意罪については、内乱、外患誘致等のごく一部の罪についてのみ、共謀・陰謀の罪として処罰可能とされているにすぎず、これらの義務を果たす上で不十分でした。
例えば、電気、水道、ガス設備等のインフラを標的としたテロ事犯、サイバー空間を利用した組織的な電子計算機損壊等業務妨害事犯、振り込め詐欺等の組織的な詐欺事犯、人身売買組織による人身売買事犯等については、その実行の着手前の段階で処罰することはできませんでした。
したがって,我が国がTOC条約を締結するためには、犯罪の計画・準備の段階で処罰できるようにする「テロ等準備罪」を設ける必要がありました。
2) テロ等準備罪により適確に対処できる事例
資料のとおり、テロ等準備罪を新設する前は、重大な犯罪の計画が行われたことが明らかになったとしても、
・未遂も予備もないものについては、犯罪が既遂に達するまで
・未遂はあるが予備のないものについては、実行の着手がなされるまで
・未遂・予備のあるものについては、「客観的に相当な危険性」※(注記)のある予備行為がなされるまで
は検挙・処罰することができないという意味で、処罰できないすき間(処罰の間隙)がありましたが、テロ等準備罪により、以下のような事例において、犯罪が実行される前の段階で犯人を検挙・処罰することが可能となりました。
・テロ集団が殺傷能力の高い化学薬品を製造し、これを用いて同時多発的に一般市民の大量殺人を行うことを計画した上、
例えば、殺傷能力の高い化学薬品の原料の一部を入手した。
・テロ集団が複数の飛行機を乗っ取って高層ビルに突撃させるテロを計画した上、例えば、搭乗予定の航空機の航空券を予
約した。
・テロ集団が分担してウイルス・プログラムを開発し、そのウイルスを用いて全国各地の電力会社、ガス会社、水道会社等の
電子制御システムを一斉に誤作動させ、大都市の重要インフラを麻痺させてパニックに陥らせることを計画した上、例えば、
コンピュータウイルスの開発を始めた。
※(注記) 昭和42年東京高裁判決では、「予備」とは、「構成要件実現(実行の着手もふくめて)のための客観的な危険性という観点か
らみて、実質的に重要な意義を持ち、客観的に相当の危険性の認められる程度の準備が整えられた場合たることを要する」と
されています。
3 テロ等準備罪が新設されても一般国民の生活に何ら変わりはありません
1) 一般の方々はテロ等準備罪で処罰されません
テロ等準備罪には、
(1) 「組織的犯罪集団」の関与
(2) 重大な犯罪の「計画」
(3) 計画した犯罪の「実行準備行為」(犯罪を実行するための資金の準備等)
という3つの厳格な要件を設けています。
「組織的犯罪集団」は、重大な犯罪等を行うことを目的とする団体であり、国内外の犯罪情勢等を考慮すれば、テロ集団、暴力団、薬物密売組織など違法行為を目的とする団体に限られます。
さらに、3つの要件全てについて「故意」が必要であり、(1)「組織的犯罪集団」の関与、(2)指揮命令の下、役割を分担して犯罪を行うことについての具体的かつ実現可能性のある計画をすること、(3)その計画に基づき実行準備行為を行うことの認識のうち、1つでも欠いていれば、テロ等準備罪は成立しないので、知らない間に巻き込まれて処罰されることはありません。
したがって、「組織的犯罪集団」と関わりのない一般の方々がテロ等準備罪で処罰されることはありません。
また、これらの3つの厳格な要件全てについて具体的な嫌疑(疑い)が生じなければ捜査を開始することはできないのですが、組織的犯罪集団と関わりのない一般の方々にそのような嫌疑が生じるとは考えられません。
したがって、一般の方々は、テロ等準備罪の捜査の対象となることもありません。
2) テロ等準備罪は、内心を処罰するものではありません
テロ等準備罪は、組織的犯罪集団が関与する犯罪について、犯罪実行の「計画」に加え、この計画に基づく「実行準備行為」が行われて初めて成立します。
「内心が処罰される」との懸念・不安を払拭するため、「計画行為」だけでは成立せず、これに加えて、計画された犯罪を実行するための準備行為(実行準備行為)が行われて初めて処罰することとされたものです。
このように、テロ等準備罪は、「計画行為」と「実行準備行為」という「行為」を処罰するものであって、内心を処罰するものではありません。
3) テロ等準備罪の対象となる罪は、適切に選択されたものです
TOC条約が定める犯罪化の義務を果たすためには、「組織的な犯罪集団が関与する」ことが現実的に想定される重大な犯罪※(注記)の全てをテロ等準備罪の対象とする必要がありました。
そこで、テロ集団を始めとする組織的犯罪集団が実行を計画することが現実的に想定されるかどうかとの基準により、テロ等準備罪の対象となる罪として、新設された証人等買収罪のほか、277個の罪が選択されました。
※(注記) TOC条約上、「重大な犯罪」とは、長期4年以上の懲役又は禁錮の刑等が定められている罪であるとされています。
4) 監視社会・密告社会になることはありません
テロ等準備罪を設けた法改正によって、捜査の方法は全く変わりません。今回の法改正は、どのような行為を犯罪とし、それに対してどのような刑罰を科すのかを規定する「実体法」(罰則)の改正であり、テロ等準備罪を設けることに伴い、犯罪についてどのような捜査を行うかという刑事訴訟法などの「手続法」は改正されていないからです。
メール、SNSでのやり取りの傍受は通信傍受法に規定する「通信傍受」に当たりますが、テロ等準備罪は通信傍受の対象犯罪ではなく、通信傍受法上、テロ等準備罪の捜査で「通信傍受」を行うことはできません。
したがって、テロ等準備罪を設けたことによって、捜査機関が国民を監視する「監視社会」になることはありません。
また、自首した人の刑を軽くしたり・免除したりする規定がありますが、テロ等準備罪の対象団体は「組織的犯罪集団」に限られており、一般の方々の生活とは関係がないので、この規定によって一般市民が密告をし合うような密告社会になることもありません。
5) 捜査機関による濫用・恣意的運用はできません
テロ等準備罪は、(1)「組織的犯罪集団」の関与、(2)重大な犯罪の「計画」、(3)計画した犯罪の「実行準備行為」という3つの厳格な要件を設けています。これらの要件は条文に明記されています。
そして、テロ等準備罪の捜査は、刑事訴訟法の規定に従って行われます。
どのような場合に捜査を行えるかは、テロ等準備罪の要件を定める「実体法」(罰則)によってその範囲が決められており、(1)〜(3)の要件について具体的な嫌疑が必要となります。3つの厳格な要件についての具体的な嫌疑がなければ捜査を行うことはできません。また、テロ等準備罪の捜査を行うに当たっては、その適正の確保に十分に配慮しなければならない旨の規定が設けられました。
さらに、捜査機関による捜査は、裁判所による事前・事後の審査を受けることになります。
したがって、捜査機関による濫用・恣意的運用はできません。
6) テロ等準備罪は、人権に十分配慮したものです
テロ等準備罪の新設当時、OECDに加盟していた日本以外の34の国(その全ての国がTOC条約を締結しています。)のうち、我が国のように、(1)「組織的な犯罪集団が関与する」との要件と、(2)犯罪実行の合意に加えて「合意の内容を推進するための行為」(我が国では「実行準備行為」)の要件の双方を採用していた国はなく、テロ等準備罪は、国際的に見ても人権に十分に配慮したものです。
テロ等準備罪の新設により、国際組織犯罪防止条約(TOC条約)の締結が可能となり、平成29年7月にTOC条約を締結しました。
テロ等準備罪は、TOC条約を締結するために設けられたものです。
TOC条約は、テロを含む組織犯罪を未然に防止し、これと闘うための条約であり、令和2年7月時点で、我が国を含め190の国や地域が締結しています。
我が国は、テロ等準備罪を設け、TOC条約を締結したことによって、組織犯罪に立ち向かう国際協力の輪に参加し、これらの国際協力を促進することができるようになりました。
TOC条約を締結したことにより、例えば、締約国との間で、自国で犯罪を行って他国に逃亡した犯罪人の引渡しを受けたり、我が国で潜伏する他国のテロリズム集団構成員を拘束してその国に引き渡すなどの犯罪人引渡しの実効性が高まりました(逃亡犯罪人引渡し)。また、自国の捜査・刑事裁判で用いる証言や証拠物等を外交ルートによることなく、捜査・司法当局の間で直接やり取りすることで、より早く効率的に他国から入手することが可能となりました(捜査共助)。加えて、テロ等の組織犯罪に関する情報収集について、これまで以上に国際社会と連携することが可能になりました(情報交換)。
2 「テロ等準備罪」の必要性
2 「テロ等準備罪」の必要性
資料
1) テロ等準備罪を新設しなければTOC条約を締結できませんでした
TOC条約第5条は、テロを含む組織犯罪を未然に防ぐため、締約国に対し、「重大な犯罪を行うことの合意」又は「組織的な犯罪集団の活動への参加」を、未遂罪や既遂罪とは別個の犯罪として処罰できるようにすることを義務付けています。これらの義務を果たさない限り、条約を締結することはできません。
しかし、テロ等準備罪を新設する前は、資料のとおり、TOC条約が犯罪化を義務付けている合意罪については、内乱、外患誘致等のごく一部の罪についてのみ、共謀・陰謀の罪として処罰可能とされているにすぎず、これらの義務を果たす上で不十分でした。
例えば、電気、水道、ガス設備等のインフラを標的としたテロ事犯、サイバー空間を利用した組織的な電子計算機損壊等業務妨害事犯、振り込め詐欺等の組織的な詐欺事犯、人身売買組織による人身売買事犯等については、その実行の着手前の段階で処罰することはできませんでした。
したがって,我が国がTOC条約を締結するためには、犯罪の計画・準備の段階で処罰できるようにする「テロ等準備罪」を設ける必要がありました。
2) テロ等準備罪により適確に対処できる事例
資料のとおり、テロ等準備罪を新設する前は、重大な犯罪の計画が行われたことが明らかになったとしても、
・未遂も予備もないものについては、犯罪が既遂に達するまで
・未遂はあるが予備のないものについては、実行の着手がなされるまで
・未遂・予備のあるものについては、「客観的に相当な危険性」※(注記)のある予備行為がなされるまで
は検挙・処罰することができないという意味で、処罰できないすき間(処罰の間隙)がありましたが、テロ等準備罪により、以下のような事例において、犯罪が実行される前の段階で犯人を検挙・処罰することが可能となりました。
・テロ集団が殺傷能力の高い化学薬品を製造し、これを用いて同時多発的に一般市民の大量殺人を行うことを計画した上、
例えば、殺傷能力の高い化学薬品の原料の一部を入手した。
・テロ集団が複数の飛行機を乗っ取って高層ビルに突撃させるテロを計画した上、例えば、搭乗予定の航空機の航空券を予
約した。
・テロ集団が分担してウイルス・プログラムを開発し、そのウイルスを用いて全国各地の電力会社、ガス会社、水道会社等の
電子制御システムを一斉に誤作動させ、大都市の重要インフラを麻痺させてパニックに陥らせることを計画した上、例えば、
コンピュータウイルスの開発を始めた。
※(注記) 昭和42年東京高裁判決では、「予備」とは、「構成要件実現(実行の着手もふくめて)のための客観的な危険性という観点か
らみて、実質的に重要な意義を持ち、客観的に相当の危険性の認められる程度の準備が整えられた場合たることを要する」と
されています。
3 テロ等準備罪が新設されても一般国民の生活に何ら変わりはありません
1) 一般の方々はテロ等準備罪で処罰されません
テロ等準備罪には、
(1) 「組織的犯罪集団」の関与
(2) 重大な犯罪の「計画」
(3) 計画した犯罪の「実行準備行為」(犯罪を実行するための資金の準備等)
という3つの厳格な要件を設けています。
「組織的犯罪集団」は、重大な犯罪等を行うことを目的とする団体であり、国内外の犯罪情勢等を考慮すれば、テロ集団、暴力団、薬物密売組織など違法行為を目的とする団体に限られます。
さらに、3つの要件全てについて「故意」が必要であり、(1)「組織的犯罪集団」の関与、(2)指揮命令の下、役割を分担して犯罪を行うことについての具体的かつ実現可能性のある計画をすること、(3)その計画に基づき実行準備行為を行うことの認識のうち、1つでも欠いていれば、テロ等準備罪は成立しないので、知らない間に巻き込まれて処罰されることはありません。
したがって、「組織的犯罪集団」と関わりのない一般の方々がテロ等準備罪で処罰されることはありません。
また、これらの3つの厳格な要件全てについて具体的な嫌疑(疑い)が生じなければ捜査を開始することはできないのですが、組織的犯罪集団と関わりのない一般の方々にそのような嫌疑が生じるとは考えられません。
したがって、一般の方々は、テロ等準備罪の捜査の対象となることもありません。
2) テロ等準備罪は、内心を処罰するものではありません
テロ等準備罪は、組織的犯罪集団が関与する犯罪について、犯罪実行の「計画」に加え、この計画に基づく「実行準備行為」が行われて初めて成立します。
「内心が処罰される」との懸念・不安を払拭するため、「計画行為」だけでは成立せず、これに加えて、計画された犯罪を実行するための準備行為(実行準備行為)が行われて初めて処罰することとされたものです。
このように、テロ等準備罪は、「計画行為」と「実行準備行為」という「行為」を処罰するものであって、内心を処罰するものではありません。
3) テロ等準備罪の対象となる罪は、適切に選択されたものです
TOC条約が定める犯罪化の義務を果たすためには、「組織的な犯罪集団が関与する」ことが現実的に想定される重大な犯罪※(注記)の全てをテロ等準備罪の対象とする必要がありました。
そこで、テロ集団を始めとする組織的犯罪集団が実行を計画することが現実的に想定されるかどうかとの基準により、テロ等準備罪の対象となる罪として、新設された証人等買収罪のほか、277個の罪が選択されました。
※(注記) TOC条約上、「重大な犯罪」とは、長期4年以上の懲役又は禁錮の刑等が定められている罪であるとされています。
4) 監視社会・密告社会になることはありません
テロ等準備罪を設けた法改正によって、捜査の方法は全く変わりません。今回の法改正は、どのような行為を犯罪とし、それに対してどのような刑罰を科すのかを規定する「実体法」(罰則)の改正であり、テロ等準備罪を設けることに伴い、犯罪についてどのような捜査を行うかという刑事訴訟法などの「手続法」は改正されていないからです。
メール、SNSでのやり取りの傍受は通信傍受法に規定する「通信傍受」に当たりますが、テロ等準備罪は通信傍受の対象犯罪ではなく、通信傍受法上、テロ等準備罪の捜査で「通信傍受」を行うことはできません。
したがって、テロ等準備罪を設けたことによって、捜査機関が国民を監視する「監視社会」になることはありません。
また、自首した人の刑を軽くしたり・免除したりする規定がありますが、テロ等準備罪の対象団体は「組織的犯罪集団」に限られており、一般の方々の生活とは関係がないので、この規定によって一般市民が密告をし合うような密告社会になることもありません。
5) 捜査機関による濫用・恣意的運用はできません
テロ等準備罪は、(1)「組織的犯罪集団」の関与、(2)重大な犯罪の「計画」、(3)計画した犯罪の「実行準備行為」という3つの厳格な要件を設けています。これらの要件は条文に明記されています。
そして、テロ等準備罪の捜査は、刑事訴訟法の規定に従って行われます。
どのような場合に捜査を行えるかは、テロ等準備罪の要件を定める「実体法」(罰則)によってその範囲が決められており、(1)〜(3)の要件について具体的な嫌疑が必要となります。3つの厳格な要件についての具体的な嫌疑がなければ捜査を行うことはできません。また、テロ等準備罪の捜査を行うに当たっては、その適正の確保に十分に配慮しなければならない旨の規定が設けられました。
さらに、捜査機関による捜査は、裁判所による事前・事後の審査を受けることになります。
したがって、捜査機関による濫用・恣意的運用はできません。
6) テロ等準備罪は、人権に十分配慮したものです
テロ等準備罪の新設当時、OECDに加盟していた日本以外の34の国(その全ての国がTOC条約を締結しています。)のうち、我が国のように、(1)「組織的な犯罪集団が関与する」との要件と、(2)犯罪実行の合意に加えて「合意の内容を推進するための行為」(我が国では「実行準備行為」)の要件の双方を採用していた国はなく、テロ等準備罪は、国際的に見ても人権に十分に配慮したものです。
テロ等準備罪の処罰範囲について
テロ等準備罪の処罰範囲は、明確かつ限定的なものです。
テロ等準備罪の成立要件
(1) 「組織的犯罪集団」が関与すること
(2) 犯罪の実行を二人以上で「計画」すること
(3) 計画に基づき「実行準備行為」が行われること
→3要件を全て満たさなければ、テロ等準備罪は成立しません。
1) 「組織的犯罪集団」が関与すること
以下のア〜ウを全て満たす必要があります。(例:テロリズム集団、暴力団、薬物密売組織、振り込め詐欺集団)
ア 多数人の継続的な集団であること
(ごく少数の人の集まりや、多数でも一時的に集まっただけの場合は当たりません)
イ 犯罪実行部隊のような組織(注1)を有していること
(注1:指揮命令に基づき、あらかじめ定められた任務の分担に従って行動する人の集まり)
ウ 重大な犯罪等(目的犯罪)(注2)を実行することを目的として集まっていること
(例えば、その罪を実行しないならば、集団として集まることはないと考えられること)
(注2:目的犯罪は組織的犯罪処罰法別表第3に個別に列挙されています)
以下の場合は(1)を満たさず、処罰されません。
× 会社員数名が、居酒屋で、会社の上司を殴ってけがをさせることを計画した場合
→ 会社員の集まりは、(1)ア、イを満たさない
× 友人同士が、万引きをすることを計画した場合
→ 友人同士の集まりは、(1)ア、イを満たさない
× 一般の会社が、法人税を脱税することを計画し、脱税するための帳簿を作成した場合
→ 正当な事業を行っている会社は、(1)ウを満たさない
2) 犯罪の実行を二人以上で「計画」すること
以下のエ〜オを全て満たす必要があります。
エ 「団体の活動として」、一定の犯罪(対象犯罪)(注3)を実行するものであること
(注3:対象犯罪は組織的犯罪処罰法別表第4に個別に列挙されています)
オ 具体的かつ現実的な合意をすること
以下の場合は(2)を満たさず、処罰されません。
× 一部の者が個人的な利益のために犯罪を実行することを合意した場合
→ 「団体の活動として」とはいえず、(2)エを満たさない
× 他人の自動車を壊すことを合意した場合
→ 器物損壊罪は、対象犯罪ではなく、(2)エを満たさない
× 「手っ取り早く金を手に入れるため、何か犯罪をやろう」と合意した場合
→ 計画が具体的ではなく、(2)オを満たさない
3) 計画に基づき「実行準備行為」が行われること
以下のカ〜クを全て満たす必要があります。
カ 計画とは別の行為であること
キ 計画に基づく行為であること
ク 計画を前進させる行為であること
以下の場合は(3)を満たさず、処罰されません。
× 計画をした後、計画の内容をメモに書き留めた場合
→ 計画とは別の行為とはいえず、(3)カを満たさない
× 毒殺の計画をしたが、ナイフを用いることは想定していなかったにもかかわらず、計画をした者のうちの一人がナイフを購入した場合
→ ナイフの購入は計画に基づくものとはいえず、(3)キを満たさない
× 計画をした後、腹ごしらえのために食事をした場合
→ 計画を前進させる行為とはいえず、(3)クを満たさない
(1) 「組織的犯罪集団」が関与すること
(2) 犯罪の実行を二人以上で「計画」すること
(3) 計画に基づき「実行準備行為」が行われること
→3要件を全て満たさなければ、テロ等準備罪は成立しません。
1) 「組織的犯罪集団」が関与すること
以下のア〜ウを全て満たす必要があります。(例:テロリズム集団、暴力団、薬物密売組織、振り込め詐欺集団)
ア 多数人の継続的な集団であること
(ごく少数の人の集まりや、多数でも一時的に集まっただけの場合は当たりません)
イ 犯罪実行部隊のような組織(注1)を有していること
(注1:指揮命令に基づき、あらかじめ定められた任務の分担に従って行動する人の集まり)
ウ 重大な犯罪等(目的犯罪)(注2)を実行することを目的として集まっていること
(例えば、その罪を実行しないならば、集団として集まることはないと考えられること)
(注2:目的犯罪は組織的犯罪処罰法別表第3に個別に列挙されています)
以下の場合は(1)を満たさず、処罰されません。
× 会社員数名が、居酒屋で、会社の上司を殴ってけがをさせることを計画した場合
→ 会社員の集まりは、(1)ア、イを満たさない
× 友人同士が、万引きをすることを計画した場合
→ 友人同士の集まりは、(1)ア、イを満たさない
× 一般の会社が、法人税を脱税することを計画し、脱税するための帳簿を作成した場合
→ 正当な事業を行っている会社は、(1)ウを満たさない
2) 犯罪の実行を二人以上で「計画」すること
以下のエ〜オを全て満たす必要があります。
エ 「団体の活動として」、一定の犯罪(対象犯罪)(注3)を実行するものであること
(注3:対象犯罪は組織的犯罪処罰法別表第4に個別に列挙されています)
オ 具体的かつ現実的な合意をすること
以下の場合は(2)を満たさず、処罰されません。
× 一部の者が個人的な利益のために犯罪を実行することを合意した場合
→ 「団体の活動として」とはいえず、(2)エを満たさない
× 他人の自動車を壊すことを合意した場合
→ 器物損壊罪は、対象犯罪ではなく、(2)エを満たさない
× 「手っ取り早く金を手に入れるため、何か犯罪をやろう」と合意した場合
→ 計画が具体的ではなく、(2)オを満たさない
3) 計画に基づき「実行準備行為」が行われること
以下のカ〜クを全て満たす必要があります。
カ 計画とは別の行為であること
キ 計画に基づく行為であること
ク 計画を前進させる行為であること
以下の場合は(3)を満たさず、処罰されません。
× 計画をした後、計画の内容をメモに書き留めた場合
→ 計画とは別の行為とはいえず、(3)カを満たさない
× 毒殺の計画をしたが、ナイフを用いることは想定していなかったにもかかわらず、計画をした者のうちの一人がナイフを購入した場合
→ ナイフの購入は計画に基づくものとはいえず、(3)キを満たさない
× 計画をした後、腹ごしらえのために食事をした場合
→ 計画を前進させる行為とはいえず、(3)クを満たさない
TOC条約締結と国際協力について
1 我が国はTOC条約を締結しました
我が国は、テロ等準備罪等が新設されたことを受けて、国際組織犯罪防止条約(TOC条約)を含む4つの国連条約を締結することが可能となり、平成29年7月11日、これら条約を締結しました(なお,締結によりこれら条約の効力が発生したのは平成29年8月10日です ※(注記)外務省報道発表をご覧になりたい方はこちらをクリックしてください)。
国連薬物・犯罪事務所(UNODC)のフェドートフ事務局長は、日本がTOC条約を締結したことへの祝意を表明しました(外務省ホームページをご覧になりたい方はこちらをクリックしてください。)。
ここでは、TOC条約を締結したことによって、国際的な捜査、逃亡犯罪人の引渡しについて得られるメリットを御説明します。
2 共助要請がスムーズに行えるようになりました
1) TOC条約締結前
我が国の捜査機関は、外国に共助要請(例えば、証拠物や供述の取得要請など)を行う場合で、相手国との間に、共助に関する条約がないときには、外務省を通じて外国の外交当局と連絡を取り、そこから外国の捜査機関等に共助要請の内容を伝えてもらう必要がありました。しかし、このような外交ルートを使うと、共助要請の結果が得られるまで時間がかかるのが一般的でした。
2) TOC条約締結後
TOC条約を締結したことにより、国際的な組織犯罪に関する共助要請について、我が国を含め世界に190あるTOC条約の締約国との間で、外交ルートを通すことなく、当該締約国の「中央当局」と直接やりとりを行うことができるようになりました。
「中央当局」とは、国際的な組織犯罪について、他の締約国から共助要請を受ける窓口のことで、TOC条約で指定が求められています。「中央当局」には、捜査当局や法務当局を指定することが多く、我が国の場合は、法務大臣又は法務省刑事局国際刑事管理官がこれに当たります。このような「中央当局」を通じたやりとりが可能となることで、より早く効率的に共助要請の結果を得ることが可能となりました。
3) その他のTOC条約に基づく共助要請の利点
TOC条約には、共助に関する様々なルールが規定されており、例えば、共助要請を受けた締結国が共助の実施を拒否する場合には、要請した締約国に対して、拒否する理由を明示しなければならないといった規定があります。このような規定があることにより、共助要請を受けた締約国は、共助要請を拒否しづらくなると考えられ、その結果、我が国が、締約国から共助要請の結果(証拠物や供述の取得など)を得られるケースが増えるという副次的な効果も期待されます。
4) 我が国も国際協力に一層貢献することができます
TOC条約を締結したことにより、我が国が、他の締約国から国際的な組織犯罪に関する共助要請を受けた場合にもより早く効率的に対応することが可能となり、より一層、国際協力に貢献することが可能となりました。
3 逃亡犯罪人引渡しもスムーズに行えるようになりました
1) TOC条約締結前
我が国が、外国にいる逃亡犯罪人の引渡しを請求するには、以下のような課題がありました。
(1) 相手国との間に有効な逃亡犯罪人引渡条約がなければ引渡しに応じないという法制度をとる国
→ そもそも引渡しを受けることができない。
(2) そのような条約がなくても引渡しに応じる法制度をとる国
→ これまでも国際礼譲(国際社会の慣習)に基づいて引渡しの請求を行うことは可能。
しかし、相手国は何らの義務も負っていないため、引渡しまで非常に時間がかかることがある。
2) TOC条約締結後
TOC条約を締結したことにより、国際的な組織犯罪に関する逃亡犯罪人の引渡しの請求について、以下の点が変わりました。
(1) 上記(1)の法制度をとる締約国のうち、TOC条約を有効な逃亡犯罪人引渡条約とする国(カナダ、オランダなど)
→ TOC条約を根拠として逃亡犯罪人の引渡しを請求することが可能。
(2) 上記(2)の法制度をとる締約国(ドイツ、フランスなど)
→ 国際礼譲に基づいてではなく、TOC条約を根拠として逃亡犯罪人の引渡しを請求することが可能。
3) その他のTOC条約に基づく逃亡犯罪人引渡請求の利点
TOC条約を根拠として逃亡犯罪人の引渡しを請求できることのメリットとしては、請求を受けた締約国には、逃亡犯罪人引渡手続を迅速に行うよう努める国際法上の義務が生じるということが挙げられます。また、TOC条約を根拠として請求を受けた締約国は、逃亡犯罪人が自国民であることを理由に引渡しを拒む場合には、その逃亡犯罪人を自国の訴追機関に付託しなければなりません。これらにより、処罰の抜け穴をなくすことができるというメリットもあります。
4) 我が国も国際協力に一層貢献することができます
我が国としても、TOC条約締結のための法整備をしたことにより、他の締約国に対し、逃亡犯罪人の引渡しを行うことができる国際的な組織犯罪の幅が広がったので、より一層、国際的な組織犯罪に関する逃亡犯罪人の確実な処罰に貢献することができるようになりました。
我が国は、テロ等準備罪等が新設されたことを受けて、国際組織犯罪防止条約(TOC条約)を含む4つの国連条約を締結することが可能となり、平成29年7月11日、これら条約を締結しました(なお,締結によりこれら条約の効力が発生したのは平成29年8月10日です ※(注記)外務省報道発表をご覧になりたい方はこちらをクリックしてください)。
国連薬物・犯罪事務所(UNODC)のフェドートフ事務局長は、日本がTOC条約を締結したことへの祝意を表明しました(外務省ホームページをご覧になりたい方はこちらをクリックしてください。)。
ここでは、TOC条約を締結したことによって、国際的な捜査、逃亡犯罪人の引渡しについて得られるメリットを御説明します。
2 共助要請がスムーズに行えるようになりました
1) TOC条約締結前
我が国の捜査機関は、外国に共助要請(例えば、証拠物や供述の取得要請など)を行う場合で、相手国との間に、共助に関する条約がないときには、外務省を通じて外国の外交当局と連絡を取り、そこから外国の捜査機関等に共助要請の内容を伝えてもらう必要がありました。しかし、このような外交ルートを使うと、共助要請の結果が得られるまで時間がかかるのが一般的でした。
2) TOC条約締結後
TOC条約を締結したことにより、国際的な組織犯罪に関する共助要請について、我が国を含め世界に190あるTOC条約の締約国との間で、外交ルートを通すことなく、当該締約国の「中央当局」と直接やりとりを行うことができるようになりました。
「中央当局」とは、国際的な組織犯罪について、他の締約国から共助要請を受ける窓口のことで、TOC条約で指定が求められています。「中央当局」には、捜査当局や法務当局を指定することが多く、我が国の場合は、法務大臣又は法務省刑事局国際刑事管理官がこれに当たります。このような「中央当局」を通じたやりとりが可能となることで、より早く効率的に共助要請の結果を得ることが可能となりました。
3) その他のTOC条約に基づく共助要請の利点
TOC条約には、共助に関する様々なルールが規定されており、例えば、共助要請を受けた締結国が共助の実施を拒否する場合には、要請した締約国に対して、拒否する理由を明示しなければならないといった規定があります。このような規定があることにより、共助要請を受けた締約国は、共助要請を拒否しづらくなると考えられ、その結果、我が国が、締約国から共助要請の結果(証拠物や供述の取得など)を得られるケースが増えるという副次的な効果も期待されます。
4) 我が国も国際協力に一層貢献することができます
TOC条約を締結したことにより、我が国が、他の締約国から国際的な組織犯罪に関する共助要請を受けた場合にもより早く効率的に対応することが可能となり、より一層、国際協力に貢献することが可能となりました。
3 逃亡犯罪人引渡しもスムーズに行えるようになりました
1) TOC条約締結前
我が国が、外国にいる逃亡犯罪人の引渡しを請求するには、以下のような課題がありました。
(1) 相手国との間に有効な逃亡犯罪人引渡条約がなければ引渡しに応じないという法制度をとる国
→ そもそも引渡しを受けることができない。
(2) そのような条約がなくても引渡しに応じる法制度をとる国
→ これまでも国際礼譲(国際社会の慣習)に基づいて引渡しの請求を行うことは可能。
しかし、相手国は何らの義務も負っていないため、引渡しまで非常に時間がかかることがある。
2) TOC条約締結後
TOC条約を締結したことにより、国際的な組織犯罪に関する逃亡犯罪人の引渡しの請求について、以下の点が変わりました。
(1) 上記(1)の法制度をとる締約国のうち、TOC条約を有効な逃亡犯罪人引渡条約とする国(カナダ、オランダなど)
→ TOC条約を根拠として逃亡犯罪人の引渡しを請求することが可能。
(2) 上記(2)の法制度をとる締約国(ドイツ、フランスなど)
→ 国際礼譲に基づいてではなく、TOC条約を根拠として逃亡犯罪人の引渡しを請求することが可能。
3) その他のTOC条約に基づく逃亡犯罪人引渡請求の利点
TOC条約を根拠として逃亡犯罪人の引渡しを請求できることのメリットとしては、請求を受けた締約国には、逃亡犯罪人引渡手続を迅速に行うよう努める国際法上の義務が生じるということが挙げられます。また、TOC条約を根拠として請求を受けた締約国は、逃亡犯罪人が自国民であることを理由に引渡しを拒む場合には、その逃亡犯罪人を自国の訴追機関に付託しなければなりません。これらにより、処罰の抜け穴をなくすことができるというメリットもあります。
4) 我が国も国際協力に一層貢献することができます
我が国としても、TOC条約締結のための法整備をしたことにより、他の締約国に対し、逃亡犯罪人の引渡しを行うことができる国際的な組織犯罪の幅が広がったので、より一層、国際的な組織犯罪に関する逃亡犯罪人の確実な処罰に貢献することができるようになりました。
国際組織犯罪防止条約(TOC条約)の関連規定等
国際組織犯罪防止条約(TOC条約)の関連規定
第2条 用語
この条約の適用上,
(b) 「重大な犯罪」とは,長期4年以上の自由を剥奪する刑又はこれより重い刑を科することができる犯罪を構成する行為をいう。
第5条 組織的な犯罪集団への参加の犯罪化
1 締約国は,故意に行われた次の行為を犯罪とするため,必要な立法その他の措置をとる。
(a) 次の一方又は双方の行為(犯罪行為の未遂又は既遂に係る犯罪とは別個の犯罪とする。)
(i) 金銭的利益その他の物質的利益を得ることに直接又は間接に関連する目的のため重大な犯罪を行うことを一又は二
以上の者と合意することであって,国内法上求められるときは,その合意の参加者の一人による当該合意の内容を推進
するための行為を伴い又は組織的な犯罪集団が関与するもの
(ii) 組織的な犯罪集団の目的及び一般的な犯罪活動又は特定の犯罪を行う意図を認識しながら,次の活動に積極的に参
加する個人の行為
a 組織的な犯罪集団の犯罪活動
b 組織的な犯罪集団のその他の活動(当該個人が,自己の参加が当該犯罪集団の目的の達成に寄与することを知って
いるときに限る。)
この条約の適用上,
(b) 「重大な犯罪」とは,長期4年以上の自由を剥奪する刑又はこれより重い刑を科することができる犯罪を構成する行為をいう。
第5条 組織的な犯罪集団への参加の犯罪化
1 締約国は,故意に行われた次の行為を犯罪とするため,必要な立法その他の措置をとる。
(a) 次の一方又は双方の行為(犯罪行為の未遂又は既遂に係る犯罪とは別個の犯罪とする。)
(i) 金銭的利益その他の物質的利益を得ることに直接又は間接に関連する目的のため重大な犯罪を行うことを一又は二
以上の者と合意することであって,国内法上求められるときは,その合意の参加者の一人による当該合意の内容を推進
するための行為を伴い又は組織的な犯罪集団が関与するもの
(ii) 組織的な犯罪集団の目的及び一般的な犯罪活動又は特定の犯罪を行う意図を認識しながら,次の活動に積極的に参
加する個人の行為
a 組織的な犯罪集団の犯罪活動
b 組織的な犯罪集団のその他の活動(当該個人が,自己の参加が当該犯罪集団の目的の達成に寄与することを知って
いるときに限る。)
テロ等準備罪を新設する規定
テロ等準備罪処罰法案による改正後の組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(組織的犯罪処罰法)
(テロリズム集団その他の組織的犯罪集団による実行準備行為を伴う重大犯罪遂行の計画)
第6条の2
1 次の各号に掲げる罪に当たる行為で,テロリズム集団その他の組織的犯罪集団(団体のうち,その結合関係の基礎としての
共同の目的が別表第3に掲げる罪を実行することにあるものをいう。次項において同じ。)の団体の活動※(注記)として,当該行為を
実行するための組織により行われるものの遂行を二人以上で計画した者は,その計画をした者のいずれかによりその計画に
基づき資金又は物品の手配,関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われたときは,当該
各号に定める刑に処する。ただし,実行に着手する前に自首した者は,その刑を減軽し,又は免除する。
一 別表第4に掲げる罪のうち,死刑又は無期若しくは長期10年を超える懲役若しくは禁錮の刑が定められているもの 5年
以下の懲役又は禁錮
二 別表第4に掲げる罪のうち,長期4年以上10年以下の懲役又は禁錮の刑が定められているもの 2年以下の懲役又は禁
錮
2 前項各号に掲げる罪に当たる行為で,テロリズム集団その他の組織的犯罪集団に不正権益を得させ,又はテロリズム集団
その他の組織的犯罪集団の不正権益を維持し,若しくは拡大する目的で行われるものの遂行を二人以上で計画した者も,そ
の計画をした者のいずれかによりその計画に基づき資金又は物品の手配,関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行
するための準備行為が行われたときは,同項と同様とする。
※(注記) 団体の活動:団体(共同の目的を有する多数人の継続的結合体であって,その目的又は意思を実現する行為の全部又は
一部が組織により反復して行われるもの)の意思決定に基づく行為であって,その効果又はこれによる利益が当該団体に帰属
するもの 〔第2条第1項・第3条第1項〕
(テロリズム集団その他の組織的犯罪集団による実行準備行為を伴う重大犯罪遂行の計画)
第6条の2
1 次の各号に掲げる罪に当たる行為で,テロリズム集団その他の組織的犯罪集団(団体のうち,その結合関係の基礎としての
共同の目的が別表第3に掲げる罪を実行することにあるものをいう。次項において同じ。)の団体の活動※(注記)として,当該行為を
実行するための組織により行われるものの遂行を二人以上で計画した者は,その計画をした者のいずれかによりその計画に
基づき資金又は物品の手配,関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われたときは,当該
各号に定める刑に処する。ただし,実行に着手する前に自首した者は,その刑を減軽し,又は免除する。
一 別表第4に掲げる罪のうち,死刑又は無期若しくは長期10年を超える懲役若しくは禁錮の刑が定められているもの 5年
以下の懲役又は禁錮
二 別表第4に掲げる罪のうち,長期4年以上10年以下の懲役又は禁錮の刑が定められているもの 2年以下の懲役又は禁
錮
2 前項各号に掲げる罪に当たる行為で,テロリズム集団その他の組織的犯罪集団に不正権益を得させ,又はテロリズム集団
その他の組織的犯罪集団の不正権益を維持し,若しくは拡大する目的で行われるものの遂行を二人以上で計画した者も,そ
の計画をした者のいずれかによりその計画に基づき資金又は物品の手配,関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行
するための準備行為が行われたときは,同項と同様とする。
※(注記) 団体の活動:団体(共同の目的を有する多数人の継続的結合体であって,その目的又は意思を実現する行為の全部又は
一部が組織により反復して行われるもの)の意思決定に基づく行為であって,その効果又はこれによる利益が当該団体に帰属
するもの 〔第2条第1項・第3条第1項〕