石油・天然ガスの探鉱・開発事業は巨額の資金を要する事業です。特に探鉱事業は、商業的に採取可能な規模の石油や天然ガスを発見できない場合、数十億円から数百億円という投下資金が全く回収できないこともあるという極めてリスクの高い事業です。この探鉱資金をすべて独力で供給することは企業にとって大きな負担となります。このためJOGMECは石油・天然ガスの探鉱事業資金を出資という形で提供しています。
探鉱事業が成功し、商業的に開発可能な油田やガス田の発見に成功すると開発段階になります。この段階では数百億円から数兆円という規模の資金が必要になりますが、「発見」リスクはなくなっているため通常はこれらの資金は金融機関からの借入でまかなわれます。しかし、地下数千メートルにある石油や天然ガスの量を正確に把握することはできませんし、いわゆるカントリーリスクや石油や天然ガス価格の変動リスクもあるため、こうした開発費の借入を容易にする目的でJOGMECが債務保証を行っています。
なお、開発事業のうちでも、特に多額の資金を要する大型油田・ガス田の開発や天然ガスの液化事業では、必要資金金額を借入でまかなうことができず、一部は参画する企業による出資や劣後ローンの提供が求められることがあります。そのような探鉱事業から開発事業に移行した案件や天然ガスの液化事業に対して、JOGMECが出資により資金供給をすることができます。また、油田やガス田の購入(いわゆる資産買収)に際しても、巨額の資金が必要となる場合があり、JOGMECが出資により支援することが可能です。
また、我が国上流開発企業による海外の資源会社の買収や資本提携(いわゆる企業買収等)に対しても、JOGMECが出資・債務保証により支援することが可能です。
更に、液化天然ガス(LNG)の貯蔵事業(積替基地・受入基地)には数百〜数千億円という規模の資金が必要になるほか、案件の見込まれる新興国等においては様々なカントリーリスクがあります。こうした貯蔵事業への我が国企業の参画を容易にし、LNG供給セキュリティを確保するため、我が国へのLNG安定供給に資する貯蔵事業に対してJOGMECが出資・債務保証により支援することが可能です。
出資スキーム 石油・天然ガスの探鉱・開発事業を行う場合、通常は個々の事業を実施するためのプロジェクト会社が設立されます。探鉱事業資金等はプロジェクト会社が新たに株式を発行して調達するので、JOGMECはこの新株発行の引受けという形で資金を供給します。なお、JOGMECは事業が成功し、商業的開発が決定された後は順次株式を売却していく方針です。
また、探鉱事業から開発事業に移行した案件や、天然ガスの液化事業及び液化天然ガス(LNG)の貯蔵事業、資産買収、企業買収等に対しても、同様に資金を供給します。
債務保証スキーム JOGMECは、石油・天然ガスの開発事業資金や資産買収に関連する資金の借入に際して債務保証を行っています。また資金調達に際して求められる完工保証や企業買収等に関連する資金の借入に対する債務保証ができます。