近年,東アジア地域等の開発途上国において,競争法・政策の重要性が認識されてきていることに伴い,既存の競争法制を強化する動きや,新たに競争法制を導入する動きが活発化しており,これらの国に対する技術支援の必要性が高まっています。
公正取引委員会は,東アジア諸国の競争当局等に対し,研修の実施等による技術支援を行っています。また,特に東アジアとの経済連携の強化を推進していく必要性が高まりつつある中で,東アジア地域の競争当局等が反競争的行為に適切に対処することができるよう,引き続き,同競争当局等の能力向上等に向けた技術支援を行っていくこととしています。
公正取引委員会は,独立行政法人国際協力機構(JICA)の協力を得て,諸国の競争当局等に対し,当委員会事務総局の職員の派遣や研修の実施等による競争法・政策分野における技術支援活動を行っています。
公正取引委員会のJICAの枠組みによる技術支援の取組状況は次のとおりです。
公正取引委員会は,JICAの協力の下,競争法を導入しようとする国や既存の競争法の運用強化を図ろうとする国の競争当局等の職員を我が国に招へいし,競争法・政策に関する研修を実施しており,平成6年度以降,本分野での研修は,令和2年度で通算26回目となります。 令和2年度においては,11か国から19名の参加を得て,令和3年2月15日から同月19日及び3月1日から同月5日の日程で,オンライン方式により実施しました。
ベトナムに対する技術支援として,公正取引委員会は,令和元年11月から,当委員会事務総局の職員1名をJICA長期専門家としてベトナムの競争当局に派遣し,現地における技術支援を継続的に実施しています。さらに,ベトナムの競争当局職員等を我が国に招へいして競争法・政策等に関する研修を実施し,現地でのセミナーに当委員会事務総局の職員等を派遣しました。また,オンライン方式による研修を実施しました。
モンゴルに対する技術支援として,公正取引委員会は,競争法・政策等に関する研修をオンライン方式により実施しました。また,現地でのセミナーに当委員会事務総局の職員を派遣しました。
マレーシアに対する技術支援として,公正取引委員会は,令和3年1月から,当委員会事務総局の職員1名をJICA長期専門家としてマレーシアの競争当局に派遣し,現地における技術支援を継続的に実施しています。また,競争法・政策等に関する研修をオンライン方式により実施しました。
オンライン方式による研修実績公正取引委員会は,平成28年9月から,ASEAN(東南アジア諸国連合)競争当局者フォーラム及びインドネシアの競争当局の協力の下,日・ASEAN統合基金(JAIF)を活用した技術支援プロジェクトを実施しており,ASEAN加盟国の競争当局の職員等を我が国に招へいし,競争法・政策に関する研修を実施しています。また,現地ワークショップ及び現地研修に当委員会事務総局の職員,学識経験者等を派遣するなどしています。
平成30年4月18日及び19日
インドネシア現地ワークショップ(インドネシア・スラバヤ)
公正取引委員会は,アフリカの競争当局から公正取引委員会の行う技術支援に関心が寄せられていることを踏まえ,アフリカの競争当局に対して技術支援を行っており,国際連合貿易開発会議(UNCTAD)との共催によるアフリカの競争当局向けセミナー等 に事務総局の職員等を派遣しました。
なお,効率的に技術支援を行うため,UNCTAD競争消費者政策課に,平成28年7月から当委員会事務総局の職員1名を派遣しています。
このほか,公正取引委員会は,開発途上国に対する技術支援として,経済協力開発機構(OECD)等の国際機関や外国政府等が東アジアやアフリカ地域において実施する競争法・政策に関するセミナーに当委員会事務総局の職員や学識経験者を積極的に派遣しています。