第13次調査の結果のポイント
第13次全国調査の結果のポイントは以下のとおりです。
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1. 日本人の長所として「礼儀正しい」「親切」が過去最高
Open or Close日本人の長所として挙げられるものを具体的な10個の性質の中からいくつでも選んでもらったところ,"勤勉","礼儀正しい","親切"を挙げる人が7割を超えた (#9.1 )。特に,"礼儀正しい"はこれまで5割前後だったが今回2013年は77%にまで上昇し,"親切"は3割から5割の間だったが71%に高まるなど,いずれも20ポイント近く増加して過去最高となった。なお"勤勉"は,これまでの7割前後から今回は77%に増えて,これも過去最高である。
また日本の「心の豊かさ」に対する4段階の評価結果では,"非常によい"あるいは"ややよい"とする人の割合は,1993年から1998年にかけて41%から26%へと%,経済面を中心として日本に対する他の評価項目とともに
落ち込み,そのまま30%を割り込んで低迷していた (#9.12e )。しかし2013年の今回は47%にまで急速に回復し,1973年の当該項目の調査開始以降では最も高い割合となった。図1 日本人の性格 (長所) と日本の「心の豊かさ」に対する評価
これらに関連した項目として,たいていの人は"他人の役に立とうとしているか"あるいは"自分のことだけに気をくばっているか"を尋ねたところ,"他人の役に"という人は1978年は19%に過ぎなかったが,その割合は毎回少しずつ増加し,今回2013年は前回2008年の36%から10ポイント近く伸びた45%となって,はじめて"自分のことだけ"の割合 (42%) を上回った (#2.12 )。図2 たいていの人は,他人の役にたとうとしていると思いますか,それとも、自分のことだけに気をくばっていると思いますか?
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2. もう一度生まれかわるとしたら「日本」に
Open or Closeもう一度生まれかわるとしたら"日本に生まれてきたい"か、それとも"よその国に生まれてきたい"かを選んでもらったところ,"日本に"を選ぶ人は,全体では前回2008年の77%から今回2013年は83%へと上昇した (#9.22c )。性・年齢層別に見ると,高齢層は2008年においても8割を超えていたが,2013年は若年層を含む全ての年齢層で7割を超えた。図3 もう一度生まれかわるとしたら「日本」に生まれてきたい
"日本"人気の要因の一つには,前項で紹介した日本人自身に対する評価の高まりがあると考えられる。実際,日本の「心の豊かさ」をよいと考えている人ほど,もう一度生まれかわるとしたら"日本に生まれてきたい"としている。この傾向は,詳細なグラフ等は割愛するが,どの性・年齢層でも同様に認められる。図4 日本の「心の豊かさ」に対する評価 × 生まれかわりたい国
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3. 生活水準 〜 日本を再評価も,自身は「変らない」が最多
Open or Close図5 日本の「生活水準」と「経済力」に対する評価
日本の経済面が再評価されつつある一方で,実際に自分自身の生活水準がこの10年間で"よくなった"あるいは"ややよくなった"という人は,1993年の41%から2003年に20%へと下落し,今回も20%にとどまったままである (#7.30a )。他方,"わるくなった"あるいは"ややわるくなった"という人の割合は,1993年の13%から2003年には39%まで上昇した。その後,生活水準が悪化したという人の割合は減り続けているものの,10年間"変らない"という人は増え,今回2013年は53%に達した。図6 あなたの生活水準は,この10年間でどう変りましたか?
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4. 「努力しても報われない」が増加
Open or Close自分の目標に向かって努力することについて"まじめに努力していれば,いつかは必ず報われると思う"か,それとも"いくら努力しても,全く報われないことが多いと思う"かを尋ねたところ,"努力しても報われない"という人は,全体では1988年の17%から2013年には26%へと10ポイント近く増加している (#7.38 )。増加はどの性・年齢層でも見られ,特に20歳代・30歳代の男性では,1988年には4人に1人だった割合が,2013年になると3人に1人を超えている。図7 いくら努力しても,全く報われないことが多いと思う
努力が報われないという回答が増加した背景には様々な要因が考えられ,経済的な面もその一つである。「生活水準10年の変化」と「努力すれば報われるか」とのクロス集計を見ると,生活水準が10年間でわるくなったとする人ほど,"努力しても報われない"と回答する割合が高い。この傾向は,どの性・年齢層でも同様に認められる。図8 生活水準10年の変化 × 努力は報われるか
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5. 蔓延する「いらいら」
Open or Closeこの1ヶ月間に「いらいら」したことが"ある"という人の割合は調査を経るごとに徐々に増えており,2013年には,1993年の調査開始以来はじめて"ない"人の割合 (49%) を超えて50%となった (#2.80c )。"ある"という人の増加は60歳以上を除くどの性・年齢層でも見られるが,特に若年層の女性で著しく,今回2013年は4人に3人の20歳代・30歳代女性が1ヶ月の間に「いらいら」したことが"ある"としている。図9 この1ヶ月間に「いらいら」したことがある
また,この1ヶ月のうちに「頭痛・偏頭痛」に悩んだことがあるという人も,1993年の25%から2013年の32%へと少しずつ増えており,特に20歳代・30歳代の女性では2013年には半数を超えている (#2.80a )。図10 この1ヶ月間に「頭痛・偏頭痛」に悩んだことがある
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6. 若年層で「わずらわしさを避けて,平穏無事に」が拡大
Open or Close"自分の可能性をためすために,できるだけ多くの経験をしたい"か,あるいは"わずらわしいことはなるべく避けて,平穏無事に暮らしたい"か,自分の気持ちに近い方を選んでもらったところ,30年前の1983年には20歳代の80%は"多くの経験をしたい"と考える一方で,70歳以上の58%は"平穏無事に暮らしたい"を選んでおり,世代間で考え方に大きな違いが見られた (#2.11b)。しかし今回2013年には,"平穏無事"を望む20歳代は19%から31%へ,30歳代は25%から35%へといずれも10ポイント以上増えており,前項までに示してきたような報われなさやストレスを抱えた若年層では,多様な経験よりも安定した暮らしを願う様子がうかがえる。その一方で"多くの経験"を求める高齢層の割合は増加しており,世代間の差は30年前と比べ縮小している。図11 可能性をためすか
これらに関連した項目として,"いくらお金があっても,仕事がなければ,人生はつまらない"と,"お金があれば,仕事がなくても,人生がつまらないとは思わない"のどちらが自分の気持ちに近いか尋ねたところ,"お金があれば仕事がなくてもよい"という回答は全体では3割に満たないものの,その割合は1983年から増える傾向にある (#7.25 )。特に若年層での増加が際立ち,20歳代では1983年の19%から倍増して2013年には40%に達している。図12 お金があれば,仕事がなくても,人生がつまらないとは思わない
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7. 再び楽観に転じ始めた将来の見通し
Open or Close図13 将来の見通し
さらに将来に限らず,既に多数の人が自分は幸福だと考えているようである。ひとくちでいえば自分が"幸福 (まあまあ,ふつうをふくむ)"か"不幸"かを選んでもらったところ,"幸福"という人は,高度経済成長期を迎えた1958年には81%であったが,55年後の今回2013年には94%へと増え,どの性・年齢層でもほぼ9割を超えている (#2.3 )。図14 ひとくちでいうと,「幸福」だ
また,幸福度に−5点 (とても不幸せ) から5点 (とても幸せ) まで11段階で点数をつけてもらうと,マイナスの点数をつける人は,20歳代男性を除くとどの性・年齢層でも1割に満たない (#2.3* )。逆に1点以上の点数をつける人は,いずれの性・年齢層であっても半数を超え,若年層ほど多くなる傾向にある。図15 現在,あなた自身はどの程度幸せですか。「とても幸せ」を5点,「とても不幸」を−5点,「ふつう」を0点とすると,何点くらいになると思いますか。