料理家・冷水希三子の何食べたい?

旬の空豆で作る、初夏のおばんざい飛竜頭

FOOD
2023年05月11日

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料理家・冷水希三子(ひやみず・きみこ)さんがリクエストに応えて料理を作ってくださるという夢の連載。今回は旬の空豆を使ったおばんざい。揚げたてのカリカリでも、お出汁(だし)で煮てもおいしい飛竜頭(ひろうす)をご紹介します。

―― 冷水先生、こんにちは。清々しい季節がやってきましたね。

冷水 寒くもなく暑くもなく、本当に過ごしやすい季節です。

―― 旬の食材もたくさんスーパーに並んでいて、ワクワクしますね。

冷水 はい、何を作ろうか迷ってしまいますね。

―― 今日は思いっきり旬を感じる食材を使いたいなと思っているのですが、空豆なんてどうでしょうか?

冷水 いいですね! どんなお料理がいいですかね?

―― 空豆は焼いたり蒸したり、シンプルな調理法で食べても最高においしいですけど、少し手を加えた料理にもチャレンジしてみたいなと思っています。

冷水 お、勉強熱心ですね(笑)。

旬の空豆で作る、初夏のおばんざい飛竜頭
旬の空豆が主役。つなぎ役の自然薯(じねんじょ・山芋)は長芋と間違わないようにご注意を!

―― この季節、夕暮れにそよそよと風を感じながら、ちょっと早めの晩酌をするのも気持ちがよくて大好きなのですが、そういうときにつまめる、おばんざいみたいなものが作れるとかっこいいのにな......と憧れているんです。

冷水 大人の女性ですね。

―― まさに、それです(笑)。

冷水 じゃあ、飛竜頭なんてどうですか?

―― ひ、ひろうす......ですか?

冷水 あ、関東では「がんもどき」ですね。関西では「ひろうす」と言うんです。がんもどきはおでんの具材というイメージが強いかもしれませんが、関西、とくに京都ではおばんざいの定番なんです。

―― おでんのように色々な具材と一緒に煮るのではなくて、単体で食べるんですか?

旬の空豆で作る、初夏のおばんざい飛竜頭
水切りした木綿豆腐を裏漉(ご)しして、滑らかに。裏漉し器がない場合は、すり鉢で擦ってもOKです。ザルで代用する場合はできるだけ目の細かいものを選びましょう

冷水 はい、揚げたてに生姜醤油(しょうがじょうゆ)をつけて食べたり、お出汁で煮含めたり、色々な食べ方があります。崩した豆腐に山芋などを加えてつなぎにして、好みの野菜を加えて揚げる料理です。

―― なるほど。空豆を使ったひろうすということですね。素敵です。

冷水 じゃあ早速作っていきましょう。まずは豆腐の水切りから。木綿豆腐をキッチンペーパーで包み、重しを乗せて4時間ほど置いておきます。

―― 揚げ物でも豆腐を使っていると罪悪感がなくていいですね。

冷水 水切りした豆腐は裏漉しして滑らかにします。すり鉢で擦ってもいいですし、ミキサーを使ってもいいです。

―― おでんに入っているがんもどきは、もう少し粗めに豆腐を崩したような感じですが、今回はすごく滑らかにするんですね。

冷水 もちろんお好みで粗めにしていただいていいのですが、空気を含む分、揚げるときに破裂しやすいんです。あとは、今日は上品な口当たりに仕上げたくて。

旬の空豆で作る、初夏のおばんざい飛竜頭
つなぎ役の自然薯と卵液のおかげで、しっかりとまとまります。ゴルフボールくらいの大きさに丸めて、揚げていきます

―― 大人の女のおばんざいですからね、上品さは大切です!

冷水 ふふふ。では次に自然薯をすりおろします。

―― 自然薯とは......山芋のことですか?

冷水 はい、そうとも言いますね。注意していただきたいのは、ここで長芋を使わないこと。山芋と長芋は見た目が似ていますが、長芋の方がずいぶん水分が多いんです。

―― おお、これはメモですね!

冷水 間違って長芋を使うと、豆腐がうまくまとまらなくなるので、お買い物の際によく見てくださいね。

―― はい!

冷水 ではボウルに裏漉しした豆腐とすりおろした自然薯、卵液、塩を入れて混ぜます。そして空豆の登場です。

―― 綺麗なグリーン!

冷水 空豆はさやから豆を出して、少々手間ですが薄皮も剥(む)きます。あとは粗みじん切りにして別のボウルに入れ、そこに軽く片栗粉をまぶします。

―― この片栗粉はなんのためにまぶすのですか?

冷水 空豆がしっかりとお豆腐の生地にくっつくように、つなぎの役目です。

旬の空豆で作る、初夏のおばんざい飛竜頭
揚げあがりはこんな感じ。豆腐の水切りが甘いと破裂することがあるので、しっかりと時間をかけて水を切りましょう

―― なるほど!

冷水 では豆腐の生地を作ったボウルに空豆と残りの片栗粉を加えて、ゴルフボールくらいに丸めていきましょう。

―― 片栗粉のおかげで空豆がピッタリとフィットしています!

冷水 あとは揚げるだけです。ここでひとつメモですが、今回は油を加熱しないで、常温の状態から入れてください。

―― そ、その心は......!?

冷水 急に熱が入ると破裂してしまうんです。なので常温の状態で入れて火にかけ、少しずつ温度を上げていきます。

―― 静かな揚げ物ですね(笑)。でも揚げ物初心者はこっちの方が心の余裕があっていいかもしれません。

冷水 確かに。焦らずゆっくりとできますからね。さあ、表面がきつね色になってカリッとしたら完成です。今日は熱々のところに塩をかけてシンプルに食べましょう。生姜醤油を垂らしてもおいしいですよ。

―― 外はカリカリ、中はふんわり。豆腐の優しい風味の中に空豆の甘さが加わって、どこまでも上品なお味です......。豆腐を滑らかに裏漉ししたのは大正解ですね。口当たりが心地いいです。

冷水 よかったです。残った分はお出汁で煮含めて翌日のおかずにしてもいいですよ。

―― おいしすぎて残りませんよ、これは(笑)。

冷水 これから続々と季節の野菜が出てきますので、ぜひ色々な具材で作ってみてください。

空豆の飛竜頭

材料(8個分)

  • 木綿豆腐(水切り後)
    200g
  • 自然薯
    20g
  • 卵液
    15g
  • 少々
  • 空豆
    8さや
  • 片栗粉
    小さじ1/2
  • 揚げ油
    適量
  1. 豆腐は4時間ほど水切りをしておく。
  2. 1.の豆腐を裏漉しして、すりおろした自然薯と卵液、塩を加えて混ぜる。
  3. 空豆はさやと薄皮を剥いて細かく切ってボウルに入れ、軽く片栗粉をまぶす。
  4. 2.3.と残りの片栗粉を混ぜてゴルフボールくらいの大きさに丸める。常温の油に入れて火にかけ、表面がカリッとするまで揚げる。
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