日本の喫茶店文化の中で育まれたサイフォン技術が世界へ。ワールド サイフォニスト チャンピオンシップ 2024で優勝したのは台湾出身のChang Wei-Shinさん
徳島県出身。外資系ジュエリーブランドのPRを10年以上経験した後にフリーエディターに。雑誌やWebを中心に、旅、食、カルチャーなどをテーマに執筆中。無類の食べもの好きでもあり、おいしい店を探し当てる超(?)能力に恵まれている。自分の納得した店だけを紹介すべく、「実食主義」を貫く。2020年〜2024年には「口福のカレー」を連載し、96店を実食した。カレーに勝るとも劣らないコーヒー好きが高じて、2年前からインド発コーヒーブランドの広報も担当。新連載「口福のコーヒー」では、コーヒーをもっと楽しむための耳寄りな情報を発信中。
今週の口福のコーヒーは、9月24日から27日まで開催されるアジア最大級のスペシャルティコーヒーイベント「SCAJ2025」の情報をお届けする。今年で20周年を迎えるこのイベントも、ここ数年のコーヒーブームにも後押しされて来場者が増え続け、昨年は4日間で75,217人が来場。今年はそれをさらに上回る見込みだ。
出展者も過去最大の37の国と地域から約450社が集結するコーヒー界の一大イベント。バリスタやブリューワーズなどの日本一、世界一の称号をかけた七つの競技会も実はSCAJの会場内で行われているのだ。
(写真は*印を除き、一般社団法人 日本スペシャルティコーヒー協会提供)
3年前より毎年会場に足を運んでいた筆者は、今年は縁あってイベント運営を手伝うことになり、開催を目前にしてすでにわくわくが止まらない。そこで、コーヒー界に精通している「スタンダート(Standart)」の日本語版ディレクター・室本寿和さんに、今年のSCAJの魅力や見どころを聞いた。
ちなみに「スタンダート」は、世界70カ国以上で読まれているスペシャルティコーヒーのカルチャーにフォーカスしたインディペンデント誌で、プロアマ問わずコーヒー好きの愛読書になっている 。
―― まずは室本さんのコーヒー観についてお聞かせください。
コーヒーを好きだなって思い始めたのは、19歳から3年間留学したオーストラリア時代かな。学校が終わってみんなが集まるのがいつもカフェで、たわいもない笑い話から、例えば政治だったり、宗教だったり、かなり深い話まで、いろいろな話をするわけですが、そこで過ごした時間は、今思い返しても、自分にとってとても大きな財産になっている。そしてその場には必ずコーヒーがあった。でもその時はコーヒーが好きというよりは、そのカフェの空間が好きだったんですね。
2007年に日本に戻り、福岡で会社勤めした後に、今度は2012年にオランダに渡った。当時はアムステルダムでもまだスペシャルティコーヒーの店は数軒ほど。それがベルリンやロンドンあたりを発信地としてブームが広がり、その影響でオランダにもたくさん店ができ始め、その渦中にいました。
あそこのバリスタが新しい店を出したから行ってみようといったことを繰り返し、イベントに行ったり、セミナーに参加したりするうちに、スペシャルティコーヒーの魅力に、ただただはまっていきました。もちろんコーヒー自体の魅力だけではなく、店の空間とか出会いとか、体験に重きを置いてるのは今も変わらないかな。
SCAJに初出展したのは、「スタンダート」日本語版が創刊になった2017年。当時はイベントの規模も今のようには大きくなくて、自分たちのブースも本会場の外の入り口付近にありました。雑誌を積み上げて一冊いくらですみたいな感じで販売していたら、入り口で列を作っている来場者が興味を持ってくれて、初回からかなり手ごたえがありました。
――そんなSCAJも、今や4ホールを使うところまで拡大して。室本さんから見て、そのSCAJの魅力はどんなところにありますか。
1年に1回の盛大なコーヒーフェスのようなものですね。これほどの規模でコーヒーショップやメーカー、代理店が一堂に会する場はなかなかない。日本で一番大きいコーヒーの展示会ですから、日本全国や海外からもコーヒー関連の多彩な出展者が集結する。技術・創意・情熱が詰まった展示を巡りながら、気になっていたコーヒー店やロースターをチェックして回ったり、国内外のバリスタやトップロースターに会えたり。
日本全国から集まるコーヒー店の中には、常にアンテナを張っている僕らですら知らない店があるくらいで、それを一カ所で体験できるというのが最大のポイントですね。そのうえ淹(い)れたてのコーヒーをその場で試飲できる。香り、味わい、背景にあるストーリーに触れながら、気に入った豆を見つけるのにもいい環境です。簡単には行けない各国の生産者に会える貴重な機会でもあり、出展者と直接交流できるのも、このイベントならではです。
当初、B2Bの本会場とB2Cの特設エリア「コーヒービレッジ」は、それぞれ独立したイベントという感じもありましたが、最近はうまく融合してきている気がします。自宅でもコーヒーのクオリティーを追求する人もすごく増えたので、器具に興味のある人も多いはず。
本会場では、機械や器具メーカーがこのイベントに合わせて、最新のマシンや器具を出してくるので、一般の消費者はすぐには買えないものの、どんなマシンが発売されるのかというトレンドチェックだけでも楽しい。
もうひとつの見どころはなんといっても競技会ですね。日本のトップクラスのバリスタ、ロースターたちが熱戦を繰り広げ、互いにしのぎを削っています。白熱するシーンを目の当たりにし観戦できる。まさに今の日本の最高峰の技が集結する場。
技術はもとよりコーヒーにかける情熱や、その世界観がすごく深まるし、今はコーヒーシーンではこんなことが行われてるんだなとか、こんな風にコーヒーに情熱を注いでいる人がたくさんいると知るだけで、このコーヒーの世界にもっともっとのめり込める気がします。
――室本さん自身が今回のイベントで注力していることはありますか。
個人的には、ホームエスプレッソ市場です。先日ジャカルタの「ワールド・オブ・コーヒー」のイベントにも参加してきましたが、最近感じているトレンドはホームエスプレッソ市場の拡大です。この数年すごい勢いで伸びています。
イタリアの大手エスプレッソマシンメーカーであるラ・マルゾッコ社が新しいマシンをリリースするなど、老舗からスタートアップまで、さまざまなメーカーがこれに取り組んでいます。日本ではハンドドリップが人気ですが、今後ホームエスプレッソがどのように展開していくのかは気になっていますね。
あとは、海外からの来場者もすごく増えていて、出展者が増えるということは、日本の市場に可能性を感じていることだと思うので、どんな海外ブランドが日本に進出してくるのかとても興味深いですね。
アジア最大級のスペシャルティコーヒーイベントSCAJの今年のテーマは「Belong Together in Coffee!/コーヒーで一緒にいよう!」。生産地と消費地、バリスタとロースター、技術と伝統など、スペシャルティコーヒーが紡ぐつながりの力で、人と人との共感や対話を促進する。
室本さんがオーストラリアで出会ったのと同じ空間が、大きなスケールで東京ビッグサイトに再現される。コーヒーを通じて、人と人がつながる、そんな場所にぜひ足を運んでみてはいかがだろう。
【SCAJ 2025 開催概要】
■しかく名称:SCAJ ワールド スペシャルティコーヒー カンファレンス アンド エキシビション2025(略称:SCAJ 2025)
■しかくテーマ:Belong Together in Coffee!(コーヒーで一緒にいよう!)
■しかく会場:東京ビッグサイト 南展示棟1-4ホール
■しかく会期:南1-2ホール/2025年9月24日(水)〜26日(金)10:00〜17:00 (最終日は16:00まで)
南3-4ホール/2025年9月24日(水)〜27日(土)10:00〜17:00
■しかく入場料:事前登録2,000円(税込み)、当日3,000円(税込み)、招待状のある人は無料 ※(注記)4日間共通
■しかく事前登録期間:2025年8月13日(水)〜9月27日(土) 来場前まで登録可能
■しかく公式サイト
※(注記)アクセスは過去7日間で集計しています。