環境省環境省|自然環境局

環境省 国際サンゴ礁研究・モニタリングセンター International Coral Reef Research and Monitoring Center

ナビゲーションをスキップしてコンテンツに移動する

文字の大きさ
[画像:サンゴ礁のイメージ写真]

サンゴ礁について

サンゴ礁の地形

サンゴ礁とは、サンゴを中心とした生物たちが長い時間かけて作った地形のことです。サンゴ礁にとって最も大切なものは、山・川・海(うみ)の一連の密接なつながりです。山から平野が広がり海岸には岩が点在する砂浜があります。砂浜から海に入ると浅い場所には海草が生育しさらに深い場所に島を取り囲むように広がっているのがサンゴ礁です。

[画像:山から海へと続くサンゴ礁地形が描かれています。山のふもとに海岸林があり、海岸へと続いています。海岸には岩が転がっており、海へと続きます。海岸に近い場所にはもばがあり、その外側にはサンゴが生息します。沖に向かってサンゴ礁が海水面まで盛り上がり、その内側は池のように囲われ、しょうちと呼ばれます。水面まで盛り上がっている部分がしょうげんです。しょうげんから沖に向かって急な斜面になっている部分がしょうしゃめんです。サンゴがつみかさなり複雑な地形ができあがります。]
  • 海岸林(かいがんりん)・・・自然の植生でないと台風に耐えられない。
  • 海岸の岩・・・海岸の岩にはサンゴなどの化石がたくさん入っている。
  • 藻場・・・海草や海藻の群落で幼魚の成育場所になっている。
  • 礁池(しょうち)・・・礁原に囲まれてできる浅くて静かな海。
  • 礁原(しょうげん)・・・サンゴが成長してもりあがり干潮時はひあがる場所。
  • 礁斜面・・・複雑な地形で急に深くなる。サンゴの種類はとても多い。

サンゴ礁の形状

裾礁(きょしょう)
[画像:きょしょうの断面図。中央に山型の陸地があり、陸地の上部は海水面から出ている。陸を取り巻く礁は海岸付近から沖に向かって海底に張り付くように発達しているが、沖合で急にせり上がり、海面に突端をのぞかせる壁のように立ち上がっている。]

陸の周囲を礁が囲んでいる。日本のサンゴ礁はこのタイプが多い。

堡礁(ほしょう)
[画像:ほしょうの断面図。中央に山型の陸地があり、陸地の上部まで海水面に浸かっている。陸を取り巻く礁は海岸付近から沖に向かって海底に張り付くように発達していて沖合で急にせり上がっているのはきょしょうに似るが、陸地上部から沖合でせり上がるあいだがへこんでいる。]

裾礁に似ているが陸と礁の外縁が離れて、礁の内側に深い海(礁湖)がある。

環礁(かんしょう)
[画像:かんしょうの断面図。中央に山型の陸地があるが、頭頂部が海水面よりも低い位置にある。陸地から水面に向かって礁が発達しているが、陸地の頭頂部ではへこんでいる。]

円形の礁のみが海面に出ていて中央に陸地がない。南太平洋に多いタイプ。

離礁(りっしょう)
[画像:りしょうの断面図。左側だけ盛り上がり、右側に海底が続いている。水面から飛び出した陸地から離れた部分で礁が盛り上がり、海水面までの高さの小さな山ができている。]

陸から離れていて独立している礁。 小さいものは日本にもたくさんある。

サンゴとは

サンゴは動物

サンゴは植物みたいですがイソギンチャクなどと同じ仲間の動物です。

[画像:ひらたく広がった形状の緑や茶色のサンゴがいくつもあり、海底を一面に被っています。]

サンゴはポリプと呼ばれる小さなサンゴ個体がたくさん集まって全体を作っています。

[画像:一つの平たいサンゴに近づいて見てみるとでこぼことしており、表面に無数の触手が出ています。]

サンゴに近づいて見てみるとイソギンチャクのような姿をしたポリプがたくさんあるのがわかります。

ポリプは単純な構造で放射状に広がる触手の中心に口があり、胃とつながっています。 イソギンチャクとの違いはかたい骨格をもっているところです。

ポリプには褐虫藻(かっちゅうそう)という植物プランクトンが住んでいます。褐虫藻は、太陽光を利用して光合成を行い、サンゴに栄養を与えています。サンゴ自身が触手でえさを捕まえて食べることもあります。サンゴは動物ですが、体内に植物が住んでいるので、植物のような特徴も持ち合わせています。

サンゴの仲間

サンゴはイソギンチャクやクラゲを含む刺胞動物(しほうどうぶつ)の仲間です。その中でも石灰質のかたい骨格を持ち、サンゴ礁を造る種類を「造礁(ぞうしょう)サンゴ」と呼びます。

[画像:樹木のような形状をした図で、根元の部分にしほうどうぶつもんがあります。しほうどうぶつもんは右からヒドロちゅうこう、はちむしこう、はなむしこうに分かれ、となりあう種はきんえんです。ヒドロちゅうこうではクロガヤとアナサンゴもく、はちむしこうではイラモとクラゲに分かれます。はなむしこうはさらに六放サンゴあこうと八放サンゴあこうにわかれ、六放サンゴあこうにイシサンゴもく、イソギンチャク、スナギンチャク、八放サンゴあこうはクダサンゴもく、アオサンゴもく、イソバナ、ソフトコーラルが分類されています。]

上の図は生物の分類を示した系統樹(けいとうじゅ)です。造礁サンゴに含まれるのはイシサンゴ目(もく)、アオサンゴ目、クダサンゴ目、アナサンゴモドキ目の計4グループです。最も種類が多いグループは「イシサンゴ目」で国内だけでも300種以上が確認されています。

サンゴの一生

サンゴは産卵により仲間を増やす「有性生殖」と分裂してクローンを増やす「無性生殖」によって増殖していきます。

有性生殖
[画像:サンゴの一生を示す模式図。サンゴは緑色の枝状の形で示されています。親サンゴからピンク色のカプセルが放出されています。カプセルには卵と精子が含まれており、それらが受精すると、プラヌラ幼生と呼ばれる楕円状のピンク色サンゴの赤ちゃんが誕生します。しばらくして、海底にちゃくていするとイソギンチャク状に形が変化します。1年から2年で枝状に成長していき、稚サンゴから若サンゴと徐々に大きくなり、そしてさらに3〜5年後には親サンゴになります。]

卵と精子が受精したものをプラヌラ幼生と呼びしばらく浮遊生活を行います。そこから成長して岩盤などに固着するようになったものをポリプと呼びます。その後増殖を繰り返し、産卵ができるまでに成長するのに3〜5年かかります。

無性生殖
[画像:サンゴが成長していく様子を示した模式図。一本の枝分かれしたサンゴのかけらが、3から4ヶ月後に3本に枝分かれし、約1年後にはその先がさらに枝分かれしていき大きく成長していきます。]

成長スピードは種類や生息する環境によって変わりますが、1年で数cmから10cm以上成長します。

サンゴの産卵

[画像:砂浜の景観だが、海の色がグァバジュースのようにピンク色をしている。サンゴの産卵の翌日の海には海面を漂っていたサンゴの卵が打ち寄せます。]

ミドリイシの仲間は、沖縄では5〜6月頃、夜間の満潮時に産卵します。産卵の翌日は海の海面が赤くなるほどの量です。

サンゴ礁の役割

自然の防波堤で人を守ってくれる

[画像:陸地から海を眺めると遠くに白波が立って見える部分があります。その部分はサンゴ礁の切れ目で波がよく当たる部分です。]
  • サンゴ礁は、台風時などの高波の力を弱める役目を果たしている生きた防波堤です。
  • サンゴ礁の骨格や有孔虫(ゆうこうちゅう)の殻などが砂となり、豊かな砂浜を造ることで海岸が守られています。

いろいろな資源を供給してくれる

[画像:家のまわりを囲む沖縄でよく見られる石垣の材料はサンゴの骨格からできた琉球石灰岩です。]
  • サンゴ礁は、食糧以外にも様々な資源を供給してくれます。例えば建材、民具、肥料などがあります。
  • 将来サンゴ礁からは医薬品など重要なものが 発見される可能性を持っています。

教育・研究の場としての機能

[画像:ダイバーが潜水してサンゴを観察して記録をとっています。]
  • サンゴ礁は、いろいろなことを教えてくれる自然の学校です。環境教育の一環として、自然観察会、美化活動の場としてサンゴ礁の果たす役割は大きくなっています。
  • サンゴ礁のサンゴをはじめそこに棲む生物は、まだまだわからないことでいっぱいです。

サンゴ礁をまもろう

今、石西礁湖(せきせいしょうこ)では、サンゴ礁が消失し、サンゴ礁の機能が低下しつつあります。その原因のいくつかを見てみましょう。

オニヒトデ

[画像:サンゴ岩のくぼみに隠れるオニヒトデ。10本以上の腕があり青紫の体にオレンジのとげが全体にはえています。]
  • オニヒトデは、直径50cmほどにもなる大型のヒトデです。体(からだ)の表面に鋭い毒のあるトゲを持っています。
  • 1980年代にオニヒトデは、石西礁湖で大発生してサンゴを食い尽くし全滅させました。また、2000年代後半から2010年代前半にも大発生しました。
  • サンゴを食べる生物は、オニヒトデをはじめ他にもいます。いずれも私たちの敵ではなく、サンゴ礁生物の一員です。

白化(はっか)現象

[画像:木の枝のように枝分かれしたサンゴが見渡す限り真っ白になっています。]
  • サンゴの白化現象は、海水温(かいすいおん)が高すぎたり、低すぎたり紫外線が強すぎたり、弱すぎたりして起こる現象です。
  • 石西礁湖では1998年、2007年、2016年に白化現象が確認されました。
  • 左の写真は、太陽光線をさえぎられて白化した例です。サンゴはかなりデリケートな生物です。

サンゴの白化現象とは 環境が悪くなると、最初にサンゴの体内で生活する褐虫藻がなくなってしまいます。そうすると、サンゴは色を失い白化します。白化が、しばらく続くとサンゴも死んでしまいます。

赤土汚染

[画像:岩のような形をしたサンゴの上に赤土が積もり、サンゴを覆っています。]
  • 豪雨時に、陸域の工事現場や農地などの裸地(らち)から、真っ赤な濁り水が海へ流れ込みます。そして、細かい泥が、海底全体につもり、動けないサンゴは、窒息死します。
  • 観光、農業、漁業など多くの産業に影響があります。

乱開発行為(らんかいはつこうい)

  • 山、川、海が、乱開発行為によって分断されると、サンゴ礁に悪い影響が現れてきます。
  • サンゴ礁は、森、河川、マングローブ林、干潟の健全なつながりが大切です。

環境省(法人番号1000012110001)
環境省沖縄奄美自然環境事務所石垣自然保護官事務所

住所:沖縄県石垣市八島町2-27
TEL:0980-82-4768/FAX:0980-82-0279
[ アクセス情報・地図 ]

Copyright©環境省 国際サンゴ礁研究・モニタリングセンター All Rights Reserved

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /