校長室より

「締め」と「備え」(文化祭閉祭式&防災訓練)

投稿日時 : 09/09 学校管理者

本日9月9日(火)午前中は、文化祭の片付けと閉祭式を行い、まだ興奮冷めやらぬフェスティバルもフィナーレ(締め)を迎えました。そして午後からは防災意識を高め「備え」の重要性を学ぶために防災訓練(避難訓練)と防災教育が行われました。

午前中は、祭りの余韻が残る光景であった教室を片付けつつ清掃をして、明日から再開される授業に集中できる環境づくりに全校生徒が協力して取り組みました。本日の片付けもそうでしたが、この文化祭期間中、イベントを効率的効果的に行うために生徒会が中心となって様々なルール作りをして、1000人を超える生徒たちがスムーズに活動できるよう多様な工夫がなされていました。例えば、備品移動時の廊下や階段の一方通行であったり、移動時間の割り当てであったり、生徒たちの多くの行動が生徒会の綿密な計画の下でしっかりとコントロールされていました。

感心したのは、そうした細かなルールを生徒自らの力で全校生徒に発信し周知していたことと、そのルールの趣旨や意図を理解し、確認しながら誠実に対応する生徒たちの姿がそこにあったことです。1000人を超える人が集まれば、どうしたって自分しか見えていない人が出てきて、個人の判断で勝手なことをする者が現れるのは世の常です。またそうした人が一定数集まると少なからずカオスな状態が出来上がって、コントロールが効かない場面が出てくるのもまた容易に想定できることです。

しかし本校の生徒たちを見ていると、そうした姿は皆無であり、実に見事に生徒会のコントロール下で行動している姿が見られました。これは、生徒自身はもとより、各ご家庭で保護者の皆さまが、お子様としっかりと向き合い倫理観を育んでいただけていた証であると感じています。越南生の素晴らしいところは数多ありますが、こうした倫理観の醸成は、青少年期の子供たちにとって、もっとも重要な資質の一つであると感じています。改めて保護者の皆さまに感謝申し上げる次第でございます。

当日は、どの企画も所属する生徒たちによって共助の精神で企画運営され、参加団体としての一体感を感じる一方で、来場者を楽しませようとする利他の精神もしっかりと見ることができ、本校生徒たちの「人」としての素晴らしさを改めて確認できた文化祭となりました。

本日の閉祭式では、そうした企画の中から各部門別に来場者の投票によって選ばれた参加団体の表彰が行われました。パフォーマンス、歌唱、展示、看板、部活動など様々な企画の中で最優秀賞を獲得したのは、本校一の大所帯である吹奏楽部でした。受賞の挨拶では、部訓である「最高の音楽を全員で」を実践できたことが良かったと話していました。

昼食を挟んで午後からは、いつ遭遇するかわからない災害に備えた防災訓練を実施しました。内容は地震を想定した避難訓練とビデオを視聴して防災について考える防災教育となっています。かつては、避難訓練と言えば、本番さながらに迅速に避難することを良しとしていましたが、近年は訓練時の事故やケガの防止の観点から「お・か・し・も(・ち)」(押さない、駆けない、喋らない、戻らない、(近づかない))が基本となり、淡々と避難経路を確認しながら集合する姿が主流となっています。実体験に基づく訓練という観点から見ると首をかしげたくなることもありますが、現代は「経験」よりも「知識」や「安全」を重視する方針での防災訓練となっています。

一方で、我が国は世界トップクラスの災害大国であり、特に近年発生する自然災害は地球温暖化の影響もあり、頻度も発生時の被害の大きさも確実に拡大している傾向があります。生徒たちの自治力のおかげで平穏な毎日を送れている本校でも、いつ災害に見舞われるかは全く予想ができません。

だからこそ、生徒たちには万が一の場面に遭遇した場合の「備え」に目を向けてほしいと考えます。スポーツの世界では「良い準備をしたものが勝つ」ということが常識となっています。こうした考え方は、スポーツの世界だけでなく、ビジネスや日常生活など、ありとあらゆる場面に言えることだと思います。「良い準備」こそが、いざという時に良い結果を手にする唯一かつ最良の手段なのだと強く感じます。

本日の避難訓練では「おかしも(ち)」を優先した訓練となりましたが、学んだ知識や思考を活かして、想像力を働かせ、物理的、精神的、情報的対策をそれぞれ整理して、良い準備を重ねてほしいと願います。災害は決して起こってほしいわけではありませんが、もしもの時が来たら「良い準備」の有無が皆さんの未来を左右することになるのだと思います。生徒たちには、自分の命を自分自身の力で守るとともに、自分にとって「大切な誰か」の命を守れる人であってほしいと願います。全ては、皆さんの「明るい未来」のために…。

頑張れ、越南生!頑張れ、南の風!