法線ベクトル
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法線ベクトル(ほうせんベクトル、英: normal vector)とは、2次元平面においては、曲線上の点における接線に垂直な平面ベクトル、3次元空間においては、曲面上の点における接平面に垂直な空間ベクトルのことである。法線(ほうせん、英: normal)とは、接線や接平面に垂直な直線のことである。
曲線(曲面)上の点に対して法線ベクトルは1つに決まらないことに注意する必要がある。そこで中でも単位ベクトル(ノルムが 1)であるものを単位法(線)ベクトル(英: normal unit vector)というが、それでも2つあることに注意する必要がある。
3次元での例
[編集 ]曲面の法線ベクトルは、2つの線形独立な接ベクトルの外積として求めることができる。
右図で示した右手系の正規直交座標系において、直方体の一つの面の頂点を A, B, C, D とすると、面 ABCD の法線ベクトル N は、
- {\displaystyle {\boldsymbol {N}}={\overrightarrow {\text{AB}}}\times {\overrightarrow {\text{AD}}}}
となる。ここで ×ばつはベクトルの外積を表す。ノルムは線分 AD と線分 BC の長さの積となっている。
線分 AB と線分 DC が x軸に平行で、線分 AD と線分 BC が z軸に平行な場合、
- {\displaystyle {\boldsymbol {N}}=-|{\overrightarrow {\text{AB}}}|{\boldsymbol {i}}\times |{\overrightarrow {\text{AD}}}|{\boldsymbol {k}}=|{\overrightarrow {\text{AB}}}||{\overrightarrow {\text{AD}}}|{\boldsymbol {j}}}
となる。ここで j は y軸方向の単位ベクトルである。
導出
[編集 ]平面において、
- 曲線 {\displaystyle f(x,y)=0} 上の点 {\displaystyle (x_{0},y_{0})} における法線ベクトル:{\displaystyle \left({\frac {\partial f}{\partial x}}(x_{0},y_{0}),{\frac {\partial f}{\partial y}}(x_{0},y_{0})\right)}
- 特に、直線 {\displaystyle ax+by+c=0} 上の点 {\displaystyle (x_{0},y_{0})} における法線ベクトル:{\displaystyle (a,b)}
- 曲線 {\displaystyle x=f(t),y=g(t)}(t は媒介変数)の {\displaystyle t=t_{0}} における点の法線ベクトル:{\displaystyle \pm (y'(t_{0}),-x'(t_{0}))}
接空間の法線ベクトルによる表示
[編集 ]接点と法線ベクトルから、元の接空間を表すことができる。
- 接点 {\displaystyle {\text{A}}({\boldsymbol {a}})}、法線ベクトル {\displaystyle {\boldsymbol {n}}} の接空間の方程式は {\displaystyle {\boldsymbol {n}}\cdot ({\boldsymbol {x}}-{\boldsymbol {a}})=0}