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プユマ族

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
(卑南族から転送)
プユマ族
Pinuyumayan
正装したプユマ族の青年
総人口
約15,562人(2024年6月)[1]
居住地域
台湾
言語
プユマ語国語
宗教
キリスト教アニミズムシャーマニズム
関連する民族
パイワン族
日本の学者鳥居竜蔵による月形石柱の写真。

プユマ族(プユマぞく、プユマ語:Pinuyumayan)は台湾東部に住むオーストロネシア語族に属する台湾原住民の一種族。「ピューマ(ピウマ)」と書かれることもある[2]

概要

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通常、知本と南王のグループ(ともに台湾東海岸の台東県の居住者)に分けられる。

本来は、民族としての自称がなく、構成している8つの集落(社)にちなんで「八社蕃」とも呼ばれた。8つの集落のうち、もっとも優勢だったプユマにちなんでプユマ族と呼ばれるようになり、それが定着した。故地のパナパナヤンにちなんで日本人の研究者によりパナパナヤン族と命名されたことがあるが、定着しなかった[3] [4]

2000年、プユマ族の人口は9,606人を数えた。これは台湾原住民の総人口のおよそ2.4%であり、6番目に大きな種族である。

プユマ族は固有の言語であるプユマ語を持っているが、現在、若い世代のプユマ族は民族語を話せなくなっており、復興運動も各地で行われている。

陳建年アーメイ(張恵妹)、サミンガ(紀曉君)のように、音楽界で活躍する著名なプユマ族が多くいる。

発祥伝説

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巨石誕生伝説

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現在の台東県 太麻里郷美和海岸附近の山にある巨石が割れ、そこから祖先が誕生したという伝説である。知本村、建和村、泰安村、初鹿村、利嘉村などに伝わり、知本村及び建和村には発祥記念碑が建立されている。

竹発祥伝説

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南王里(現在の台東市)、檳朗村、宝桑村などに分布する発祥伝説である。南王長老によれば祖先は竹より誕生したとされるが、その場所については異説が存在している。

歴史

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清代康熙年間、南王のプユマ族は朱一貴の叛乱の平定に功績があり、清朝より卑南大王冊封され、近隣のアミ族パイワン族からの貢納や徴税を行い、台湾原住民の中で有利な地位を獲得したことがある。

社会構成

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プユマ族の社会は頭目制度と男子会所による年齢階級組織が混在した母系社会である。男子会所組織は部族全体の問題解決を行う組織であるが、世襲の頭目(ayawan)による指導を受けていた。現在では社会制度の改編により頭目としての職権は村長が事実上継承しているが、生活の中では現在でもなお尊敬の対象とされている。またこれ以外に祭師(rahan)と称される部族の重要な祭祀を司る人物がいる。

祭祀

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  • 豊年祭 - 粟の収穫を祈願する祭祀
  • 収穫祭 - 粟の収穫を感謝する祭祀
  • 大狩猟祭 - 会所の青年の通過儀礼祭祀
  • 猴祭 - 会所における少年の通過儀礼祭祀

著名人

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人口は少ないものの、著名人を多く輩出している。

脚注

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  1. ^ "卑南族"[1] ,中華民國原住民族委員會,2024年7月31日查閱.
  2. ^ プユマ社のことを、近隣の民族(パイワンやアミ)が、ピウマ(Piuma)と呼んだことによる。
  3. ^ 松澤員子「先住民の系統と居住地域」『台湾先住民の文化 伝統と再生』(国立民族学博物館、1994年)、18頁。
  4. ^ "知ってなるほど 明治・大正・昭和初期の生活と文化 | 台湾原住民族 〜日本の調査にみるその文化〜". www.jacar.go.jp. 2020年4月27日閲覧。

関連項目

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普悠瑪号
伝統的な区分
公認されている原住民族
タイヤル語群

タイヤル族(泰雅族) - タロコ族(太魯閣族) - セデック族(賽德克族)

パイワン語群

アミ族(阿美族) - パイワン族(排灣族) - ブヌン族(布農族) - プユマ族(卑南族) - サイシャット族(賽夏族) - サオ族(邵族) - クバラン族(噶瑪蘭族) - サキザヤ族(撒奇萊雅族)

ツォウ語群

ツォウ族(鄒族) - カナカナブ族(卡那卡那富族) - サアロア族(拉阿魯哇族)

ルカイ語群

ルカイ族(魯凱族)

バタニック語群

タオ族(達悟族)

公認されていない原住民族
パイワン語群

バブザ族(巴布薩族) - ホアンヤ族(和安雅族) - ケタガラン族(凱達格蘭族) - ルイラン族(雷朗族) - クーロン族(亀崙族) - バサイ族(巴賽族) - パポラ族(巴布拉族) - パゼッヘ族(巴宰族) - カハブ族(噶哈巫族) - カウカット族(猴猴族) - タオカス族(道卡斯族) - シラヤ族(西拉雅族) - タイボアン族(大満族) - マカット族(馬卡道族)

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