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熊野別当(くまのべっとう)は、熊野三山(熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社)の統轄にあたった役職。熊野信仰の中心として一体のものと観念される熊野三山であるが、各々成立事情を異にし、当初は別個に発展してきたと考えられている。12世紀に入ると、宗教思想上の一体化がなされ、熊野三所権現が成立していたことが判明するが、三山を統括する役職としての熊野別当の名称は、「熊野別当代々記」によると、前述の宗教思想上の一体化にやや先行し、9世紀に初見される。とはいえ、この時期の熊野山は、依然として一地方霊山でしかなかった。そうした事情が一変するのが、白河院の寛治4年(1090年)の熊野御幸後のことである。熊野御幸から帰還した後、白河院は、先達を務めた園城寺の僧侶・増誉を熊野三山検校に補任すると同時に、熊野別当を務めていた社僧の長快を法橋に叙任した。これにより、熊野三山の社僧達は中央の僧綱制に連なるようになった。このとき設けられた熊野三山検校の職位は確かに熊野三山を統べるものとされたが、検校は熊野には居らず、統轄実務を担ったわけではなかった。宗務は無論のこと、所領経営、治安維持、さらに神官・僧侶・山伏の管理にあたったのは熊野別当とそれを補佐する諸職であり、その財政基盤となったのは、白河院に寄進された紀伊国内2ケ郡の田畠百余町であった。 ・・・全部読む
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