斎藤雅広
斎藤 雅広 | |
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生誕 | (1958年12月30日) 1958年 12月30日 |
出身地 | 東京都 |
死没 | (2021年08月08日) 2021年 8月8日(62歳没) |
ジャンル | クラシック |
職業 | ピアニスト |
斎藤 雅広(さいとう まさひろ、1958年〈昭和33年〉12月30日 - 2021年〈令和3年〉8月8日)は、日本のピアニスト。作曲家、編曲家としても活動している。東京都 渋谷区生まれ。父は藤原歌劇団のバリトン歌手斎藤達雄。伯母に昭和の流行歌手青葉笙子、従兄弟に伊達泰宗がいる。
来歴
[編集 ]4歳よりピアノを始め、6歳の時からNHK教育テレビ「ピアノのおけいこ」に出演。東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校を経て、東京藝術大学音楽学部卒業。1983年に同大学院修了。大学1年の時、第46回毎日音楽コンクールピアノ部門第1位。「芸大のホロヴィッツ」と称された[1] 。その後、安宅賞、霧島国際音楽祭賞受賞。田村宏、エウゲニ・マリーニン、レギナ・スメンジャンカ、ハリーナ・チェルニー=ステファンスカ等に師事。チェルニー=ステファンスカの招きでポーランドの古都クラクフに留学。演奏会のデビューは、1978年の第4回「若い芽のコンサート」(NHKホール)。渡辺暁雄指揮、NHK交響楽団との共演である。福永陽一郎から80年代を担う音楽家のカテゴリーで「他の誰彼以上というのではなく、個の存在価値として"絶対"を感じさせる若手」と称された[2] 。
ソロ活動とアンサンブル活動の比重は同等で、室内楽ではヨゼフ・スーク、ペーター・ヴェヒター、アナスタシア・チェボタリョーワ(以上ヴァイオリン奏者)、ペーター・シュミードル、エルンスト・オッテンザマー、ヴェンツェル・フックス(以上クラリネット奏者)、ヴォルフガング・シュルツ(フルート奏者)、フリッツ・ドレシャル(チェロ奏者)、ヨウコ・ハルヤンネ(トランペット奏者)、ヤナーチェク弦楽四重奏団、新ブダペスト弦楽四重奏団、ヴィア・ノヴァ四重奏団、ドビュッシー弦楽四重奏団、ザルツブルク八重奏団、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団やベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、パリ管弦楽団のメンバーなどとの共演を重ねている。また、歌曲伴奏では、イロナ・トコディ、ルチア・アルベルティ、ディミトラ・テオドッシュウ、カミッラ・ニールント(以上ソプラノ歌手)、デニス・グレイヴス、リューボフ・ペトローヴァ(以上メゾ・ソプラノ歌手)、フランチェスコ・アライサ、ハンス・ペーター・ブロホヴィッツ、ヴィンチェンツォ・ラ・スコーラ(以上テノール歌手)、トム・クラウゼ、サイモン・エステス(以上バリトン歌手)など名歌手達との共演が多い。
邦人アーティストとはリサイタル共演の他に、「斎藤雅広と仲間たち」というリーダー・ユニットで、ファミリーコンサートを手掛けている。2003年より赤坂達三(クラリネット奏者)、足立さつき(ソプラノ)と「ザ・スーパートリオ」を結成、現在に至る。また2012年には赤坂達三と「ザ・スーパーデュオ」、2013年からは「ザ・スーパーデュオ」に新倉瞳(チェロ奏者)を加えたトリオを創設している。2006年ごろから、ピアノ複数台を使用する演奏会に力を入れ、杉並公会堂での、スタインウェイ、ベーゼンドルファー、ベヒシュタインの世界3大ピアノの演奏会は毎年行われている。
1998年からのNHK教育テレビ番組「トゥトゥアンサンブル」では、メインキャラクター「キーボーズ」役を務めた[3] 。また、1999年には、NHK教育テレビ「趣味悠々」で日本人クラシックピアニスト初の講師となり、2005年にも「趣味悠々〜かっこよく弾く簡単ピアノレッスン」の講師として再び登場した。その他、NHK「名曲アルバム」、「ベストオブクラシック」、「ニューイヤーオペラコンサート」など、数多くの放送番組に出演している。
近年、作・編曲家としての活動を広げ、楽譜の出版の他、コンサートやレコーディング、出演したTV番組などに数限りないアレンジを提供。3台ピアノによるコンサートをはじめ、CDアルバムにおける日本歌曲、『ザ・スーパートリオ』、『ザ・スーパーデュオ』は自らの編曲によるものである。
その他にも、雑誌の執筆、NHK-FM番組解説などの評論活動、コンサートの司会、雑誌連載は月刊「モーストリー・クラシック」にて「ピアノ虎の穴」(2001-2002)、月刊「ぴあのの本」(2001-2002)、月刊「ショパン」誌にイラストの連載(1996-1997)、同じく「ショパン」での対談の連載(20014-)、などがある。
指揮者として京都フィルハーモニー室内合奏団、東京交響楽団と共演、毎日音楽コンクールをはじめ各ピアノ・コンクールの審査もしている。教育活動では大阪音楽大学、コンセルヴァトアール尚美に特別非常勤講師として7年ずつ籍を置いた。また、現在は若手のCDデビューのプロデュースを手掛けて、共演も行っている。
1995年にウクライナ共和国の第5回国際音楽祭に招かれてソロ演奏とマスタークラス、2012年はポーランドの国際音楽祭に講師として招かれてリサイタルも行った。2017年夏は、フランス、アルザス地方で開かれる国際音楽祭「ムジカルタ(musicalta)」に招聘されている。
2021年8月8日、病気のため死去した[4] 。62歳没。
ディスコグラフィー
[編集 ]リーダーアルバム(CD)
- 1995 『ドヴォルザーク ピアノ五重奏曲op.81/シューベルト ピアノ五重奏曲(鱒)』(共演:ヤナーチェク弦楽四重奏団/ザルツブルク八重奏団)
- 1997.5 『Masahiro Saitoh Live with Friends シューマンピアノ五重奏曲ほか』(共演:フルート/萩原貴子 ソプラノ/イロナ・トコディ ヤナーチェク弦楽四重奏団)
- 1999.9 『こどものためのピアノアルバム/小品集』(ピアノソロ)
- 2000.6 『フォーレ ピアノ四重奏曲第1番 ピアノ五重奏曲第1番』(共演:ザルツブルク・モーツァルテウム弦楽四重奏団)
- 2000.8 『マイ・ロマンス/小品集』(ピアノソロ)
- 2001.5 『ピアノ アラウンド・ザ・ワールド/小品集』(共演:ベース/ブレント・ナンシー ドラムス/ブラッド・ジョンストン)
- 2002.8 『The Virtuoso/展覧会の絵』(ピアノソロ)
- 2012.6 『1979年のリサイタル/ラフマニノフ ピアノソナタ第2番』(ピアノソロ)
- 2016.5 『杉並公会堂・華麗なるピアノ3重弾 斎藤雅広と仲間たち』(共演ピアノ/近藤嘉宏、熊本マリ、松本和将、三舩優子、関本昌平、須藤千春、高橋多佳子、冨永愛子)
- 2016.6 『NHK CD 斎藤雅広放送録音コレクション メフィストワルツ・イスラメイ』(ピアノソロ)
- 2016.12 『メランコリー 斎藤雅広』(ピアノソロ)
ユニットアルバム(CD)
- 2008.4 『ザ・スーパートリオ』(ピアノ&編曲/斎藤雅広 ソプラノ/足立さつき クラリネット/赤坂達三)
- 2012.12 『ザ・スーパーデュオ』(ピアノ&編曲/斎藤雅広 クラリネット/赤坂達三)
- 2013.9 『トリオ・ドゥ・ラヴァンチュール〜神曲・秘曲 ダンディ 鳥の歌』(ピアノ&編曲/斎藤雅広、クラリネット/赤坂達三、チェロ/新倉瞳)
伴奏共演アルバム(CD)
- 1991.4 『イロナ・トコディ ライヴ・イン東京』(ソプラノ/イロナ・トコディ)
- 1993.5 『イロナ・トコディ ライヴ・イン東京II』(ソプラノ/イロナ・トコディ バリトン/ファン・ポンス)
- 1994.12 『イロナ・トコディ ライヴ・イン東京III』(ソプラノ/イロナ・トコディ)
- 1998.9 『イスファハンの薔薇』(ソプラノ/雨谷麻世)
- 1998.10 『日本の作曲 21世紀へのあゆみ』(ソプラノ/柳沢涼子)
- 1998 『イタリア・ロマンティック名曲集』(ソプラノ/イロナ・トコディ)
- 1999.4 『日本の旅路』(ソプラノ/シャーロット・ロスチャイルド)
- 1999.4 『細江紀子 トスティとR.シュトラウスを歌う』(ソプラノ/細江紀子)
- 1999.7 『日本のうた 〜さくら横丁』(ソプラノ/雨谷麻世)
- 1999.9 『内田勝人 ふたりのピアノ』(ピアノ連弾/東京純心女子短期大学卒業生)
- 1999.11 『クラリネット・リサイタル』(クラリネット/武田忠善)
- 1999 『1999 SOMEWHERE』(ソプラノ/萩原かおり)
- 2000.4 『水彩画 〜グリーン 足立さつき フォーレ/ドビュッシー歌曲集』(ソプラノ/足立さつき)
- 2000.4 『柳貞子 愛しい日本のうたたち』(メゾソプラノ/柳貞子)
- 2000.6 『戸田弥生 エネスコ/J.S.バッハ』(ヴァイオリン/戸田弥生)
- 2000.11 『カルメン・ファンタジー』(フルート/萩原貴子)
- 2000.12 『美空ひばり オン・フルート』(フルート/萩原貴子)
- 2002.8 『私のふるさと』(ソプラノ/足立さつき)
- 2003.2 『日本のこころを歌う』(ソプラノ/細江紀子)
- 2003.7 『Eternamente 〜永遠に』(ソプラノ/家田紀子)
- 2006.5 『懐かしき想い 〜宵待草』(ソプラノ/家田紀子)
- 2008.4 『プッチーニの軌跡』(ソプラノ/家田紀子)
- 2009 『こどもたちへのリトグラフ』(アルト/澤滋)
- 2013.10 『なんと素晴らしいことか-opera arias』(ソプラノ/藤井泰子)
- 2014.10 『武田忠善 クラリネット・リサイタル 35th debut anniversary』(クラリネット/武田忠善)
- 2016.2 『益子 侑 ヴァイオリン・リサイタル R・シュトラウス』(ヴァイオリン/益子侑)
- 2017.5 『中村あんり フレンチオーボエの飛翔』(オーボエ/中村あんり ファゴット/霧生吉秀)
- 2017.6 『萩原貴子 フレンチソナタ プロコフィエフ・フランク・ライネッケ』(フルート/萩原貴子)
主な楽譜
- NHK出版 『斎藤雅広 マイ・ロマンス「お父さんのためのピアノアルバム」』
- 音楽之友社 『斎藤雅広 ピアノで気分は世界旅行』
- ヤマハ 『ピアノ曲集/音楽のくすり第1巻〜第4巻』
- ヤマハ 『珠玉のクラシックピアノアルバム/3大テノール』(共著)
- ヤマハ 『ポピュラーピアノアルバム「ラヴ・アンド・バラード1」』(共著)
- ヤマハ 『ポピュラーピアノアルバム「ラヴ・アンド・バラード2」』(共著)
その他
- DVD 『かっこよく弾く簡単ピアノレッスン(基礎編)』
- DVD 『かっこよく弾く簡単ピアノレッスン(応用編)』
- DVD(CD)『NHK名曲アルバム』(グリーグのピアノ協奏曲/スプリング・ソナタ/幻想即興曲)
出演番組
[編集 ]主なテレビ出演
- 1997.1 『新春/日本の叙情歌』NHK総合
- 1997.4-1999.3 『トゥトゥアンサンブル』NHK教育
- 1999.10-12 『趣味悠々 〜いますぐ始めるお父さんのためのピアノ講座』NHK教育
- 2003.1 『NHKニューイヤーオペラコンサート』NHK教育
- 2005.6-8 『趣味悠々 〜秘密のテクニック教えます! かっこよく弾く簡単ピアノレッスン』NHK教育
- 2005.6 『生活ほっとモーニング 〜ほっと10時台』NHK総合
- 2006年1月6日-27 『たけしの誰でもピカソ 〜1ヶ月でピアノ弾けます!』テレビ東京
- 2006.4 『ブラボー!クラシック』BS日本テレビ
- 2006年5月20日 『親と子のTVスクール』NHK教育
- 2007.1 『NHKニューイヤーコンサート名古屋』NHK教育・NHK BS
主なラジオ出演
- 演奏収録としてNHK-FM『午後のリサイタル』『ベスト・オブ・クラシック』『FMリサイタル』『名曲リサイタル』『クラシックサロン』など
- トーク・ゲストとして1996年より2007年までにNHK-FM『サタデーホットリクエスト』7回、NHK-FM『音楽ジャーナル』(1998)、TBSラジオ『大沢悠里のゆうゆうワイド』(2000)、NHKラジオ第1『こども夢質問箱』講師、同『私の音楽ファイル』(2003)、京都KBSラジオ『山崎弘士の人めぐり・音めぐり』(2006)など
脚注
[編集 ]出典
- ^ 音楽の友社;「ピアノとピアニスト2003」
- ^ 音楽の友社;「音楽の友」1980年2月号
- ^ 「インサイドストーリー『トゥトゥアンサンブル』音楽の森へようこそ!」『放送教育』第52巻第3号、日本放送教育協会、1997年6月1日、68 - 69頁、NDLJP:2340892/35。
- ^ "ピアニスト斎藤雅広さん死去 「趣味悠々」などに出演". 朝日新聞デジタル (2021年8月17日). 2021年8月17日閲覧。