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夢幻紳士 幻想篇 / 逢魔篇 / 迷宮篇
[編集 ]夢幻紳士 幻想篇 / 逢魔篇 / 迷宮篇 | |
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ジャンル | 怪奇、ファンタジー |
漫画:夢幻紳士 幻想篇 | |
作者 | 高橋葉介 |
出版社 | 早川書房 |
掲載誌 | ミステリマガジン |
発表号 | 2004年3号 (3月25日号) - 2005年2号 (2月25日号) |
巻数 | 全1巻 |
話数 | 全12話 |
漫画:夢幻紳士 逢魔篇 | |
作者 | 高橋葉介 |
出版社 | 早川書房 |
掲載誌 | ミステリマガジン |
発表号 | 2005年3号 (3月25日号) - 2006年2号 (2月25日号) |
巻数 | 全1巻 |
話数 | 全12話 |
漫画:夢幻紳士 迷宮篇 | |
作者 | 高橋葉介 |
出版社 | 早川書房 |
掲載誌 | ミステリマガジン |
発表号 | 2006年3月号 (3月25日号) - 2007年2月号 (2月25日号) |
巻数 | 全1巻 |
話数 | 全12話 |
テンプレート - ノート |
2004年-2007年にかけて推理小説誌『ミステリマガジン』(早川書房刊)に連載されたシリーズ。『夢幻紳士 幻想篇』『夢幻紳士 逢魔篇』『夢幻紳士 迷宮篇』の3部作である。従来作よりミステリ的傾向が強く、読者に対して提示される(作中人物が客観的に意識していない)謎が物語の展開によって解明されるという構造を持つ。
『幻想篇』『逢魔篇』はそれぞれほぼ独立した物語として構成されているが、『迷宮篇』では前2作の設定を積極的に物語に深く採り入れており、『迷宮篇』をもってこの3部作が1本の長編物語として再構成されるという多層的な構造となっている。こうした3部作構成や長編としての物語展開について作者自身は、連載開始時に明確な構想を持っていた訳ではなく、多くの物語展開は即興的に描いたものであると各巻のあとがきで語っている。
このシリーズの中では魔実也は人とも魔ともつかない超越的な存在として描かれる。表情は従来作より柔らかく描かれ、〈怪奇篇〉〈夢幻外伝篇〉でトレードマークであったくわえ煙草を1コマしかしていない[1] のも大きな特徴。『幻想篇』後半からは、従来黒一色で描かれる事の多かった黒衣の表現が変化し、光の照り返しを大胆にデフォルメした独特の表現になっている。
他に外伝的作品として短編『夢幻紳士 出張篇』がある。またこのシリーズの魔実也は〈冒険活劇篇〉の単行本描き下ろし作品「夢幻紳士 広報篇『夜の客(ナイト・ゲスト)』」にも「最新型」として2コマだけゲスト出演している。
夢幻紳士 幻想篇
[編集 ]『夢幻紳士 幻想篇』。『ミステリマガジン』(早川書房刊)に2004年-2005年にわたり連載された。
昭和初期の東京を主な舞台とする怪奇ミステリ漫画。主人公「僕」の周囲で起こる事件と、「僕」の幻想である黒衣の青年「彼」(魔実也)の活躍を描く。怪奇篇の流れを汲む短編連作シリーズ。現実と夢想の区別が曖昧に描かれた、幻想的な世界観を表現する。大胆に太く描かれた主線に対して、儚げな細い線で繊細に描かれた表情が特徴。
1話完結の短編連作である一方、シリーズ終盤にそれまでの伏線が回収され大きな謎が解き明かされるという1本の長編としての構造も持つ。こうした一貫性のある構造は、青年の魔実也を主人公とするシリーズでは初めてのものである。
夢幻紳士 逢魔篇
[編集 ]『夢幻紳士 逢魔篇』。『ミステリマガジン』(早川書房刊)に2005年-2006年にわたり連載された。
昭和初期の東京、場末の料亭を主な舞台とする怪奇漫画。青年探偵「夢幻魔実也」が様々な怪異と出会う長い一夜を描く。『幻想篇』の直接の続編にあたる短編連作シリーズ。料亭という固定された狭い舞台と、百鬼夜行を描いた短編連作という形式を活かし、幻想的でありながら軽妙洒脱な物語となっている。
怪異との対決が各話の主軸となっており、従来作より土着的な妖怪や幽霊が多く登場する。舞台が料亭のためか魔実也の口調はくだけ、江戸言葉に近い東京弁を話す事が多い。
夢幻紳士 迷宮篇
[編集 ]『夢幻紳士 迷宮篇』。『ミステリマガジン』(早川書房刊)に2006年-2007年にわたり連載された。
昭和初期の東京を主な舞台とする怪奇ミステリ漫画。青年探偵「夢幻魔実也」の自身を襲う怪異との戦いを描く。『幻想篇』『逢魔篇』と続いた三部作の完結編となる中編連載シリーズ。初期は魔実也に迫る殺意の持ち主と各話対決していく短編連作の形式をとっているが、連載が進むにつれ魔実也が諸悪の根源を追う続き物の体をなす。従来実験的に用いられてきた、墨のかすれによる濃淡の表現を縦横に駆使した描写が特徴。
各話のサブタイトルはムンクの画の題名から採られており、扉絵はその画の人物を作中の登場キャラクターに置き換えた模写の形式で描かれている。また、多くのエピソードは物語の上でもムンクの画の情景がモチーフになっている(例えば第1話「叫び」ではムンクの『叫び』のような光景の中、背景の欄干や画の奥の人物をめぐった物語が描かれる)。
夢幻紳士 出張篇
[編集 ]『夢幻紳士〔出張篇〕座敷鬼』。『ハヤカワミステリマガジン』(ミステリマガジンから改題、早川書房刊)2011年4月号に掲載された。
特集「高橋葉介の夢幻世界」に寄稿された短編で、同誌に連載された『逢魔篇』『迷宮篇』の世界観を受け継ぐ外伝的作品。夢幻魔実也と「手の目」が登場する。
主な登場人物(幻想篇 / 逢魔篇 / 迷宮篇)
[編集 ]- 夢幻魔実也
- 主人公。長髪の美青年。黒い背広と山高帽、上着に黒いインバネスを着た謎めいた人物。人の心に幻像を見せ、怪異妖怪をも化かし返す超人的な能力を持つ。鷹揚で特に女子供に優しいが、悪鬼・悪人に容赦はない。罪の無い悪戯で他者をからかい愉しむ癖もある。
- 魔実也の影
- 『幻想篇』に登場する魔実也。「僕」が魔実也と街角ですれ違った事で「僕」の心の中に誕生した魔実也の影。「僕」の幻想であるため、「僕」の事をパトロンと呼び「僕」が危機になると現れる。『幻想篇』の終盤にて「僕」を救うため本体(魔実也)の元へ戻った。
- 僕
- 姓名未出。『幻想篇』より登場。『幻想篇』の主な語り手であり、もう1人の主人公である。亡父の莫大な遺産の相続人であり、そのため遺産めあての近親者から狙われている。精神的に不安定で、しばしば現実と妄想の混同や短期的な記憶障害を起こす。その不安定さゆえに実在しない「彼」(魔実也)を友人として認識し、現実の「僕」の身に迫る危機を幻想の「彼」に解決してもらうという転倒した事態が起きている。
- 手の目
- 本名未出。『逢魔篇』より登場。酒の席での芸人稼業に身をやつす少女。魔実也には及ばないが超能力を持ち、占いや幻術の座興で生計を立てている。貧しい寒村で生まれ育った当時の経験から背中に火傷の傷をもち、そこに怪物牛鬼を飼い馴らす。幼くして芸人の誇りを持ち毅然とした態度をとるが、信頼する魔実也の前では年相応な面も見せる。モチーフは鳥山石燕画の妖怪手の目である。
- 姫さま
- 本名未出。『迷宮篇』より登場。幻想として幼い少女の姿をとって現われるが、実体は寝たきりの老婆である。資産家で、『幻想篇』に登場した精神病院の出資者でもある。作者の後書きによれば、この幻想の中では少女である老婆(概念としては幽体離脱に近い)という設定は作者の短編「夜姫さま」(ぶんか社『ホラーM』掲載・2006年)に基づくものとされるが、同作と本編に直接の関係は無い。
単行本(幻想篇 / 逢魔篇 / 迷宮篇)
[編集 ]それぞれ連載終了後に刊行されたワイド版コミックス。早川書房刊。全3巻。
- 夢幻紳士 幻想篇(2005年4月発行・整理番号117312)ISBN 4-15-208629-7
- 夢幻紳士 逢魔篇(2006年4月発行・整理番号117313)ISBN 4-15-208716-1
- 夢幻紳士 迷宮篇(2007年5月発行・整理番号117314)ISBN 978-4-15-208820-8
「夢幻紳士 出張篇」はアンソロジー短編集『Comic M』に後述する「夢幻紳士 営業篇」とともに収録されている。
- Comic M 早川書房創立70周年記念コミックアンソロジー〔ミステリ篇〕(2016年1月発行・整理番号112587)ISBN 978-4-15-209593-0
未定義作
[編集 ]この節では夢幻紳士の題が付くものの、新作であるために作者による定義が追いついていない作品、または夢幻紳士を中心として扱わない単行本にのみ収録されたため、定義の範疇に収まらない作品について記述する。
夢幻紳士 橋の上の女
[編集 ]「夢幻紳士 橋の上の女」。2000年に『サスペリア』(秋田書店刊)に掲載された短編。過去の恐怖漫画作品をしのぶ回顧特集のために書き下ろされた作品で、魔実也が怪異に襲われたお人好しの青年「涼平」を救う物語である。作者の漫画『学校怪談』と〈夢幻外伝篇〉の設定・キャラクターを繋ぐ特別編という趣向が強い。
この作品によって魔実也と〈下宿の娘〉との仲が進み、後に彼女との間にできた子の子孫が『学校怪談』の「九段九鬼子」である事、『学校怪談』の主人公「山岸涼一」の先祖が魔実也に命を救われていた事などが(収録単行本あとがきの内容も含めて)強く暗示される構成となっている。
- 単行本
- 「橋の上の女」は連載作品『KUROKO -黒衣-』単行本第1巻に収録されている。
- KUROKO -黒衣- (1)(秋田書店刊・2001年3月発行)ISBN 4-253-05991-0
名前
[編集 ]「『夢幻紳士』原作シナリオ 『名前』」。短編集『新装版 我楽多街奇譚』(朝日ソノラマ刊・2007年)に口絵とともに掲載された台本形式の短編小説。2003年あるいは2004年に書かれたまま形にならなかった草稿を加筆修正したものである。執筆時期としては〈夢幻外伝篇〉と〈幻想篇 / 逢魔篇 / 迷宮篇〉の間に位置するが、シナリオには「夢幻紳士 怪奇篇」と記載されている。
- 単行本
- 「名前」は作者の『マンガ少年』初期連載作品を纏めた短編集『新装版 我楽多街奇譚』に収録されている。
- 新装版 我楽多街奇譚(朝日ソノラマ刊・2007年5月発行)ISBN 978-4-257-72431-5
煙童女
[編集 ]「煙童女──夢幻紳士 怪奇篇」。ホラーアンソロジーシリーズ「異形コレクション」第42巻(光文社刊・2009年)に掲載された短編。〈怪奇篇〉のトレードマークでもある煙草に纏わる穏やかな物語である。タイトルに「怪奇篇」の題があるが表現手法は〈幻想篇〉以降のものに近い。
- 単行本
- 「煙童女」は短編集「異形コレクション」第42巻『幻想探偵』に収録されている。
- 幻想探偵 異形コレクション(光文社刊・2009年2月発行・整理番号い31-29)ISBN 978-4-334-74518-9
夢幻紳士 回帰篇
[編集 ]夢幻紳士 回帰篇 | |
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ジャンル | 怪奇 |
漫画 | |
作者 | 高橋葉介 |
出版社 | 早川書房 |
掲載誌 | ハヤカワミステリマガジン |
発表号 | 2008年9月号 (7月25日号) - 2009年9月号 (7月25日号) |
巻数 | 全1巻 |
話数 | 全15話 |
テンプレート - ノート |
『夢幻紳士 回帰篇』。『ハヤカワミステリマガジン』(早川書房刊)に2008年-2009年にわたり連載された。
過去作〈怪奇篇〉のエピソードのうち12話を、作者自身がセルフ・リメイクするシリーズ。各話の基本的なプロットはそのままに一から描き直し、演出表現や回によっては結末に変更を加えた新作となっている。単行本化にともない、作者の次回作『顔のない女』からメインキャラクターがゲスト出演する「プロローグ」「エピローグ」の2話が書き下ろされた。
- 単行本
-
- 夢幻紳士 回帰篇(2009年10月発行・整理番号117315)ISBN 978-4-15-209079-9
夢幻紳士 新・怪奇篇
[編集 ]夢幻紳士 新・怪奇篇 | |
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ジャンル | 怪奇 |
漫画 | |
作者 | 高橋葉介 |
出版社 | 早川書房 |
掲載誌 | ハヤカワミステリマガジン |
発表号 | 2012年9号 (7月25日号) - 2013年8号 (6月25日号) |
巻数 | 全1巻 |
話数 | 全12話 |
テンプレート - ノート |
『夢幻紳士 新・怪奇篇』。『ハヤカワミステリマガジン』(早川書房刊)に2012年-2013年にわたり連載された。
〈回帰篇〉の続編にあたるシリーズ。同作の主人公夢幻魔実也が立ち会う新たな怪異を描く短編連作。
- 単行本
-
- 夢幻紳士 新・怪奇篇(2013年9月発行・整理番号117318)ISBN 978-4-15-209399-8
夢幻紳士 妖鬼篇
[編集 ]『夢幻紳士 妖鬼篇 座敷鬼』。『モーニング』(講談社刊)2014年44号に、同誌の読み切りシリーズ「プレミアム読み切り劇場REGALO」枠の1作品として掲載された短編。副題を同じくする『夢幻紳士 出張篇 座敷鬼』(前出)とは別作。とある料亭で夢幻魔実也と呼ばれる美青年に知り合った男が遭遇する怪異の物語。
- 単行本
- 「夢幻紳士 妖鬼篇」は作者の別作品『人外な彼女』単行本に収録されている。
- 人外な彼女(早川書房刊・2015年3月発行・整理番号113781)ISBN 978-4-15-209527-5
夢幻紳士 営業篇
[編集 ]『夢幻紳士〔営業篇〕Come Mad and Go ─さぁ気ちがいになりなさい─』。2016年1月に発行されたアンソロジー短編集『Comic M』に描き下ろされた短編。妄執に取り憑かれた女性と黒衣の青年(夢幻魔実也)の奇怪な受難の顛末を描く。
- 単行本
- 「夢幻紳士 営業篇」は前記の通りアンソロジー短編集『Comic M』に「夢幻紳士 出張篇」とともに収録されている。
- Comic M 早川書房創立70周年記念コミックアンソロジー〔ミステリ篇〕(前出/2016年1月発行・整理番号112587)ISBN 978-4-15-209593-0
- ^ 高橋葉介『夢幻紳士 幻想編』早川書房、2005年、134頁。