放電灯
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放電灯(ほうでんとう、英: discharge lamp)は、アーク放電またはグロー放電を利用した光源の総称。 主な発光体により炭素アーク灯とガス放電灯に区分できる。
炭素アーク灯(carbon arc lamp)
空気中でのアーク放電による発光を利用した照明のこと。電極に炭素棒を用いて空気中で放電させる。弧光灯とも。
単にアーク灯(arc lamp)と言った場合、普通炭素アーク灯のことを指す。
特徴
主な発光体は高温となった炭素棒。放電により加熱され、白熱し強い光を発する。 炭素棒はアーク放電により先端部より消耗するので、発光を維持するには電極間の距離を調整する機構を要する。
炭素棒を並行に並べることで、距離調整を不要とした電気ろうそく(エレクトリック・キャンドル)と呼ばれる形式も存在する(後述)。
照明に用いられる場合は強すぎる光を抑制するため、周囲を着色ガラス等で覆う。 エネルギーの大半が熱として放出されるため、照明としての効率は悪い。
歴史
19世紀後半、街路灯に用いる電気照明としてアーク灯はもてはやされていた[1] 。1878年のパリ万国博覧会ではパーヴェル・ヤブロチコフの電気ろうそくが注目を浴びた[1] 。しかし、アーク灯は花火のような灯りでバチバチという音も伴うもので屋内の照明にはまぶしすぎるものだった[1] 。
日本では、1878年3月25日に、工部大学校教師英人エアトンが、電信中央局開業祝宴開場の同校ホールで、グローブ電池を使用してアーク灯を点火した[2] 。1882年に、東京電燈会社設立事務所が、開業の前景気に、銀座大倉組前で2000燭光のアーク灯を点灯し、市民が驚嘆し、徹夜でおしかけた[3] 。1883年4月に、海軍省所管の横須賀造船所でブラッシュ発電機によってアーク灯を点火し、作業に利用した[4] 。1884年、大阪道頓堀中座で、舞台照明用のアーク灯6基を点じ、話題となる[5] 。1886年9月20日に、大阪紡績が、夜間作業の照明にランプではなくアーク灯を利用し、これは民間の電灯使用の初めである[6] 。
ガス放電灯(gas discharge lamp)
密封された管内でイオン化した気体(プラズマ)に放電させることにより発光させる放電灯の総称。 照明用途に用いられる放電管。
特徴
一般に希ガス(アルゴン、ネオン、クリプトン、キセノン)、または金属蒸気(水銀、ナトリウム、ハロゲン化金属)が用いられる。 金属は通常液体、または固体の状態で放電管内に封入され、放電の熱で蒸発することで管内に満たされる。 金属単体で用いられることは無く、起動のための貴ガスが含まれる。
詳しい発光の原理・構造についてはそれぞれの項目を参照。
ガス放電灯の例
ガス放電灯の分類には、発光管内の蒸気圧に着目したものも存在する。概ね千分の一気圧程度のものを低圧灯、一気圧以上のものを高圧灯と呼ぶ。一般に高圧灯の方が明るく、より太陽光に近い演色性を発揮する。
特に高圧灯については1970年頃よりHIDランプ(高輝度放電ランプ)という呼称が用いられるようになり、高圧灯の代名詞となっている