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錬鉄

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錬鉄 (れんてつ、wrought iron)とは、パドル法により製造された炭素の含有量が少ないのことである。建造物の構造材料としても利用された。

概要

銑鉄(鋳鉄)は融けやすいので鋳造により各種の構造物の製造に用いられたが、それは脆く大きな橋などの材料としては用いることができなかった。

銑鉄の炭素含有量は4.5%であり、それを減らすことができれば純鉄に近い炭素量の少ない鉄ができる。この操作を大規模に行うためには石炭を用いた反射炉が適する。高温の燃焼ガスを煉瓦の天井に当てて、その輻射熱と燃焼ガス中に含まれる酸素で炭素を燃焼して除去する工夫が1840年頃始まった。炭素が抜けると鉄の融点は上昇し粘りけが強くなる。銑鉄の融点が1200°Cであるが炭素をほとんど含まない鉄は融点が1500°C以上に達するからである。反射炉の側面から鉄の棒を差し込み内部を丹念にかき回して最終的にはその鉄の棒に絡みついた鉄を取り出したものが錬鉄 (れんてつ、wrought iron) である。この方法をパドル法と呼ぶ。あたかも船を漕ぐパドルを動かすような方法であったからである。

初期の錬鉄はスラグ成分も含む純度の低いものであったが、反射炉の構造と規模が変化して純度の高い物が得られるようになった。錬鉄の赤熱塊を蒸気動力で圧延して錬鉄材を作り構造材を作る工夫もなされた。パリのエッフェル塔は錬鉄製であり、当時の橋、鉄道レールなども錬鉄製のものが多かった。

「錬鉄は炭素が少ないのであるから、これを炭素の飽和した鋳鉄と混ぜれば鋼鉄ができるかもしれない」という発想が生まれるのは当然で、当初はこの方法により鋼鉄が生産されたが、あまりにも非効率的であった。

そこでベッセマーによる底吹き転炉の時代が始まり、現代へと続くのである。またそれは錬鉄の時代の終わりでもあった。

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