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黄金の風

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曖昧さ回避 この項目では、漫画作品について説明しています。本作を原作とするアクションゲームについては「ジョジョの奇妙な冒険 黄金の旋風」をご覧ください。
黄金の風
ジャンル バトル・アドベンチャー
漫画:ジョジョの奇妙な冒険 Parte5
黄金の風
作者 荒木飛呂彦
出版社 集英社
掲載誌 週刊少年ジャンプ
レーベル ジャンプ・コミックス
発表期間 1995年52号 - 1999年17号
巻数 単行本 全17巻(47 - 63巻)
文庫版 全10巻(30 - 39巻)
話数 全155話
テンプレート - ノート

ジョジョの奇妙な冒険 Parte5 黄金の風』(ジョジョのきみょうなぼうけん おうごんのかぜ、LE BIZZARRE AVVENTURE DI GIOGIO Parte5 VENTO AUREO)は、荒木飛呂彦漫画作品『ジョジョの奇妙な冒険』のPart5(第5部)のサブタイトル。イタリアなので、本部のみ特別に『Parte5』と記される。スタンド(幽波紋)シリーズ第3弾。

『黄金の風』は後年に付けられた副題で、連載当時の副題は「第5部 ジョルノ・ジョバァーナ【黄金なる遺産】」となっていた。なお、英語圏での副題は『Golden wind』として発表されている。以下、本項では第5部の概要について詳述する。

概要

『ジョジョの奇妙な冒険』のジャンプ・コミックス単行本47巻 - 63巻に収録。

舞台は2001年イタリアDIOの息子「ジョルノ・ジョバァーナ」(ジョジョ)が、ギャング団「パッショーネ」で憧れのギャングスターへと登りつめて行く姿と、彼の仲間との逃避行を描いた群像劇。

Part4の2年後であり、冒頭で広瀬康一空条承太郎に仕事を依頼されてイタリアを訪れ、矢やスタンド現象を体験するという形で前シリーズから繋がっている。康一と承太郎はフェードアウトし、主人公の父親であるDIOも回想シーンや肖像写真で登場するのみで、以後のストーリー展開には影響しない。終盤ではPart3からジャン=ピエール・ポルナレフが再登場する。

この部では「ジョジョ」「JOJO」が「GIOGIO」と表記されている。作者はイタリア語外来語以外に「J」の用法がないためとしている。イタリアで発売されている翻訳版タイトルは「Le bizzarre avventure di JoJo」となり、ジョジョを外来語扱いで「JoJo」にしている。テレビアニメ版では「JOJO」「Golden wind」である。

本Partにて「スタンドパラメータ」(数値化+解説文)が導入された。完結後に出版された画集『JOJO A-GO!GO!』にて、遡ってPart3・4のスタンドにも設定されるようになった。

荒木によると、Parte5はそれまでと異なり「哀しみ」をテーマに描いているため、明らかに作風が変わったという。印象に残っている場面としてブチャラティがボスを裏切ることを仲間たちに告げるシーン、アバッキオが死ぬシーン、エピローグの「眠れる奴隷」を挙げており、「眠れる奴隷」は『ジョジョ』の25年間の歴史の中でも最も印象的なエピソードであり『ジョジョ』シリーズの神髄が表れていると語っている[1]

あらすじ

イタリアのネアポリスに住む少年ジョルノ・ジョバァーナ は、ジョースター家の宿敵・DIO の血を継ぐ息子であった。ジョルノは周囲から迫害され、悲惨な少年時代を送っていたが、名前も知らないギャングの男性との出会いを経て「ギャングスター」になるという夢を抱くようになる。

西暦2001年。15歳に成長したジョルノは、イタリアの裏社会を牛耳るギャング組織「パッショーネ」とトラブルになり、組織の一員であるスタンド使い・ブローノ・ブチャラティに襲撃される。自身のスタンド「ゴールド・エクスペリエンス」で戦いを制したジョルノは、ブチャラティに「組織のボスを倒し、組織を乗っ取る」という自らの野望を告白し、その想いに共鳴した彼はジョルノを自身のチームに引き入れる。

ジョルノはブチャラティチームの仲間たちと信頼関係を築いていく。組織の「ボス」に近づくために組織の幹部へ昇格したブチャラティは、ボスの隠し子である少女・トリッシュ・ウナの護衛任務を直々に命じられる。トリッシュは組織を裏切った「暗殺チーム」に狙われており、ジョルノたちはトリッシュを守りながらボスの待つヴェネツィアを目指す。

だが、ボスのもとに到着したブチャラティはボスの真意が「娘を守ること」ではなく、「娘を自らの手で確実に始末すること」だったと知る。トリッシュを庇ったことから組織を追われる身となったブチャラティは、「ボスを倒す」という意志に賛同した者だけを連れてその場を後にし、ボスは裏切り者となったブチャラティチームを始末するべく追手を差し向ける。

追手を退けながらボスを倒す手段を探る過程で、かつて空条承太郎と共にDIOと戦ったスタンド使い・ジャン=ピエール・ポルナレフから通信が入り、スタンドを進化させることのできる「矢」の存在を知らされたジョルノら一行は、ポルナレフから矢を入手するべく合流地点であるローマのコロッセオへ急ぐが、正体を現したボス・ディアボロは先に矢を奪おうと、ポルナレフを急襲する。矢の争奪戦の末、命を落とした仲間たちの遺志を継いで矢を手にすることに成功したジョルノは、矢の力で進化したスタンド「ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム」により、ディアボロに「死」に到る体験を永遠に繰り返させる「"終わり"のない"終わり"」を与え、戦いに決着を付ける。

エピローグでは、生き残った者たちに見守られつつ、ジョルノがパッショーネの新たなボスとして君臨したことが示唆され、第5部の物語は幕を閉じる。

エピソード

収録状況はジャンプ・コミックスのもの。最初の47巻は、Part4終盤とParte5冒頭を併録する。

巻数 タイトル 話名
47 さよなら杜王町 -黄金の心の巻 黄金体験(ゴールド・エクスペリエンス) その1〜3
ブチャラティが来る その1〜3
48 ぼくの夢はギャング・スターの巻 ブチャラティが来る その4〜5
塀の中のギャングに会え その1〜2
ギャング入門 その1〜5
49 ポルポの遺産を狙え!の巻 ギャング入門 その6
5(ファイブ)プラス1(ワン)
ポルポの遺産を狙え!
ソフト・マシーンの謎 その1〜2
ムーディー・ブルースの逆襲 その1〜2
セックス・ピストルズ登場 その1〜2
50 ブチャラティ幹部;ボスからの第一指令の巻 セックス・ピストルズ登場 その3〜6
6億円の隠し場所
ブチャラティ幹部;ボスからの第一指令
ナランチャのエアロスミス その1〜3
51 ボスからの第二指令;「鍵(キー)をゲットせよ!」の巻 ナランチャのエアロスミス その4〜8
ボスからの第二指令;「鍵(キー)をゲットせよ!」
マン・イン・ザ・ミラーとパープル・ヘイズ その1〜3
52 フィレンツェ行き超特急の巻 マン・イン・ザ・ミラーとパープル・ヘイズ その4〜7
フィレンツェ行き超特急 その1〜2
偉大なる死(ザ・グレイトフル・デッド) その1〜3
53 ザ・グレイトフル・デッドの巻 偉大なる死(ザ・グレイトフル・デッド) その4〜12
54 ゴールド・エクスペリエンスの逆襲の巻 ベイビィ・フェイス その1〜7
ヴェネツィアに向かえ!
ヴェネツィア・サン・タ・ルチア駅『OA-DISC』をゲットせよ!
55 ヴェネツィア上陸作戦の巻 ホワイト・アルバム その1〜7
ボスよりの最終指令
ブローノ・ブチャラティ その少年時代
56 ガッツの「G」の巻 キング・クリムゾンの謎 その1〜6
ガッツの「G」
クラッシュとトーキング・ヘッド その1〜2
57 フライト・コードなし!ボスの過去をあばけの巻 クラッシュとトーキング・ヘッド その3〜7
フライト・コードなし!サルディニアへ向かえ
ノトーリアス・B・I・G(ビッグ) その1〜3
58 ぼくの名はドッピオの巻 ノトーリアス・B・I・G(ビッグ) その4〜6
スパイス・ガール その1〜2
サルディニア島嵐警報!
ぼくの名はドッピオ その1〜2
キング・クリムゾンv.s.(バーサス)メタリカ その1
59 今にも落ちてきそうな空の下での巻 キング・クリムゾンv.s.(バーサス)メタリカ その2〜6
今にも落ちてきそうな空の下で
プロント(もしもし)!通話中 その1〜2
目的地はローマ!コロッセオ
60 コロッセオの男に会え!の巻 『グリーン・ディ』と『オアシス』 その1〜9
61 そいつの名はディアボロの巻 『グリーン・ディ』と『オアシス』 その10〜14
そいつの名はディアボロ その1
ほんの少し昔の物語
そいつの名はディアボロ その2
「矢」のさらに先に存在(ある)もの
62 鎮魂歌(レクイエム)は静かに奏でられるの巻 鎮魂歌(レクイエム)は静かに奏でられる その1〜8
ディアボロ浮上 その1〜3
63 眠れる奴隷の巻 ディアボロ浮上 その4〜5
王の中の王(キング・オブ・キングス)
ゴールド・E(エクスペリエンス)・レクイエム その1〜4
眠れる奴隷 その1〜5

登場人物

スタンドのデータは各単行本より。の項は黄金の旋風版 / ASB版EoH版 / テレビアニメ版の順。1つしか記載されていないものは特記ない限りテレビアニメ版でのキャスト。

登場人物の名称はイタリア語の料理や食材、スタンドの名称は洋楽のバンド名や曲名、アルバム名などをアレンジしたものが多い。

一部のスタンド名は、『オールスターバトル』以降のゲーム作品とCrunchyrollで配信されているテレビアニメ版の北米版では名前が変更されている。以下では総称して北米版とする[注 1]

ブチャラティチーム

チーム全員が美形キャラクターである点について、荒木は「SMAPジャニーズなどを意識していた」のだと思うと回想して語っている[2]

ジョルノ・ジョバァーナ
声 - 朴璐美 / 浪川大輔 / 小野賢章 [3] (少年時代 - 藤原夏海)
第5部のGIOGIO(JOJO)。海底から1980年代に蘇ったDIOが、空条承太郎に滅ぼされる前にひそかに作っていた子供。
街を浄化するために、ギャングスターになる決意を抱いてギャング組織「パッショーネ」に入団し、任務で出会ったボスの娘、トリッシュをめぐる組織の内部抗争に巻き込まれていく。スタンドは物体に生命を与える能力を持つ「ゴールド・エクスペリエンス」。
スタンド名は北米版では"Golden Wind"(ゴールデン・ウィンド)と改名されている。
→詳細は「ジョルノ・ジョバァーナ」を参照
ブローノ・ブチャラティ
声 - 櫻井孝宏 / 杉山紀彰 / 中村悠一 [3] (少年時代 - 石上静香)
「組織」のチームリーダーの一人で、ポルポの部下。20歳。血液型A。おかっぱのように切り揃えた髪に、白地に点が入り多数のジッパーが付いたスーツを着用している。また、故郷であるネアポリスの近郊に一軒家を持っている。
人の皮膚の状態を見たり汗の味を確認することで相手の嘘を見抜くという特技がある。組織に忠実でポルポからの評価も高く、チーム内でも厳しく徹しているが実際は強い正義感の持ち主であり、時には自身より他人を優先して行動することがある。ギャングの恐ろしさを知るがゆえにカタギの人間が組織に関わることを非常に嫌っているが、その優しさから周囲の人々や担当地域の住民からは非常に慕われている。
漁師の父・パオロと社交的な母の間に生まれるが、7歳の頃に両親は離婚。不器用な父親を支えるために父親の元に残るが、その父親はブチャラティが12歳の頃に麻薬取引現場を目撃したためギャングに命を狙われることとなる。歳並外れて聡明だったブチャラティは口封じに現れたギャングを逆に待ち伏せて殺害し、ギャング団の報復から逃れるために街を裏で牛耳る組織に少年の身でありながら忠誠を誓うことになる(父親は傷が元で後遺症を負い、5年後に死亡した)。しかし彼が所属している組織が彼の嫌悪する麻薬の密売に手を染めていたことを知り、葛藤を抱くようになる。初登場時はジョルノに対して組織が送り込んだ刺客として出逢ったが、彼の夢に賛同しチームに引き入れた。
ポルポの死後、彼が遺した隠し財産を組織に納め、ポルポのナワバリを引き継ぐ形で幹部へと昇進する。
物語中盤、トリッシュをボスのもとへ護衛する任務を遂行するが、「トリッシュを連れて来させたのは彼女をボス自らの手で殺害するため」というボスの真意を知り、これを二度目の裏切りとして激怒し組織を裏切る。この時のボスとの戦闘により致命傷を負うが、ジョルノが与えた生命力によって奇跡的に死体のまま動く。残り時間が少ないことを自覚しながらも戦い続け、ボスの手から「矢」を守り、ジョルノに全てを託して彼に感謝の言葉を述べ、天へと昇って行った。
拳によるラッシュ攻撃時の掛け声と決め台詞は「アリアリアリアリ......アリーヴェデルチ(さよならだ / Arrivederci)」。
綴りは "Bruno Bucciarati" であるが、北米展開時の初期には "Bruno Buccellati" (ブローノ・ブチェラッティ)と表記されていたことがある。
スティッキィ・フィンガーズ
【破壊力 - A / スピード - A / 射程距離 - E(2m) / 持続力 - D / 精密動作性 - C / 成長性 - D】
ブチャラティのスーツと同じジッパーが体に付いた人型のスタンド。殴った物体にジッパーを取り付け、物体を切断・接着したり、開いたジッパーの中に空間を作ることができる。他人の体にジッパーを付けて内部に隠れる、腕の途中をジッパーで開いてパンチの飛距離を伸ばす、地面をジッパーで開いて相手と距離を取る、傷をジッパーで閉めて出血を止めたり、切断された部位を縫合して繋げるなど多数の応用技を見せた。
スタンド名の由来はローリング・ストーンズのアルバム「スティッキー・フィンガーズ [4] 。このアルバムのオリジナルLP版には、開閉できる本物のジッパーが付いているという変形ジャケットで、これが能力のモチーフになっている[4]
スタンド名は北米版では"Zipper Man"(ジッパー・マン)と改名されている。
阿末 キオ(あばつ キオ)
声 - 稲田徹 / 楠大典 / 諏訪部順一 [3]
ブチャラティの部下。21歳。血液型A。銀色の長髪で唇に薄紫色のルージュを引いた男。チーム内では最も長身。
元は正義感溢れる警察官だったが、腐敗した社会に失望し、「どうせ悪がのさばるのなら、自分が利益を得ても構わない」と自らも収賄などの悪事に手を染めるようになる。後に、賄賂を自身に渡したポン引きを強盗の現行犯で追い詰めた際、自分の悪事が明らかになることを恐れた結果、アバッキオを庇った同僚を死なせてしまった。この件で汚職が発覚し、何より同僚を死なせてしまった罪悪感から身も心も暗黒に落ち「巨大で絶対的なものの命令」に従うだけのギャングとなった。
人をあまり信用しない性格だが、一度認めた人間にはとことん忠義を尽くす。新入りのジョルノに対しては終始高圧的な態度を取り続けていたが、結果的に最期は彼の能力を認め、自身のダイイングメッセージを託すこととなった。テレビや映画が好きで、サルディニアへ飛行機で飛ぶ際は操縦を映画から得た知識でこなそうとした。腕っ節はチーム内で1番強いとのこと[5]
物語中盤、サルディニア島でボスの正体を探っていた時に、ドッピオの姿で近づいて来たボスの一撃によって胸に大穴が開く致命傷を負う。最期の力でボスの姿を再生したムーディー・ブルースの顔と指紋を石碑に刻み、「向こう側の世界」で再会した同僚から認められたことでようやく魂が赦され、共に旅立っていった。
テレビアニメ版では警察官時代に市民から車に石を投げられたり罵声を浴びせられ報われぬ現実を目の当たりにしてゆく回想シーンや、相棒が死んだ現場に足繁く通って酒浸りになっていたところでブチャラティに出会う[注 2] シーンが追加されている。
ムーディー・ブルース
【破壊力 - C / スピード - C / 射程距離 - A(再生中に限る) / 持続力 - A / 精密動作性 - C / 成長性 - C】
人型のスタンド。額にデジタル表示のタイマーがついている。場所と時間を指定することでそこにいた人間やスタンドに姿を変えられ、また行動をビデオ映像のように再生(リプレイ)でき、早送りや一時停止させることも可能。容姿や大きさは再現できるが、瞬間移動といったスタンドの能力までは再現できない。姿を変えただけの状態であればアバッキオが操作できるが、再生中はそれ以外の行動ができなくなるため、攻撃に対して無防備状態になる。
作中では主に追跡、探索の目的で使われることが多い。
アニメ版では電話の発信音のような音を発しながら行動する。
デザインはビニールを頭からかぶっているイメージ[6]
スタンド名は北米版では"Moody Jazz"(ムーディー・ジャズ)と改名されている。
久井 ミスタ(くい ミスタ)
声 - 伊藤健太郎 / 赤羽根健治 / 鳥海浩輔 [3]
ブチャラティの部下でチームのムードメーカー。18歳。血液型B。ファッションは網模様の服と縞のズボン、網と丸点模様の帽子。
あるとき暴行されていた女性を助けようとした際に、チンピラを射殺してしまう。行為自体は正当防衛だったが「飛んでくる弾丸の中で銃を奪い、弾倉に弾を込め直した」という行為を誰にも信じてもらえず裁判で禁固15年 - 30年を言い渡される。無実と銃の才能をブチャラティが見抜き、手を回して釈放させ、矢の「試験」を受けて組織に入団した。
撃鉄を覆った六連発式のリボルバー式拳銃を愛用する(M49ボディガード五連発拳銃に似た六連発拳銃)。弾が切れたときには、帽子の中や袖に隠し持った銃弾を瞬時に再装填する。スタンドは弾丸操作能力であり、拳銃自体は道具である。終盤の戦いで愛用のリボルバーが壊れた時には、警察官から奪ったベレッタ 92自動拳銃を使用した。ベレッタを使用する際は弾倉が回転式ではなくマガジンであり一発一発込めるためにリロード(再装填)に時間がかかるという弱点があった。
「単純に生きる」を信条にしており、性格は常に快活で直情的。数字の「4」を不吉と信じて極度に嫌っており、「4」が絡むと途端に弱気になる。過去に「4」にまつわる不幸があり、チンピラを射殺した際も「4発」発砲し、冒険の最中にも「4」がらみで悪いことが起こった。(『オールスターバトル』などでもこの「4」のジンクスが特殊仕様として反映されている)。
ジョルノがアバッキオの新人いびりを上手くかわして以来、彼のことを気に入っており、ブチャラティを除けばチーム内で一番早くジョルノのカリスマ性に気づき、協力する姿勢を見せた。
最終決戦では「ピストルズ」でジョルノたちを援護し、最後まで生き残る。ジョルノがボスとなったシーンでは側近として控えている。
セックス・ピストルズ
声 - 伊藤健太郎[7] / 今井麻美 / 島﨑信長 [8]
【破壊力 - E / スピード - C / 射程距離 - 弾丸の届く距離まで(アニメ版ではBに設定されている) / 持続力 - A / 精密動作性 - A / 成長性 - B】
頭が尖っている小人のような群体型スタンドで弾丸にとりついて発射後の軌道を操ることができる。弾丸に馬乗りになって軌道を曲げたり、弾丸を蹴ることで軌道を急激に変える、さらには複数体で力を合わせて弾丸を割り、複数の標的に命中させるといった芸当も可能。また、プロシュート戦ではミスタに放たれた銃弾を受け止め、本体を防衛した。
「ピストルズ」は6人で1チームとなっており、それぞれ自我があり、人間臭い個性を持っている。No.1はリーダー格、No.2は明るいお調子者、No.3は短気な暴れん坊、No.5は気弱な泣き虫、No.6はクールで冷静、No.7はサブリーダー(指揮をとったのはNo.1の不在時のみ)。ミスタ自身のジンクスから「No.4」はいない。本体であるミスタとの緻密な連携プレーや、ミスタから離れても自主行動でジョルノたちの援護に回るなどの活躍を見せている。「〜匹」と呼ばれるとペット扱いされたと感じて機嫌を損ねる他、食事や昼寝をさせないと働いてくれないとミスタは語っている。常時発動タイプで本体であるミスタに戻すこともできず、拳銃の弾倉を寝床としている。
「ピストルズ」自体の攻撃力はほとんど無いに等しく、パワーが弱く弾丸よりも重い物体を持ち上げたりすることは苦手。1体が倒されたときのミスタへのダメージは大きい。
連載時の企画において、読者からの「ミスタの持っている銃でないとスタンドを使用できないのか?」という質問に対し、荒木は「ミスタが撃った銃弾であればどんな銃でもスタンドを使用できるが、ミスタは一発撃てば絶対に命中させられるので、機関銃の類は必要ない」と回答している[5]
スタンド名は「シックス・ピストルズ」という語呂合わせから来ている[6]
スタンド名は北米版では"Six Bullets"(シックス・バレッツ)と改名されている。
奈乱 千夜(ならん ちや)
声 - 瀧本富士子 / 三瓶由布子 / 山下大輝 [3]
ブチャラティの部下。17歳。血液型AB。小柄な少年で、布をカチューシャのように使って髪型を簡易に作っている。
早くに母・メーラを眼病が元で亡くし、庭師で仕事中毒の父には愛されなかった上、14歳の頃に信頼していた友人にさえも強盗の罪を擦り付けられて少年院へ収監される。出所後も眼病を患いながら社会に投げ出された上、裏切った友人が広めた眼病の噂のせいで孤立してしまったため、人生に絶望し浮浪者となっていた。この時にフーゴに拾われてブチャラティチームの介護を受ける。その際に自分もギャングにして欲しいと申し出るが、安易にギャングの道に入ろうとしたことをブチャラティに厳しく怒られて家へ帰される。しかし「何の関係も無いはずの自分を、親よりも真剣な態度で怒ってくれた」と感じた彼はブチャラティに憧れるようになり、その恩に報いるため秘密で「試験」を受け組織に入団する。
満足な教育を受けていないことに劣等感を持っており、教養・知識の無いことを馬鹿にされると、キレてナイフを振り回す。ジョルノより二つ年上で先輩風を吹かすことがあるが、内心ジョルノの才能を認めている。
最終決戦まで生き残り、この闘いで生き残ったら学校へ行くという言葉を発した直後、「キング・クリムゾン」で消し飛ばされた世界の中でボスの手により、鉄柵に串刺しにされて殺害された。
ラッシュ攻撃時の掛け声と決め台詞は「ボラボラボラボラ......ボラーレ・ヴィーア(飛んでいきな / Volare Via)」。
エアロスミス
【破壊力 - B / スピード - B / 射程距離 - 数10m / 持続力 - C / 精密動作性 - E / 成長性 - C】
プロペラ戦闘機型のスタンド。殺傷力が高い機銃や爆弾の他、プロペラでも攻撃が可能。ナランチャの横に伸ばした両腕を滑走路に見立てて出し入れする。
二酸化炭素を検知する能力を持っており、千夜本人が目視できない場所にスタンドがいても、レーダーを通してスタンドの周囲の二酸化炭素の存在状況を知ることで、ある程度のコントロールが可能であり、攻撃だけでなく偵察のために使うことも多い。また、銃弾が命中した場合、銃痕から発せられる硝煙による二酸化炭素で相手を追尾することができる。スタンドによる硝煙なので自然に鎮火するまで水などでは消せない。
千夜が目視でコントロールしている時は、少し離れた場所の車のガソリンタンクを狙って撃ち抜く程度の精密性はあり、二酸化炭素レーダーを見てコントロールしている時は標的を点と丸でしか認識できないため狙いは適当になってしまうが、それでもセンチ単位の精度がある。また、放出される二酸化炭素の量によってレーダー上に表示される点や丸の大きさが変化する。飛行速度は本体の千夜+実際のプロペラ戦闘機の速度まで出せるが限界があり、作中ジェット機で離陸する際、離陸時に発生する加速Gに対し「エアロスミス」にも相当のGが加わり、スタンドの維持が困難になって戻した(巡航速度の時には機体の周囲を探索できた)。
搭乗者の名前は「スミス」[5]
スタンド名は北米版では"Li'l Bomber"(リル・ボマー)と改名されている。
パンナコッタ・フーゴ
声 - 三浦祥朗 / 小田久史 / 榎木淳弥 [3]
ブチャラティの部下でチームのブレーン。1985年生まれの16歳。血液型O。無数の大穴の空いた服と、イチゴ柄のネクタイを着用している。
裕福な家に生まれIQ152相当の頭脳を持っており、13歳で大学に行っていたが、大学教授に対する暴行事件をきっかけに道を外れ、ギャングとなる[注 3] 。普段は紳士的だが恐ろしく短気で、2桁の掛け算の答えを間違えたナランチャの頬をフォークで刺した挙句、罵倒しながら彼の頭をテーブルに叩きつけるなど暴力的な一面も持つ。ナランチャが浮浪児となっていた時ブチャラティのもとに連れていきナランチャがチームに入るきっかけを作った。チームでは仕事の傍らナランチャの教育係をしている。危険なスタンドを持つため、能力を乱発しないように制限している。
物語の中盤、組織を裏切ったブチャラティに他のチームメンバーが付いていく中、「理想だけでこの世界を生き抜くことはできない」と主張し、一人チームを離脱した。テレビアニメ版ではこの際に「正しい馬鹿にはなれない」と、ブチャラティの行動は正しいと理解しながらも、あくまで組織に忠誠を誓う自身の判断を悔やんでいた。
テレビアニメ版ではイルーゾォ戦で彼の過去について詳細に掘り下げられている[注 4] 。ネアポリス郊外に広大な土地を持つ名門・フーゴ家に生まれ、傍目から見れば何不自由ない生活を送っていたが、幼少期から両親の虐待じみた過剰な期待を受け続けたことで、次第に暴力的な感情を溜め込んでいくようになる。それでも辛うじて一線を越えることはなかったが、大学入学後、当時師事していた教授が男色家だった上、テスト問題をリークしてやるなどと言いながら性的関係を迫ったため、自分の努力を否定されたと感じたフーゴは逆上し辞書で教授を暴行してしまう。事件そのものは親がもみ消したものの、一族を勘当され、大学からも逃げるように去っていき、ストリートチルドレンとなる。そんなある時、レストランで食い逃げしようとして店員と口論し、法律で論破していた際にブチャラティと出会い、ちょうど自分のチームを作りたいと思っていた彼に誘われる。フーゴは自分の性格や境遇を話したうえで固辞したが、それらすべてを受け入れてくれたブチャラティの人柄に感銘を受け、パッショーネへと入団した。
小説『恥知らずのパープルヘイズ -ジョジョの奇妙な冒険より-』の主人公である。こちらでは諸設定に掘り下げがある。
パープル・ヘイズ
声 - 江川央生(ASB版・EoH版)
【破壊力 - A / スピード - B / 射程距離 - C / 持続力 - E / 精密動作性 - E / 成長性 - B】
人型のスタンド。ローマの甲冑を着ており[6] 、半透明のバイザーで顔を覆い、口は糸で縫われ常に涎を垂らしている。拳に搭載された数個のカプセルから「殺人ウイルス」をばら撒く。このウイルスに感染するとあらゆる生物はおよそ30秒ほどで全身が腐り死んでしまう。本体であるフーゴでさえもウイルスに感染すれば死亡し、解除することもできない[5] 。汚染エリアから冒されるほかにも、カプセルのついた拳で直接殴られると伝染が速まる。ウイルスは光に弱く、夜でもライトの光程度の強さで数十秒ほどの照射で殺菌される。解説によればウイルスは成長もする。
アバッキオからは「本体の凶暴さを具現化したような能力」と評される。スタンドは自我を持つが、知性は低く凶暴性が高い。体についた自分の涎を拭き取るなど綺麗好きである。本体であるフーゴ自身にも制御しきれないため、滅多に使われない。作中で登場したのはイルーゾォの「マン・イン・ザ・ミラー」戦の一度きりである。
スタンド名は北米版では"Purple Smoke"(パープル・スモーク)と改名されている。
鳥津 朱菜(とりつ しゅな)
声 - 夏樹リオ / 東山奈央 / 千本木彩花
1986年 4月19日生まれ。パッショーネのボスの娘。15歳。四則演算の記号がプリントされたパレオのような服を着ている。ボスが組織に君臨する以前に出来た子供で、ボス自身も存在を知らなかった。母と2人で暮らしていたが、母が病死する前に父親(ボス)探しを組織に依頼したことでボスにその存在を知られることとなる。ボスに不満を持っていた者からは謎の多いボスを倒すための鍵と認識され、組織内の抗争に巻き込まれたがボスの指示でペリーコロに保護され、ブチャラティチームに護衛されることとなる。
最初は父親がギャングのボスで、知らず知らずのうちに抗争に巻き込まれたことと、初めて知ったスタンドの存在と自身にもそれが見えることに強気な態度を見せながらも内心怯えていたが、子を思わない父親はいないとブチャラティの言葉を受け、会うことを決意する。しかし父親は保身のための秘密保持で自分を殺害しようとしていることを知り、ショックを受ける。一方でブチャラティが身を呈して救ってくれたことにより、共に父親を打倒することを決意、両親の馴れ初めの地であるサルディニア島の情報を伝え、旅に同行する。
初めは潔癖症で高飛車だったが、ブチャラティ一行との関わりが彼女を成長させ、もともと強かった芯がより強くなり、性格も丸くなった。千夜と近い境遇なのもあり、彼と会話をする機会が多い。
名前の由来はスーパーモデルのトリッシュ・ゴフ [5] 。本誌および単行本では、一部トリッシュ・ウノと誤記されているページも存在した。
スパイス・ガール
【破壊力 - A / スピード - A / 射程距離 - C / 持続力 - B / 精密動作性 - D / 成長性 - C】
どんな物質も柔らかくできる女性型スタンド。ボスのキング・クリムゾンと似た模様が体表にある。柔らかくできる範囲は弾性のあるゴム状から不定形に近いレベルまで自在で、自らの体を柔らかくして当たった銃弾のダメージを軽減することもできる。時計などの機械を柔らかくしても機能は持続する。柔らかくなった物はスパイスガール以外決して切断や破壊をする事ができず、曰く「ダイヤモンドよりも壊れにくい柔らかさ」。
自我のあるタイプのスタンドで、対等の友人のような関係である。生まれつきスタンドの才能があったトリッシュは他のスタンドが見え、スパイスガールもずっと存在していたが、精神的に未熟だったため発現しておらず、トリッシュが刺客達との戦いを通して成長したことによってスタンドとして現れた。普段は敬語で喋るが、戦闘になるとガラが悪くなり、本体譲りの激しい気性が露呈してくる。拳でのラッシュ攻撃時は「WAANNABEEEEE(ワァァナビィィィー)」と叫ぶ。
デザインにはと四則演算が取り入れられている[6]
スタンド名は北米版では"Spicy Lady"(スパイシー・レディ)と改名されている。

暗殺チーム

ギャング組織「パッショーネ」の暗殺専門部隊。総員は9名。仕事の性質上、ボスから「信頼」が得られず、仕事上の命の危険性に反して報酬・地位などの面で冷遇されていたため、ボスの暗殺と組織の麻薬ルート乗っ取りを目論む。ボスの正体を暴くために、娘であるトリッシュを拉致しようとした。テレビアニメ版では序盤で全員が姿を見せた他、ボスから直接報酬が支払われていることが説明されており、標的の人数分の報酬を全員で分配するため、必然的に一人一人の報酬額が少ない上、賭場などの経営も認められず、その結果暗殺の報酬しかもらえないため不満を募らせていた。

リゾット・ネエロ
声 - 根岸朗 / 黒田崇矢 / 藤真秀
暗殺チームのリーダー。28歳。シチリア出身。白目と黒目が逆転したような目をしている。18歳の頃に飲酒運転でいとこを殺した犯人を殺害し、それが切っ掛けで裏の世界に身を投じた経緯がある。
盗難飛行機の墜落情報から、ブチャラティたちの目的地がサルディニア島であると悟る。既に仲間全員を失っており、復讐に燃える。そこでドッピオと遭遇し、さらに彼がスタンド使いでありボスに近しい人物と気付き、攻撃を仕掛ける。死闘の末、片足を斬り飛ばされながらも彼を追い詰めるが、ドッピオの主人格であるディアボロの策略でエアロスミスに攻撃されて致命傷を負う。今際の際に一矢報いようとしたものの、キング・クリムゾンの能力には敵わず死亡した。その死に様にディアボロは敬意を表した。
テレビアニメ版では寡黙な風貌と曲者揃いのメンバーをまとめ上げる威風を漂わせ、本編開始の2年前にソルベとジェラートが殺害されても残りのメンバーの身の安全を優先し、葬儀の席でメンバーに「これっきり二人のことは忘れろ」と、苦渋の決断で怒りを抑えて命令した。後にチームでトリッシュの追跡をしていた際にはペリーコロが関与していると察して独自に彼を追跡、拳銃自殺をした所に出くわし、証拠隠滅のために焼却した写真の燃えカスを採取・分析し、その時点で唯一生き残っているギアッチョに託したとされる。
メタリカ
【破壊力 - C / スピード - C / 射程距離 - 5〜10m / 持続力 - A / 精密動作性 - C / 成長性 - C】
鉄分を磁力により操作する群体のスタンド。非常に小さく、本体の体内に潜んでいるという珍しいタイプ。「ロォォド」という鳴き声を上げる。射程距離内の相手の血液中の鉄分を刃物などに作り変えることで、体内から攻撃することができる。目視できないが効果は標的までの直線状に発動し、リゾット自身から近い順に効果が現れ、発動の際には僅かな磁力が発生する。標的は攻撃を受けるうちに体を内から裂かれたための多量の出血と、体内の鉄分を減らされることで結果的に酸素欠乏症となり、行動不能に陥る。また、砂鉄を身に纏うことで周囲の風景に溶け込むこともでき、高い攻撃力と隠密性を兼ね備えた、暗殺向けの能力といえる。切断された部位を、血液中の鉄分を利用し接着することもできる。
デザインのイメージは細胞赤血球および『ムーミン』に登場するニョロニョロ [6]
ホルマジオ
声 - 岸祐二 / なし / 福島潤
暗殺チームの一人。口癖は「しょうがねえなあ」。坊主頭に剃り込みを入れた髪型など粗野な出で立ちや気だるげな口調とは裏腹に頭脳明晰で洞察力・判断力に優れた人物であり、「スタンド能力の「くだる」「くだらない」とは知恵の使い様」という持論を持つ。
買い出しに出たナランチャを襲撃、拷問して隠れ家の場所を吐かせようとする。自身のスタンド能力を「知恵の使い様」で最大限に活かし、ナランチャやエアロスミスの行動から能力を推察して見破るなど、知略家ぶりを見せたが、キレたナランチャの後先考えない激しい攻撃によって返り討ちにあい敗北、ブチャラティチームのこれからの過酷な未来を暗示するかのような捨て台詞を残して死亡。
アニメ版では環境大臣と対立している男の暗殺を行うシーンが追加されており、スタンド能力で小さくした車をターゲットの飲み物の中に仕込んで飲み込ませ、その後縮めた車を元の大きさに戻して腹を破裂させる[注 5] という非常に残忍かつ自身のスタンドを最大限に生かした方法で暗殺の任務を実行している。また、ソルベとジェラートが行方不明になり、チーム全員で捜索している中で、その推察力で二人が監禁された場所に辿り着き、ジェラートの死体を発見する。ホルマリン漬けの額縁を並べてそれが輪切りにされたソルベだと分かると、余りの凄惨さに恐怖して絶叫していた。
リトル・フィート
【破壊力 - D / スピード - B / 射程距離 - E / 持続力 - A / 精密動作性 - D / 成長性 - C】
人型のスタンド。人差し指の刃で切りつけた相手の身体と身に付けている物をどんどん縮小させていくスタンド。一度この能力にかかると相手がどこに逃げようと、スタンドの射程距離にかかわらず無限に縮んでいく。身につけている物に関しては対象から離れた時点で縮小は止まる。縮小させるのには時間がかかるが、能力が解除されたときには一瞬で元の大きさに戻る。また、自分自身を一瞬で自由に縮小させることも可能。
スタンド自体の破壊力は低いが、エアロスミスの機銃掃射を捌ききるだけのスピードは備えている。また人差し指の刃は対象を縮小させずに斬りつけることも可能である。
デザインはエンキ・ビラルの作品に登場するロボットをイメージしている[6]
スタンド名は北米版では"Tiny Feet"(タイニー・フィート)と改名されている。
イルーゾォ
声 - 根岸朗 / 中井和哉 / 成田剣
暗殺チームの一人。鱗のような模様の服と連ねたおさげ髪が特徴的な男。
自らが有利な立場に立っている時は強気な態度をとり、高慢な性格である反面、追い詰められるとかなり動揺を伴う性質だが、パープル・ヘイズの能力を逸早くウイルスだと見抜く判断力と強い警戒心も持ち合わせている。
ポンペイの遺跡を訪れたジョルノらを待ち受け、1人ずつ順番に襲撃し、鏡の中へ引きずり込んでいく。しかし、ジョルノが自らパープル・ヘイズの殺人ウイルスに感染しながら鏡の中へ入ってきたことで自身もウイルス感染し、感染した腕部分を切り離して鏡の外へ脱出するも、現実世界のパープル・ヘイズのスタンド能力により死亡した。その身体はウイルスによって消滅し、同時にスタンド能力も解除された。
テレビアニメ版では、オリジナルシーンとして、ホルマジオの能力を「くだらねースタンド」と軽口を叩いて見下す一方で自身の能力を「ここぞという時のためのもの」と評すなど高慢さが強調されている。
小説『恥知らずのパープルヘイズ』では、過去にシーラEの姉を殺害していたことが明らかになっている。
マン・イン・ザ・ミラー
【破壊力 - C / スピード - C / 射程距離 - C(「鏡の中」の世界では数百m(B)) / 持続力 - D / 精密動作性 - C / 成長性 - E】
顔にゴーグルを着けた人型のスタンド。「鏡の中の世界」を作り出し、あらゆる鏡を出入り口としてその中に出入りする。「鏡の中にいるイルーゾォの姿に気づく」「標的自身が何らかの鏡に映っている」の2つの条件を満たすと鏡に引き込まれる。標的にされた者以外に「鏡の中の世界」にいる者の姿は見えないため、尾行にも応用できる。「鏡の中の世界」の無生物は「死の世界」のものであり、イルーゾォ以外には動かしたりすることができない[注 6] 。ただし、鏡の外で周囲の物体に何らかの変化があると、「鏡の中の世界」でも連動して変化が起こる。
「鏡の中の世界」にはイルーゾォが「許可」したものしか入ることができず、通常は本体のみ「許可」してスタンド能力は「許可」しないと言った引きずり込み方をするため、スタンドは鏡の外に取り残される。ただし、「許可」はイルーゾォの主観によって行われるため、彼が何らかの手段でスタンドを本体と誤認させられると、スタンドの侵入を「許可」してしまう欠点がある。「鏡の中の世界」の構築とそこに標的を引き込むことにエネルギーを集中させているため破壊力はあまり高くなく、同じく破壊力の低いムーディー・ブルースに一方的に攻撃されるほど肉弾戦は不得手。「鏡の中の世界」で丸腰の人間を相手にすることが前提であるため力負けすることはほとんどないが、総じて殺傷力の高いスタンドを持つ暗殺チームの中では直接的な殺傷効果を持たず、また敵を閉じ込めるための持続力も弱いスタンドでもある。
スタンド名の由来はマイケル・ジャクソンの楽曲「マン・イン・ザ・ミラー [6] 。デザインのイメージはヴェネツィアの仮面[6]
スタンド名は北米版では"Mirror Man"(ミラーマン)と改名されている。
プロシュート
声 - うすいたかやす / 寺島拓篤 / 鈴木達央
暗殺チームの一人。目的のためなら一瞬も惑わない覚悟をもち、無関係の人間をも躊躇なくスタンド攻撃に巻き込む冷徹さを持つ。その一方で、弟分のペッシに対しては「マンモーニ(ママっ子)」と叱り付けつつも、精神的な成長の大切さを説くなど兄貴肌の面倒見の良い性格。
フィレンツェ行き特急内で、ブチャラティチームを列車の乗客ごと始末しようとするが、ブチャラティとの交戦の末に車外に転落。その際に瀕死の重傷を負いながらもスタンド能力は解除せず、ペッシにその「覚悟」を見せつけ彼を成長させた後に死亡。単行本にあるスタンド紹介の本体名には「プロシュート兄貴」と書かれている。
テレビアニメ版では仲間の面子を考えずミルクを飲むペッシに「だからお前はマンモーニだってんだ」と窘めたり、輪切りにされたソルベが収められた額縁を並べる際に強く拒否反応を示したペッシに平静を保ちながら「黙ってろ!」と叱りつけるシーンが追加されている。
ザ・グレイトフル・デッド(偉大なる死)
【破壊力 - B / スピード - E / 射程距離 - 列車一本程度は十分(アニメ版ではBに設定されている) / 持続力 - A / 精密動作性 - E / 成長性 - C】
全身に無数の目玉を持った姿のスタンド。人型に近いが上半身のみで下半身はなく、脚のように太い二本の腕で歩行する。胴体からは腸のような触手が垂れ下がっている。全身の目から周囲の生物を無差別に老化させるガスを放ち、やがて老衰死させる。老化の速度は対象の体温によって異なり、体温が低いほど効果が弱くなる。スタンドや本体の腕で直に触ったほうが老化は速く、本体は老化と老化解除が自在にできる。敵味方の区別ができないため、仲間が近くにいる場合は「氷」などで体を冷やすという対策を講じておく必要がある。老化にエネルギーを集中させているため多くの近距離パワー型スタンドほどの破壊力は無いが、列車の運転席を破壊できるだけのパワーはある。スピードはEとなっているが、老化してスピードの落ちたスティッキィ・フィンガーズのラッシュを片手で捌く程度の動きが可能である(脚がないため、移動の速度は遅い)。
デザインのイメージは全身に目がある妖怪[6]
スタンド名は『オールスターバトル』以降のゲーム作品の北米版では"Thankful Dead"(サンクフル・デッド)、テレビアニメ版の北米版では"The Thankful Death"(ザ・サンクフル・デス)と改名されている。
ペッシ
声 - 西村朋紘 / ふくまつ進紗 / 木村昴
プロシュートと行動を共にする弟分。パイナップルのような髪型の若い男で、服には釣り針を左右に2個並べたような独自のマークがいくつもついている。暗殺チームであるにもかかわらず、今まで一度も人を殺したことがなかったらしい。プロシュートからはその精神的な弱さを叱咤されている一方、見た物や景色などに対する違和感を感じるなどの着眼点が鋭く、プロシュートから自信を持てと高く評価されている。
初めは臆病で自信の無いチンピラだったが、瀕死の状態でもなお攻撃を止めないプロシュートの「覚悟」を見て未熟から脱し、冷酷な暗殺者に成長。その成長振りはブチャラティをして「僅か十数分で人はこんなにも成長できるものか」「お前の中に気高い精神を見た」と感嘆せしめたが、彼との死闘の結果、僅差で首を折られて敗北する。致命傷を負いながらも、老化したジョルノたちを道連れにしようとしたが、その際の「どうせ死ぬなら部下を死なせてお前(ブチャラティ)を絶望させてやる」という言動を、ブチャラティから「ゲス野郎に堕ちた」と軽蔑され、スティッキィ・フィンガーズのラッシュで全身をバラバラにされて死亡した。
テレビアニメ版ではホルマジオが暗殺するビジネスに同行しており、エスプレッソが胃に合わずミルクを飲んでいることをプロシュートから「格好がつかなくなる」と窘められていた。ホルマリン漬けの額縁に収められた指についていたのがソルベがいつもしているペディキュアと同じ色であることを見抜いた。
ビーチ・ボーイ
【破壊力 - C / スピード - B / 射程距離 -C / 持続力 - C / 精密動作性 - C / 成長性 - A】
髑髏形のリールがついた釣竿状のスタンド。その釣り糸や釣り針は、標的以外の全てを水のように透過し、釣り上げた標的を内側から切り裂く。また、釣り針を通して周囲の状況や食い込んだ標的の身体的特徴を細かく察知できる。
釣り糸へ加えられた攻撃エネルギーの一切は釣られた標的へと受け流され、ビーチ・ボーイやペッシを傷つけることはできない。逆に言うと、釣り糸を攻撃すれば釣り針で釣られた者を確実に攻撃でき、また標的にされた存在だけは釣り針と釣り糸に触れられるということで、これらの特性を逆手に取られたことがプロシュートとペッシ自身の敗因となった。
スタンド自体に自立性はなく、パワーはペッシ自身の腕力に、動きの正確さなども彼の操作技術に大きく依存するが、釣られた相手は竿の弾性によって極度に体力を消耗するため、よほど地力に差がない限り力比べで負けることは稀である。
スタンド名は北米版では"Fisher Man"(フィッシャー・マン)と改名されている。
メローネ
声 - 木内秀信 [9] / 野島健児 / 間島淳司
暗殺チームの一人。片目が隠れた半透明のマスクに露出度の高い服、薄紫[注 7] の髪が特徴の男。口癖は「ディ・モールト[注 8] (非常に)!」。いきなり女性に近づいて生年月日・血液型・健康状態・性的嗜好を偏執的に調べようとする、近づいた女性から平手打ちを食らっても悦び手を舐めるなど、性格はかなり屈折している。
列車で採取したブチャラティの血を組み込んだスタンドに一行を追跡させ、ブチャラティとトリッシュを捕らえて一度はジョルノを瀕死にまで追い込んだが、ジョルノが自らのスタンド能力を応用して「破損した肉体を修復する」能力に目覚めたことで形勢が逆転し、追跡に使用したバイクでベイビィ・フェイスを撃破されてしまう。直後にメローネ自身もジョルノが放った「スタンドの残骸から生まれた毒蛇」に噛まれ、死亡する。
テレビアニメ版では屈折した性格が強調され、普段は博識で落ち着いた言動を取りながらも、女性を見ると一変して舌舐めずりしながら生唾を飲み込み、他のメンバーから唖然とされている。
キャラクターのイメージはヴェネツィアの仮面[6]
ベイビィ・フェイス
【破壊力 - 教育次第 / スピード - 教育次第 / 射程距離 - 教育次第 / 持続力 - 教育次第/ 精密動作性 - 教育次第 / 成長性 - 教育次第】[注 9]
パソコンから手足が生えたような「親」と、女性を媒体にして生まれる「息子」で構成されるスタンド(「息子」は受胎した女性から出産される[10] が、生まれる過程は作中では詳しくは描かれていない。ただし、誕生する過程で母体である女性の肉体がブロック状に分解された描写がされている)。戦闘を行う「息子」は、人間を媒体としているため実体化しており、「親」の像も非スタンド使いにも見えている。運用までには、母体の調達と「息子」の育成・教育という手間がかかるが、「息子」の教育が上手くいけば「細やかな指示が可能な遠隔自動操縦型スタンド」として運用できる。特定の標的の探知能力を付与することも可能だが、そのためには標的の血液が必須。さらに万全を期すなら、その標的と相性の悪い女性から生まれるのが好ましい。たとえ「息子」が撃退されたとしても、何度でも新たな「息子」を生み出すことができ、本体にダメージもない。
「息子」は物体をブロック状に分解させ、組み替えることで別の物体に作り変える能力を持つ。これを対人攻撃に用いると、身体の部位を奪い取って欠損させてダメージとする。自意識と知能があり、本体であるメローネが行動を指示できるが、「『親』を介してチャットのように交信を行うため、メローネからは戦況が分かりづらい」「『息子』の自我が強くなると、指示に逆らい出す可能性がある」といった弱点がある。「息子」の性格は、母体となる女性の性格と誕生後の教育次第。
今回の個体はブチャラティと相性の悪い血液型がO型の女性・アニータ(声 - 杉山里穂)[注 10] を母体とした、非行少年的な性格で誕生した。初期こそ従順だったものの、ジョルノとの戦闘で劣勢に追い込まれるごとに、メローネの指示に従わなくなっていく。最終的に「キレた」ことで急成長を果たし、完全にメローネの指示を無視して戦うも、自らが追跡に使ったバイクの部品と融合させられて体内から爆破され、消滅した。
デザインのイメージは広瀬康一のスタンド「エコーズACT3」の悪い版および悪魔少年[6]
スタンド名は北米版では"Babyhead"(ベイビィヘッド)と改名されている。
ギアッチョ
声 - 西村朋紘 / 鈴木達央 / 岡本信彦
暗殺チームの一人で眼鏡が特徴。「根掘り葉掘り」などの言葉の言い回しや使われ方の矛盾に異常に反応し、唐突に怒り狂う性格の持ち主。タフさや執念においては他のメンバーにも引けを取らず、何度も追跡を振り切られそうになりながらもミスタやジョルノを追い詰めている。
自殺したペリーコロのそばに落ちていた写真の燃えカスを復元し、ブチャラティチームの行き先がヴェネツィアだと特定。ボスからの指令により、サンタ・ルチア駅前に隠されたOA-DISCの回収に向かうジョルノとミスタの自動車を襲撃する。2人を追い詰め、ジョルノたちよりも先にDISCを奪うことに成功するが、ミスタの捨て身の覚悟で尖った鉄柱に首を撃ち込まれ、最後は復活したジョルノのラッシュで完全にのどを貫かれ絶命した。
テレビアニメ版ではキレやすい性格が描写され、事あるごとに周囲に当たり散らし、自分たちのチームが組織内でナンバー1だと自負しており、そのため相応に値する報酬額をもらえないことに対し、「もっといい目を見て当然」と誰よりも不満を露わにしていた。
ホワイト・アルバム
【破壊力 - A / スピード - C / 射程距離 - C / 持続力 - A / 精密動作性 - E / 成長性 - E】
極低温を操り、水分を凝固させたスピードスケート用スーツのような装甲で本体を覆うという珍しいタイプのスタンド。極低温は防御だけでなく攻撃にも使用でき、敵やスタンドすらも瞬時に凍結させ破砕する。凍らせるスピードも速いが、能力を解除すれば一瞬で融ける。スーツ内部は周囲の温度と無関係に適温が保たれている。空気を凍らせて自身の周囲に無数の氷の壁を作り、弾丸などの攻撃を反射する防御技「ジェントリー・ウィープス(静かに泣く)」を使うこともできる。これによってミスタを相手に優位に戦いを進めた。スーツはゴールド・エクスペリエンスのラッシュや拳銃の弾丸程度は軽く防ぎ、破損もすぐに再生する。通気口の役目を果たす首の後ろの穴が唯一の死角となっているが、空気を凍らせて内部に取り込んでから溶かす、という方法により通気口をなくすことも可能。
スタンド名は北米版では"White Ice"(ホワイト・アイス)と改名されている。
ソルベ
声 - 佐々木義人
暗殺チームの一人。ジェラートと気味が悪いくらい仲が良い。2人でボスの正体を探ろうとしたが、それがボスの逆鱗に触れてしまい、体を生きたまま足元から輪切りにされて殺された上[注 11] ホルマリン漬けにされて36枚の額縁に収められる「処刑」を受けた。彼の死は他の暗殺チームメンバーに「自分への反逆が何を意味するのか」をまざまざと知らしめることとなり、トリッシュの存在が浮上するまでは事実上首輪をつけられた状態となっていた。スタンド能力についての言及は無く詳細不明[11]
テレビアニメ版ではチームの中で1番金にがめつく、仕事報酬の席には必ず参加するという設定が追加され、また他のメンバーからは彼とジェラートが参加しなかったことからボスの正体を暴こうとして逆に拉致されたと推測された。ジェラートと揃いのペディキュアをしていた。
ジェラート
暗殺チームの一人。ソルベと共にボスの正体を探ろうとしたため一緒にボスに捕まる。ソルベが惨殺される光景を目にし、余りのショックと絶望から猿轡を飲み込んでしまい窒息死した。彼の遺体にはただ一言「罰」とだけ書かれた張り紙を貼られ、ボスからの「自分の正体を探る者はこうなる」というメッセージとされた。
スタンド能力についての言及は無く詳細不明[11]

ボスの親衛隊

スクアーロ
声 - 木内秀信 / 森訓久 / 前野智昭
パッショーネの「ボス」の親衛隊の一人。ティッツァーノと共にヴェネツィア市内でブチャラティチームを襲撃する。二人組で攻撃役を担当。やや感情的な性格で冷静さを失いやすくその度にティッツァーノに諭されていた。敵の言動や戦況から油断や動揺をする場面が多く描かれていたが同時に粘り強くもあり、エアロスミスの攻撃によってかなりのダメージを負いながらも最期までブチャラティチームの始末を諦めなかった。
「トーキング・ヘッド」に取り憑かれたナランチャを利用して、他のメンバーを順次始末しようと計画するが、ナランチャに正体を見破られてしまう。クラッシュが攻撃できるようにティッツァーノがわざとエアロスミスの機銃を受けて死んだことに激昂、ボスではなくティッツァーノのためにブチャラティチームを壊滅させることを決意する。しかしそれでも怯まなかったナランチャのエアロスミスのラッシュを受け敗北、彼(とブチャラティチーム)の精神力の強さに疑問を抱きながら死亡した。
クラッシュ
【破壊力 - D / スピード - A / 射程距離 - B / 持続力 - A / 精密動作性 - A / 成長性 - C】
サメの様な魚型スタンド。水から水へ瞬間移動して相手を攻撃する。水以外でもスープや血液などの液体であれば移動が可能で、転移した水の大きさによりスタンド自体の大きさも変化する。劇中では最小で涙、最大でヴェネツィアの運河に移動していた。密閉された水へは移動できず一回で移動できる距離も数メートル程度なのが弱点で、近くに水がない場所では一気に不利になってしまう。また、遠隔操作型の宿命故か外見に反して破壊力はさほど高くないため、喉や舌といった急所を的確に狙わない限り致命傷は与えられない。
デザインのイメージは甲冑魚 [6]
スタンド名は北米版では綴りが"Clash"から"Crush"に変更されている。
ティッツァーノ
声 - 石野竜三 / なし / 津田健次郎
親衛隊の一人。スクアーロと共にヴェネツィア市内でブチャラティチームを襲撃する。二人組で支援役を担当。冷静沈着な頭脳派で、感情的なスクアーロのブレーキ役も担っていた。
ナランチャにスタンドを取り付かせてブチャラティチームを攪乱するが、自分の舌を切り落としたナランチャを見て動揺したせいで正体を見破られ、エアロスミスの弾丸からスクアーロを庇って死亡する。スクアーロを庇ったのは、自分の返り血をナランチャに浴びせることで、スクアーロのスタンドが瞬間移動してナランチャを殺せるようにするという覚悟の行動であった。
トーキング・ヘッド
【破壊力 - E / スピード - E / 射程距離 - B / 持続力 - A / 精密動作性 - E / 成長性 - E】
対象の舌に取り付き、その者が発しようとするあらゆる言葉の正反対のことを表現させるスタンド。能力は口述だけでなく記述にも及ぶが、この場合は正反対ではなく意味不明なものに変換されていた。スタンドを一時的に解除して言動を正常に戻すことも可能で、これを巧みに織り交ぜながら相手を撹乱する。また、対象の舌を操って水道の蛇口を捻ったりすることも可能。
完全な非戦闘型のスタンドであり自由に移動させることもできないため、これを相手の舌に貼り付けることが出来て且つ攻撃に特化したスタンドと組むことが前提の能力である。
デザインのイメージはタコの吸盤とエイリアンの幼生[6]
スタンド名は北米版では"Talking Mouth"(トーキング・マウス)に改名されている。
カルネ
声 - 阪口大助
ボス親衛隊の一人。不気味な風貌の太った男で、作中ではセリフを発していない。彼本人は、空港でミスタにあっけなく射殺されるも、そのスタンド「ノトーリアス・B・I・G」は、死に際の恨みのエネルギーによって無敵の怨霊と化し、サルディニア島行きの飛行機内でミスタ、ナランチャ、ジョルノを次々に襲って戦闘不能にした。スタンド能力に目覚めたトリッシュの機転で消滅したかに思われたが、飛行機の燃料を吸収することで却って肥大化してしまう。直後にトリッシュが飛行機を破壊したことで、大部分は機体の爆発に巻き込まれて消滅し、パラシュートとして切り離されたコックピットにくっついていた欠片も、ブチャラティの片腕を囮にしてティレニア海に投棄されたことで、ブチャラティチームに完全に逃げ切られ、その後は、永遠に海面の波飛沫や通りかかった船を攻撃するだけの存在となった。
ノトーリアス・B・I・G[注 12]
【破壊力 - A / スピード - ∞ / 射程距離 - ∞ / 持続力 - ∞ / 精密動作性 - E / 成長性 - A】
近くにあるもののうち「最も速く」動いているものを、それを上回る速さで優先的に追尾し攻撃する自動追尾型スタンド。人間やスタンド、飛行機の燃料など様々なエネルギーを吸収し、肥大化する。また、既に本体が存在しないために、航行中の飛行機にさえ追いつくほどの無限大のスピードと射程距離を持つ。
「最も速く」動いているものよりも遅い速度で攻撃することでダメージを与えることは可能だが、動いているものを恐ろしい勢いで次々取り込むこのスタンド相手にその条件を満たすのが難しいうえに、僅かな欠片とエネルギーがあれば即座に再生するため、完全に消滅させることは極めて困難。また止まっているものに当たった場合もダメージを負う。
このスタンドは、本体であるカルネ自身が死亡したことで発動したと説明されているが、カルネはミスタに射殺される直前にノトーリアス・B・I・Gに似た人型のスタンドを出しかけており、生前にスタンドが使えたのかについてははっきりしていない。
スタンドと同名のアメリカのラッパー「ノトーリアス・B.I.G.」も本作連載中の1997年にカルネと同じく射殺されており、作者が『週刊少年ジャンプ』巻末のコメント欄でそのことについて触れている[12]
スタンド名は北米版では"Notorious Chase"(ノトーリアス・チェイス)に改名されている。
チョコラータ[注 13]
声 - 石野竜三 / 内田直哉
ディアボロの切り札の一人。34歳で元医者。カビやキノコを思わせる形状をした緑色の髪と、不気味なメイクを施した顔が特徴。暴走しがちな能力と本人の性格とが危険視されて、行動を制限されていた。
本編の2年前に医療ミスで病院を解雇になった所を組織に拾われたが、実態は人の死や痛みを観察するのを楽しみとする猟奇的な殺人鬼であり、患者も意図的に死に追いやっていた極悪非道そのものの男。学生時代から性格は屈折しており、老人介護のボランティアと称して老人たちを心身共に虐待して自殺に追い込んでおり、9人自殺させたところで「最も効率的に死を観察できる」という理由で医者になることを決めた。
基本的に他者を全く信用しておらず、唯一セッコだけに多大な信頼を寄せている。自らボスに成り代わる野心もある。無差別に他者を殺傷する能力を見たジョルノは「悪の限界のない男」と評し、ボスにすら「最低のゲス」、「本来は生かしておきたくはなかった」といわれた。
アバッキオによって顔を暴かれたボスが、ハイリスクを承知しつつ解き放つ(用済みになれば抹殺するつもりだった模様)。ローマにて無差別の被害を出しつつ、ブチャラティチームを抹殺しようとする。しかし、ピストルズNo.5の活躍とジョルノの機転により敗北、怒りのジョルノによって7ページ半(雑誌掲載時では、掲載ページによる影響で5ページ半のみの掲載だった)に渡る「無駄無駄」ラッシュを打ち込まれ、ゴミ収集車まで吹っ飛ばされ死亡した。
この時のシーンが、同じく敵キャラクターに数ページに渡るラッシュ攻撃を喰らわせたPart3での空条承太郎などと共に、テレビアニメ版Part1のオープニング「ジョジョ〜その血の運命〜」の映像に盛り込まれている。
グリーン・ディ
【破壊力 - A / スピード - C / 射程距離 - A / 持続力 - A / 精密動作性 - E / 成長性 - A】
サボテンのような姿をした人型のスタンド。頭部や頚部に無数のパイプのようなものがあり、そこから現在の位置より少しでも低い所に降りると急激に繁殖して肉を腐らすカビを散布する。スタンド自体の属性は近距離パワー型であり、ジョルノのゴールド・エクスペリエンスを圧倒するなど接近戦にも強い。また医師としての技量とカビを駆使し、自らの体をバラバラにし、傷口をカビで覆い止血・保護することで物陰に隠れ、攻撃することもできる。ただでさえ、カビは散布範囲を無差別に攻撃するうえに、犠牲者の死体を媒体として無制限に攻撃範囲が広がって行くという、チョコラータの一点の良心も持たない残忍非道な性格が反映されている。カビは生物であれば何でも朽ちさせることができるが、死んでいるものにはカビは生えず、カビに侵された生物も死亡した時点で侵食が止まる。そのため、肉体が既に死亡していたブチャラティにはカビは生えなかった。また、セッコにもカビは生えていなかったが、理由は不明。
原作中ではスタンドの上半身しか映るシーンがなかったが、PlayStation 2用のゲーム『黄金の旋風』での登場に際して、原作者が下半身部分を描き下ろしている。
スタンド名は北米版では"Green Tea"(グリーン・ティ)と改名されている。
セッコ
声 - うすいたかやす / 下野紘
ディアボロの切り札の一人。チョコラータの元患者で、彼の言うことしか聞かない。ディアボロ曰く「考えの読めない男」で、チョコラータ共々にゲス呼ばわりされている。
チョコラータの投げた角砂糖を口でキャッチし、留守録の声にすら泣いて喜ぶなど、ペットのように振舞っているが、実は饒舌で計算高い性格の持ち主。チョコラータに従っていたのは彼の下につけば安心できるという思惑からであり、彼が敗れたことを知ると掌を返して罵倒を始めた。
チョコラータの遺言からブチャラティたちの目標の「コロッセオにいる男」(ポルナレフ)の存在を知り、彼から秘密(矢の力。後にレクイエムと判明する)を奪い、ボスを倒してトップになりかわろうと暴走する。地下を泳げる能力と優れた聴力をブチャラティに逆利用されて大ダメージを受け、さらにジッパーで自らの手とノドとを繋がれ、自分のノドを液状化して自滅。チョコラータと共にゴミ収集車送りとなった。
オアシス
【破壊力 - A / スピード - A / 射程距離 - B / 持続力 - A / 精密動作性 - E / 成長性 - C】
身に纏う形のスタンド。周囲のあらゆるものを泥化させる。これを利用して地中にダイブし、自身の進行上の全ての物を液状化した地面に飲み込む。敵や物質を液状化した地中に引きずり込んだり、液状化させて破壊することもできる、また、ある程度距離が離れれば、液状化した物も再び固体化するため、液状化した石を口に含み雨のように吹き付けることで即興の遠距離攻撃も可能である。恐ろしく鋭い聴力がソナーとなって、地中でも方向を誤ることがない。ヒジで地面を打ってドロ化し、その反動を利用してパンチを繰り出すことで、ブチャラティの「スティッキィ・フィンガーズ」をもしのぐパワーとスピードでラッシュを繰り出すこともできる。真価はチョコラータ自身の能力との組み合わせによって発揮される。
スタンド名は北米版では"Sanctuary"(サンクチュアリ)と改名されている。

パッショーネの重要人物

ディアボロ
声 - 宮本充 / 森川智之 / 小西克幸
イタリアの裏社会を牛耳るギャング組織「パッショーネ」の「ボス」として頂点に君臨する男。その人物像は組織内ですら徹底的に秘匿されている謎の人物。スタンドは時間を消し飛ばす能力を持つ「キング・クリムゾン」。
スタンド名は北米版では"Emperor Crimson"(エンペラー・クリムゾン)と改名されている。
ヴィネガー・ドッピオ
声 - 宮本充 / 石田彰 / 斉藤壮馬
「ボス」のもう一つの人格。第一人格のディアボロとは主従関係にある。ドッピオは自身がディアボロ最大の腹心であると思いこんでいる。ドッピオの正体が暴かれそうになるとディアボロの人格が表に出てくるが、ドッピオはその間の出来事を覚えていない。
ドッピオの人格の時に使用できる能力は、前髪に映し出される近い未来を垣間見ることができる能力「エピタフ」と、「キング・クリムゾン」の両腕を攻撃に用いられるのみ。
テレビアニメ21話では、役名が「電話の声」になっている。
ポルポ
声 - 岸祐二 / なし / 石川英郎
組織「パッショーネ」のネアポリス地区幹部。とてつもない肥満体の巨漢。身動きできない自分の身を護るため、ワザとネアポリス刑務所に入っており、そこから外部に指示を出している。刑務所の刑務官にも影響力があり、独房は高級食材や著名作家の絵画、果ては爆弾や銃器の所有までも許されるなど、完全にスイートルームと化している。ジョルノをただのギャング志望の少年・何も知らない若造と嘗めていた。
パッショーネへの入団希望者の試験官も努めており、「ポルポより点火状態で渡されたライターの炎を24時間消火しないよう守る」という課題を課している。
ブチャラティの仲介で入団を希望してきたジョルノにもこの課題を与えたが、遂行中に偶発的に発現したスタンド「ブラック・サバス」が無関係の老人の命を奪ったことでジョルノの怒りを買う。ジョルノの入団を認めた際に独房内の拳銃一丁がゴールド・エクスペリエンスの手で密かにバナナに変化されられており、翌日にそのバナナを食べようとして自ら拳銃の引き金を引いて死亡。検視捜査では完全に自殺とされ、組織内でも自殺を疑われなかった。ブチャラティだけはジョルノが何かをしたと察しているようではあったが詮索しなかった。
6億円(テレビアニメ版では100億リラ)の隠し財産を持っており、ブチャラティに命じて安全な所に隠させていた。
ボス直々の命令を受けることがあり、それも「スタンド使いに関する任務のみ」という特別な立場にあった。
テレビアニメ版ではギアッチョの台詞からネアポリス地区を主とする賭場の運営を一任されていたことが語られており、麻薬チームの次に莫大な資産を持っていた模様。
ブラック・サバス
【破壊力 - E(押さえつける力はA) / スピード - A / 射程距離 - A / 持続力 - A / 精密動作性 - E / 成長性 - E】
影の中を自在に移動し、捕えた人間の魂またはスタンドを引きずり出して、口内に内蔵されたスタンドの才能を引き出す「矢」で突き刺すスタンド。才能が無い人間の魂は「矢」に貫かれると死亡する。上述のポルポのライターの炎が消えた後に「再点火」した際に発生する影から出現し、再点火を見たものを無差別に攻撃するように設定されている。完全な自動操縦タイプで、発動そのものがポルポの意思とは無関係であり、たとえ破壊されようとポルポには一切ダメージは伝わらないどころか、スタンドが戦っていることにすら気づくことはない。日光が弱点であり、日光に曝されると蒸発するように消えるが、たとえ倒したとしても一時的に姿を消すだけであり、ライターを再点火すると何度でも現れる。影の範囲を飛び越えることはできないが、空を飛ぶ鳥の影などを利用して影が繋がった瞬間に移動することはできる。
デザインのイメージは映画『カサノバ』に登場するようなヴェネツィアの仮装カーニバルの衣装と死神 [6]
スタンド名は北米版では"Shadow Sabbath"(シャドウ・サバス)と改名されている。
ペリーコロ
声 - 伊藤健太郎 / なし / 辻親八
組織「パッショーネ」の老幹部。ブチャラティの上納金(ポルポの遺産)を受け取りにカプリ島に現れ、彼の幹部への昇進を告げると共に、ボスからの指令「娘の警護」の任務を与えた。スタンド能力はない。
組織に忠実で、最後はミスター・プレジデントの中で秘密保持のために自殺した。なお彼の自殺は命令によるものだが、組織のおかげで余生を謳歌できた彼に迷いはなく、笑顔のまま死んでいった。
小説『恥知らずのパープルヘイズ』ではフルネームがヌンツィオ・ペリーコロとされており、ジャンルッカという名の息子がいたことも明らかになっている。

その他の構成員

ルカ
声 - 濱野大輝
パッショーネの組員。かつて喧嘩の際にナイフを深く刺された後遺症で常に右目に涙が滲むようになったため、「涙目のルカ」の異名を持つ。凶器としてスコップを常に持ち歩き、チューリップが描かれた服を着ている。恨みを持たれるタイプの性格であり、チンピラ同然のことを繰り返しているため、ミスタたちからも快く思われていなかった[注 14] 。空港でジョルノからショバ代を奪おうとするも逆らわれて激昂し、彼の生みだしたカエルごとスコップで殴りつけた直後、その衝撃を脳天に反射されたことで再起不能となり、ポルポによってブチャラティに犯人捜索の命が下される。
その後に死亡したことが明らかになり、遺体の眼球や指はブチャラティが犯人を目撃したと睨んだジョルノへの尋問に使われる。死亡の経緯について、ブチャラティは重体で見つかった後に組織によって始末されたとジョルノに語っているが、ミスタたちにルカのことを話した際にはルカが変死体で見つかったと語っている。
マリオ・ズッケェロ
声 - 石野竜三 / なし / 高橋伸也
パッショーネの組員。ローマのチンピラで、はれぼったい唇と巻貝のような髪型が特徴。ポルポの遺産を狙い、相棒サーレーと共にブチャラティチームを追跡する。
ブチャラティチームが乗船したヨットに、自らの能力で萎ませたもう一隻のヨットを被せ、自身はその隙間に潜む。一人ずつ倒して人質にとっていくも、最後のブチャラティにからくりを見抜かれて船を沈められそうになったことで、姿を現す。人質を用いた脅迫に出るも、ブチャラティは屈さず、逆に倒され捕らえられる。ミスタに拷問を受けるも、仲間のことは口を割らなかった(アバッキオの能力により仲間の存在がバレるが、ズッケェロ自身はサーレーを売っていない)。その後は気絶したままヨットに放置された。
Parte5のその後を書いた小説『恥知らずのパープルヘイズ』では生存していたことが明らかになっているが、麻薬チームの討伐任務中に死亡する。
アニメ版では運転免許証が映るシーンがあり、生年月日が1976年の6月21日であることが判明している。
ソフト・マシーン
【破壊力 - A / スピード - C / 射程距離 - E / 持続力 - A / 精密動作性 - D / 成長性 - E】
手にしたレイピアで刺した物体を、空気を抜かれた風船のように萎ませる人型のスタンド。生物の場合は萎んでも生存可能だが、意識を失い行動不能になる。本体自身を萎ませることも可能で、この場合は萎んだままでも行動が可能。姿を隠しながら相手を戦闘不能にすることには最適だが、スティッキー・フィンガーズのジッパー攻撃をまったく避けられないなど、正面きっての格闘戦は苦手であるとブチャラティに見破られる。
スタンド名は北米版では"Tender Machine"(テンダー・マシーン)と改名されている。
サーレー
声 - 木内秀信 / なし / 石川界人
パッショーネの組員。ズッケェロの相棒。
船で人質をとったズッケェロと合流する予定だったが、ズッケェロが敗れたことで存在がばれてしまい、先手を打って上陸したジョルノとミスタのうちミスタと交戦する。戦闘はお互いの能力を駆使した銃弾の撃ち返し合いとなるが、ピストルズの連携プレーによって頭部表面に残った弾丸を別の弾丸で押し込まれ、能力のおかげで死には至らなかったものの気絶してしまい、敗北する。その後はズッケェロ共々ヨットに放置される。
小説『恥知らずのパープルヘイズ』では生存していたことが明らかになっているが、麻薬チームの討伐任務中に死亡する。
連載時には名前は出てこず、ブチャラティからは「ミスタにやられた奴」と呼ばれていた。名前はその後、単行本のスタンドパラメータや『JOJO A-GO!GO!』で明かされている。
クラフト・ワーク
【破壊力 - A / スピード - A / 射程距離 - E / 持続力 - C / 精密動作性 - E / 成長性 - E】
本体やスタンドが触れた物体をその場に固定する人型のスタンド。岩の破片を空中に固定して足場にできるほか、敵の飛び道具を無効化できる。固定中でも衝撃は物体に蓄積され、固定が解除されると溜まった衝撃は一度に開放されるため、向きを相手に変えて反撃できる。欠点は固定の解除をあまり精密にできず、解放による反撃は動いている標的に当たらないこと。車上などで固定すると、慣性の法則に則り固定されたまま移動する。
スタンド名は北米版では"Arts & Crafts"(アーツ・アンド・クラフツ)と改名されている。

その他の人物

広瀬 康一(ひろせ こういち)
声 - 夏樹リオ / 朴璐美 / 梶裕貴
Part4『ダイヤモンドは砕けない』の登場人物。Part4から引き続き、語り部としてParte5序盤に登場。スタンドは音を操る「エコーズ」。
ヨーロッパ旅行のついでとして、空条承太郎に依頼されて汐華初流乃(ジョルノ・ジョバァーナ)の皮膚を採取するためにイタリアへやってくる(承太郎が、初流乃が本当にDIOの子供なのかを科学調査するため)。イタリア語を流暢に喋っているが、これは岸辺露伴のスタンド「ヘブンズ・ドアー」で話せるようにしてもらったためである。
物語冒頭でジョルノにパスポートの入った荷物一式を奪われ、奪回しようと彼の部屋を訪れた際にジョルノの「入団試験」に関わってしまう。そのため、ブラック・サバスに対してジョルノと共闘したが、その後は彼と別れて承太郎への報告をしたのを最後に登場しない。
『黄金の旋風』では出番がカットされているが、サウンドトラックに音声が収録されている。
スタンド名は北米版では"Reverb"(リバーブ)と改名されている。
空条 承太郎(くうじょうじょうたろう)
声 - 稲田徹 / 小野大輔 / 小野大輔
Part3『スターダストクルセイダース』の主人公。Part3、Part4に続いて登場。スタンドは時を止める「スタープラチナ」。Part3にてDIOを倒した(殺した)当人。
SPW財団の調査でDIOに息子がいる可能性を知り、ジョルノの皮膚の一部を採取するよう康一に依頼する(エコーズの能力が適しているのと、心情的にDIOの息子に会いたくないという理由から)。康一からの報告で、ジョルノがスタンド能力に目覚めていることを知り、調査を打ち切る。その後は終盤にて、ポルナレフの走馬燈の中にPart3時の姿で登場する。
連載時の企画において、読者から「承太郎はジョルノをどうするつもりなんでしょう?」との質問が出ていたが、荒木はそれに「まだ考えてません。ひょっとしたら単なる好奇心なのかも...?」と答えている[5]
『黄金の旋風』では出番がカットされているが、サウンドトラックに音声が収録されている。
→詳細は「空条承太郎」を参照
ジャン=ピエール・ポルナレフ
声 - 根岸朗 / 小松史法
Part3『スターダストクルセイダース』の登場人物。スタンドは剣士の姿をした「シルバーチャリオッツ」。
ディアボロに敗れて死にかけ、一命をとりとめるも後遺症は大きく、車椅子に乗っている。第一線で戦えなくなった自分の代わりに、ブチャラティチームにディアボロ撃退を託すべく「矢」の秘密を教えるためにローマのコロッセオで待ち続ける。
→詳細は「ジャン=ピエール・ポルナレフ」を参照
(ココ・ジャンボ)
ボスが娘の保護のために用意したスタンド能力を持つ亀。背中のくぼみに「鍵」を取り付けた時のみ、スタンドを発生させるように訓練されている。名前は劇中においては「ない」ということだったが[5] 、画集「JOJO A GOGO」にて、ココ・ジャンボと正式に発表された。物語終盤、チャリオッツレクイエムによってポルナレフと魂が入れ替わり、能力解除後は元に戻るも彼の魂を部屋に留めることとなった。
ジョルノの能力により、細胞から「もう一匹」がスタンド能力ごと複製され、ディアボロ戦でのブチャラティを支援したが、戦闘の攻防に巻き込まれるかたちで消息を絶った。
『アイズオブヘブン』では、Part7に登場した「聖なる遺体」と共に、ストーリーモードの重要アイテムとして位置付けられている。
本体名はテレビアニメ版の北米版では"Coco Large"(ココ・ラージ)と改名されている。
ミスター・プレジデント
【破壊力 - E / スピード - E / 射程距離 - E / 持続力 - A / 精密動作性 - E / 成長性 - E】
小さな部屋を生成するスタンド。生み出される部屋自体がひとつのスタンドであり、後述の性質を除き自立性はない。スタンド発現のスイッチとなっている鍵の宝石部を介し、自由に出入りできる。鍵が外れてスタンドが解除されると、内部の空間にいる生物は強制的に外へ放り出される。ボスの計らいにより冷蔵庫やテレビ(『キャプテン翼』が見られる)などが持ち込まれているが、トイレは無い。スタンド名は後に発表されたものであり、劇中においては「カメのスタンド」と表記されていた。『週刊少年ジャンプ』の企画時には「T-レックス」という仮称だった[5]
ドナテラ・ウナ
トリッシュの母親。サルディニア島で観光旅行に訪れた際にソリッド・ナーゾと名乗っていた若い頃のボスと知り合い、娘を出産した。それまでナーゾを捜索しようとはせずシングルマザーとしてカラブリアで娘と共に生活していたが、重い病にかかって自分の死期を悟り、娘のために父親に逢わせようとナーゾの捜索を依頼したことから娘の存在が明らかになる。トリッシュがブチャラティらと会う2か月前に病気で死亡している。
スコリッピ
声 - 木内秀信(黄金の旋風版)
エピローグ『眠れる奴隷』に登場する彫刻家。茨の冠を模したティアラを着けている。モンテサント広場にある花屋の娘のボーイフレンドで、彼女が不可解な自殺を遂げたため、父親がブチャラティに調査を依頼する。ミスタが担当することになり、尋問されるとブチャラティが近く死ぬ運命にあり、自分のスタンドがその前に安楽死させようとしていることを語る。
ミスタに打開策を尋ねられると「石を破壊できれば運命を変えられるかもしれない」と伝え、ミスタがブチャラティの「死の運命」を表した石を破壊したが、追跡は止まったものの砕けて塵となったスタンドはブチャラティ、アバッキオ、ナランチャの3人の姿となり、死の運命を変えることはかなわなかった。その様子を見たスコリッピは、ブチャラティたちが「安楽な死」を迎えるのではなく「苦難の道」を歩むことに何か意味があるのかもしれないと考え、そのまま彼らを見送った。
ローリング・ストーンズ
【破壊力 - なし / スピード - B / 射程距離 - A / 持続力 - A / 精密動作性 - E / 成長性 - なし】
「凶」と彫られた石球の姿をしたスタンド。自動的に近く死ぬ運命にある者の姿(彫刻)となって追跡し、その人物が石に触れると安楽死させる。スタンドだが、石や銃弾との衝突でも壊れる。抗えない「運命」をエネルギー源としており、本体のスコリッピにも制御できない。対象者以外の者が石を破壊すればローリング・ストーンズによる安楽死からは免れられるが、そもそも死が迫っている相手しか対象にしない性質上、安楽死から逃れたからといって生きながらえられるわけではない。
能力はミケランジェロのエピソードから影響を受けている[6]
ギャングの男(ジョルノの恩人)
声 - 白熊寛嗣
パッショーネとは違うギャング団の幹部だったらしく、かつて別のギャング団との抗争で負傷して身を潜めていたところを下校途中だった小学生当時のジョルノに助けてもらったことがきっかけで、彼の近辺を調べて義父による虐待や近所の不良少年たちによる嫌がらせやいじめを解決し、その後も陰からジョルノを見守り続けた。「1人の友人」として対等の立場で接することを通し、ジョルノに「人を信じるまっすぐな心」を教えた「人生の恩人」である。
この男は、ジョルノを「ギャングの世界に巻き込まない」という厳しい姿勢を取っていたらしいが、犯罪が悪質化して警察も役に立たない社会においてそれは叶わず、ジョルノはこの男のようなギャングスターになろうと憧れ、ギャング団に入団することを夢見るようになる。
テレビアニメ版では「男X」とクレジット。彼が担当する地域の住民から慕われ、また部下と同伴しても汚れ仕事は自身の手で執行するほか、粛清した麻薬売人の息子から銃を向けられても、臆することなく息子に事情を説明し諭すなど度量の大きい一面が描写されている。
ジョルノの母親
声 - 東内マリ子
日本人で、名前は不明。なんらかの経緯でDIOと出会い、ジョルノを妊娠して1985年に出産する。美人ではあったが遊び人気質で母親としての愛情に乏しく、幼いジョルノを家に放置しては夜な夜な繁華街へと遊び歩くなど、育児放棄をしていた。ジョルノが4歳のときにイタリア人男性と結婚してイタリアへ移住したため、ジョルノもイタリアへ移住することになる。
ジョルノの義父
声 - 田所陽向
イタリア人で、名前は不明。ジョルノが4歳のときにジョルノの母と結婚した。猜疑心が強く、自分を見る幼いジョルノの視線が自分を馬鹿にしていると思い込み、ジョルノにたびたび暴力や罵声などの虐待行為をしていたが、ジョルノが助けたギャングの男から何かしらの警告を受けたのを機にジョルノに対する虐待はしなくなる。しかしその後も二人の折り合いは悪く、ジョルノは両親とは同居せずに寮で暮らすことになる。
テレビアニメ版では、人前では好人物を装っているが、ジョルノと二人きりになった時に暴力や罵声を浴びせるなど、より陰湿さが強調されている。
DIO(ディオ)
ジョルノの実父。Part1Part3に登場した。ジョースター一族の宿敵と呼べる人物であり、吸血鬼となりジョナサン・ジョースターの胴体を奪い取り、空条承太郎と戦って敗死した。
ジョルノは父の写真を持ち歩いている(左後方からの角度で撮影されたもの)が、どのような思いを抱いているのかは描写は存在せず不明である。「エジプトで死んだ」ということは把握している。ゲーム『アイズオブヘブン』では「あの男」と呼び、父親とは思っていない模様だが、タッグ戦でジョルノとチームを組んだ場合の特殊セリフが発生する。
→詳細は「ディオ・ブランドー」を参照
ジョセフ・ジョースター東方仗助
Part2『戦闘潮流』とPart4『ダイヤモンドは砕けない』の主人公。回想シーンなどでのみ登場。

小説版オリジナルの登場人物

『ゴールデンハート/ゴールデンリング』の登場人物

コニーリオ
ヴェネツィアホテル「モンド・アーリア」で働く17歳の少女で、愛称は「コニー」。12月生まれ。生まれつきスタンド能力があるが、周囲から気味悪がれることを恐れ、人前では使わずに封印している。元は父母・兄と4人家族であったが、小学生の頃両親が離婚し、以来父と兄とは別居している。
母親とローマに住んでいたところを、4ヶ月前、ヴェネツィアでホテルに勤めていた祖母が突然失踪したという知らせを受け、ホテル側からの依頼で代役として客室係の仕事を始める。2ヶ月後に祖母の遺体が発見されてからは正式な引き継ぎとなった。
ある日、ホテルに現れたパンナコッタ・フーゴの無差別テロを受け、パープル・ヘイズのウイルスにより友人ウィノナや大勢の人間が死んだ中、スタンド「ザ・キュアー」の能力により唯一彼女だけが生存した。病院への搬送後、自らの能力でこれを治療できると知って以降は封印を解き、能力を使って積極的に人々を助けるようになる。
しかし度重なるパープル・ヘイズの襲撃と短期間の過剰な治療数により、精神的な限界を迎えると同時にスタンドが暴走、高濃度の殺人ウイルスを無差別にばら撒く危険な存在となってしまう。その後、ジョルノとブチャラティの説得と強い意志により奇跡的に制御し、事態を収拾した。
事件後はアメリカイリノイ州に旅立ち、各地を転々としながら自身の能力で人々を癒し、一生をかけて自分が救えなかった人たちへの償いをしていくことを決意する。その姿はいつしか都市伝説として語られるようになった。
彼女もジョースター家の血が流れていることが示唆されているが、詳細は語られておらず不明である。
ザ・キュアー
白いウサギのような姿のスタンドで、自分や他人の怪我や病気・悩みなどを吸収して癒すことができる。吸収された「痛み」や「悩み」はスタンドの体内に溜めこまれ、その分スタンドの体が少しだけ大きくなる。通常、吸収したそれらは時間をかけて徐々に発散されていく(=スタンドの大きさも元に戻る)が、許容量を超えると暴走してしまう。暴走時は巨大な亜人のような姿になり、本体の制御がきかない。また、スタンド自身の痛みも吸収し、ダメージを与えた分だけ巨大化してしまうため、直接攻撃で倒すことは不可能である。
ソリョラの策略により、ごく短期間のうちにパープル・ヘイズのウイルスを吸い込み続けたことで巨大化し、暴走。街を破壊しながら体内に溜めた高濃度のウイルスを撒き散らし、パープル・ヘイズを超える被害をもたらしてしまう。
対峙したゴールド・エクスペリエンスとスティッキー・フィンガーズの攻撃によるダメージさえも吸収し暴走を続けたが、最後はコニーリオの叫びに応える形で暴走を止め、綿毛を散らして元の姿に戻った。
ソリョラ・ロペス(セッピア老人)
ヴェネツィアのギャングたちを取り仕切っているパッショーネの幹部。サン・マルコ広場裏の一角に根城を置く。ただし、表向きはカンナレージョ地区のアパートに隠れ住む、武器を扱う組織の幹部「セッピア」を名乗り、密かに部下たちの行動を監視している。
子供の頃に両親と死別し、万引きいかさま 賭博で生計を立ててきた過去がある。かつて自分を見下し蔑んだ人間を見返すためにギャングとなり、組織の幹部にまで上り詰めた。自分が現在牛耳っている辺境のヴェネツィアにはあまり愛着はなく、今回の一件で手柄を立てて出世し、別の支部へ移転させて貰おうと考えている。
外見は禿げ頭で口髭を生やした小柄な老人で、口調は丁寧だが知略に長けた狡猾な性格。強力な兵器に喜ぶ様は、フーゴから「新しいおもちゃをもらった子供のようだ」と形容されている。
ボスからの指令により、組織を裏切ったブチャラティたちの命を狙う刺客となり、その際、町に住むスタンド使いの少女・コニーリオや新たに自分の部下となったフーゴを利用する作戦を思いつく。まずセッピア老人として自ら失踪することで、アバッキオのムーディー・ブルースによる「リプレイ」の追跡を予測して逆手に取り、スタンド能力を利用した機雷のトラップやヒットマンのリガトニをけしかけ、彼らを圧倒する。さらにコニーリオのザ・キュアーにフーゴのパープル・ヘイズのウイルスを取り込ませることによって「覚醒」させ、それによって彼らを倒そうと目論んでいた。
しかし最終的にはフーゴの裏切りにより、「ジョルノにはパープル・ヘイズのウイルスが効かない」という情報を知らされていなかったために計画は失敗、その後逃亡するも、ミスタ・ブチャラティ・ジョルノの連携プレーによって捕えられ、ブチャラティからの怒りのラッシュを叩き込まれて死亡する。
挿絵にはスーツを着た姿が描かれているが、最終決戦時にはパープル・ヘイズのウイルスを無効化させる特殊なラバースーツを不本意ながら着用していた。
ジョイ・ディヴィジョン
左右それぞれの手で触れた物を瞬時に入れ替えることができる。入れ替えは時間差も可能なため、あらかじめ触れていた物を爆弾などと入れ替えることでトラップとすることができる他、壁や床と自身の位置を入れ替えることで壁の向こう側や階下へと移動することもできる。
リガトニ
パッショーネに属する凄腕のヒットマン狙撃を得意とするスタンド使い専門の殺し屋「スタンド・キラー」であり、その存在は組織内でも機密扱いとなっている。
組織に入りたてだった頃のミスタの先輩であり、一時期タッグを組んで殺し屋の仕事をしていた。しかし「標的を仕留められないヒットマンは、死んだも同然」という持論から意見の相違があり、ある女殺しの任務失敗をきっかけに決別した過去がある。現在は第一線を退いた身だが、人生の刺激を求め、ミスタとの対決を条件にソリョラからの依頼を引き受ける。
サン・マルコ広場の鐘楼からの長距離狙撃でナランチャのエアロスミスを封じ、アバッキオを負傷させた上でミスタと対決、セックス・ピストルズの攻撃をものともせずミスタにスタンドを放つが、ゴールド・エクスペリエンスの能力によってコウモリに変化したミスタの銃弾を打ち抜いたことでダメージが自分に返り自滅する。しかし、それでもなおスタンドを命中させ、ミスタを戦闘不能に追い込んだ。
なお、ミスタに止めを刺そうとするときの台詞の一部「ロックは死んだ」は、スタンドと同名のバンドパブリック・イメージ・リミテッド を結成したジョン・ライドンセックス・ピストルズの脱退表明時に言った言葉でもある。
パブリック・イメージ・リミテッド
ライフルの弾丸に棲むスタンド。サメのような頭を持った銃弾型で色は。愛用のライフルから全スタンドパワーを込めて発射することで、通常の銃弾の4倍のスピードと軌道上の全てを貫通する破壊力、標的を決して外さない精密性を持つ。
反面、発射から着弾までの間にスタンドパワーを著しく消費するという弱点があり、パワーをゼロまで使い切れば本体(リガトニ)が死んでしまう。しかし、標的がスタンド使いの場合に限り着弾時にスタンドパワーを吸い取ることができ、それにより死のリスクを回避できる。つまり弾を当てれば確実に相手は死に、外せば自分が死ぬ。
これらの能力はある程度の力加減ができ、少量の力で撃つことでスタンドパワーを一部吸収して相手のスタンド能力を封じ、生かしたまま無力化するといった芸当もできる。スタンド使いでない者には事実上使用できない。
コニーリオの祖母
ヴェネツィアの実家に住んでいたコニーリオの祖母。数年前に夫を亡くし、以来ホテル「モンド・アーリア」の従業員として働いていた。
年齢は60歳超で、小太りだが豊満な体つきで色気があり、近所からは「新しい男を引っ張り込んでいる」などといった噂も立っていたという。
物語開始時点から4か月前に突然失踪、その2か月後にリド島で交通事故に遭い、遺体となって発見された。警察の捜査によるとそのとき男(宿泊台帳によると「ミスター・ブラウン」)と一緒にいたらしいが、男の行方は分かっていない。
コニーリオの母
ローマに住んでいるコニーリオの母。娘が幼い時に離婚し、夫・長男と別居している。生物テロ事件で病院送りとなった娘を心配してヴェネツィアの実家にまで来ていたが、その後の事件でもウイルスの被害には遭わずに済んだ。娘がアメリカに発った後も変わらずローマで暮らしているという。
レオーニ
「モンド・アーリア」に10年来勤めているコックで、コニーリオの同僚。コニーリオが気になっているらしく何かにつけて誘いをかけデートの約束もしているが、彼女はあまり乗り気ではない。ウィノナによれば他にガールフレンドがいるらしい。事件後の消息は不明。
ウィノナ
コニーリオの同僚で友人の女性。21歳。ヴェネツィア大学の二年生(アメリカからの交換留学生)で文学専攻。父親が「モンド・アーリア」ホテルの重役であるらしく、立場上はアルバイトのようなものだが実質清掃員のマネージャーのような仕事もしている。
黒縁の分厚いメガネをかけており、素顔はハリウッド 女優のように整っている。「仕事で一番大切なのは人間関係だ」という持論を持ち、周囲の人間の情報集めを怠らないが、周囲からは「頭がいいのが取り柄の口うるさい女」といった印象を受けがちで、評判はあまりよくない。
挿絵によれば長い黒髪を持つ色黒の女性で、私服はチューブトップに「VENEZIA」と書かれたローライズパンツを履いている。またこのときは裸眼であった。
コニーリオとカフェで待ち合わせたところを散布されたパープル・ヘイズの毒にかかり、悶え苦しんだ末に死亡する。
ピーター・フォーク(仮名)
本名は不明。トレンチコートを着たピーター・フォークにそっくりの中年刑事。生物テロ事件の捜査にあたっていた。
若い警官
ピーター・フォークと一緒にいた警官。コニーリオは「以前にどこかであったことがある」ような感覚を覚えたが、真相はわからなかった。
マリオ・セガーリ
ネアポリスにいる倉庫の警備員。口髭を生やした男で、ナランチャによれば『スーパーマリオ』のマリオによく似ているらしい。本作では直接的には登場しない。

『恥知らずのパープルヘイズ』の登場人物

用語

パッショーネ
ジョルノが入団しているギャング団で、イタリア語で「情熱」という意。創立者はディアボロ。登場人物のほとんどがパッショーネ内部のメンバーであるため、作中で組織と言えばそれはパッショーネのことを指す。
ブチャラティが公開情報として知る限り、構成員756人で、ボスを筆頭に参謀、ボス親衛隊、複数の幹部とチームで構成されている。ボスの正体は幹部や親衛隊すら知らないシークレットで、もしボスの正体を探ろうとすればその者には死の制裁が待っている。建前上は、ボスは信頼する右腕(参謀)とのみ連絡を取るとされている。実際はボスのディアボロは二重人格者であり、第二人格のドッピオは自分がボスの右腕と信じ、ディアボロに誘導される形で行動している[13]
主にイタリア各地で活動しており、ホテル・港の運送会社・建築会社・葬儀屋・レストラン・賭博場での収益で稼いでいて、賭博や麻薬での収益が大半を占めている。麻薬は禁じ手としていたが手を出している。創設してからヨーロッパ全土の麻薬犯罪件数と死者数は約20倍に拡大した。
入団方法の一つは幹部の1人であるポルポに会い、ポルポから出題された「試験」に合格することである。しかしそれは同時に「『矢』の試練」によるスタンド能力者を増やす策略であり、スタンド能力者になればそれでよし、真面目に試験の内容を守ればそれなりに利用価値があり、もし失格してすんなり入団をあきらめたり、「『矢』の試練」で命を落としても関係なしと非情なものである。入団の際には団員の証としてバッジが手渡される。
組織に多額の上納金を納めた者は「組織に最も貢献した者」として幹部になることができる。作中、幹部のポルポが死んで空席ができ、隠し財産の管理をしていたブチャラティが当時ボスに最も信頼されていたペリーコロに隠し財産の全額を上納したため、ブチャラティがネアポリス地区の新たな幹部になった。
ジョルノ入団時は「暗殺チーム」が仕事に不相応な報酬額に不満を持っていて、仲間のソルベとジェラート2人がボスの近辺を調べようとしたばかりに最も残虐な手段で殺害されたこともあり反旗を翻していた他、チョコラータやセッコも虎視眈々とボスの座を狙っていた。最終決戦でディアボロが倒された後は、ジョルノが新たなボスとなった。
恥知らずのパープルヘイズ』では、台頭の過程が掘り下げられ、まずは既存組織に対する「義賊」として支持を得、組織拡大で組織基盤が確立したと同時に麻薬を開拓したとされている。この麻薬はスタンドで創り出した特殊な麻薬である。
レクイエム(鎮魂歌)
スタンド能力を覚醒させる「矢」でさらにスタンドを射抜くことで、覚醒したスタンドの姿。
ポルナレフはウイルス進化説を紹介して、「矢」で引き出されたスタンド能力は、ウイルスによる淘汰の副産物であるとしている。また強靭なスタンド使いでなければ、レクイエムの真の力には到達できないと推測している。事実、今や戦闘者として再起不能状態のポルナレフが使用した際には、その強大な力を制御しきれずレクイエムは暴走してしまった。
ポルナレフのシルバーチャリオッツと、ジョルノのゴールド・エクスペリエンスが、それぞれ異なるレクイエムへと進化している。

備考

この節に雑多な内容が羅列されています 事項を箇条書きで列挙しただけの節は、本文として組み入れるか、または整理・除去する必要があります。(2014年7月)
  • 『週刊少年ジャンプ』連載時には「気分はJOJO」というおまけ・広告的なコーナーがあった。また誌上で連載当時、キャラクター人気投票を募ったことがあるが、結果は発表されなかった。
  • 物語冒頭で、康一がタクシーの料金を尋ねる際やジョルノが康一を白タクに勧誘する際の通貨単位が本誌では「リラ」となっていたが、単行本以降は「円」に変更されている。ほかのシーンでも通貨単位は円で表記されている。テレビアニメ版では通貨単位が「リラ」になる。
  • イタリアなので、「Part5・JOJO」が『Parte5・GIOGIO』と表記されるなど、イタリア語を用いた表現が多く用いられる。他方では、イタリアでありながら日本語的な表現が散見する(例:ルカの用いた「友情に必要な3つのU・嘘をつかない・恨まない・敬う」、ギアッチョの用いた「根掘り葉掘り」、など)逆にイタリア語を用いたセリフ表現が、本来のイタリア語としては不自然な言い回しになっているものもある(例:メローネのディ・モールト=非常に)。これらは翻訳イタリア語版では調整がされている。
  • ポルポの隠し財産を回収するための目的地は、雑誌掲載時の最初のセリフではタオルミーナであった。これが連載中の設定変更によりカプリ島に行くように変わった。単行本では最初からカプリ島に向かうよう修正されている。
  • 単行本62・63巻のおまけページにはキャラクターのプロフィールなどがある。ただしこれらの設定には劇中の実際の描写と食い違う部分もある。
  • 単行本49巻で、フーゴが勉強のできないナランチャに対する罵倒のセリフの「ド低能」の部分が差別用語に接触するとされ、文庫版31巻において別のセリフ「クサレ脳ミソ」に変更されている(単行本も後に変更された)[注 15] 。作者は文庫版30巻のあとがきでこの件について触れ、直接的な表現こそ避けながらも編集部に対する不満ともとれる文を書き連ね、「もめ事を起こしても疲れるだけだから、とりあえず従っておく」とコメントしている。
  • 初期構想ではミスタ、ナランチャ、フーゴ、アバッキオの内、誰かがチームを裏切る予定だったがカットされた。フーゴが物語の途中で退場するのはこの構想の名残である[14]
  • 本作の連載中に、『ドルチ』が『オールマン』に、『岸辺露伴は動かない』の第一作「エピソード16懺悔室」が『週刊少年ジャンプ』誌上に発表されている。要素に連載との共通点がみられるのは、短編は長編連載から漏れたアイデアを使っているため。

小説

いずれもジャンプ ジェイ ブックスから。どちらもフーゴにフォーカスが当たるが、相互ノータッチである。

『ジョジョの奇妙な冒険II ゴールデンハート/ゴールデンリング』

概要(ゴールデンハート/ゴールデンリング)

著者は宮昌太朗、大塚ギチの二名の共作。2001年5月31日初版刊行。

本書は『ジョジョの奇妙な冒険』第5部の時点(2001年)のイタリア・ヴェネツィアを舞台に、ブチャラティチームがギャング組織「パッショーネ」から離反した直後(原作の時間軸では4月2日前後)の物語を描く、オリジナルインサイド・ストーリーである。

主人公は本作オリジナルキャラクターのスタンド使いの少女・コニーリオと、ヴェネツィアからの脱出を試みるブチャラティーチームの面々であり、二者の動向が交互に描かれる形式である。また、チームで唯一組織に残ったパンナコッタ・フーゴも、彼らを狙う刺客の1人として登場する。

イタリアでも2004年に出版された。

本作独自の解釈・設定

  • サン・ジョルジョ・マジョーレ島のキング・クリムゾンとの戦いの後、ブチャラティ一行は数日間(トリッシュの発言からして3日間)ヴェネツィアに滞在・潜伏している。「ヴェネツィアからの脱出」を当面の目標としているが、その具体的な方法や次なる進路については示されていない。
    • 原作の時間軸では4月2日早朝にヴェネツィア入りし、当日中にサルディニアへ発っている。
  • 「トーキング・ヘッド」のスタンド使い(ティッツアーノ)が、ブチャラティたちのヴェネツィア入りを阻む「裏切者グループ」のひとりとしてカウントされている。
  • キング・クリムゾンの能力が「世界から数十秒だけ時間を消し去る能力」と説明されている(原作では「十数秒」)。
  • 各キャラクターのファッションについては多くは否定的であり、ブチャラティチーム全員を「おかしな恰好をした集団」と説明している。
  • 原作では不明であった各キャラクターの色彩が明確に指定されている。例えばジョルノの服は緑、ブチャラティの服は白、ナランチャの服は黒、フーゴの服はモスグリーンである。
  • フーゴについて
    • 彼は件の教師暴行事件後もなにかにつけて暴れており、ネアポリスのギャンググループと付き合い始めてからも、その凶暴な性分から仲間内でも煙たがられ、組織の厄介者になりかかっていたところをブチャラティに拾われた、という過去がある。
    • 彼はよくミントの葉を口にしており 、作中においては「ミントの香り」が彼のトレードマークとなっている。なお原作にはそのような描写はなく、特段好きだという設定も無い。
    • パープル・ヘイズのウイルスは本体の彼には影響がない。また同様に、ウイルスを溜めこみ散布するようになったザ・キュアーも本体のコニーリオには何ら影響がなかった(ここで「癒し」の能力が使われていたのかは不明)。

本作における用語

モンド・アーリア
ヴェネツィアのスキアヴォーニ河岸沿い、サン・マルコ寺院のすぐ側に建つホテル。元は16世紀に建てられた名家の別荘で、100年ほど前に買い取られ、ホテルに造り替えられた。
エントランスロビーは3階まで吹き抜けで、1階はホテルのフロントと曲がって右がイタリアンレストラン、左には小さなカフェがある。客室は何度も改装された跡があるが、どこか落ち着いた雰囲気がある。
生物テロ事件(1)
ヴェネツィアの「モンド・アーリア」ホテルで起きた正体不明の生物兵器(警察は「新種のウイルス」と推測)によるテロ事件。建物周辺が停電した後、ロビーにいた多くの観光客や従業員の身体が腐って死亡、唯一コニーリオのみが生存し、病院に搬送された。
事件翌日には新聞の一面に掲載され、それを見たブチャラティたちはフーゴのパープル・ヘイズのウイルスによるものと推測している。
生物テロ事件(2)
コニーリオから数えて3度目のパープル・ヘイズのウイルスによる無差別テロ事件。彼女もザ・キュアーで治癒に奔走するも間に合わず、100人を超える犠牲者を生み出した。前回と同様に周囲の建物は停電しており、二次的に火災も発生している。翌日に新聞で報じられた。
「荒野に建つ教会」
上述の事件後、口伝えに広まった新しい都市伝説(どの場所で広まったのかは不明)。
一人の少年が友人の家から帰る途中、荒野を遭難していたところ、そこに美しい女性が現れ、彼女の住むあばら家に招待される。そこで食事を供され、彼女や白いウサギに心身の傷を癒されて、ベッドで横になるが、目を覚ますと彼の家の側にあるベンチで寝ていた、といった内容の物語である。
話によっては舞台が砂漠や海の孤島であったり、主人公の設定もまちまちであるが、大筋のストーリーは同じであるという。これは作り話や流言ではなく、その後のコニーリオをモデルとした実話である。

登場した実在の地名・施設など

括弧内はイタリア語の表記。

その他

ゲーム

カプコンから2002年 7月25日PlayStation 2用ゲームソフト『ジョジョの奇妙な冒険 黄金の旋風』が発売されている。

テレビアニメ

ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風』のタイトルで2018年10月から放送。

脚注

注釈

  1. ^ 原作および黄金の旋風は北米にて翻訳されていないため。
  2. ^ この際、目の下に隈ができていたり、顔や髪がボロボロだったりと、当時の彼の荒んだ様子が描写されていた。
  3. ^ 原作では暴行事件を起こした理由は説明されていないが、小説『恥知らずのパープルヘイズ -ジョジョの奇妙な冒険より-』では教授から亡くなった祖母を罵倒されたことに激怒し、暴行したことになっている。
  4. ^ 原作ではここで語られていたアバッキオの過去がズッケェロ戦に前倒しされている。
  5. ^ なお、この時側にいたターゲットの連れの女も飛び出した車の下敷きになって巻き添えで死亡した。
  6. ^ イルーゾォ以外の人物が衣服を着たまま動けているのは、「生命エネルギーのイメージ」として本人の一部と見做されているため。
  7. ^ ゲーム版などでは金髪。
  8. ^ 本来のイタリア語では会話の際にこの言い方はしない(話し言葉としては不自然な表現)ので、本作がイタリア語に訳された際は、自然な言葉に差し替えられている。
  9. ^ アニメ版ではすべてのステータスが「教育次第」に設定されている。
  10. ^ 原作では無名であったが、テレビアニメ版ではエンディングクレジットにて名前が付けられた。
  11. ^ テレビアニメ版ではシルエットで隠れた2人組の内の一人によって輪切りにされている。
  12. ^ 「B・I・G」は当初「ビー・アイ・ジー」や「ビッグ」と混同にルビが振らされていたが、文庫版では「ビッグ」に統一されている。
  13. ^ 登場話の後期では名前が「チョコラート」と表記されていた。文庫版以降は「チョコラータ」に統一されている。
  14. ^ ナランチャがルカのことを嫌いだと言った際、誰もそれを否定せず、ブチャラティもそのことを肯定しつつも同じパッショーネの組員なので、そのようなことを言わないようにとたしなめている。
  15. ^ テレビアニメ版もナランチャのセリフを含め変更後のものが使用されている。

出典

  1. ^ SPURムック『JOJOmenon』より。
  2. ^ 「男たちの奇妙な愛情!?『ジョジョの奇妙な冒険の平行世界』」『ユリイカ 11月臨時増刊号 総特集☆荒木飛呂彦 -- 鋼鉄の魂は走りつづける』青土社、2007年11月25日、32頁。ISBN 978-4-7917-0170-4 
  3. ^ a b c d e f "「ジョジョ」第5部キャストに榎木淳弥、山下大輝、鳥海浩輔、諏訪部順一". コミックナタリー . 株式会社ナターシャ (2018年7月5日). 2018年7月5日閲覧。
  4. ^ a b 『Comnavi』Vol.3「Interview&Graph」
  5. ^ a b c d e f g h コラム「気分はJOJO 最終回SPECIAL!!〜5部Q&A〜」(『週刊少年ジャンプ』、1998年9号)
  6. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 『JOJOVELLER完全限定版 STANDS』の荒木飛呂彦によるコメントより。
  7. ^ アミュレートのプロフィールページより。
  8. ^ アニメディア』2018年12月号、学研プラス、2018年11月、31頁。
  9. ^ "過去の作品". 木内秀信の公式サイト. 2012年9月30日閲覧。
  10. ^ 『JOJOVELLER完全限定版 STANDS』175頁。
  11. ^ a b 『JOJO A-GOGO STANDS』120ページにて、スタンド使いであると断定はできないが、他状況を見ると彼らもおそらくスタンド使いであったと推測できるという旨の分析あり。
  12. ^ 『週刊少年ジャンプ』1997年36号
  13. ^ 公開情報はJC48・49巻、ドッピオについては58巻。
  14. ^ 文庫本39巻より。

関連項目

  • 徐倫、GUCCIで飛ぶ - ブチャラティとアバッキオが登場。キャラクターの設定は異なっている。

外部リンク

 
ジョジョの奇妙な冒険
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