魔女 (ハンドル)
魔女(ハンドル)(まじょ)とは、1980年代にパソコン通信のコミュニティで活躍した男性である。PC-VANの創成期にSIG「QLD画像通信」を立ち上げた他、画像ローダーやセーバーの製作を始めとして、バイナリ・テキスト相互変換プログラムなどの製作を行った。また、博識で論鋒鋭く人気があった。
PC-VANでのLADY紛争の最中、バイク事故で逝去(1990年 6月2日)。PC-VAN内外に衝撃を与え、電子掲示板には千に及ぶ追悼メッセージが並んだ。
QLD及びその周辺
当時のパソコンの性能は低く、表示色は8色が主流で、一部の機種に16色表示があった程度である。日本国内ではPC-9801シリーズが大きなシェアを築いていたが、テキストによるやりとりを基本とするパソコン通信においては他の機種による参加者も少なからずいた。また、PC-9801ユーザーの間でも標準的な画像フォーマットがなく、市販のグラフィックソフトを出力する画像形式が異なることから、機種やソフトの壁を越えてやり取り出来る標準的な画像フォーマットが求められていた。
SIG-QLD画像通信は1988年1月に開設されたが、QLDはそれより以前から使われていて、専用の画像データが各所に蓄積されていた。またSIG-QLD画像通信の開設後は、画像関係以外のソフトウエアも開発された。
QLD
QLDとは、パレットなし8色専用画像セーバー「 QSV 」が出力する、拡張子GRA の画像データを表示するローダーである。 あるいはその画像フォーマットを指す。QSV は VRAM に表示させた画像を取り込み圧縮してセーブする仕組みだが、事前にスキャナーで写真や画像を読み込むか、ベタファイルを VRAM にロードしておく必要があった。圧縮率はさほど高くはない。
XLD
XLDはパレットありの16色画像ローダーで、セーバー「 XSV 」を用いるほかは使い方は同じである。これの拡張子はQ4 だが、圧縮アルゴリズムの見直しが行われ、PKARCやLHarc などのアーカイバによる圧縮は不要とされた。QLDはPC-9801シリーズ以外の機種にも移植され、他のパソコン通信局にも普及したが、16色のフォーマットではMAKIとその後継のMAGがシェアを獲得して、XLDはQLDほどの成功を見なかった。
QLD画像通信
開設間もない1988年7月末の時点で、掲示板の数は11個であった。これは他のSIGと比較しても異例の多さであるが、掲示板の増設にはPC-VAN運営事務局の了承が必要であったことから、PC-VANの売りのひとつとして認められたためと言える。
- 小学校(Q&A)
- 遊園地(初心者用・ハード)
- 中学校(QLD)
- 茶室(PDS感想・意見)
- 図書館(PDS)
- 美容院(女性優先)
- 美術館(画像)
- スナック(フリートーク)
- 公民館(展示)
- 喫茶室
- 魔天楼(独り言)
ソフトウエアや各種データは、一般にバイナリ登録用のOSLと呼ばれるライブラリに収められた。しかしPC-VANにおいては定額料金の会員にもOSLからのダウンロードは別途課金されることから、石塚匡哉(いしづか まさや)製作のバイナリ/テキスト相互変換ソフトウエアishで、テキストとして表示できる文字に変換された後に掲示板にアップロードされる時もあった。QLD SIG内においては、ishでなく、魔女が開発した同機能のMAJOを用いることが推奨された。ishはパソコン通信におけるテキスト・バイナリ変換の標準的な地位を築いたが、MAJは一般化することはなかった。
関連項目
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