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ベリリウム

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リチウムベリリウムホウ素
-

Be

Mg
4Be
外見 灰白色の金属
一般特性 名称, 記号, 番号 ベリリウム, Be, 4 分類 alkaline earth metal , 周期, ブロック 2, 2, s 原子量 9.012182(3) 電子配置 [He] 2s2 電子殻 2, 2(画像) 物理特性 灰白色 固体 密度(室温付近) 1.85 g/cm3 融点での液体密度 1.690 g/cm3 融点 1560 K, 1287 °C, 2349 °F 沸点 2742 K, 2469 °C, 4476 °F 融解熱 7.895 kJ/mol 蒸発熱 297 kJ/mol 熱容量 (25 °C) 16.443 J/(mol·K) 蒸気圧
圧力 (Pa) 1 10 100 1 k 10 k 100 k
温度 (K) 1462 1608 1791 2023 2327 2742
原子特性 酸化数 3, 2, 1
(両性酸化物) 電気陰性度 1.57(ポーリングの値) イオン化エネルギー 1st: 899.5 kJ/mol 原子半径 112 pm 共有結合半径 96±3 pm ファンデルワールス半径 153 pm その他 結晶構造 hexagonal 磁性 反磁性 熱伝導率 (300 K) 200 W/(m⋅K) 熱膨張率 (25 °C) 11.3 μm/(m⋅K) 音の伝わる速さ
(微細ロッド) (r.t.) 12870 m/s ヤング率 287 GPa 剛性率 132 GPa 体積弾性率 130 GPa ポアソン比 0.032 モース硬度 6.5 ビッカース硬度 1670 MPa ブリネル硬度 600 MPa CAS登録番号 7440-41-7 主な同位体 詳細はベリリウムの同位体を参照
同位体 NA 半減期 DM DE (MeV) DP
7Be trace 53.12 d ε
γ
0.862
0.477
7Li
-
9Be 100% 中性子5個で安定
10Be trace ×ばつ106 y β 0.556 10B


ベリリウム(Beryllium)は金属 元素の1つで、元素記号Be原子番号は4であり、原子量は約 9.012 である。常温、常圧で安定した結晶六方最密充填構造(HCP)を持つ。比重は 1.85、融点は 1300 °Cほどで、沸点は 2970 °Cである。銀白色の金属で、空気中では表面に酸化被膜が生成され安定に存在できる。モース硬度は 6 から 7 を示し、硬く、常温では脆いが、高温になると展性延性が増す。にもアルカリにも溶ける。

歴史

ベリリウムという名前は緑柱石(beryl, ギリシア語で beryllos)に由来している。ベリリウム塩類が甘みを持つ事から、かつてはグルシニウム(glucinium, ギリシア語で甘さを意味する glykys から)と呼ばれた。1797年ルイ=ニコラ・ヴォークランによりベリリウム酸化物が緑柱石の中から発見された。その後1828年フリードリヒ・ヴェーラーアントワーヌ・ビュシーにより独立に単離がなされた。

ベリリウムの化合物

ベリリウムは、原子半径が小さく電子を放出しにくいためイオン結合性より共有結合性の強い化合物を作る。

用途

合金

(Cu)に0.15%から2.0%程度を混ぜてベリリウム銅合金として利用される。銅よりもはるかに強く、純銅に近い良好な電気伝導性がある。膨張率はステンレス鋼及び鋼(はがね)に近い。ゆっくり変化する磁界に対し高い透磁率をもつ。 また、アルミベリリウム合金も軽量かつ強度が高い特徴があり、F1レーシングカーの部品(安全性の観点から2001年以降は使用禁止)や航空機の部品にも使用されている。

ベリリウム銅合金は常温下での強度が高く高抗張力で弾性が大きいため、バネ材に用いられることが多い。また、磁化しにくい・打撃を受けても火花が出ない特徴を持つ事から、このため石油化学工業などの爆発雰囲気の中で使用する防爆対策工具に、安全保持上用いることもある。

また、ベリリウムは放射線分野においても不可欠とされる。X線に対する透過率が非常に高いため、X線源やビームライン、検出器用の窓に用いられる。アルファ線照射により中性子を放出する中性子線源としても重要で、原子炉での中性子反射減速材として使用される他、原子爆弾の核反応促進材としても重要である。

ベリリウム中を音が伝わる速度は 8–13 km/sとかなり速いので、ヤマハパイオニア等の音響機器メーカーの高音域スピーカー振動板(主にドーム型)に使用される他に、グレース製レコード針のカンチレバーに用いられた例がある。

軽量・高強度であるためジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の主鏡材料として使用される。

同位体

地球大気に入射した宇宙線により生成され、7Be,10Beが最も多く作られ、生成量は宇宙線の線量に依存する。大気中の滞在時間は成層圏で1年程度、対流圏で1ヶ月程度とされており、極地方のアイスコア中に残された10Beは、14C(炭素14)と共に、太陽活動変動を記録しているため、過去の太陽活動の解析に用いられる[1]

なお、原子番号が82以下の偶数で、安定同位体が1つしかない元素はベリリウムだけである。

人体への影響

極めて毒性の高い物質で、人体に入るとベリリウム肺症として知られる深刻な慢性肺疾患を引き起こす。
ベリリウムおよびベリリウム化合物は、WHO の下部機関 IARC より発癌性がある(Type1)と勧告されている。

関連項目

脚注

  1. ^ ベリリウム10と炭素14を用いた最終退氷期の太陽活動変遷史に関する研究

外部リンク

ウィキメディア・コモンズには、ベリリウム に関連するメディアがあります。

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