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中華航空006便急降下事故

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激しく損傷した006便の尾翼付近
006便の降下中の姿勢(推測図)[1]

中華航空006便急降下事故(ちゅうかこうくう006びんきゅうこうかじこ、中国語:中華航空006號班機、英語:China Airlines Flight 006)とは、1985年 2月16日中華民国(台湾)の航空会社であるチャイナエアライン旅客機太平洋上で急降下した航空事故(重大インシデント)である。2分間で10,000m近くも急降下したが、奇跡的に墜落を免れ生還したことで有名である。

事故当日の中華航空006便

事故の概略

離陸から10時間後、006便は燃料消費のために機体重量が軽くなった為、より空気抵抗が少なく経済的な燃費を発揮できる高度41,000フィート(12,500m)まで上昇していた。この時点でサンフランシスコの北西部まで300マイル(550km)の太平洋上を飛行していた。この高度では許容される最大速度と最小速度の差がわずか30ノットであった。もし最大速度を超過すると機体が損傷する危険があり、最小速度を割ると失速する危険があった。

当時は自動操縦がセットされマッハ0.85で巡航するようにセットされていたが、飛行していた空域では晴天乱気流が発生しており、巡航速度が微妙に変化していた。自動操縦が速度が超過しているとして推力レバーが最小出力にまで絞られた時に第4エンジンで異常が発生した。そのため航空機関士が第4エンジンの出力を回復させようとして試みたがついにフレームアウト(停止)してしまった。この時になって操縦士は機首を下げ降下しようとして自動操縦を解除したが、運航乗務員はそれまで自動制御に依存しすぎでマッハ0.75までに減速していたことに気づいていなかったため、失速速度になっており、大きく機体が傾いてしまい、きりもみ状になって垂直降下した。

006便は毎分15,000フィートという猛烈な降下率で海面に向けて降下していた、006便の機体構造は最大5Gの負荷にさらされ、機体は空中で転覆したかのような姿勢となった。尾翼近くの水平安定板は飛散し、APUも脱落するなど空中分解する寸前のダメージを受けていた。11,000 フィート(3,400m)にあった雲層を突破した時に偶然着陸装置が降りて(扉が空中で飛散した為)機体を安定させる効果をえられた。また006便の機長が元軍用機パイロットであった為、この5Gの負荷の中で操縦できたことも幸いであった。さらに雲を抜けたことで海面を視認でき、急降下で失われていた操縦乗務員の視覚感覚を取り戻すことが出来た。そのため006便は9,600フィート(2,900m)で水平飛行に回復することが出来た。結局2分半で30,000フィートも降下しており、あと40秒で海面に激突するところであった。降下中は全てのエンジンが停止したと思われていたが、実際には3つのエンジンは作動していた。

006便は、最寄のサンフランシスコ国際空港へ緊急着陸を要請し、途中27,000フィートまで上昇したが、その後は異変が発生することなくおよそ1時間後に着陸した。この事故では機体に大きな損傷があったほか、重傷2名、軽傷50名を出したが、墜落寸前の事故から奇跡的に全員が生還した。

事故原因

一連の急降下は、エンジントラブルが引き金であったが、操縦士が自動制御に依存しすぎていたため失速速度になるまで気が付かず、機長が自動操縦を切った時点で左右の推進力のバランスが失われており、制御する準備が整わらないうちに失速し急降下を始めた。またNTSBは事故の要因の一つとして機長が過労気味であり時差ぼけのために素早い対応が出来なかったとした。

関連項目

参考文献

  • スタンリー・スチュアート; 十亀洋(訳) 『墜落か生還か-緊急事態発生』 講談社.2000年. ISBN 4062103230


この事故を扱った作品

メーデー!4/航空機事故の真実と真相の第6話「太平洋上でのパニック」でこの事故が使われた

脚注

  1. ^ NTSB report courtesy of University of Bielefeld - Faculty of technology html version by Hiroshi Sogame Safety Promotion Comt. All Nippon Airways

外部リンク

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