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武田邦彦

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武田 邦彦 (たけだ くにひこ、1943年 6月3日 - ) は東京都出身の工学者。旭化成工業に20年勤めウラン濃縮などの研究開発をした後、芝浦工大などを経て、現在中部大学総合工学研究所教授となる。工学博士。専門は資源材料工学で、機能材料構造を研究テーマとしている。[1]

学術活動の他に、環境分野の評論活動も積極的に行っており、一般には専門よりも評論活動の方が有名である。この分野の代表作は、著書『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』[2] など。この環境分野に関しては独特の自論で評論を行っており、例えば「リサイクルは不要」・「ダイオキシンは心配無い」・「地球温暖化は心配無い」などの主張がある(後述)。これらの地球環境問題の定説に組しない独特の自論は、科学論文としてではなく、TVなどマスメディアや一般向け書籍などを活動舞台として開陳している。

また、工学教育に関する研究も行っている[3] 。公式ホームページ[4] では科学・歴史・倫理など分野に拘らないエッセイを公開している。

注目をあびたきっかけ

テレビ番組「たかじんのそこまで言って委員会」(ytv)2007年3月25日放送分に出演し、自著『環境問題はなぜウソ・・・』を元に、リサイクル・ダイオキシン・地球温暖化に対する一般的認識とは全く異なる自説[5] を展開して注目を集めた。

放送の後、著書『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』と続編は併せて50万部を売り上げるベストセラーとなった。

主張

ゴミは全て焼却すればよい
日本で発生した二酸化炭素は偏西風に乗り太平洋で雨で海に溶ける。有害な飛灰も資源が含まれるのだから貯めて子孫のプレゼントにすればよい。ゴミを全て燃やせば廃棄物貯蔵所の問題も無くなる・・・[6]
食品添加物・農薬・環境ホルモン・ダイオキシン・鉛 -- 全部、毒物ではない
食品添加物の被害事例はズルチンだけ。農薬の被害は全く無い。ダイオキシンにも注意は不要・・・[7]
持続性社会を作るためは二酸化炭素を増やすべき
現在は平安時代縄文時代よりかなり寒い。二酸化炭素は地球誕生以降、減り続けている。二酸化炭素の増加よりも二酸化炭素の枯渇が問題。生物が地上に繁栄する為に二酸化炭素を増やすべきだ。[8]
樹木は二酸化炭素を吸収しない
自然は定常状態であり、二酸化炭素は増えも減りもしない。[9]
食品リサイクルは止めよ
生ごみの中には、電線・電池蛍光灯等も少し混じる。つまり食品リサイクルをすると、銅・水銀・カドミウムが畑にまかれて蓄積するのだ。[10]
水銀は有毒ではない
水銀が有毒、とは不正確な言い方。水銀も土地の文化・風土に合った使い方では有毒ではないのだ。[11]
環境問題は幻である
高度成長が終了すると、日本は成長という社会目的を失った。続いて1990年にバブル経済が崩壊してさらに様々なものを失った。その後の不況で金余りの時代には、投資資金が環境分野に注がれた。そして社会進出を果たした女性は環境問題の恐怖心を煽りたてられた結果、(女性特有の問題もあり)戦前の大政翼賛会婦人会の如く環境原理主義的な行動に走った。これら結果、日本は本来は存在していない環境問題が、虚像の如く構築され、緊急の問題のように扱われる状態なのである。[12]

『環境問題はなぜウソ・・・』への反論等

  • 東北大学 教授明日香壽川らによって他の地球温暖化人為説を疑問視する立場の論と一緒にして批判が行われている。地球温暖化問題懐疑論へのコメント
  • 環境専門誌「日経エコロジー」(2007年8月号,日経BP社)によると『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』にペットボトルの利用量は(2004年)が51万tなのに、再利用量は3万tである。...実にバカらしい」という記述があり、これを裏付けるデータとして、折れ線グラフを掲載した。出所はPETボトルリサイクル推進協議会となっているが、同協議会は「3万tという数字をだしたことが全くない」として、同協議会の名前を騙ったデータ捏造と同年6月28日にホームページに反論を掲載している[13] 。同誌によると武田は「容器包装リサイクル法は国内循環を想定しているし、消費者感覚からも国内で流通する再生品の量を調べた統計データがないので自分で推定するしかなかった。3万tが少なすぎるというのなら、国や関係団体は正確な量を調べてほしい」、「リサイクル施設への聞き取り調査や市場調査を基に独自に推定した。引用がPETボトルリサイクル協議会になっていたのは誤りで、次書では訂正する」と言ったとしている。
  • 『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』の増刷り時に「再使用量は武田研究室算出」との説明が追記された[14] 。武田は「それは『誤り』だったというのではなく、『もし協議会がご不満なら謝る』ということだ」と説明している[15]
  • ペットボトルのリサイクル率は公には発表されておらず、PETボトルリサイクル推進協議会や行政によるリサイクル量や海外への輸出に関する情報の不透明性について武田は問題視している[16] 。ただし、廃棄物処理法容器包装リサイクル法などの環境諸法令で同協議会や行政が統計する責任なく、リサイクル率データを請け負う機関は日本には事実上存在しない。
  • また古紙問題に関して「古紙問題市民行動ネットワークのデータ」と称してグラフを載せているが、当該団体のデータとは全く異なるデータを使っており、抗議を受けた古紙ネット会報第73号
  • ほかにと学会会長のSF作家山本弘が著書『"環境問題のウソ"のウソ』楽工社,2007年や公式サイト[17] などで批判している。

学歴

職歴

著書

単著

(出版が新しい書籍順)

  • 『偽善エコロジー ― 「環境生活」が地球を破壊する』 幻冬舎新書、2008年
  • 『バイオ燃料で、パンが消える』 PHP Paperbacks、2008年
  • 『高分子材料の劣化解析と信頼設計』 エヌ・ティ・エス、2008年
  • 『暴走する「地球温暖化」論―洗脳・煽動・歪曲の数々』共著 文藝春秋、2007年
  • 『環境問題はなぜウソがまかり通るのか2』 洋泉社、2007年
  • 『国債は買ってはいけない!』 東洋経済新報社、2007年
  • 『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』 洋泉社、2007年
  • 『何を「食」べれば安全か!』 青春出版社、2004年
  • 『二つの環境 ― いのちは続いている』 大日本図書、2002年
  • 『日本社会を不幸にするエコロジー幻想―「環境にやさしい」が環境を破壊する』 青春出版社、2001年
  • 『リサイクル幻想』 文春新書、2000年
  • 『「リサイクル」汚染列島―「環境」にも「身体」にも悪いリサイクル社会の危険性とは』 青春出版社、2000年
  • 『環境にやさしい生活をするために「リサイクル」してはいけない』 青春出版社、2000年

共著・監修

  • 『難燃性高分子材料の高性能化技術』(シーエムシー出版、2004年)
  • 『非臭素系難燃材料データブック』監修(新エネルギー・産業技術総合開発機構、2003年)
  • 『ノンハロゲン系難燃材料による難』 (エヌ・ティー・エス、2000年)
  • 『エンジニアのためのプラスチック材料工学』(共立出版、1999年)
  • 『カシコい奥さんのための環境にやさしい商品 買っていいもの悪いもの―食べるものから、住まい、生活用品までを総チェック』監修 (青春出版社、1999年)
  • 『分離科学ハンドブック』(共立出版、1993年)

脚注

  1. ^ 教員・研究者情報 武田邦彦(中部大学ホームページ)
  2. ^ 武田邦彦『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』洋泉社 2007, ISBN 4862481221
  3. ^ 平成11年日本工学教育協会工学教育賞(倫理)、平成15年日本工学教育協会論文・論説賞(創成科目)を受賞
  4. ^ 武田邦彦(公式ホームページ)
  5. ^ 基本的に、ダイオキシンや地球温暖化は一般の論文やIPCCのデータの一部を引用して論理を組み立てている
  6. ^ カラッといこう!環境問題は一つもない(1)(武田邦彦ホームページ)
  7. ^ カラッといこう!環境問題は一つもない(2)(武田邦彦ホームページ)
  8. ^ カラッといこう!環境問題は一つもない(3)(武田邦彦ホームページ)
  9. ^ 中学生講座 4 樹木は二酸化炭素を吸収するのですか?(武田邦彦ホームページ)
  10. ^ 食と環境 その3 ー食品リサイクルー(武田邦彦ホームページ)
  11. ^ 食の安全・安心 24 ー水銀=(武田邦彦ホームページ)
  12. ^ 環境中級講座 その8 環境問題は存在するのか?
  13. ^ "書籍『環境問題はなぜウソがまかり通るのか」での弊協議会データ捏造について』(PETボトルリサイクル推進協議会)". 10月29日閲覧。accessdateの記入に不備があります。
  14. ^ 2007年10月29日 11刷では訂正済み
  15. ^ "Wikipediaの記述について". 1月13日閲覧。accessdateの記入に不備があります。
  16. ^ 武田邦彦『環境問題はなぜウソがまかり通るのか2』洋泉社 2007, ISBN 4862481825
  17. ^ 『"環境問題のウソ"のウソ』批判に答える

外部リンク

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