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国鉄213系電車

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国鉄213系電車
主要諸元
編成 2両 および 3
軌間 1067
電気方式 直流1500V
最高運転速度 110
設計最高速度 110
起動加速度

1.4(MT比1:2時)km/h/s

2.1(MT比1:1時)/
減速度(常用) 3.5
減速度(非常) 5.0
車両定員

座席60・立席8(クモハ213形0番台原形車)
座席64・立席8(サハ213形0番台)
座席58・立席8(クハ212形0番台)
座席40・立席0(クロ212形)
座席42・立席72(クハ212形100番台)
座席(補助席除く)54・立席79(クモハ213形5000番台)

座席(補助席除く)50・立席83(クハ212形5000番台)
車両重量

37.3t(クモハ213形0番台)
24.1t(サハ213形0番台)
26.5t(クハ212形0番台)
33.0t(クロ212形)
26.7t(クハ212形100番台)
36.8t(クモハ213形5000番台)

25.5t(クハ212形5000番台)
全長 20000
全幅 2966(クロ212形以外)
2950(クロ212形)
3004(クモハ213形5000番台)・(クハ212形5000番台)/
全高 4090(クロ212形以外)
3670(クロ212形)
4079(クモハ213形5000番台)
3970(クハ212形5000番台)/
主電動機 直巻整流子電動機
主電動機出力 120k×ばつ4
駆動方式 中空軸平行カルダン駆動方式
歯車比 16:83=1:5.19
制御装置 直並列組合せ抵抗制御界磁添加励磁制御
制動装置 回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ抑速ブレーキ・直通予備ブレーキ
保安装置

ATS-SW・SS(西日本車)

ATS-ST(東海車)
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213系電車(213けいでんしゃ)は、日本国有鉄道(国鉄)、西日本旅客鉄道(JR西日本)、東海旅客鉄道(JR東海)が1987年から1991年まで製造した直流 近郊形電車。国鉄として最後の新系列車両である。

概要

車体は、117系100番台211系との折衷的な構成となっている。すなわち、117系と同様の全長20mの車体に片側2か所の両開扉と、戸袋部を除いて2枚1組の一段下降式ユニット窓が並ぶ(21D122221D12、Dはドア、1は戸袋窓・中間車の場合)という側面構成であり、かつ211系と同様の軽量ステンレス車体とFRP製で窓周りが黒く縁取られた、いわゆる「額縁」形の前面とを合わせ持つ。前面は、客室からの展望に配慮して助士席側と貫通扉の窓が下方に拡大されている。列車種別表示窓は、415系1500番台と同様の、天地寸法の小さいタイプである。座席は転換クロスシート(先頭車運転台後部戸袋窓部およびクハ212形3位側戸袋窓部は固定クロスシート)である。

本系列の最初の投入先となる宇野線(瀬戸大橋線)では、211系のような長大基本編成での運行は考慮されず、基本編成が3両単位 (Mc - T - Tc') とされたたため、走行機器は、国鉄新性能電車として一般的なMM'ユニット電動車方式ではなく、1両のみで完結する単独電動車 (1M) 方式が採用された。この組成であっても、25‰の勾配上で運行可能な性能は確保されている。制御方式には、211系と同様の界磁添加励磁制御が採用されており、回生ブレーキの使用が可能で、省エネルギーにも配慮されている。なお、当時の岡山鉄道管理局管内では初の回生ブレーキ搭載車であり、その習熟運転に苦労したという話が鉄道雑誌に掲載されていたが、本系列の投入によって岡山運転区所属の運転士221系などの新型車両の運転も可能になった。

本系列のシステムは、もともと211系の横須賀総武快速線投入が計画された際に地下線(東京トンネル)を走行する関係で、編成の電動車比率を上げる(4M7T→5M6T)ために開発されていたもので(ただし2007年現在までこれらの路線には投入されていない)、ユニット方式の電動車を増結すると性能面で過剰になり、コスト面でメリットがなくなることが背景にある。そのため、211系との混結は可能であり、実際にJR西日本での団体臨時列車用に211系として製造された「スーパーサルーンゆめじ」と213系0番台との混結や、JR東海での213系5000番台と211系各番台との併結が見られる。またJR東海では、後継車である313系各番台を本系列と併結可能な仕様で製造しており、これらとの併結運転も日常的に行われている。電動機4個で直並列組合せ制御を行うことから、主電動機は端子電圧750VのMT64形(6000番台を除く211系は端子電圧375VのMT61形)であるが、歯車比は211系と同一の5.19で、力行時の速度・引張力特性は極力211系に合わせられている。

コストダウンのため、その他の機器も極力統一化が図られており、台車は当時標準的なボルスタレス方式のDT50B形(クモハ213形)、TR235B形(それ以外)である。ただし、ドア数が少なく、熱の出入りが比較的少ないことから、冷房装置集中式であるが、一般的なAU75形(42,000kcal×ばつ1台)ではなく冷却能力を抑えたAU79A形(33,000kcal×ばつ1台)を搭載する。

(注記)ユニット電動車方式とは、別々の機器を搭載する複数の電動車で1つの機構として完成する方式のことである。


JR西日本所属車(0番台)

形式

新造車

クモハ213-6(C6編成)山陽本線中庄駅〜庭瀬駅にて
クモハ213形 (Mc)

本系列の制御電動車で、奇数(瀬戸大橋線で岡山)向。パンタグラフ、主電動機、主制御器、空気圧縮機(CP)、補助電源用として静止形インバータ (SIV) を搭載する。国鉄時代の製造車で旅客サービス用補助電源装置に電動発電機 (MG) ではなくSIVが採用されたのは本系列のみである。

国鉄時代に8両、民営化後に4両の計12両が製造されている。2004年に8両(1〜3,7〜12)がワンマン運転対応化され、7〜12は編成を組むクハ212形100番台と同様、車両前部の座席が撤去された。

クハ212-1(C1編成・ワンマン対応車)赤穂線長船駅にて
クハ212形 (Tc')

本系列の制御車で、偶数(瀬戸大橋線で高松)向。3位側車端部にトイレを有する。国鉄時代に8両が製造された。2004年に4両(1〜3,8)がワンマン運転対応化された。

サハ213-1
サハ213形車内(「マリンライナー」運用当時の写真)
サハ213形 (T)

本系列の付随車。後述するJR東海車には存在しない。国鉄時代に8両、民営化後に3両の計11両が製造された。2003年の「マリンライナー」置換えにともなう編成組替えにより、5両が先頭車に改造されてクハ212形100番台となり、1が試験車「U@Tech」(サヤ213-1)に改造、2両(2,3)が廃車され、2006年現在、4〜6の3両のみが在籍する。


ファイル:JRW-Kuro212-1.jpg
クロ212-1。岡山駅にて
クロ212-1001
クロ212形の座席。外側および内側に向けて固定が可能
クロ212形 (Tsc')

JR西日本が1988年の瀬戸大橋線開通に合わせて独自に設計した、高松向のグリーン制御車である。瀬戸大橋走行時の客席からの眺望に配慮した設計となっており、側窓は屋根肩部にかかる大型の固定窓で、前面も流線型に大型の窓を備えた展望式である。車内も床面全体をハイデッキ構造として回転リクライニングシートを装備しており、座席を外側または内側に向けて固定することも可能であった。構造の関係上、車体は普通鋼で製作されており、重量が重いため、台車は強化型のWTR235形を装着する。冷房装置は床置き形のWAU301形 (33,000kcal/h) ×ばつ1台を搭載する。

6両が製造されたが、そのうち1両は211系電動車ユニットと編成を組む「スーパーサルーンゆめじ」用で、最高速度120km/hで1000番台(1001)を称する。他の5両は213系との連結用の0番台(1〜5)で、最高速度は110km/hである。塗装は0番台では白をベースにJR西日本のコーポレートカラーの青と番号順にピンク、黄色、淡緑、オレンジ色、黄緑の各車異なる色の帯を窓下に巻いていた。1000番台は青とピンクだが細帯となっている。

  • クロ212-1 - しかく桃色帯
  • クロ212-2 - しかく黄色帯
  • クロ212-3 - しかく緑色帯・のちにラッピングに変更
  • クロ212-4 - しかく橙色帯
  • クロ212-5 - しかく黄緑帯・のちにラッピングに変更

3,5の2両は運用末期、岡山県の民話である「桃太郎」にちなんだ」ラッピング車両となっていた(ベースの色は番号順に青緑、ピンク)。

2003年の「マリンライナー」車両置換えにともなって、0番台5両全車が運用から外され、脱車された。1が試験車「U@Tech」クヤ212-1に改造され、その他は運転台機器が後述の先頭車化改造車クハ212形100番台に転用された。2006年4月以降、2のみが在籍し京都支社 吹田工場に留置されているが、保留車になっている。1000番台は引続き「スーパーサルーンゆめじ」として運用されている。なお、「スーパーサルーンゆめじ」は需要に応じて編成中間に213系一般車を連結して運行されることがある。

改造車

クハ212形100番台 (Tc')
クハ212-103 車体中央の窓が埋められてる部分にトイレを設置している

2003年の「マリンライナー」置換えにともなう編成替えにより、サハ213形から5両が改造された制御車である。当初は4両改造の予定であったが、計画変更で1両追加された。車体切断の上で普通鋼で新造された運転台が取付けられたため、新造車と比べて側面の白塗りの部分が長い。また、前照灯尾灯形状が新造車の「四角枠に丸灯」から「四角枠に四角灯」に、台車形式がTR235形からTR235B形にそれぞれ変更された。排障器(スカート)は改造時より鉄板が太く厚い強化型を装備する。 全車がワンマン運転対応であり、同社のキハ47形ワンマン車のように運転台から前部客用扉までの座席が全て撤去されている。トイレは0番台のような車端部ではなく、前部客用扉の直後に車椅子対応の大型のものが設置され、対向側のスペースも車椅子利用者のために座席が撤去されフリースペースとされた。これらのことから着席定員は減少している。

番号の新旧対照は次のとおり。

  • サハ213-7〜11 → クハ212-101〜105


クヤ212-1・サヤ213-1
クヤ212形

上記の編成替えで余剰となったクロ212-1およびサハ213-1が技術試験車(愛称「U@Tech」)として改造されたものである。車体塗色は青系統のラッピングに変更され、室内は座席が一部撤去された上で各種測定用の機器が設置されている。

牽引車は、223系クモヤ223-9001が務める。223系の最高速度は130km/hであること、新型台車の試験を行うこと、異なる系列との連結を行うことから、機器類は改造や交換がなされた。また、雨天時の走行を再現するための装備として、サヤ213形の室内に水槽と散水装置が搭載された。

2007年現在は吹田工場に配置され、車体端には同工場の所属であることを示す「京スイ」の文字が表記されている。

歴史

登場〜瀬戸大橋開業前

登場時から1988年までの編成
編成
番号
←岡山 宇野→
C-1 クモハ213-1 サハ213-1 クハ212-1
C-2 クモハ213-2 サハ213-2 クハ212-2
: : : :
C-7 クモハ213-7 サハ213-7 クハ212-7
C-8 クモハ213-8 サハ213-8 クハ212-8

岡山電車区115系老朽車両取替えのために、国鉄末期の1987年3月に3両編成 (Mc-T-Tc') 8本24両が導入された。製造会社は、近畿車輛川崎重工業日本車輌製造東急車輛製造日立製作所。帯色は、新規に海をイメージした青と水色が設定された。これははからずも、直後に発足するJR西日本と四国旅客鉄道(JR四国)のコーポレートカラーとなった(JR西日本は青、JR四国は水色)。

約1年後に開業が予定されていた本四備讃線(瀬戸大橋線)用車両の先行投入であり、瀬戸大橋が開通するまでは暫定的に宇野線宇高航路連絡快速列車備讃ライナー」に充当された。なお、灰皿は使用列車が当初から全て禁煙であったため取付けられていないが、これは当時としては思い切った施策であった。

瀬戸大橋開業〜2003年10月まで

2003年までの編成
編成
番号
←岡山 宇野・高松→ 摘要
C-1 クモハ213-1 サハ213-1 クハ212-1 基本編成
6編成
C-2 クモハ213-2 サハ213-2 クハ212-2
: : : :
C-6 クモハ213-6 サハ213-6 クハ212-6
C-7 クモハ213-7 サハ213-7 クロ212-1 グリーン車付
5編成
C-8 クモハ213-8 サハ213-8 クロ212-2
C-9 クモハ213-9 サハ213-9 クロ212-3
C-10 クモハ213-11 サハ213-10 クロ212-4
C-11 クモハ213-12 サハ213-11 クロ212-5
C-12 クモハ213-10 クハ212-7 クハ212-8
C-13 クモロ211-1 モロ210-1 クロ212-1001 ゆめじ編成
  • C-13編成のクモロ211形・モロ211形は211系

1988年の瀬戸大橋線開業からは、快速「マリンライナー」に充当。このときからクロ212形が製造・連結されるようになった。それに先だって、クモハ213形2両、クロ212形3両、サハ213形1両と団体用「スーパーサルーンゆめじ」の3両が近畿車輛で製造され、従来編成の一部を含んだ組替えが実施され、Mc-T-Tsc×ばつ3、Mc-T-Tc×ばつ6、Mc-Tc'-Tc×ばつ1となった。

「マリンライナー」は当初から臨時列車が運転されるほど利用者が多かったため、同年内に「マリンライナー」の増発が行われ、それに伴いMc-T-Tsc×ばつ2が近畿車輛で製造された。これにより、211系2両を含む合計で3両編成13本39両の陣容となり、岡山電車区向けの製造は終了した。

瀬戸大橋線開業以来15年間変わらず同区間を走行していたが、開業ブームが過ぎると年々瀬戸大橋線の利用客が減少傾向となっていたこと、塩害による床下機器の故障が増えていたこと、JR四国がJR西日本に支払う車両使用料が負担になっていたことから、2003年 10月1日のダイヤ改正で「マリンライナー」運用は新型車(JR四国5000系/JR西日本223系5000番台)に置き換えられたのに伴い、本系列は同列車の運用から外れた。

新型車両はグリーン車を除き片側3扉で製造されたが、これは223系が当時のJR西日本で増備途上にあったという以外に、朝夕のラッシュ時を中心に岡山茶屋町間は混雑率が200%を超え(特に妹尾までは日本でもトップレベル)、片側2扉の213系では乗降に時間がかかり、同区間は単線区間が多いこともあって列車遅延が慢性化していたということも大きい。

瀬戸大橋線以外では、1998年10月まで山陽本線快速「サンライナー」の1往復で三原駅まで運用されていた。これは21時台に岡山から三原まで走り、その後折り返し普通福山行きとなって福山駅で滞泊。翌朝「サンライナー」として岡山へ戻った後に「マリンライナー」の運用に入るというもので、クロ212形グリーン車も締切扱いとせず自由席グリーン車として営業運転された。

ゆめじ編成(C13編成)を「マリンライナー」で使用する際は、クハを2両連結しているC12編成を分割し、クモロ211-1+モロ210-1+クハ212-8、クモハ213-10+クハ212-7+クロ212-1001の編成で運用していた。特に後者はC7〜C11編成が検査入場中などに多く見られた。いずれにしろ、クハ212-7は営業運転で先頭に立つことはなかった。

2003年10月以降

2004年以降の編成
編成
番号
←岡山 宇野・高松→ 摘要
C-1 クモハ213-1 クハ212-1 - ワンマン
対応
C-2 クモハ213-2 クハ212-2 -
C-3 クモハ213-3 クハ212-3 -
C-4 クモハ213-4 サハ213-4 クハ212-4
C-5 クモハ213-5 サハ213-5 クハ212-5
C-6 クモハ213-6 サハ213-6 クハ212-6
C-7 クモハ213-7 クハ212-101 - ワンマン
対応
C-8 クモハ213-8 クハ212-102 -
C-9 クモハ213-9 クハ212-103 -
C-10 クモハ213-11 クハ212-104 -
C-11 クモハ213-12 クハ212-105 -
C-12 クモハ213-10 クハ212-7 クハ212-8
C-13 クモロ211-1 モロ210-1 クロ212-1001 ゆめじ
  • ワンマン対応改造は2004年実施。
  • C1編成のサハ213-1はサヤ213-1に改造。
  • C2・C3編成のサハ213-2、サハ213-3は廃車。
  • C7〜11編成のクハ212-100番台はサハ213からの改造。
  • C12編成はクモハ213-10とクハ212-8のみワンマン対応改造。
  • この他、クロ212-2が保留車として残存している。

「マリンライナー」運用から外れた後は、クロ212形の編成からの抜き取りと同時にクロ212形を抜き取った5本全ての編成は2両編成への組替えとサハ213形への運転台取付改造、また全車普通車編成の3本も2両編成へ短縮となり、7編成がワンマン運転対応改造と編成組替えが行われた。改造工事が2003年10月から約1年かけて吹田工場(先頭車化改造+ワンマン改造)と網干総合車両所(ワンマン改造のみ)で順次対象となる編成に実施された。2両編成は全てワンマン対応車となり、戸袋窓上半分が塞がれてワンマン表示機(ワンマン運転時に出入り口を表示)が設置されている。

改造途中は暫定的にMc-T-Mc-Tc×ばつ4本(Mc-T-Tc×ばつ3(C4〜6)、Mc-Tc'-Tc×ばつ1(C12))、2両編成(Mc-Tc')×ばつ8本(C1〜3,7〜11。ワンマン改造併施)に組替えられ、クロ212形3両(1両は保留)とサハ213形2両が廃車となっている。

正面と側面の種別・行先表示器の字幕は「マリンライナー」時代も含めて、白地に黒文字であったが、2006年になって全編成がJR西日本標準の黒地に白文字のものに変更された。また、「マリンライナー」では側面の表示に号車番号も併せて表記されていた。

現在の運用

現在は、岡山近郊の山陽本線姫路駅三原駅間、伯備線 新見駅以南、赤穂線 播州赤穂駅以西、宇野線で普通列車として運用されているが、3両編成は原則として山陽本線のみで運用される。本系列の転用により、岡山電車区電車センター103系の全編成と105系の一部が運用を外れ、共に転属や廃車が発生したが、103系は宇野線などの朝のラッシュ対策などで阪和線などから転入した車両によりすぐに運用が復活した。

マリンライナー代走運用
下り最終「マリンライナー」77号に運用されたC4編成(岡山側先頭車)岡山駅にて

2007年2月に早島駅付近で踏切事故の被害を受けた223系5000番台の編成は修理が必要になり、その間の代走として翌3月末まで元々指定席を連結せず、130km/h運転をしない「マリンライナー」77号(下り最終)と2号(上り始発)に本系列の運用が復活した。なお、代走には当時2両だった223系5000番台編成に合わせ、3両編成から中間車のサハ213形を抜いた2両編成が使用されて、定期運用時や現在の通常運用でも見られない組み合わせとなっていた。

在来線試験車両「U@tech」

クロ212-1とサハ213-1は223系の制御電動車と連結の上で在来線試験車両「U@tech」に改造され、吹田工場へ転出した。この2両は2004年 10月22日付で「車両」籍が抹消され、モーターカーなどと同様に機械扱いされていたため、車両数には計上されていなかったが、2007年 3月31日に再登録された。編成は以下のとおり。

  • クモハ223-9001 (Mc) + サヤ213-1 (T) + クヤ212-1 (Tc')(1編成のみ)


マリンライナー復活運転

Template:節予定 瀬戸大橋開通20周年を迎える2008年4月10日に213系での「マリンライナー」が上り1本だけ復活運転することが同年1月29日に発表された。[1]運用当時と同じくグリーン車を含めた6両編成で、全車指定席となる。グリーン車は当初と同じく座席を窓側に向けて運用する。

JR東海所属車両(5000番台)

JR東海213系5000番台の外観。関西本線富田駅にて
JR東海213系5000番台の車内

5000番台は、JR東海が関西本線165系の老朽取替えのため、1989年から導入した車両である。

概要

旧・国鉄時代、いわゆる国電の設定がなかった名古屋地区では、近郊輸送は並行する私鉄がシェアの大半を占めていた。中でも、桑名四日市方面は近畿日本鉄道の独壇場であり、単線の関西本線は利用客にほとんど見向きもされない状態であった。その後分割民営化して誕生したJR東海は、これらの競合私鉄路線に対抗すべく、ダイヤや車両の改善に着手した。本番台は、関西本線の輸送改善にあたり老朽化・陳腐化した165系の取替えに、JR東海が投入した車両である。

1989年から1991年にかけて2両編成14本計28両が投入され、関西本線の輸送改善を果たしたが、1999年にワンマン運転対応の313系が投入され、現在は大半がラッシュ時のみの運用となっている。

特徴

JR東海のオリジナル車両であり、0番台を基本としながらも、同社の211系5000番台に準じた仕様の変更がなされている。また当初から2両編成 (1M1T) であり、サハ213形は存在しない。同社では3両編成に2M1Tの211系を投入するなど、動力車比率の高い編成とする傾向にある。

5000番台における0番台との仕様の違いを以下に示す。

  • 制御用電源が直流600Vに変更されたため、補助電源装置がDC-DCコンバータに変更された。
  • 冷房装置がインバータ制御による集約分散式(×ばつ2台)に変更された。
  • 主電動機は冷却ファン構造を変更したC-MT64A形(性能は不変)とされた。
  • ブレーキに応荷重装置が付加された。
  • JR東海管内の在来線 電化区間全線に対応するため、クモハ211形5600番台と同様にパンタグラフは狭小限界トンネル対応のC-PS24A形とされ、取付部が20mm低くされた。
  • クハ212形のトイレ設備は省略された。
  • ドアから外側の車端部がロングシートとなり、転換クロスシートは扉間の8列のみとなった。ドア横には1両あたり4箇所8席分の補助席が設けられた。
  • 前面列車種別(行先)窓は、211系5000番台と同様の天地寸法が大きいタイプとなった。側面行先表示幕は、211系5000番台2次車と同様の天地寸法の狭いタイプであったが、2次車以降は天地寸法が拡大された。
  • その他仕様
    • 編成出力 - 480kW
    • 編成定員 - 266名(座席54 + 立席79 = 133名/両)
    • 運転最高速度 - 110km/h
編成
クモハ213-5000 (Mc) - クハ212-5000 (Tc')
左側が亀山方 全車神領車両区所属 H1〜H14編成

運用と課題

5000番台は1989年から関西本線(名古屋亀山)の普通・快速列車に充当され、後に快速「みえ」に投入されたキハ75形気動車とともに、同線に転換クロスシートの快適な車内サービスを提供し、利用者増に貢献した。

しかし、2000年より関西本線で閑散時の普通列車においてワンマン運転が開始されるのに先立ち、1999年に後継の313系3000番台が投入され、日中の列車の大半が置き換えられた。これ以後、同線においてラッシュ時の快速を中心に運用されるほかは、ほとんど運用がない状態が続いている。

このように、新造からわずか10年で持て余し気味となった背景には、

  • 2扉車であり、混雑する路線に不向きであること。
  • トイレを装備しておらず、設置改造もステンレス車体であり困難であること。
  • JR東海は、東海道本線および中央本線(名古屋中津川間)以外の在来線すべてでワンマン運転を実施するようになったこと。
  • 側扉位置の関係でワンマン改造に不向きであること。

などがあげられ、JR東海においては転属も含めた本番台の運用が難しいものとなっている。

ステンレス車体へのトイレ設置改造やワンマン改造については、他社において実績はあるものの、JR東海では転用できる路線自体が少ないこともあり、リスクをともなった改造を選択せず、別途新車を投入することにより対応している。その他、同社の東海道本線(豊橋岐阜間)では、普通列車においても高い最高速度や高加速性能が要求され、本番台では性能不足であることも運用の幅を狭める一因となっている。

休日の日中の中央西線において211系の増結編成として用いられるなどの運用も見られるが、おおむね日中は運用に就いていない。ただし、関西本線を中心にラッシュ時にはフル運用の状態が続いており、当面はこの運用が続く予定である。

関連項目

現有車両

電車
一般用
特急形
新幹線
気動車ハイブリッド車 [1]
一般用
特急形
事業用

過去の車両

電車
一般用
急行形・特急形
事業用
新幹線
気動車
一般用
急行形・特急形
客車
一般用
急行形・特急形
事業用
貨車
電気機関車
ディーゼル機関車

現有車両

電車
一般用
直流用
交流直流両用
急行形・特急形
直流用

271系 - 273系 - 281系 - 283系 - 285系 - 287系 - 289系 - 381系(定期運用終了)

交流直流両用
新幹線
事業用
直流用
新幹線
気動車
一般用
特急形
事業用
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関連商品

Nゲージ 鉄道模型としてマイクロエースより0番台と5000番台が製品化され、発売されている。

外部リンク

  1. ^ "地球環境保全への貢献". 東海旅客鉄道. 2023年11月29日閲覧。

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