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阪急2300系電車 (2代)

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阪急2300系電車
基本情報
運用者 阪急電鉄
製造所 日立製作所 [1]
製造年 2024年 -
製造数 96両(予定)[2]
運用開始 2024年 7月21日
投入先 京都線
主要諸元
編成 8両編成(4M4T)
(注記)本系列単独の編成のとき
軌間 1,435 mm(標準軌)
電気方式 直流1,500 V(架空電車線方式)
設計最高速度 130 km/h
起動加速度 2.6 km/h/s
減速度(常用) 3.7 km/h/s
減速度(非常) 4.2 km/h/s
編成定員 884名
車両定員 先頭車:112名
中間車(一般車):124名
中間車(PRiVACE):40名
自重 2300形:30.5 t
2350形(一般車):26.3 t
2350形(PRiVACE):28.7 t
2800形:36.1 t
2900形:33.5 t
全長 18,900 mm
車体長 18,380 mm
全幅 2,830 mm
車体幅 2,780 mm
全高 4,095 mm
車体 アルミニウム合金 [1]
台車 ボルスタ付きモノリンク式空気ばね台車
電動台車:FS579M
付随台車:FS579T
主電動機 かご形三相交流誘導電動機
主電動機出力 190 kW
駆動方式 平行カルダン駆動方式
歯車比 5.33
制御方式 ハイブリッドSiC IGBT 素子 VVVFインバータ制御 [3]
制御装置 東洋電機製造製 RG6054A-M形
制動装置 全電気指令式電磁直通空気ブレーキ
(電力回生優先ブレーキ付き)
備考 特記なき限り出典は[4] による
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阪急2300系電車(はんきゅう2300けいでんしゃ)は、阪急電鉄(阪急)の特急車両である。

概要

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9300系以来となるセミクロスシートの京都線用特急車両として導入される[4] 。阪急で初となる座席指定サービス「PRiVACE」用の回転リクライニングシート車両を一部編成に連結しており[4] 、一部は本系列の増備が進むまでは対応改造のうえで「PRiVACE」車両のみを暫定的に9300系に組み込んで運用する形態がとられている[2]

「2300系」の名称は2016年まで在籍した車両にも使用されており、本系列では1300系に続いて過去の車両を踏襲した付番がなされた。

構造

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走行機器

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電動車には主電動機(出力190 kW)を1両につき4台搭載し、うちM車はシングルアームパンタグラフ2台とVVVFインバータ制御装置を、M'車は静止型インバータ装置 (SIV) を装備する[4] 。台車は1300系に続いてFS-579形を採用している[4]

補助電源装置には、東洋電機製造の容量180 kVA・供給電圧 交流440 VのSIVを採用した。また待機二重系や編成内SIVの並列運転により冗長性を確保している[5]

運転台はワンハンドル式で、モニタ装置を2つ搭載している[4] 。また1300系の車両情報統合システムから大きく機能を拡張させた車両制御システム (TCMS) を採用することで、同社で初めて制御転送指令(力行・ブレーキ等を伝送によって行うこと)を実現した[5]

外装

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前頭部の各部配置は過去の車両を踏襲しつつ、本形式は「疾走感」を意識したデザインとし、前面窓に曲線を取り入れている[1] 。車外表示器はLEDを基本とするが、「PRiVACE」車両ではガラス一体型の液晶ディスプレイ(LCD)を側面窓内に設けている[4]

外装色は伝統の阪急マルーンをベースに車体上部をアイボリーとしたもので、「PRiVACE」車両ではさらに裾部に金色の帯を配し、ドアの左右に「PRiVACE」のロゴを掲げる[4]

客用扉は一般車両が片側3か所であるのに対して、「PRiVACE」車両では中央の両開き扉1か所のみとなっており、扉の窓形状はひし形としている[4] 。また、客室内の窓は1列につき1つの小窓である[4]

内装

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一般車の車内(2024年7月)

一般車両はドア間を転換クロスシート(一部固定)、車端部をロングシートとしており、各車両のロングシート部に優先席車椅子スペースが設けられる[4] 。先頭車両では乗務員室直後の座席が省略されており、車椅子スペースが中間車よりも拡大されている[4] 。これまでの車両と同様に化粧板は木目調、モケットはゴールデンオリーブ色とした[4] 。車内ディスプレイは32インチハーフサイズのLCD表示器で、各ドア上に千鳥状に配置し各車両3基設けた[4]

「PRiVACE」車両では、2+1配列の回転リクライニングシート(座面スライド機構付き)を扉を挟んで7列ずつ設置しており、2つの客室で2人掛け側と1人掛け側の左右が逆転する千鳥配置となっている[4] 。うち各1列では1人掛け側の座席を省略し、一方の客室では車椅子スペースを、もう一方の客室では荷物置き場を設置している[4] 。各座席には読書灯、コンセント、インアームテーブルがあり、枕部分および2人掛け席の肘掛け部にはパーテーションを備える[4] 。客室内のモケットは一般車両と同様である一方、床面はカーペット敷きとなり化粧板の木目も一般車両とは異なる柄を採用している[6] 。デッキは床面も木目調で、壁面上部は大理石調とした[4] 。車内ディスプレイは32インチのLCD表示器で、客室・デッキ間の各ドア上に1つずつ、計4基を搭載[4]

客室内防犯カメラは各車両に3台ずつ設けている[4]

編成

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4M4Tの8両編成で、以下の通り組成される[4] 。形式名については、新形式呼称(数字の先頭にアルファベットを付加した形式)を用いる媒体もある[7]

2300形・2400形 (Tc) / Tc2300形
制御車。床下に電動空気圧縮機蓄電池を搭載。2300形は大阪梅田駅方、2400形は京都河原町駅方の先頭車となる。新形式呼称では、両先頭車ともTc2300形となる。
2800形・2850形 (M) / M2800形
パンタグラフ付き電動車。床下にVVVFインバータ制御装置、屋根上にシングルアーム式パンタグラフ2基を搭載。2800形は大阪梅田駅方から2両目、2850形は6両目に連結される。
2900形・2950形 (M') / M2900形
電動車。床下に静止形インバータを搭載。2900形は大阪梅田駅方から3両目、2950形は7両目に連結される。
2350形・2450形 (T) / T2350形
付随車。2350形は「PRiVACE」車両となり、車体側面の窓配置が異なる。2350形は大阪梅田駅方から4両目、2450形は5両目に連結される。
← 大阪梅田
京都河原町 →
Tc M M' T T M M' Tc
2300形 2800形 2900形 2350形(注記) 2450形 2850形 2950形 2400形

(注記)しかくの網掛けの形式は「PRiVACE」車両

運用

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2024年 7月21日京都線で運行を開始し、同日より「PRiVACE」サービスの提供を開始した[8] 。将来的に12編成を導入し、京都線の特急車両は本系列に統一される計画となっている[2]

ただし2024年度は(本系列単独では)1編成のみの導入となり、「PRiVACE」のサービス開始用に左記の単独編成とは別に2350形6両(2356 - 2361)が単車で製造された[9] 。単車で製造された2350形「PRiVACE」車両は、当面は9300系6編成に暫定的に組み込む形で運用される[2] 。今後は本系列の増備にあわせて順次脱車のうえ新製編成に組成し、9300系への組み込みは解消することが想定されている[10]

脚注

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注釈

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出典

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  1. ^ a b c 阪急電鉄、新型車両2300系&「PRiVACE」公開 - 7月導入、写真99枚」『マイナビニュース』マイナビ、2024年4月26日。2024年6月6日閲覧。
  2. ^ a b c d 阪急電鉄「PRiVACE」9300系に組み込む車両も2300系、今後の計画は」『マイナビニュース』マイナビ、2024年4月21日。2024年6月6日閲覧。
  3. ^ "新型車両2300系・2000系を2024年夏より導入します 阪急電鉄ニュースリリース". 阪急電鉄. 2024年7月22日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u 『鉄道ファン 2024年7月号』交通新聞社、2024年5月、80-83頁。 
  5. ^ a b 『鉄道ファン2024年10月号』交友社。 
  6. ^ 『私鉄車両年鑑2024 大手私鉄所属車両完全ガイド』8頁。イカロス出版。
  7. ^ 『RM MODELS』2024年7月号26 - 29頁、ネコ・パブリッシング。
  8. ^ 阪急2300系が営業運転を開始〜有料座席指定サービス「PRiVASE」も開始〜」『鉄道ファン』2024年7月21日。オリジナルの2024年7月22日時点におけるアーカイブ。2024年7月22日閲覧。
  9. ^ 『私鉄車両年鑑2024 大手私鉄所属車両完全ガイド』14頁。イカロス出版。
  10. ^ 阪急の豪華な座席指定車の"最終形"とは? 既存車両への組み込みは「あくまで一時的」」『乗りものニュース』メディア・ヴァーグ、2024年7月21日。2024年6月6日閲覧。

関連項目

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関連項目

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