コンテンツにスキップ
Wikipedia

「村社会」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
4行目: 4行目:


村社会には[[しきたり]]があり、それを破ったものには[[村八分]]などの制裁が科せられる。そこから派生して、同じような悪習を持つ閉鎖的な組織や社会も村社会と呼ばれる<ref>{{kotobank}}</ref>。'''ムラ社会'''とも。
村社会には[[しきたり]]があり、それを破ったものには[[村八分]]などの制裁が科せられる。そこから派生して、同じような悪習を持つ閉鎖的な組織や社会も村社会と呼ばれる<ref>{{kotobank}}</ref>。'''ムラ社会'''とも。

==概要==
村は[[道切り]]などにより外部と区別される空間で、村の成員は生業を行い生活に必要な資源を供給する環境を共有し、[[寄合]]を行い[[祭礼]]や[[年中行事]]を共同で行うことにより統一された意思のもと秩序維持を行っていた。村社会は相互互助的な性質を持つ。農業を中心とした村では水利権、林業を中心とした村では入会権、漁業を中心とした村では漁業権などを村が保ち、再生産可能な水準を保つために機能してきた。これらの権利は古くからの仕来りとして定着したり、収穫祭などの宗教行事とともに安定した産業を維持してきた。
一方で内部には経済的階層や[[家柄]]による[[家格]]などが存在し、村の秩序維持のための[[青年団|青年組織]]などが存在した。特徴としては古くからの[[仕来たり]]を墨守する傾向があり、異を唱える者・倣わない者に対しては本人や[[肉親]]、更にその者に関わった者まで[[異端|異端者]]扱いし、[[差別]]を行なうことがある。これを村八分という。これにより新たなその地域への[[移住者]]や進歩的な[[若者]]が反発し、古くから住んできた住民らとのトラブルが後を絶たない。


==特徴と問題点==
==特徴と問題点==
10行目: 14行目:
*長による支配、ボスと[[子分]]の[[上下関係]]が厳然と存在する<ref>[https://toyokeizai.net/articles/-/238254?page=4 夢の田舎暮らしにつきまとう「耳を疑う」現実 ムラ意識の強く残る地方で嫌われない条件(4/5)] 東洋経済オンライン</ref>。
*長による支配、ボスと[[子分]]の[[上下関係]]が厳然と存在する<ref>[https://toyokeizai.net/articles/-/238254?page=4 夢の田舎暮らしにつきまとう「耳を疑う」現実 ムラ意識の強く残る地方で嫌われない条件(4/5)] 東洋経済オンライン</ref>。
*無条件に習慣を踏襲し、全体に一切抗わない<ref>[https://toyokeizai.net/articles/-/238254?page=2 夢の田舎暮らしにつきまとう「耳を疑う」現実 ムラ意識の強く残る地方で嫌われない条件(2/5)] 東洋経済オンライン</ref>。
*無条件に習慣を踏襲し、全体に一切抗わない<ref>[https://toyokeizai.net/articles/-/238254?page=2 夢の田舎暮らしにつきまとう「耳を疑う」現実 ムラ意識の強く残る地方で嫌われない条件(2/5)] 東洋経済オンライン</ref>。

また、以下のような問題点があり、外部とのトラブルの原因となっている。
*所属する「村」の掟や価値観・しきたりが絶対であり、多様性や少数派の存在自体を認めない。
*"掟"に関与しない世間一般のルールやマナーには無関心であり、他者にも強要。無法状態と化している。
*出る杭は打たれる。長い物には巻かれ、流れには棹を差すべし。寄らば大樹の陰。義理と人情。横並び意識。
*排他主義に基く仲間意識が存在する。
*被害に遭った人が責任者を責めると、大勢で被害者を叩き、問題には触れようとせず、無かったことにする。
*自分逹が理解できない『他所者』の存在を許さない。
*同郷者に対しては「自分達と同じで当たり前である」という意識を抱いており、自我の存在を認めない。
*傍目には異端者に寛容だが、相手を理解しているのではなく理解できるものに「改造」しようとしていたり、特例で見逃されているだけであったりする。
*立場が弱いと規定したものに対しては、陰湿且つ徹底的に圧力を加える。
*構成員は陰口を好む。([[噂]]話好きで口が軽く、問われてもいないのに見聞きした事を自分から喋りたがる"[[放送局]]"的存在の主婦が必ずおり、ある家庭での出来事―進学先・就職が決まった、勤務先、子・孫が生まれた、大病をしたなど―は1週間あれば集落全体に知られる)
*有形物のみならず時間や空間に対する共有意識も強く、プライベートやプライバシーといった概念も無い。
*事なかれ主義が多い。
*噂話に対しては、自分達に不利益にならない限り、真実かどうかを深く追求しようとせず、噂を既成事実にしようとする。
*実質的なメリット。街全体の利点より、個人の面目や付き合いの平穏を大切にする。
*集団的な選挙違反(公職選挙法違反)を辞さない。


==関係する事件==
==関係する事件==
19行目: 40行目:
* [[山口連続殺人放火事件]]
* [[山口連続殺人放火事件]]
* [[関川村]](村民が村八分の中止命令を求める訴えを起こし勝訴)
* [[関川村]](村民が村八分の中止命令を求める訴えを起こし勝訴)
*青森県六戸町5人死亡火災


==題材とする作品==
==題材とする作品==

2023年4月19日 (水) 03:05時点における版

村社会(むらしゃかい)とは、集落に基づいて形成され、有力者を頂点とした序列構造を持ち、余所者を受け入れようとしない古くからの秩序を保った排他的な社会を指す。

同類が集まって序列をつくり、頂点に立つ者の指示や判断に従って行動したり、利益の分配を図ったりするような閉鎖的な組織・社会を村にたとえた語。談合組織・学界・政界・企業などに用いる。

村社会にはしきたりがあり、それを破ったものには村八分などの制裁が科せられる。そこから派生して、同じような悪習を持つ閉鎖的な組織や社会も村社会と呼ばれる[1] ムラ社会とも。

概要

村は道切りなどにより外部と区別される空間で、村の成員は生業を行い生活に必要な資源を供給する環境を共有し、寄合を行い祭礼年中行事を共同で行うことにより統一された意思のもと秩序維持を行っていた。村社会は相互互助的な性質を持つ。農業を中心とした村では水利権、林業を中心とした村では入会権、漁業を中心とした村では漁業権などを村が保ち、再生産可能な水準を保つために機能してきた。これらの権利は古くからの仕来りとして定着したり、収穫祭などの宗教行事とともに安定した産業を維持してきた。 一方で内部には経済的階層や家柄による家格などが存在し、村の秩序維持のための青年組織などが存在した。特徴としては古くからの仕来たりを墨守する傾向があり、異を唱える者・倣わない者に対しては本人や肉親、更にその者に関わった者まで異端者扱いし、差別を行なうことがある。これを村八分という。これにより新たなその地域への移住者や進歩的な若者が反発し、古くから住んできた住民らとのトラブルが後を絶たない。

特徴と問題点

以下のような特徴を持つ。

  • 利権入会権漁業権などの産業上の権益の範囲と一致した広がりを持つ。
  • 長による支配、ボスと子分上下関係が厳然と存在する[2]
  • 無条件に習慣を踏襲し、全体に一切抗わない[3]

また、以下のような問題点があり、外部とのトラブルの原因となっている。

  • 所属する「村」の掟や価値観・しきたりが絶対であり、多様性や少数派の存在自体を認めない。
  • "掟"に関与しない世間一般のルールやマナーには無関心であり、他者にも強要。無法状態と化している。
  • 出る杭は打たれる。長い物には巻かれ、流れには棹を差すべし。寄らば大樹の陰。義理と人情。横並び意識。
  • 排他主義に基く仲間意識が存在する。
  • 被害に遭った人が責任者を責めると、大勢で被害者を叩き、問題には触れようとせず、無かったことにする。
  • 自分逹が理解できない『他所者』の存在を許さない。
  • 同郷者に対しては「自分達と同じで当たり前である」という意識を抱いており、自我の存在を認めない。
  • 傍目には異端者に寛容だが、相手を理解しているのではなく理解できるものに「改造」しようとしていたり、特例で見逃されているだけであったりする。
  • 立場が弱いと規定したものに対しては、陰湿且つ徹底的に圧力を加える。
  • 構成員は陰口を好む。(話好きで口が軽く、問われてもいないのに見聞きした事を自分から喋りたがる"放送局"的存在の主婦が必ずおり、ある家庭での出来事―進学先・就職が決まった、勤務先、子・孫が生まれた、大病をしたなど―は1週間あれば集落全体に知られる)
  • 有形物のみならず時間や空間に対する共有意識も強く、プライベートやプライバシーといった概念も無い。
  • 事なかれ主義が多い。
  • 噂話に対しては、自分達に不利益にならない限り、真実かどうかを深く追求しようとせず、噂を既成事実にしようとする。
  • 実質的なメリット。街全体の利点より、個人の面目や付き合いの平穏を大切にする。
  • 集団的な選挙違反(公職選挙法違反)を辞さない。

関係する事件

題材とする作品

脚注

関連項目

外部リンク

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /