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「テン・リトル・インディアンズ」の版間の差分

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[[1868年]]にアメリカの作曲家セプティマス・ウィナー([[:en:Septimus Winner|Septimus Winner]])により、"[[:en:Ten Little Injuns|Ten Little Injuns]]"というタイトルで[[ミンストレル・ショー]]向けに作詞・作曲された。
[[1868年]]にアメリカの作曲家セプティマス・ウィナー([[:en:Septimus Winner|Septimus Winner]])により、"[[:en:Ten Little Injuns|Ten Little Injuns]]"というタイトルで[[ミンストレル・ショー]]向けに作詞・作曲された。


翌[[1869年]]には[[イギリス]]の作詞家フランク・J・グリーンによって翻案され、"Ten Little Nigger Boys"として有名となったが、Niggerという差別的な単語<ref>Niggerはアメリカにおける黒人に対する蔑称であり、当時のヨーロッパではことさらに差別的なニュアンスを含む単語ではなかった。</ref>を含むため、1940年代以降は"Ten Little Indians(あるいはSoldier Boys)"と改められるようになった。
翌[[1869年]]には[[イギリス]]の作詞家フランク・J・グリーンによって翻案され、"Ten Little Nigger Boys"として有名となったが、(追記) [[ニガー| (追記ここまで)Nigger(追記) ]] (追記ここまで)という差別的な単語<ref>Niggerはアメリカにおける黒人に対する蔑称であり、当時のヨーロッパではことさらに差別的なニュアンスを含む単語ではなかった。</ref>を含むため、1940年代以降は"Ten Little Indians(あるいはSoldier Boys)"と改められるようになった。


また、10人の少年たちが事故などで順にいなくなり、残された最後の一人も自殺する<ref>"Ten Little Nigger Boys"の歌詞。アメリカ版の"Ten Little Injuns"では生き残って結婚する。</ref>という残酷で冷笑的な歌詞であったことから、現在は大きく改変・簡略化されたバージョンのみが[[童謡]]として伝えられ、原曲が公の場で歌われることはほとんどない。
また、10人の少年たちが事故などで順にいなくなり、残された最後の一人も自殺する<ref>"Ten Little Nigger Boys"の歌詞。アメリカ版の"Ten Little Injuns"では生き残って結婚する。</ref>という残酷で冷笑的な歌詞であったことから、現在は大きく改変・簡略化されたバージョンのみが[[童謡]]として伝えられ、原曲が公の場で歌われることはほとんどない。

2019年7月1日 (月) 01:50時点における版

テン・リトル・インディアンズ(Ten Little Indians)は、英語圏で広く親しまれている民謡マザー・グースのひとつとして知られる。

概要

題名は10人のインディアンの子供という意味で、日本では「10人のインディアン」という曲名で知られている。フォークダンスの曲としても用いられる。

1868年にアメリカの作曲家セプティマス・ウィナー(Septimus Winner)により、"Ten Little Injuns"というタイトルでミンストレル・ショー向けに作詞・作曲された。

1869年にはイギリスの作詞家フランク・J・グリーンによって翻案され、"Ten Little Nigger Boys"として有名となったが、Niggerという差別的な単語[1] を含むため、1940年代以降は"Ten Little Indians(あるいはSoldier Boys)"と改められるようになった。

また、10人の少年たちが事故などで順にいなくなり、残された最後の一人も自殺する[2] という残酷で冷笑的な歌詞であったことから、現在は大きく改変・簡略化されたバージョンのみが童謡として伝えられ、原曲が公の場で歌われることはほとんどない。

歌詞

当初の歌詞は以下の通りである。

"Ten Little Injuns" セプティマス・ウィナー版(1868年)

Ten little Injuns standin' in a line;(10人のインディアンの子が並んでいた)
One toddled home and then there were nine.(一人が家に帰って9人になった)
Nine little Injuns swingin' on a gate;(9人のインディアンの子が門でブランコしていた)
One tumbled off and then there were eight.(一人が落っこちて8人になった)
One little, two little, three little;(1人.2人.3人)
four little, five little Injun boys.(4人.5人のインディアンの子)
Six little, seven little, eight little;(6人.7人.8人)
nine little, ten little Injun boys.(9人,10人のインディアンの子)


Eight little Injuns gayest under heav'n;(8人のインディアンの子が楽しそうにしていた)
One went to sleep and then there were seven.(一人眠って7人になった)
Seven little Injuns cuttin' up their tricks;(7人のインディアンの子がいたずらしてた)
One broke his neck and then there were six.(一人が首の骨を折って6人になった)
One little, two little, three little;(1人.2人.3人)
four little, five little Injun boys.(4人.5人のインディアンの子)
Six little, seven little, eight little;(6人.7人.8人)
nine little, ten little Injun boys.(9人,10人のインディアンの子)


Six little Injuns all alive;(6人のインディアンの子が飛び跳ねていた)
One kicked the bucket and then there were five.(一人がくたばって5人になった)
Five little Injuns on a cellar door;(5人のインディアンの子が穴蔵の入り口にいた)
One tumbled in and then there were four.(一人落っこちて4人になった)
One little, two little, three little;(1人.2人.3人)
four little, five little Injun boys.(4人.5人のインディアンの子)
Six little, seven little, eight little;(6人.7人.8人)
nine little, ten little Injun boys.(9人,10人のインディアンの子)


Four little Injuns up on a spree;(4人のインディアンの子が酔っ払っていた)
One got fuddled and then there were three.(一人が酔いつぶれて3人になった)
Three little Injuns out on a canoe;(3人のインディアンの子がカヌーに乗った)
One tumbled overboard and then there were two.(一人が水に落ちて2人になった)
One little, two little, three little;(1人.2人.3人)
four little, five little Injun boys.(4人.5人のインディアンの子)
Six little, seven little, eight little;(6人.7人.8人)
nine little, ten little Injun boys.(9人,10人のインディアンの子)


Two little Injuns foolin' with a gun;(2人のインディアンの子が銃にいたずらしてた)
One shot t'other and then there was one.(一人が撃たれて1人になった)
One little Injun livin' all alone;(1人のインディアンの子は寂しくなった)
He got married and then there were none(その子は結婚して誰もいなくなった)
One little, two little, three little;(1人.2人.3人)
four little, five little Injun boys.(4人.5人のインディアンの子)
Six little, seven little, eight little;(6人.7人.8人)
nine little, ten little Injun boys.(9人,10人のインディアンの子)


"Ten Little Nigger Boys" フランク・J・グリーン翻訳版(1869年)

Ten little Nigger boys went out to dine;(10人の黒人の少年が食事に出かけた)
One choked his little self and then there were nine.(一人がのどを詰まらせて、9人になった)


Nine little Nigger boys sat up very late;(9人の黒人の少年がおそくまで起きていた)
One overslept himself and then there were eight.(一人が寝過ごして、8人になった)


Eight little Nigger boys travelling in Devon;(8人の黒人の少年がデヴォンを旅していた)
One said he'd stay there and then there were seven.(一人がそこに残って7人になった)


Seven little Nigger boys chopping up sticks;(7人の黒人の少年が薪を割っていた)
One chopped himself in half and then there were six.(一人が自分を真っ二つに割って、6人になった)


Six little Nigger boys playing with a hive;(6人の黒人の少年が蜂の巣にいたずらしていた)
A bumblebee stung one and then there were five.(蜂が一人を刺して、5人になった)


Five little Nigger boys going in for law;(5人の黒人の少年が訴訟を起こした)
One got in Chancery and then there were four.(一人が裁判所にいって、4人になった。)


Four little Nigger boys going out to sea,(4人の黒人の少年が海に出かけた)
A red herring swallowed one and then there were three.(一人が燻製のニシンに飲まれ、3人になった。)


Three little Nigger boys walking in the zoo;(3人の黒人の少年が動物園を歩いていた。)
A big bear hugged one and then there were two.(大熊が一人を抱きしめ、2人になった。)


Two Little Nigger boys sitting in the sun;(2人の黒人の少年が日向に座った)
One got frizzled up and then there was one.(一人が陽に焼かれ、1人になった。)


One little Nigger boy living all alone;(1人の黒人の少年は1人ぼっちで暮らしていた)
He got married, and then there were none.(彼が結婚し、そして誰もいなくなった)[注釈 1]


現在は上述の理由により、原曲である"Ten Little Injuns"や"Ten Little Nigger Boys"とは歌詞もメロディも異なる。現在一般的に歌われている歌詞は以下の通りだが、このバージョンであっても差別的であるとして嫌忌する人は少なくない。

One little, two little, three little Indians
Four little, five little, six little Indians
Seven little, eight little, nine little Indians
Ten little Indian boys.
Ten little, nine little, eight little Indians
Seven little, six little, five little Indians
Four little, three little, two little Indians
One little Indian boy.

日本語詞

日本では高田三九三による訳詞が有名である。

東芝レコードから発売された『舞踊劇「眠りの森の王女さま」』(TS-4093)には、横山健の作詞、若草児童合唱団の歌による「10人のインディアン」が収録されている。

また、「10人のよい子」[3] 、「ミックスジュース」[4] 、「ふしぎなゆび」[5] 、「バスははしる」(志摩桂の作詞)[6] 、「やってきたサンタさん」(阿部直美の作詞)などの替え歌が作られている。原曲にメロディを追加した「1ぽんと1ぽんで」[7] 、「ピクニック」[8] 、原曲の一部のメロディを差し替えた「奈良の大仏さん」[9] などの替え歌もある。

その他の替え歌には、「インディアン」を、キヨノサチコ原作の児童向け絵本『ノンタン』シリーズの主人公の名前に置き換えた「10人のノンタン」(作詞:キヨノサチコ)がある。「10人のノンタン」が収録されているメディアには、DVD『げんきげんきノンタン〜でかでかありがとう〜』、CD『赤ちゃん版 おはなしノンタン はみがき はーみー』がある。

脚注

  1. ^ Niggerはアメリカにおける黒人に対する蔑称であり、当時のヨーロッパではことさらに差別的なニュアンスを含む単語ではなかった。
  2. ^ "Ten Little Nigger Boys"の歌詞。アメリカ版の"Ten Little Injuns"では生き残って結婚する。
  3. ^ 阿部直美(編著)『保育で役立つ! 0〜5歳児の手あそび・うたあそび』ナツメ社、2016年、200-201頁。ISBN 978-4-8163-6009-1
  4. ^ 細田淳子(編著)『あそびうた大全集200 手あそび・体あそび・わらべうたがいっぱい 遊び方・アレンジがよくわかる!』永岡書店、2013年、59頁。ISBN 978-4-522-43095-8
  5. ^ 『あそびうた大全集200 手あそび・体あそび・わらべうたがいっぱい 遊び方・アレンジがよくわかる!』139頁。
  6. ^ 『あそびうた大全集200 手あそび・体あそび・わらべうたがいっぱい 遊び方・アレンジがよくわかる!』200頁。
  7. ^ 『あそびうた大全集200 手あそび・体あそび・わらべうたがいっぱい 遊び方・アレンジがよくわかる!』86頁。
  8. ^ 『あそびうた大全集200 手あそび・体あそび・わらべうたがいっぱい 遊び方・アレンジがよくわかる!』114頁。
  9. ^ 『保育で役立つ! 0〜5歳児の手あそび・うたあそび』104-105頁。

注釈

  1. ^ アガサ・クリスティー作『そして誰もいなくなった』ではフランク・J・グリーン翻訳版が使用されているが、作中での最後の部分は最後の1人は首を吊るという歌詞に作者によって改編されている。

関連項目

外部リンク

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