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「財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定」の版間の差分

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第1条が日本から[[大韓民国|韓国]]に対して経済協力が行われるための手順規定、第2条が日韓両国間の請求権問題が「完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する」目標規定および例外規定、第3条が日韓両国間で「この協定の解釈及び実施に関する両締約国の紛争」を解決するための手順規定となっている<ref name="eisaku19651218">{{cite web
第1条が日本から[[大韓民国|韓国]]に対して経済協力が行われるための手順規定、第2条が日韓両国間の請求権問題が「完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する」目標規定および例外規定、第3条が日韓両国間で「この協定の解釈及び実施に関する両締約国の紛争」を解決するための手順規定となっている<ref name="eisaku19651218">{{cite web
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しかしながら、この日本政府の見解は、「'''財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定'''」の個々の条文の内容とも協定の全体的な趣旨とも『日韓請求権協定と個人請求権問題は無関係』とする日本外務省の内部公文書<ref name="yonhap20100318" />とも完全に食い違っている。韓国政府・韓国人が受け容れられるはずもなく、むしろ、日本人が各国の日本への慰安婦謝罪要求決議(e.g.[[アメリカ合衆国下院121号決議]]、[[オランダ下院慰安婦問題謝罪要求決議]]、[[カナダ下院慰安婦問題謝罪要求決議]])にもかかわらず昭和戦前の歴史について全く無反省である証拠として同盟国米国を含む国際社会を怒らせたり日本(削除) 人 (削除ここまで)を問題視させたりする原因の一つとなってしまっている(e.g. [http://wam-peace.org/ianfu-mondai/intl/un/ 社会権規約(経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約)委員会,最終所見,2013年,E/C.12/JPN/CO/3、拷問禁止委員会,最終所見,2013年,19.]、[http://megalodon.jp/2014-0303-1803-58/www.nikkei.com/article/DGXNASGM1800P_Y4A110C1NNE000/ 2014年01月19日、オバマ大統領、旧日本軍の従軍慰安婦問題に関する内容を含む2014年度の歳出法案に署名])。
しかしながら、この日本政府の見解は、「'''財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定'''」の個々の条文の内容とも協定の全体的な趣旨とも『日韓請求権協定と個人請求権問題は無関係』とする日本外務省の内部公文書<ref name="yonhap20100318" />とも完全に食い違っている。韓国政府・韓国人が受け容れられるはずもなく、むしろ、日本人が各国の日本への慰安婦謝罪要求決議(e.g.[[アメリカ合衆国下院121号決議]]、[[オランダ下院慰安婦問題謝罪要求決議]]、[[カナダ下院慰安婦問題謝罪要求決議]])にもかかわらず昭和戦前の歴史について全く無反省である証拠として(追記) 、 (追記ここまで)同盟国米国を含む国際社会を怒らせたり日本(追記) 国民 (追記ここまで)を問題視させたりする原因の一つとなってしまっている(e.g. [http://wam-peace.org/ianfu-mondai/intl/un/ 社会権規約(経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約)委員会,最終所見,2013年,E/C.12/JPN/CO/3、拷問禁止委員会,最終所見,2013年,19.]、[http://megalodon.jp/2014-0303-1803-58/www.nikkei.com/article/DGXNASGM1800P_Y4A110C1NNE000/ 2014年01月19日、オバマ大統領、旧日本軍の従軍慰安婦問題に関する内容を含む2014年度の歳出法案に署名])。


なぜなら、そもそも協定は、前文で「日本国及び大韓民国は、(中略)請求権に関する問題を解決することを希望し」、そのため、2条1項(削除) で (削除ここまで)「日韓間の両国間及び国民間の請求権に関する問題は完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する」ことを目標として掲げ、更にそのため、3条1項「この協定の解釈及び実施に関する両締約国の紛争は、まず、外交上の経路を通じて解決するものとする」と規定し、その上、3条2,3,4項において両国間の直接外交で解決しない場合に備え「仲裁」によって解決する旨の規定まで具備している<ref name="eisaku19651218" />からである。
なぜなら、そもそも協定は、前文で「日本国及び大韓民国は、(中略)請求権に関する問題を解決することを希望し」、そのため、2条1項「日韓間の両国間及び国民間の請求権に関する問題は完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する」ことを目標として掲げ、更にそのため、3条1項「この協定の解釈及び実施に関する両締約国の紛争は、まず、外交上の経路を通じて解決するものとする」と規定し、その上、3条2,3,4項において両国間の直接外交で解決しない場合に備え「仲裁」によって解決する旨の規定まで具備している<ref name="eisaku19651218" />からである。


また、第1条の経済協力金と第2条の請求権が関連付けられている条文、すなわち、『日本から韓国への経済協力金によって韓国から日本へのあらゆる請求権が「完全かつ最終的に」相殺された』と(削除) 規定してい (削除ここまで)る条文は存在していない。また、第2条の請求権問題と第3条の問題解決手順とが無関係と読める条文、すなわち、『第3条の解決手順の規定によって解消されるべき問題は、経済協力問題のみであり、請求権問題は一切除外されている』と読める条文も存在していない。
また、第1条の経済協力金と第2条の請求権が関連付けられている条文、すなわち、『日本から韓国への経済協力金によって韓国から日本へのあらゆる請求権が「完全かつ最終的に」相殺された』と(追記) 読め (追記ここまで)る条文は存在していない。また、第2条の請求権問題と第3条の問題解決手順とが無関係と読める条文、すなわち、『第3条の解決手順の規定によって解消されるべき問題は、経済協力問題のみであり、請求権問題は一切除外されている』と読める条文も存在していない。


更に、仮に、日本から韓国への経済協力金(削除) が (削除ここまで)全ての韓国・朝鮮人(削除) から (削除ここまで)日本への(削除) 全ての (削除ここまで)請求権の対価であると条文で明示されていた場合でさえ、その経済協力金が日本から韓国政府へ支払われ始め「完全かつ最終的に解決された」と「確認する」ことができる状態になり得るのは条約およびこの付属協定が発効した[[1965年]][[12月18日]]より後の時代とならざるを得ないため、[[1965年]][[06月22日]]の条文(削除) 作成時 (削除ここまで)の時(削除) 点で (削除ここまで)日韓両政府が「完全かつ最終的に解決された」と既に「確認」'''していた'''ということは可能性としても100%あり得ない。
更に、仮に、日本から韓国への経済協力金(追記) は (追記ここまで)全ての韓国・朝鮮人(追記) の (追記ここまで)日本への(追記) あらゆる (追記ここまで)請求権の対価であると条文で明示されていた場合でさえ、その経済協力金が日本から韓国政府へ支払われ始め「完全かつ最終的に解決された」と「確認する」ことができる状態になり得るのは条約およびこの付属協定が発効した[[1965年]][[12月18日]]より後の時代とならざるを得ないため、[[1965年]][[06月22日]]の条文の(追記) 文言決定 (追記ここまで)(追記) に (追記ここまで)日韓両政府が「完全かつ最終的に解決された」と既に「確認」'''していた'''ということは可能性としても100%あり得ない。


また、現実問題としても、日本政府は、1996年(平成7年)7月発足の「女性のためのアジア平和国民基金」による「償い」<ref name="tomiichi1996">{{cite web
また、現実問題としても、日本政府は、1996年(平成7年)7月発足の「女性のためのアジア平和国民基金」による「償い」<ref name="tomiichi1996">{{cite web
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つまり、客観的事実として、上記見解時(削除) (2010 (削除ここまで)(削除) 3 (削除ここまで)月17日)においても、『日韓両政府は、[[1965年]][[12月18日]]発効の「'''財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定'''」に基づき、両国間における請求権が「完全かつ最終的に解決されたこととな」'''った'''ことを確認'''した'''』という趣旨の確認合意書を日韓両政府は1度も取り交わしていないままであるし、取り交わすことすら双方が一層不可能にしてしまっている(注:2014年03月の時点においても、日韓両政府はこの「完全かつ最終的に解決されたこととな」'''った'''ことを確認'''した'''という趣旨の確認合意書を1度も取り交わせていない)。
つまり、客観的事実として、上記見解時(追記) ([[2010 (追記ここまで)(追記) ]][[03 (追記ここまで)月17日(追記) ]] (追記ここまで))においても、『日韓両政府は、[[1965年]][[12月18日]]発効の「'''財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定'''」に基づき、両国間における請求権が「完全かつ最終的に解決されたこととな」'''った'''ことを確認'''した'''』という趣旨の確認合意書を日韓両政府は1度も取り交わしていないままであるし、取り交わすことすら双方が一層不可能にしてしまっている(注:2014年03月の時点においても、日韓両政府はこの「完全かつ最終的に解決されたこととな」'''った'''ことを確認'''した'''という趣旨の確認合意書を1度も取り交わせ(追記) ていないし、また、取り交わせるような状況にもなっ (追記ここまで)ていない)。


[[2012年]][[05月24日]]、韓国では、第二次世界大戦の際に労働者として徴用された韓国人9名が三菱重工と新日本製鉄に対して損害賠償を請求した訴訟の上告審において、[[大韓民国の政治#司法|大法院]]が『個人の請求権は消滅していない』との判断を下し、原審に差し戻した。これは、それまでの日韓請求権協定に関する日本政府との見解および韓国政府の見解が韓国司法によって却下されたことを意味している。
[[2012年]][[05月24日]]、韓国では、第二次世界大戦の際に労働者として徴用された韓国人9名が三菱重工と新日本製鉄に対して損害賠償を請求した訴訟の上告審において、[[大韓民国の政治#司法|大法院]]が『個人の請求権は消滅していない』との判断を下し、原審に差し戻した。これは、それまでの日韓請求権協定に関する日本政府との見解および韓国政府の見解が韓国司法によって却下されたことを意味している。

2014年3月3日 (月) 10:20時点における版

財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定
通称・略称 日韓請求権並びに経済協力協定、韓国との請求権・経済協力協定
署名 1965年 06月22日(東京)
発効 1965年12月18日
言語 日本語および韓国語
主な内容 日本国と大韓民国の間の請求権と経済協力に関して定める
関連条約 日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約
条文リンク 韓国との請求権・経済協力協定 (PDF)
韓国との請求権・経済協力協定 (PDF) - 外務省
ウィキソース原文
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韓国政府代表として協定に署名した李東元外務部長官

財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定(ざいさんおよびせいきゅうにかんするもんだいのかいけつならびにけいざいきょうりょくにかんするにほんこくとだいかんみんこくとのあいだの協定)とは、1965年に日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約と同時に締結された付随協約のひとつ。日韓請求権並びに経済協力協定

概要

この協定の主要骨格は、第1条、第2条、および、第3条である。

第1条が日本から韓国に対して経済協力が行われるための手順規定、第2条が日韓両国間の請求権問題が「完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する」目標規定および例外規定、第3条が日韓両国間で「この協定の解釈及び実施に関する両締約国の紛争」を解決するための手順規定となっている[1]

この協定に基づき、日本は、韓国との正式国交開始と同時に、当時世界最貧国のひとつであった韓国に対し、合計5億米ドル(無償3億米ドル、有償2億米ドル)及び民間融資3億米ドルの経済協力支援を行った。当時の韓国の国家予算は3.5億米ドル程度、日本の外貨準備額は18億米ドルであったことから、その額の膨大さが推し量れる。韓国は、この日本からの経済協力金を原資として、国内のダムや高速道路を整備し、「漢江の奇跡」を成し遂げた。

2009年 08月14日、ソウル行政裁判所は、大韓民国外交通商部が裁判所に提出した書面に「日本に動員された被害者(未払い賃金)供託金は請求権協定を通じ、日本から無償で受け取った3億ドルに含まれているとみるべきで、日本政府に請求権を行使するのは難しい」と記述されていることを明らかにした[2] [3] 韓国政府は、日韓基本条約締結時からこの付随協定の内容を韓国民に伏せており、韓国政府の公式見解が明らかにされたのは初めてである[2] 韓国・朝鮮人は請求権問題で日本政府にのみ補償と謝罪を求め続けてきたが、1965年当時の韓国政府が彼らの不払い賃金の対価も含まれると判断した上で日本からの経済協力資金を受け取っていたことを示す上記韓国公文書が韓国外交通商部からソウル行政裁判所に呈示されたことが明らかにされたため、2009年 08月14日以降は、彼らは日韓両政府に補償・謝罪・日韓交渉を求めなければならないということが明らかになった[2] [3]

なお、日本政府は条約締結以前の1946年、日本企業に対して朝鮮人に対する未払い額を供託所に供託するよう指示を行っており、 2009年8月現在、日本に供託形態で保管されたままとなっている韓国・朝鮮人への不払い賃金額は、強制動員労務者2億1500万円、軍人・軍属9100万円などで総額3億600万円となっている[2] [3]

2010年 03月15日、韓国政府は慰安婦、サハリン残留韓国人、韓国人原爆被害者については対象外だとして「日本政府の法的責任を追及し、誠意ある措置を取るよう促している」と発表した[4]

これに対して日本政府は、同年03月17日、「財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定により、両国間における請求権は、完全かつ最終的に解決されている」という見解を発表した[5]

しかしながら、この日本政府の見解は、「財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定」の個々の条文の内容とも協定の全体的な趣旨とも『日韓請求権協定と個人請求権問題は無関係』とする日本外務省の内部公文書[5] とも完全に食い違っている。韓国政府・韓国人が受け容れられるはずもなく、むしろ、日本人が各国の日本への慰安婦謝罪要求決議(e.g.アメリカ合衆国下院121号決議オランダ下院慰安婦問題謝罪要求決議カナダ下院慰安婦問題謝罪要求決議)にもかかわらず昭和戦前の歴史について全く無反省である証拠として、同盟国米国を含む国際社会を怒らせたり日本国民を問題視させたりする原因の一つとなってしまっている(e.g. 社会権規約(経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約)委員会,最終所見,2013年,E/C.12/JPN/CO/3、拷問禁止委員会,最終所見,2013年,19.2014年01月19日、オバマ大統領、旧日本軍の従軍慰安婦問題に関する内容を含む2014年度の歳出法案に署名)。

なぜなら、そもそも協定は、前文で「日本国及び大韓民国は、(中略)請求権に関する問題を解決することを希望し」、そのため、2条1項「日韓間の両国間及び国民間の請求権に関する問題は完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する」ことを目標として掲げ、更にそのため、3条1項「この協定の解釈及び実施に関する両締約国の紛争は、まず、外交上の経路を通じて解決するものとする」と規定し、その上、3条2,3,4項において両国間の直接外交で解決しない場合に備え「仲裁」によって解決する旨の規定まで具備している[1] からである。

また、第1条の経済協力金と第2条の請求権が関連付けられている条文、すなわち、『日本から韓国への経済協力金によって韓国から日本へのあらゆる請求権が「完全かつ最終的に」相殺された』と読める条文は存在していない。また、第2条の請求権問題と第3条の問題解決手順とが無関係と読める条文、すなわち、『第3条の解決手順の規定によって解消されるべき問題は、経済協力問題のみであり、請求権問題は一切除外されている』と読める条文も存在していない。

更に、仮に、日本から韓国への経済協力金は全ての韓国・朝鮮人の日本へのあらゆる請求権の対価であると条文で明示されていた場合でさえ、その経済協力金が日本から韓国政府へ支払われ始め「完全かつ最終的に解決された」と「確認する」ことができる状態になり得るのは条約およびこの付属協定が発効した1965年 12月18日より後の時代とならざるを得ないため、1965年 06月22日の条文の文言決定時に日韓両政府が「完全かつ最終的に解決された」と既に「確認」していたということは可能性としても100%あり得ない。

また、現実問題としても、日本政府は、1996年(平成7年)7月発足の「女性のためのアジア平和国民基金」による「償い」[6] や日本国首相による「おわび」[6] [7] 、その他各種の事業[8] を行っているため、日本政府自身がその言動によって本協定発効(1965年 12月18日)から約半世紀を経ても「完全かつ最終的に解決されたこととな」っていないと判断(「確認」)していたことが自明であり、それ故、上記見解が何重にも論理矛盾を犯している完全に間違った見解であることも(歴史修正主義者や妄想狂を除き)極めて自明である。

つまり、客観的事実として、上記見解時(2010年 03月17日)においても、『日韓両政府は、1965年 12月18日発効の「財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定」に基づき、両国間における請求権が「完全かつ最終的に解決されたこととな」ったことを確認した』という趣旨の確認合意書を日韓両政府は1度も取り交わしていないままであるし、取り交わすことすら双方が一層不可能にしてしまっている(注:2014年03月の時点においても、日韓両政府はこの「完全かつ最終的に解決されたこととな」ったことを確認したという趣旨の確認合意書を1度も取り交わせていないし、また、取り交わせるような状況にもなっていない)。

2012年 05月24日、韓国では、第二次世界大戦の際に労働者として徴用された韓国人9名が三菱重工と新日本製鉄に対して損害賠償を請求した訴訟の上告審において、大法院が『個人の請求権は消滅していない』との判断を下し、原審に差し戻した。これは、それまでの日韓請求権協定に関する日本政府との見解および韓国政府の見解が韓国司法によって却下されたことを意味している。

更に、2013年 08月06日小和田恒元外務省事務次官(本協定締結の1965年当時、外務省条約局法規課員)が、日本政府の2010年の上記見解とは真反対の見解、すなわち、『対立する問題は可能なすべての外交交渉により解決すべき』という趣旨の文書『解説・日韓条約』をまとめていたことが判明している[9] [10] 。この『解説・日韓条約』は、「何が『紛争』に当たるか」の問いに対して「ある問題について明らかに対立する見解を持するという事態が生じたとき」と明記しており、また、紛争の発生時期については「何らの制限も付されていない」とし、「今後、生じることのあるすべての紛争が対象になるべき」だと説明している。その上で、日韓間で紛争が生じた場合は、「まず外交上の経路を通じて解決するため、可能なすべての努力を試みなければならないことはいうまでもない」と解説している。

主な合意内容

日本国が大韓民国に経済協力(無償供与及び低利貸付け)する

  • 第一条
  1. 日本国は、大韓民国に対し、(a)現在において千八十億円(108,000,000,000円)に換算される三億合衆国ドル(300,000,000ドル)に等しい円の価値を有する日本国の生産物及び日本人の役務を、この協定の効力発生の日から十年の期間にわたつて無償で供与するものとする。各年における生産物及び役務の供与は、現在において百八億円(10,800,000,000円)に換算される三千万合衆国ドル(30,000,000ドル)に等しい円の額を限度とし、各年における供与がこの額に達しなかつたときは、その残額は、次年以降の供与額に加算されるものとする。ただし、各年の供与の限度額は、両締約国政府の合意により増額されることができる。(b)現在において七百二十億円(72,000,000,000円)に換算される二億合衆国ドル(200,000,000ドル)に等しい円の額に達するまでの長期低利の貸付けで、大韓民国政府が要請し、かつ、3の規定に基づいて締結される取極に従つて決定される事業の実施に必要な日本国の生産物及び日本人の役務の大韓民国による調達に充てられるものをこの協定の効力発生の日から十年の期間にわたつて行なうものとする。この貸付けは、日本国の海外経済協力基金により行なわれるものとし、日本国政府は、同基金がこの貸付を各年において均等に行ないうるために必要とする資金を確保することができるように、必要な措置を執るものとする。前記の供与及び貸付けは、大韓民国の経済の発展に役立つものでなければならない。
  2. 両締約国政府は、この条の規定の実施に関する事項について勧告を行なう権限を有する両政府間の協議機関として、両政府の代表者で構成される合同委員会を設置する。
  3. 両締約国政府は、この条の規定の実施のため、必要な取極を締結するものとする。

両国は請求権問題の完全かつ最終的な解決の確認を目指す

  • 第二条
  1. 両締約国は、両締約国及びその国民(法人を含む。)の財産、権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が、千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で署名された日本国との平和条約第四条(a)に規定されたものを含めて、完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する。
  2. この条の規定は、次のもの(この協定の署名の日までにそれぞれの締約国が執つた特別の措置の対象となつたものを除く。)に影響を及ぼすものではない。(a)一方の締約国の国民で千九百四十七年八月十五日からこの協定の署名の日までの間に他方の締約国に居住したことがあるものの財産、権利及び利益(b)一方の締約国及びその国民の財産、権利及び利益であつて千九百四十五年八月十五日以後における通常の接触の過程において取得され又は他方の締約国の管轄の下にはいつたもの
  3. 2の規定に従うことを条件として、一方の締約国及びその国民の財産、権利及び利益であつてこの協定の署名の日に他方の締約国の管轄の下にあるものに対する措置並びに一方の締約国及びその国民の他方の締約国及びその国民に対するすべての請求権であつて同日以前に生じた事由に基づくものに関しては、いかなる主張もすることができないものとする。

両国はこの協定の解釈及び実施に関する紛争を直接外交あるいは仲裁決定で解決する

  • 第三条
  1. この協定の解釈及び実施に関する両締約国の紛争は、まず、外交上の経路を通じて解決するものとする。
  2. 1の規定により解決することができなかつた紛争は、いずれか一方の締約国の政府が他方の締約国の政府から紛争の仲裁を要請する公文を受領した日から三十日の期間内に各締約国政府が任命する各一人の仲裁委員と、こうして選定された二人の仲裁委員が当該期間の後の三十日の期間内に合意する第三の仲裁委員又は当該期間内にその二人の仲裁委員が合意する第三国の政府が指名する第三の仲裁委員との三人の仲裁委員からなる仲裁委員会に決定のため付託するものとする。ただし、第三の仲裁委員は、両締約国のうちいずれかの国民であつてはならない。
  3. いずれか一方の締約国の政府が当該期間内に仲裁委員を任命しなかつたとき、又は第三の仲裁委員若しくは第三国について当該期間内に合意されなかつたときは、仲裁委員会は、両締約国政府のそれぞれが三十日の期間内に選定する国の政府が指名する各一人の仲裁委員とそれらの政府が協議により決定する第三国の政府が指名する第三の仲裁委員をもつて構成されるものとする。
  4. 両締約国政府は、この条の規定に基づく仲裁委員会の決定に服するものとする。

脚注

  1. ^ a b "日韓請求権並びに経済協力協定(財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定)". 日本政治・国際関係データベース 東京大学東洋文化研究所 田中明彦研究室. 2014年3月3日閲覧。
  2. ^ a b c d "徴用被害者の未払い賃金請求は困難、政府が立場表明". 聯合ニュース . (2009年8月14日). http://megalodon.jp/2014-0303-1520-19/japanese.yonhapnews.co.kr/relation/2009/08/14/0400000000AJP20090814001100882.HTML 2014年3月3日閲覧。 
  3. ^ a b c "「日帝徴用被害者不払い賃金、日本に請求権行使難しい」". 中央日報 . (2009年8月15日). http://megalodon.jp/2014-0303-1519-31/japanese.joins.com/article/225/119225.html?sectcode=200&servcode=200 2014年3月3日閲覧。 
  4. ^ "政府「慰安婦問題、日本政府の法的責任を追及中」". = 聯合ニュース . (2010年3月15日). http://megalodon.jp/2014-0303-1641-06/japanese.yonhapnews.co.kr/relation/2010/03/15/0400000000AJP20100315004000882.HTML 2014年3月3日閲覧。 
  5. ^ a b "「個人請求権は解決済み」日本外務省が立場表明". 聯合ニュース . (2010年3月18日). http://megalodon.jp/2014-0303-1647-15/japanese.yonhapnews.co.kr/relation/2010/03/18/0400000000AJP20100318002200882.HTML 2014年3月3日閲覧。 
  6. ^ a b "「個人請求権は解決済み」日本外務省が立場表明". 日本国外務省 (1996年7月). 2014年3月3日閲覧。
  7. ^ "元慰安婦の方々に対する小泉内閣総理大臣の手紙". 日本国外務省 (2001年). 2014年1月28日閲覧。
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  9. ^ ""対立見解は外交で解決" 日韓請求権協定締結時に外務省 「慰安婦」賠償問題 笠井氏調査で判明". しんぶん赤旗 . (2013年8月7日). http://megalodon.jp/2014-0303-1824-24/www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-08-07/2013080701_04_1.html 2014年3月3日閲覧。 
  10. ^ 法律時報』(日本評論社、1965年9月号)

外部リンク

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