コンテンツにスキップ
Wikipedia

「カブトガニ」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
53行目: 53行目:
== 利用 ==
== 利用 ==
[[ファイル:Tachypleus tridentatus in Hong Kong.JPG|thumb|280px|中国・香港の市場で販売されているカブトガニ]]
[[ファイル:Tachypleus tridentatus in Hong Kong.JPG|thumb|280px|中国・香港の市場で販売されているカブトガニ]]
日本においては[[田畑]]の[[肥料]]や[[釣り]]の[[餌]]、[[家畜]]の[[飼料]]として使われていた。[[中華人民共和国|中国]]や[[東南アジア]]の一部地域ではカブトガニ類が食用にされている。中国[[福建省]]では「鱟」(ハウ)と呼び卵、肉などを[[鶏卵]]と共に炒めて食べることが行われている。日本でも山口県下関など一部の地域では食用に用いていたこともあったが、系統的にクモ(削除) に (削除ここまで)やダニに近いため、美味しくはないと言われている<ref>{{Cite web|author=大西一實|title=Vol.56 食うか食われるか?|url=http://www.kaikyokan.com/cgi/fish3/56.htm|work=あくあは〜つ通信|accessdate=4月18日|accessyear=2008年}}</ref>。現在、国内で食用に用いた場合、[[絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律]]によって罰せられる危険がある。
日本においては[[田畑]]の[[肥料]]や[[釣り]]の[[餌]]、[[家畜]]の[[飼料]]として使われていた。[[中華人民共和国|中国]]や[[東南アジア]]の一部地域ではカブトガニ類が食用にされている。中国[[福建省]]では「鱟」(ハウ)と呼び卵、肉などを[[鶏卵]]と共に炒めて食べることが行われている。日本でも山口県下関など一部の地域では食用に用いていたこともあったが、系統的にクモやダニに近いため、美味しくはないと言われている<ref>{{Cite web|author=大西一實|title=Vol.56 食うか食われるか?|url=http://www.kaikyokan.com/cgi/fish3/56.htm|work=あくあは〜つ通信|accessdate=4月18日|accessyear=2008年}}</ref>。現在、国内で食用に用いた場合、[[絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律]]によって罰せられる危険がある。


カブトガニ ''Tachypleus tridentatus''や同じ科に属するアメリカカブトガニ ''Limulus polyphemus''の血球抽出液は[[内毒素]]やβ-グルカンの検出法であるリムルステストに用いられる。
カブトガニ ''Tachypleus tridentatus''や同じ科に属するアメリカカブトガニ ''Limulus polyphemus''の血球抽出液は[[内毒素]]やβ-グルカンの検出法であるリムルステストに用いられる。

2009年5月7日 (木) 03:09時点における版

カブトガニ
カブトガニ Tachypleus tridentatus
保全状況評価 [1]
DATA DEFICIENT
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
絶滅危惧I類 (CR+EN)(環境省レッドリスト)
分類
: カブトガニ T. tridentatus
学名
Tachypleus tridentatus
(Leach, 1819)
英名
Tachypleus tridentatus
Chinese horseshoe crab
King Crab
Japanese horseshoe crab

カブトガニ(甲蟹、兜蟹、鱟)とは節口綱カブトガニ目カブトガニ科カブトガニ属に属する節足動物である。学名は Tachypleus tridentatus。お椀のような体にとげのような尻尾を持つ。

概要

カブトガニの化石は約5億年前のオルドビス紀にまでさかのぼることができる。2億年前からほとんどその形状を変えていないため、生きた化石とも呼ばれる。

分類

カブトガニは甲殻類ではなく、カニよりはクモに近い。幼生は三葉虫に似ていると言われ、三葉虫型幼生の名もある。実際に三葉虫と系統的に近いと思われたこともあるが、今では否定されている。

よくカブトエビと混同されることがあるが、別の生き物である。

生態

干潟の泥の溜まった海底に生息する。カブトガニはその体形から泥に沈むことはない。ゴカイなどを餌にする。夏に産卵期を迎え、産卵された卵は数ヶ月で孵化し十数回の脱皮を経て成体になる。カブトガニの幼生は、孵化する以前に卵の中で数回の脱皮を行いながら成長し、それに合わせて卵自体も大きくなってゆく特徴がある。

体長は成体で最大70cmに達し、メスの方がオスよりも大きい。メスの第一脚と第二脚は鋏状となっているのに対しオスの第一脚と第二脚は鈎状になっていて、繁殖期にはこの脚でメスを捕縛し雌雄繋がって行動する姿が見られる。繁殖期以外にもオスはメスやメスと錯覚したカブトガニのオスや大型魚類、ウミガメなどに掴まる習性を持ち、その捕縛力も極めて強い。なお、メスの背甲部の形状全体が円を描くような形なのに対し、オスの背甲部は中央先端部が突き出ていることで区別できる。腹部の棘(縁ぎょく)の付き方もメスが後の方の棘の発達が悪くなるというのも特徴である。これはオスがメスの背中につかまる際に邪魔にならないためである。

分布

日本国内の生息分布は過去は瀬戸内海と九州北部の沿岸部に広く生息したが、現在では生息地の環境破壊が進み生息数・生息地域ともに激減した。

現在の繁殖地は瀬戸内海山口県沿岸、九州曽根干潟博多湾伊万里湾杵築湾芦辺湾が確認されているがいずれの地域も沿岸の開発が進み最近では生息できる海岸が減少しほとんど見ることができない。岡山県 笠岡市は国内の代表的な生息地・繁殖地であったが、笠岡湾干拓の影響もあって同地での生息状況は絶滅寸前とされる。同地には、笠岡市立カブトガニ博物館がある。また現地ではカブトガニを"ドン亀"という別称で呼んでいる。

日本国外の近縁種

東シナ海にも生息している。日本以外では東アジア、北アメリカに同科の動物を見ることができ特に北アメリカ東海岸の一部ではアメリカカブトガニを無数に見ることができる。アメリカカブトガニはカブトガニよりも一回り小さく50cmほどであり、メスに比べオスの比率が高い種でもある。しかし最近ではカブトガニほどではないとはいえ、産卵場所の減少と水質悪化による減少傾向も出ている。

東南アジアにはマルオカブトガニミナミカブトガニ(ヘラオカブトガニ)の2種が分布しているがミナミカブトガニは体長が最大でも30cm、マルオカブトガニは20cmほどと小型である。

なお、マルオカブトガニとミナミカブトガニはペット輸入されていた時もあった。

絶滅危惧

絶滅危惧I類 (CR+EN)(環境省レッドリスト)

利用

中国・香港の市場で販売されているカブトガニ

日本においては田畑肥料釣り家畜飼料として使われていた。中国東南アジアの一部地域ではカブトガニ類が食用にされている。中国福建省では「鱟」(ハウ)と呼び卵、肉などを鶏卵と共に炒めて食べることが行われている。日本でも山口県下関など一部の地域では食用に用いていたこともあったが、系統的にクモやダニに近いため、美味しくはないと言われている[3] 。現在、国内で食用に用いた場合、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律によって罰せられる危険がある。

カブトガニ Tachypleus tridentatusや同じ科に属するアメリカカブトガニ Limulus polyphemusの血球抽出液は内毒素やβ-グルカンの検出法であるリムルステストに用いられる。

脚注

  1. ^ World Conservation Monitoring Centre 1996. Tachypleus tridentatus. In: IUCN 2007. 2007 IUCN Red List of Threatened Species. <www.iucnredlist.org>. Downloaded on 30 November 2007.
  2. ^ Tachypleus tridentatus (環境省絶滅危惧種情報 by 生物多様性情報システム J-IBIS)
  3. ^ 大西一實. "Vol.56 食うか食われるか?". あくあは〜つ通信. 4月18日閲覧。accessdateの記入に不備があります。

関連図書

  • 関口晃一『カブトガニの不思議「生きている化石」は警告する』岩波書店(岩波新書 新赤版 192), 1991, 229p

外部リンク

ウィキメディア・コモンズには、カブトガニ に関連するメディアがあります。
ウィキスピーシーズにカブトガニ に関する情報があります。

AltStyle によって変換されたページ (->オリジナル) /