「埋没費用」の版間の差分
表示
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
m ロボットによる 追加: ko:매몰비용
編集の要約なし
6行目:
6行目:
==例==
==例==
ある映画のチケットが1200円であるとする。このチケットを紛失してしまった(削除) 場合 (削除ここまで)、再度チケットを購入して映画を見るべきであるかどうかが問題(削除) となる。このとき、映画を見ない場合には紛失したチケット代1200円を失う。これに対して、映画を見た場合は紛失したチケット代1200円+再度購入したチケット代1200円=2400円を失うが、しかし同時に映画を見ることができる。かりにその映画を見るために1500円払ってもいいと思っているならば、失う金額は2400-1500=900円となり、映画を見ることが合理的である。この場合の紛失したチケット代1200円は、いずれにせよ回収できない費用として[[埋没費用]] (削除ここまで)となる。
ある映画のチケットが1200円であるとする。このチケットを紛失してしまった(追記) とき (追記ここまで)、再度チケットを購入して映画を見るべきであるかどうかが問題となる。
*映画を見ない場合:既に紛失したチケット代1200円を失う。
⚫
==認識の困難さ==
*映画を見た場合:既に紛失したチケット代1200円に加え、再度購入したチケット代1200円(合計2400円)を失う。
このとき、既に紛失したチケット代1200円が[[埋没費用]]となる。この埋没費用は、どの選択肢を選んだとしても回収できない費用である。そこで、再度チケットを購入してでも映画を見ることが合理的な選択となる。
<!--
⚫
(追記) (追記ここまで)==認識の困難さ==
埋没費用の認識は難しい。なぜなら、埋没費用を認めるということは、すなわちそれまでに行った事業や投資などの失敗を認めることに他ならないからである。事業の撤退・縮小を行ったとしても回収できない費用とはどこまでのことを指すのか、一般的に言うことは困難である。
埋没費用の認識は難しい。なぜなら、埋没費用を認めるということは、すなわちそれまでに行った事業や投資などの失敗を認めることに他ならないからである。事業の撤退・縮小を行ったとしても回収できない費用とはどこまでのことを指すのか、一般的に言うことは困難である。
19行目:
25行目:
株式の世界では『損切り万両』という格言があるが、これは埋没費用を認めることによって、その後の損失の拡大を防ぐという意味と捉えることが出来る。また、そのような格言があると言うことは、いかに多くの人間がそのように行動が出来ないかということを意味している。
株式の世界では『損切り万両』という格言があるが、これは埋没費用を認めることによって、その後の損失の拡大を防ぐという意味と捉えることが出来る。また、そのような格言があると言うことは、いかに多くの人間がそのように行動が出来ないかということを意味している。
-->
==参考文献==
==参考文献==
2008年3月20日 (木) 08:55時点における版
埋没費用(まいぼつひよう)ないしサンク・コスト (sunk cost) とは、事業に投下した資金のうち、事業の撤退・縮小を行ったとしても回収できない費用をいう。
初期投資が大きく、他に転用ができない事業ほど埋没費用は大きくなるため、投資も新規企業の参入も慎重になる。このことにより、埋没費用の多寡が参入障壁の高さを決める要因の1つであることは寡占論の定説となっている。
これに対しウィリアム・ボーモルは1982年に、逆に埋没費用がゼロならば、競争の潜在的可能性が高いために、たとえ独占であっても参入可能性が価格を正常に維持するというコンテスタビリティ理論を提示し、1980年代以後のアメリカの航空輸送産業やトラック輸送産業における規制緩和の流れを作り出した。
例
ある映画のチケットが1200円であるとする。このチケットを紛失してしまったとき、再度チケットを購入して映画を見るべきであるかどうかが問題となる。
- 映画を見ない場合:既に紛失したチケット代1200円を失う。
- 映画を見た場合:既に紛失したチケット代1200円に加え、再度購入したチケット代1200円(合計2400円)を失う。
このとき、既に紛失したチケット代1200円が埋没費用となる。この埋没費用は、どの選択肢を選んだとしても回収できない費用である。そこで、再度チケットを購入してでも映画を見ることが合理的な選択となる。
参考文献
- Sutton, J. Sunk Costs and Market Structure. The MIT Press, Cambridge, Massachusetts, 1991.