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「フロッピーディスク」の版間の差分

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[[Image:FDD-Cardreader.jpg|thumb|200px|近年登場したFDドライブと一体化したカードリーダー]]
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'''フロッピーディスク''' (floppy disk) は[[磁気ディスク]]の一種で、[[磁性体]]を塗布した小円盤を紙または[[プラスチック]]製の保護ケースに入れたもの、またはフロッピーディスクを読み書きするための'''フロッピーディスクドライブ'''と呼ばれる装置の略称である。
'''フロッピーディスク''' (floppy disk) は[[磁気ディスク]]の一種で、[[磁性体]]を塗布した小円盤を紙または[[プラスチック]]製の保護ケースに入れたもの、またはフロッピーディスクを読み書きするための'''フロッピーディスクドライブ'''と呼ばれる装置の略称である。
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* マイクロフロッピーディスク(3.5インチ): [[1980年]]、[[ソニー]]
* マイクロフロッピーディスク(3.5インチ): [[1980年]]、[[ソニー]]
* コンパクトフロッピーディスク(3インチ): [[日立製作所]]
* コンパクトフロッピーディスク(3インチ): [[日立製作所]]
* (削除) 65 mm 2.5 (削除ここまで)インチ : (削除) [[ (削除ここまで)ソニー]]
* (追記) ビデオフロッピーディスク(2 (追記ここまで)インチ(追記) ) (追記ここまで) : ソニー(追記) 、[[キヤノン (追記ここまで)]]


==関連する日本工業規格==
==関連する日本工業規格==

2008年3月5日 (水) 08:30時点における版

8インチ型FD
5.25インチ型FD
3インチコンパクトFD
3.5インチ型FD
3.5インチ型FDD
2インチ型FD
近年登場したFDドライブと一体化したカードリーダー

フロッピーディスク (floppy disk) は磁気ディスクの一種で、磁性体を塗布した小円盤を紙またはプラスチック製の保護ケースに入れたもの、またはフロッピーディスクを読み書きするためのフロッピーディスクドライブと呼ばれる装置の略称である。

概要

現時点で一般的なハードディスクとは異なり、駆動装置から媒体を取り外す事ができることが特徴である。ディスクの直径により、8インチ、51⁄4 (5.25) インチ、31⁄2 (3.5) インチの3種が主に知られ、1969年に読み取り専用の8インチフロッピーディスクが生まれてから1990年代末にかけて小型コンピューターのデータの記録に広く用いられた。その後、小型コンピュータの性能の向上により扱うデータの容量も大型化したため、2000年頃以降は徐々に廃れていっている。現在では、Windows XPが5.25インチ型にも対応はしているものの、最も普及した3.5インチ型以外を見る機会は少ない。

フロッピーディスクは「FD」、読み書きする装置は「FDD」と略記され、また単に「フロッピー」または「フロッピィ」と呼ばれる事がある。この他、米国IBMを中心に「ディスケット (diskette)」 の呼称が使われ、また、日本工業規格 (JIS) では「フレキシブルディスク」「フレキシブルディスクカートリッジ」として定められている。日本IBMでは、かつて31⁄2インチ型媒体を使用する読取装置を「3.5型駆動機構」と呼んでいた。

現在でもSDカードやメモリースティック、コンパクトフラッシュ、スマートメディアなどのカードリーダーに3.5インチフロッピードライブを搭載したものが発売されており、一部では需要がある。また、3.5インチ型は最も普及していたことから現在でもファイルの保存などに使われるマークの図柄として多くのソフトでその形がモデルにされている。

規格・構造など

磁気ディスクの一種で、駆動装置からの取り外しが可能(リムーバブル)な記録媒体(メディア)である。磁性体を塗布したプラスチックの薄い円盤を駆動装置で回転させ、円盤の片面ないしは両面に同心円状に信号を記録する。

内部のプラスチックフィルムの直径が200 mm 8インチ130 mm 5.25インチ(一般に5インチと呼ばれる)、90 mm 3.5インチなどのものがあり、通常、ジャケット(200 mm 8インチ、 130 mm 5.25インチ)またはケース(90 mm 3.5インチ)に納められている。90 mm 3.5インチディスクのジャケットには金属またはプラスチック製のシャッターがついており、メディアを保護している。シャッターはディスクドライブ内部でスライドして開き、閉じるときはジャケット内のばねの力で閉じる。シャッターにロック機構がなく手で開ける事もできてしまうのでメディア保護の点では良くない。

最初期にソニーが発売した3.5インチディスクドライブはシャッター自動開閉機能がなく、ディスクの出し入れ前後に手でシャッターをスライドさせて開閉する必要があった。やがてドライブにシャッター自動開閉機能が搭載されたが、その頃は自動開閉機能の無いドライブとの互換のために、手でシャッターを開けると開けた位置でロックされ、"PINCH"と書かれた部分(肩部分)をつまむとシャッターがリリースされるという機構のディスクが発売された(このディスクは自動開閉機能搭載のドライブには手でシャッターを開けずに挿入することができた)。やがて自動開閉機能が一般的になり、ディスクも開けたままロックできる機構のものは無くなった。

8インチや5インチなどの初期のFDは、シャッターが無くケースが紙で出来ているために非常に破損しやすかった。

日本ではメートル法を使用し、正式な製品名称等にはインチではなくmmまたはが使用される。

  • 3.5インチ : 90 mm または 3.5型
  • 5/5.25インチ : 130 mm または 5/5.25型

5インチ、90 mm 3.5インチの一般的な2HDのメディアでは、約1.2MB〜1.4MB (FAT12) の容量があり、現在では、90 mm 3.5インチのものが主流である。しかし、小型化を試みる動きもあり、80 mm 3インチや65 mm 2.5インチも発表されたが、計測器など一部機器の記録メディアとしての利用にとどまり、主流にはならなかった。また、大容量化を試みた製品も数多く存在していた。概要を大容量フロッピーディスクの項に記す。

1枚で1MB程度という容量は、現在のように画像や音声データを扱う用途では不足である。しかし、フロッピーの代替となる標準メディアがなかなか現れなかったことや、かつてのPC/AT互換機において、起動可能 (Bootable) かつ読み書き可能なリムーバブルメディアとしては唯一のものであったため、主に起動用や、一部周辺機器のデバイスドライバなど、少量のデータの受け渡し用として、広く普及し現在でも利用されている。近年ではDVD関連の記録型光ディスクドライブがパソコンに標準搭載されるようになり、USBメモリ等が普及したことで、フロッピーの普及率は低下の一途を辿っている。代替メディアとしては、CD-RWや記録型DVDMO、USBメモリ、メモリーカード系のメディアで配布、保管などの役割を分けて普及している。

読み込みと書き込みが可能だが、書き込みを禁止する事ができる。書き込み禁止またはライトプロテクトと言う。 その書き込み禁止の操作は各メディアにより異なる。

90mm/3.5インチディスク:ライトプロテクトノッチをスライドさせて窓が空いた状態にする。
130mm/5.25インチディスク:ジャケットの切り欠きにライトプロテクトシールを貼る。
200mm/8インチディスク:ジャケットの定位置に切り欠きを作成する。

ノッチを元に戻す、シールを剥がす、シールを貼る等の逆操作を行えば、再び書き込み可能状態になる。

ディスクドライブはノッチまたはシールの位置に配置した光センサまたはスイッチで書きこみ禁止の状態を判別する。

ディスク上のトラックは独立した同心円状に配置される。トラックは円周の特定の位置から開始するが、その点はディスクに物理的に開けられた穴によって決定される。1つのトラック内に複数のセクタ(128バイトの2のべき乗倍)を記録する。このとき、セクタ位置を判別するために、プラスチックフィルムにセクタの開始位置に対応する複数の穴(インデックスホール)をあけ、光学センサで検出する方法をハードセクタ方式、インデックスホールをトラック内の第1セクタを示す位置にあけ、ほかのセクタはソフトウェアで位置を決めていく方法をソフトセクタ方式と呼ぶ。現在は、フォーマットの自由度が高いソフトセクタ方式が一般的である。

類似のものにクイックディスクスーパーディスクなどがある。

常に磁気ヘッドと接触した状態で読み書きを行うために少しずつ磨耗し、利用には限度がある(おおむね100万パス〜300万パス程度)。ただしその磨耗は一般使用では無視できるレベルである。アクセス時以外にはヘッドをディスクから分離する機構のドライブもあるが、現在はヘッドとディスクが常に接触するドライブが一般的である。

フロッピーディスクの容量表記には2進接頭辞 ×ばつ1024バイトである。

歴史

1970年IBMのエンジニアアラン・F・シュガート率いるチームによって8インチのものが応用された。容量はわずかに128キロバイトであった。当時は、パンチカードの代わりに、大型コンピュータへのデータ入力用メディアとして利用され、初期の8ビットや16ビットパソコン用としても1980年代後半まで使われていた。

1976年、米シュガートアソシエイツ(前述のシュガートが興したメーカー)からSA-400と呼ばれる5.25インチのディスクとドライブが発表された。当初は容量が80kB(1S、片面単密)と小さく、さらに、既に利用されている8インチ(SA-800シリーズ)ドライブとは物理的にも電気信号的にも互換性がなかったが、1978年アップルコンピュータApple IIでこのドライブの兄弟機SA-390(SA-400からコントローラ基板を抜いた物で、これはAppleIIではコントローラはアップル独自の物を利用していたため。ただしドライブの銘板がSA-390ではなく、SA-400のままの物も多数あった)のでが採用されると、パーソナルユースを中心に5.25インチのフロッピーディスクは広く普及した。

5.25インチのディスクは1D(片面倍密度)や2D(両面倍密度)などに発展し、2DD(両面倍密度倍トラック)を経て、やがて主流となる2HD(両面高密度)に至る。日本においては、5.25インチの2HDドライブは電電公社(現在のNTT)が開発を行ってきたため、発表当時は電電公社フォーマットドライブとも言われた。これは容量が約1.2MBで、電気的にも8インチドライブと互換性をとっており、8インチドライブからの代替が可能だったのもスムーズな移行につながった。このことは、ごく古いMS-DOS等の5.25インチ2HD用ディスクフォーマットを持たないオペレーティングシステム (OS) において、これを8インチ2Dディスク用フォーマットで代用できたことからも、全く同等のものであったことが分かる。

その後、3.5インチ (90mm) のディスクをソニーが開発し、まず最初に同社製のSMC-70に搭載された。その後アップルコンピュータのMacintoshに採用されたのを皮切りに、他社も3.5インチディスクを用いるようになった。(SMC-70などの最初期のドライブではオートシャッター機能はなく、手でシャッターを開けてドライブに挿入した。ディスク側にもシャッターをロックする機構があり、ディスク排出をされてもシャッターは自動で閉まらない。手でメディアのピンチマークを締め付けるとシャッターが閉まるという機構であった。オートシャッター機構対応ドライブにディスクを流用する際にはロック爪をカッターで削って欲しいという注意書きが出回った。これは後述の様に標準化の際に規格が変わったためである)特に家庭用パーソナルコンピュータ(パソコン)として規格化されたMSXで3.5インチディスクが採用されたこともあり、ホビー用途の機種やワープロ専用機では普及が早かった。しかし、ビジネス用途では日本電気 (NEC) 製PC-9800シリーズなどの中期まで5.25インチディスクが利用されていた。これは互換性を重視した結果である。

また、3.5インチは5.25インチより高価で、ゲームなどパッケージソフトの価格にも同封媒体による差があった。 パソコン関連雑誌の付録メディアについては、付録に関する規制(露出した金属を流通させてはならない、というもので、シャッターのプラ化は価格よりもこの対策が主、チャッキング部分は内部なのでそのまま)のため、3.5インチディスクを付録として使用することが出来なかった(後にはディスクと同じ厚さのボール紙で囲うことで対処していた)。

1982年、日本が中心となってFDの標準化が進んでいることを良く思わなかった米国企業は、「マイクロ・フロッピー・スタンダード・コミッティ」(Micro Floppy Standard Committee)を形成し、FDに関する標準化で、米国が中心となるよう活動を開始した。

ところが、シュガート、バーベイタムなど参加した14企業は、FDに関する高い技術や独自規格を世界標準に育てるだけの技術力をもった企業が存在しなかった。

そのため、ソニーにこのコミッティへの参加を呼びかけた。ソニーはオブザーバーとして参加することになった。ソニーはこのコミッティからの依頼を受け、以下の改良を行った。 1.シャッターを自動化する。 2.トラックの数を80に変更する。 3.プロテクトのセンサーを透過型に変更する。 この3点をソニーに変更したことを受け、このコミッティから、全米規格協会(American National Standards Institute :ANSI)に3.5インチ規格を提案し、1984年に、ISO会議で規格が承認された。

1990年前半になると、DOS/Vの登場で日本にPC/AT互換機が流入し、一般家庭用にパソコンが本格的に販売され始め、3.5インチディスクはさらに一般化した。しかし、主流が3.5インチになってからも、日本(PC-9800シリーズFMRシリーズFM TOWNSなど)と世界 (PC/AT) のフォーマット形式が2HDでは若干異なっており、相互に読み書きができなかった。このため、PC/AT互換機の普及の過程で多少の混乱があった。3モードのFDD装置が登場するまでは、両者に共通のフォーマットである2DD (720kB) のフロッピーを利用してデータ交換が行われた。

当初のフロッピーディスクは、磁性体の塗布技術に問題があり不良率が高かったが、特定のOS用に初期化しながら全品検査する方式が導入されるようになると、出荷後の不良率が激減した。さらに、磁性体の塗布技術が高度になり、品質が安定したのが1990年代の前半のことである。

これ以降フロッピーディスクは、メディアの大容量化についていけず、コスト削減から製造ラインの海外移設により、品質も落ちることとなった。

概ね2000年頃までフロッピーディスクは使われていたが、やがて光学ドライブCD-RWのような書き換えが可能なメディアが広まり、さらに読み書きの速度も高速で大容量なUSBメモリが広まると、フロッピーディスクは廃れていった。大きさに制約のあるノートパソコンは早い段階でフロッピードライブが省かれた。デスクトップパソコンも新品で販売されているものでは、フロッピードライブはオプション設定か、設定がないことが多い。

またフロッピーディスクの磁性体の特性は規格(あるいはデファクトスタンダード)で定められており、メディアの差別化は磁性体をフィルムに固定するバインダーと呼ばれる接着剤に工夫を凝らしていた。磁性体の剥離を最小限に抑えヘッドの清浄性を保つもの、導電性をもたせて埃の付着を防止したもの等があった。しかし、あるメーカーはバインダー素材の工夫に凝りすぎた結果カビが生えてしまうという事件がおきた。この事件は発売から1年後問題となり、メーカーはカビが生えたメディアを弁償すると共に耐カビ性能を前面に出した新製品を発売するが、失った信用を取り返す事はかなわず、そのメーカーはフロッピーディスク事業から撤退した。現在でも古いメディアをドライブに挿入すると読み取れず、ヘッドにカビがついてしまい他のメディアも読めなくなる事があるので、古いメディアを読む時には白い粉を吹いていないか確認した方がよい。

大容量フロッピーディスク

フロッピーディスクの記憶容量を増やすために、フロッピーディスクと上位互換をもついくつかの製品が開発されたこともある。それらを総称して大容量フロッピーディスクという。しかし、それぞれ専用のディスクと専用のドライブが必要で、製品間の互換性もないため普及しなかったものがほとんどである。

中松義郎とフロッピーディスク

フロッピーディスクについては、ドクター中松こと中松義郎が、発明及び特許を取得したと主張しているが、これは事実ではない。

中松が発明したものは「ナカビゾン」もしくは「積紙式完全自動連奏蓄音器」と呼ばれるものである。1948年に特許申請され、1952年に登録された。ナカビゾンは、何枚も繋がった紙の横一行一行に譜面が記録されていて、自動連奏蓄音機の譜面読みとり部分が左右に振れることで、譜面を読み込み演奏するものである。簡単に言うと、「レコードジャケットに穴を開けて、中身を取り出さずにそのまま使えるようにする」という特許であり、フロッピーディスクでは磁性体が塗布された円盤が用いられていることや、セクタ単位のランダムアクセスが可能なことから、全くの別物であると言える。

フロッピーディスクを開発したIBMは、自社の特許を守るため、当時フロッピーディスクの構造に抵触しそうな他者の特許に対しては契約を結んでいた。この中に中松の特許も含まれており、1979年2月に中松とIBMは「非独占的特許使用契約」という形で契約を行っている。これは、IBMがフロッピーディスクを日本で発売する際に、中松との紛争を避ける目的で行われたものである。その契約内容は、技術的なものではなく、エンベロープの意匠に関するものであったとされている。

なお、この契約が行われた時点でIBMは既にフロッピーディスクを生産しており、さらに5.25インチ型もシュガート社から発売されているため、中松がフロッピーディスクを発明したという事実はないが、未だに信じている人は多い。かつて五ツ木書房が「Selett」の宣伝のために、中松が「私の発明にはフロッピーディスクがある」と言うテレビCMを流したこともある。

各ハードウェア規格の開発元

関連する日本工業規格

  • JIS X0603: 情報交換用フレキシブルディスクカートリッジのラベルとファイル構成
  • JIS X0605: 情報交換用フレキシブルディスクカートリッジのボリュームとファイル構成
  • JIS X6221, JIS X6223, JIS X6226, JIS X6226: 90ミリメートルフレキシブルディスクカートリッジ
  • JIS X6222, JIS X6224, JIS X6225: 90ミリメートルフレキシブルディスクカートリッジのトラックフォーマット

3モードフロッピーディスクドライブ

3モードフロッピーディスクドライブを参照すること。

IBMフォーマット

IBM形式フロッピーディスクを参照すること。

パソコンにおけるフロッピーディスクの一般的なフォーマットの例

8インチ
  • 片面単密度(IBMの「Diskette 1」 : 約243kB)
  • 両面単密度(IBMの「Diskette 2」 : 約493kB)
  • 両面倍密度(IBMの「Diskette 2D」: 約985kB)
初期には片面単密度、後には両面倍密度が多く利用された。
セクタ長など幾つかのバリエーションがある。
ソフトセクターが一般的であるが、一部のオフィスコンピュータメインフレームでは、ハードセクター方式もあった。
1995年頃に生産はほぼ終了している。
5.25インチ
  • 片面単密度 -- 1S (1 sided Single density) : 約 70kB
  • 片面倍密度 -- 1D (1 sided Double density) : 約 140kB - 160kB
  • 両面倍密度 -- 2D (2 sided Double density) : 約 320kB - 360kB
  • 両面倍密度倍トラック -- 2DD (2 sided Double density Double track) : 約 640kB - 720kB
  • 両面高密度(8インチ2D相当) -- 2HD (2 sided High density Double track) :約1MB - 1.2MB
IBM PCPC/XT は両面倍密度 360kB が一般的
IBM PC/AT は 360kB に加え、2HC と称する1MB記録が採用された
AppleIIは独自フォーマットを施すことで1Sながら約143kB(書き込みノッチを切ることで両面使用できた)
NEC PC-8800シリーズ富士通 FM-7/8等は 2D (320kB) が一般的
NEC PC-100は 2D (360kB) が採用された。
NEC PC-9801Fで 2DD (640kB)、PC-9801M で 2HD (1MB)、PC-9801VM で 2DD/2HD 両用ドライブがそれぞれ採用された。
ソフトセクターが一般的であるが、一部のオフィスコンピュータメインフレームおよび初期のパーソナルコンピュータ(NorthStar Horizonなど)では、ハードセクター方式もあった。
2001年頃に生産はほぼ終了している。
90 mm 3.5インチ
  • 両面倍密度(2D : 約 320kB - 360kB)
  • 両面倍密度倍トラック(2DD : 約 640kB - 720kB)
  • 両面高密度(2HD : 約985kB/1.23MB/1.44MB他|2HC : 約1.21MB|IBM形式でフォーマットした場合は、200 mm 8インチ2Dに相当する)
  • 両面超高密度倍トラック(2ED : 約2.88MB)
  • 両面?密度倍トラック(2TD : 約9.3MB)
IBM PC Convertible で 2DD (720kB) が採用された
IBM Personal System/2 (PS/2) で、2HD (1.44MB) が採用された
PC-9801Uで 2DD (640kB/720kB)、PC-9801UV で 2HD (1.23MB)/2DD 両用ドライブが採用された。
2HD(1.44MB) を読書き可能にした3モード FDD が採用されたのは初代 PC-9821 からだった。
現在の主流サイズである。
2HD(1.23MB)を98フォーマット、2HD(1.44MB)をDOS/Vフォーマットと呼ぶこともある。
2EDは、東芝が普及に力を入れたが、ドライブが普及しなかったことや、MS-DOSでサポートされたのはVer.5からだったこともありあまり一般的ではない。なお、FMRシリーズFM TOWNSBIOSでは2EDがサポートされていた。
国内で3モードドライブといえば1.44MB/1.23MB/720KBを指すのが一般的だが、海外では2.88MB/1.44MB/720KBの事を指していた。そのため少し古いマザーボードBIOSで3モード設定を行うと不具合を生じる事がある。最近のものは日本仕様になっているため問題は起こりづらい。
2TDは、日本電気 (NEC) のPC-88VA3のみに採用されたドライブでレーザー刻印によるオプティカルトラックガイドがついたメディアを使用する。
2HD(1.23MB)に関しては、PC-9800版MS-DOSのFORMATコマンドで1.25MBと表示されていたために、1.23MBではなく1.25MBと表現されることも多かった。

3.5インチフロッピーディスク各形式の詳細

形式名 回転数 容量(ア) 容量(フ) セクタサイズ セクタ数 ヘッド数 シリンダ数
1D形式 360rpm 250KB? 160KB 512バイト 8 1 40
2D形式 360rpm 500KB 320KB 512バイト 8 2 40
1DD形式 360rpm 500KB 320KB 512バイト 8 1 80
1DD形式 360rpm 500KB 360KB 512バイト 9 1 80
2DD形式(初期国産パソコン) 360rpm 1.00MB 640KB 512バイト 8 2 80
2DD形式(大抵のパソコン) 300rpm 1.00MB 720KB 512バイト 9 2 80
2HC形式(東芝のパソコン) 360rpm 1.60MB 1.21MB 512バイト 15 2 80
2HD形式(日本のパソコン) 360rpm 1.60MB 1.23MB 1024バイト 8 2 77
2HD形式(PC/AT互換機) 300rpm 2.00MB 1.44MB 512バイト 18 2 80
2HD形式(IBM形式/H型) 360rpm 1.60MB 985KB 256バイト 26 2 77
2HD形式(三菱IBM形式) 300rpm 2.00MB 985KB 256バイト 26 2 77
2ED形式 300rpm 4.00MB 2.88MB 512バイト 36 2 80


<参考>
形式名 回転数 容量(ア) 容量(フ) セクタサイズ セクタ数 ヘッド数 シリンダ数
8インチ2D形式(汎用機) 360rpm 1.60MB 985KB 256バイト 26 2 77
5.25インチ2HD形式(PC/AT) 360rpm 1.60MB 1.21MB 512バイト 15 2 80
5.25インチ2HD形式(PC-9800シリーズ) 360rpm 1.60MB 1.23MB 1024バイト 8 2 77

(注記) ★がつくものは海外でも利用されている形式。その他は日本国内でしか利用されていない。 (注記)「容量(ア)」はアンフォーマット容量、「容量(フ)」はフォーマット容量を表す。

  • 2HDのIBM形式は日本独自のものであり、8インチの「IBM Diskette 2D」と完全互換である。また、2DDのIBM形式というものは存在しない。当然ながら、『IBM PC/AT互換機』におけるフロッピーディスクの形式をIBM形式と呼ぶことはありえない。
  • IBM形式では77個のシリンダの内、0番目をインデックスとして、末尾の二つを予備用として利用するため実際にデータとして使えるのは74個のシリンダである。
  • 2HC形式とは、5.25インチのPC/AT互換機用2HDフォーマットをそのまま3.5インチの2HDディスクに適用した形式である。東芝の初期型ダイナブック等で採用された。一時期の日本では、3.5インチのPC/AT互換機用2HDフォーマットについても2HCと呼ばれていたことがあったが、誤りである。

3.5インチFDの2DD、2HC、2HDの物理的な違い

3.5インチの2DDと2HDにおいては、磁性体の品質の要件と外側ケースの穴の位置(2DDではカートリッジ右下に穴が無く、2HDでは穴(HD検機孔)が開いている)以外の差はない。

3.5インチの2HCと2HDについてはメディア自体が全く同じものであり、物理フォーマット(ローレベルフォーマット)が違うだけである。フロッピーディスクにおいて、物理フォーマットという言葉は、ハードウェア形式を指す用語ではなく、論理フォーマットの一段下のレベルのフォーマットを意味し、セクター長やトラック数などのパターンのマッピングを指すものである。

誤用

近年、一定以上の年齢層において、リムーバブルメディア(現在主流なのはUSBメモリCD-RW等)やMOディスクなどの代名詞として「フロッピー」が使用されることがあるが、誤りである。

関連項目

ウィキメディア・コモンズには、フロッピーディスク に関連するカテゴリがあります。

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