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頭部が大きいわりには目は小さく、耳も丸くて短い。[[視力]]は[[ホッキョクグマ]]を除いてやや弱いが、聴覚・嗅覚は鋭い。顎が発達しており、また、[[犬歯]]も大きい。ネコ目の多くでは、[[臼歯]](きゅうし)が肉を切り裂くための裂肉歯に変化しているが、クマ科では裂肉歯が[[植物]]などをすりつぶすのに適した、短くて扁平なものに二次的な変化を起こしている。
頭部が大きいわりには目は小さく、耳も丸くて短い。[[視力]]は[[ホッキョクグマ]]を除いてやや弱いが、聴覚・嗅覚は鋭い。顎が発達しており、また、[[犬歯]]も大きい。ネコ目の多くでは、[[臼歯]](きゅうし)が肉を切り裂くための裂肉歯に変化しているが、クマ科では裂肉歯が[[植物]]などをすりつぶすのに適した、短くて扁平なものに二次的な変化を起こしている。


肉食目に属するが、[[雑食]]性が強い。秋に豊富に栄養を摂って、冬季には[[冬眠]]をするものが多い。なお、冬眠中も体温の低下は見られず意識はあるものとされ、成獣の雌は7-8ヶ月の[[妊娠]]期間を経て、この冬眠の時期に約1-4子(平均で約2子)を出産する。
肉食目に属するが、(追記) [[ホッキョクグマ]]を除いて (追記ここまで)[[雑食]]性が強い。秋に豊富に栄養を摂って、冬季には[[冬眠]]をするものが多い。なお、冬眠中も体温の低下は見られず意識はあるものとされ、成獣の雌は7-8ヶ月の[[妊娠]]期間を経て、この冬眠の時期に約1-4子(平均で約2子)を出産する。


[[歯式]]は3/3・1/1・4/4・3/3=42(本)<!-- 切歯・犬歯・前臼歯・後臼歯 上顎部/下顎部 --> ・[[乳頭式]]は2+0+1=6(個)<!-- 胸部・腹部・鼠径部 --> のものが一般的([[アカグマ]]の上顎[[門歯]]は2本)、寿命は25年から40年。
[[歯式]]は3/3・1/1・4/4・3/3=42(本)<!-- 切歯・犬歯・前臼歯・後臼歯 上顎部/下顎部 --> ・[[乳頭式]]は2+0+1=6(個)<!-- 胸部・腹部・鼠径部 --> のものが一般的([[アカグマ]]の上顎[[門歯]]は2本)、寿命は25年から40年。

2008年1月26日 (土) 07:35時点における版

クマ科
Ursidae

アラスカ、コディアック島のヒグマ

分類
目: ネコ目(食肉目) Carnivora
亜科

クマ()はネコ目(食肉目)クマ科に属する雑食性の大型哺乳類

クマ科にはクマ亜科パンダ亜科が含まれるが、狭義の「クマ」はクマ亜科の動物を指し、日常語の範囲ではパンダ類は通常「クマ」とは呼ばれない。

日本にはツキノワグマヒグマの2種類が生息する。

概説

クマは一般に、密に生えた毛皮と短い・太くて短い四肢と大きな体、すぐれた嗅覚聴覚をもつ。

四肢は筋肉質でがっしりとしており、非常に力強い。蹠行性(しょこうせい)であり、人間と同様に足の裏全体を地面につけて歩くという特徴をもつ。前後の肢は幅が広く、その先には長く湾曲した鉤爪を備えた5本の指を有している。この鉤爪は引っ込めることができず、木登りや穴掘りに優れた形状をしている。また、足の裏全体に、毛が生えていない。

頭部が大きいわりには目は小さく、耳も丸くて短い。視力ホッキョクグマを除いてやや弱いが、聴覚・嗅覚は鋭い。顎が発達しており、また、犬歯も大きい。ネコ目の多くでは、臼歯(きゅうし)が肉を切り裂くための裂肉歯に変化しているが、クマ科では裂肉歯が植物などをすりつぶすのに適した、短くて扁平なものに二次的な変化を起こしている。

肉食目に属するが、ホッキョクグマを除いて雑食性が強い。秋に豊富に栄養を摂って、冬季には冬眠をするものが多い。なお、冬眠中も体温の低下は見られず意識はあるものとされ、成獣の雌は7-8ヶ月の妊娠期間を経て、この冬眠の時期に約1-4子(平均で約2子)を出産する。

歯式は3/3・1/1・4/4・3/3=42(本) ・乳頭式は2+0+1=6(個) のものが一般的(アカグマの上顎門歯は2本)、寿命は25年から40年。

人間との関わり

ギリシャ神話では、ニンフ(精霊)のカリストが大神ゼウスによって強引に妊娠させられたうえ、ゼウスの妻ヘラの嫉妬によってクマに変身させられるという悲劇に見舞われた(おおぐま座を参照)。

中国では、クマの手のひら(熊掌)が高級食材として珍重されている。ただし、日本本州のツキノワグマは、小型すぎて熊掌の材料には不向きである。日本には安産のお守りとして、クマの手のひらを出産時の産湯に浸けておくという風習があった。

漢方では、クマの胆嚢を原料とした「熊胆」(ゆうたん、熊の胃(くまのい)ともいう)が強壮剤・腹痛薬・解熱薬などとして珍重された。

あまり一般的ではないが、クマの肉は食用にもなる。個体により、強い臭いがあったり、逆にほとんどクセがなかったりと、風味は差が大きい。重篤な症状を起す寄生虫である旋毛虫筋肉中に潜んでいる場合があるため、生食は避けるべきである。

また、クマはロシアを象徴する動物とされている。1980年モスクワオリンピックでは、仔熊の「ミーシャ」がマスコットキャラクターとなった。

クマのぬいぐるみとして、テディベアが広く知られている。「テディ」とはセオドア・ルーズベルト(第26代アメリカ合衆国 大統領)の愛称である。熊狩りに出かけたルーズベルト大統領が、あてがわれたアメリカクマの仔熊を見逃したという話をもとに、「テディベア」というぬいぐるみが誕生した。また、この「テディベア」などクマのぬいぐるみが元となり、こちらも世界的に知られているキャラクター・クマのプーさんが生まれた。

近年における問題

20世紀以降の現在では、冬ごもりのための食料を獲る時期の秋口を中心に、クマが人里へ下りて人間に危害を加えたり農作物を食い荒らすなどの被害が多く報告されている。特に、山間部にクマの多く生息する地方では、こうした事例は一種の社会問題となっており、危険・有害動物として猟友会らによる駆除が行われている。これは、農村の過疎化などによって里山を人間が利用しなくなった結果、熊などの野生動物と人間との緩衝地帯が失われたことが、大きな原因であると言えるが、その一方で以下に述べる植林が盛りの生態系に大きな問題を投げ掛けている。以前は、人間が熊と出会う場所は里山という緩衝地帯であったが、現在では里山も失われて人間のテリトリーではなくなったため、熊と人間はいきなり人里で対面することになってしまったのである。ニホンザルニホンカモシカからの被害においても、同様の原因が指摘されている。

人の目に付かない山奥の山域は、太平洋戦争後に営林局が独立採算制であった時代、スギ・ヒノキといった単一の針葉樹が密生する人工林として整備された箇所が多い。こうした人工林はクマやシカなどにとってエサとなる木の実が実らないため、エサの確保に困った野生動物たちが、食料を求め人里近くまで降りて来ざるを得ない遠因ともなっている。またこういった人工林は日本国内産の材木需要が減少した1980年代以降に放置され荒れるに任された結果、1990〜2000年代に台風などにより土砂崩れを起こすケースも発生、これが周辺山林にも悪影響を及ぼしていると見る関係者もいる。1991年台風19号で中国地方の山林に被害がでた際に近隣山村へのクマを含む野生動物の出没が翌年・翌々年と報告され、こういった台風による山林荒廃説を裏付けるものとして扱われ、台風被害の大きかった年やその翌年以降には、山林が回復するまでの期間に、警戒を要することも報じられている。

こういった様々な問題にも拠り、全体としては減少している日本のツキノワグマの"種の保全"と、人に対して危害を与えうる動物としてのクマへの対処としての駆除を、いかにして整合性を持たせるかについては、現在もさまざまな議論が交わされている。

人間が襲われるときは、クマも恐れている。不意に遭遇した人間を外敵として見て防衛のために先制攻撃に出るのであって、人間狩りをするのでない。襲われないようにするには、実包の発射音やラジカセなど大きな音を出しながら存在を早期にクマに知らせることである。

信仰

鬼熊
絵本百物語』竹原春泉画

熊は、マレーグマに代表されるように二本足で立つことが出来るうえ、両手を器用に使うさまからしばしば擬人化され、絵本などの物語でも(人間に近い振る舞いをする)キャラクターとして登場することの多い生き物である。北方少数民族北米先住民をはじめ、広く世界的に、熊は人間と異なる神・あるいは知恵のある存在・豊かさの象徴として、信仰の対象とされてきた。ベルリンベルンなど、地名に用いられることも多い。その力強さからベルセルクなど、獣人や狂戦士の伝説にも関連が深い。

自分たちの祖先として、熊を信仰する場合もある。アイヌイオマンテ(あるいはイヨマンテ、熊送り)の儀式は、代表的な例である。ネアンデルタール人もクマを崇拝していたとも言われる。

古来、日本では年老いた熊は鬼熊という妖怪に変化を遂げると信じられており、昔話絵本などにしばしば登場した。

分類

クマ科(Ursidae )は、イヌ科アライグマ科と比較的類縁関係が近い。クマ亜科とパンダ亜科の2亜科が含まれる。パンダ類の分類については諸説あり、パンダ科として独立させたり、レッサーパンダアライグマ科に含めるなどされてきたが、DNA分析による結果から、ジャイアントパンダはクマ科に含まれ、レッサーパンダは独立のレッサーパンダ科とする考え方が有力となっている。

パンダ亜科 Ailurinae

(注記)独立したレッサーパンダ科とされるのが通例。

クマ亜科 Ursinae

備考

動物の熊以外に、大兵肥満で体毛の濃い男性を、熊にたとえることがある。

また、ロシア帝国ソ連は、熊に例えられることが多かった(国際情勢に関する風刺漫画などで扱われた)が、その後身であるCISロシアはそのように扱われることは少ない。

生物の名

関連項目

外部リンク

ウィキメディア・コモンズには、クマ に関連するメディアがあります。

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