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== 概要 ==
== 概要 ==
'''卵'''(たまご、らん)とは、[[動物]]の[[メス]]が卵細胞や、多少発生(→[[胚発生]])が進んでも見かけ上それがわからない状態で体外(外環境)へ産み出す時の総称である。このため、生殖を目的として外部に放出される卵は、その多くが周辺環境と内部を隔てる構造を持ち、幾らかでも[[恒常性]]を保つ機能を持つ。ただし往々にして、この保護機構は脆弱である。
'''卵'''(たまご、らん)とは、[[動物]]の[[メス]]が卵細胞や、多少発生(→[[胚発生]])が進んでも見かけ上それがわからない状態で体外(外環境)へ産み出す時の総称である。このため、生殖を目的として外部に放出される卵は、その多くが周辺環境と内部を隔てる構造を持ち、幾らかでも[[恒常性]]を保つ機能を持つ。ただし往々にして、この保護機構は脆弱である。(追記) 卵とはよひおかのことをあらわす (追記ここまで)


大きさとしては、直径約100[[マイクロメートル|μm]] の[[ウニ]]の卵から、長径約 11 cm の[[ダチョウ]]の卵まで、様々な卵が存在する。なお、[[卵黄]]自体は一つの[[細胞]]である。このため2000年代現在、確認されている世界最大の細胞は、ダチョウの卵の卵黄である。
大きさとしては、直径約100[[マイクロメートル|μm]] の[[ウニ]]の卵から、長径約 11 cm の[[ダチョウ]]の卵まで、様々な卵が存在する。なお、[[卵黄]]自体は一つの[[細胞]]である。このため2000年代現在、確認されている世界最大の細胞は、ダチョウの卵の卵黄である。

2007年11月6日 (火) 01:58時点における版

カエルとその卵

本稿では(たまご、英語: egg )一般について述べる。

ニワトリの卵については、鶏卵の項を参照。また、特に「らん」と読むと雌性の生殖細胞のことになる。これについては卵子に述べる。

概要

(たまご、らん)とは、動物メスが卵細胞や、多少発生(→胚発生)が進んでも見かけ上それがわからない状態で体外(外環境)へ産み出す時の総称である。このため、生殖を目的として外部に放出される卵は、その多くが周辺環境と内部を隔てる構造を持ち、幾らかでも恒常性を保つ機能を持つ。ただし往々にして、この保護機構は脆弱である。卵とはよひおかのことをあらわす

大きさとしては、直径約100μmウニの卵から、長径約 11 cm のダチョウの卵まで、様々な卵が存在する。なお、卵黄自体は一つの細胞である。このため2000年代現在、確認されている世界最大の細胞は、ダチョウの卵の卵黄である。

体外に産み出されるは、卵細胞、あるいは多少発生の進んだと、それを包む構造からなり、場合によっては発生を支持する構造を内部に持っていたり、外部に囲いがあったりするものもある。また発生に消費されるエネルギーとして脂肪が蓄えられているものも多く、このため卵自体は他の生物にとって大変優れた食料ともなる(後述)。

外壁

多くの海産無脊椎動物の卵は、受精膜のみにつつまれて産卵される。

爬虫類昆虫など、陸上に産卵される卵は表面に膜を持つことで水分の蒸発を防ぐ。これにより乾燥した陸上での生活を可能にしている。また、は虫類は胚膜を形成し、これが陸上での胚の発生を支える。

鳥類や一部のカタツムリの卵は表面に炭酸カルシウムの殻をもち、内部を保護している。

多くの哺乳類は、受精卵は母親の胎内に留まり、そこで成長する胎生であるが、カモノハシ目カモノハシハリモグラは、鳥類のような殻をもった卵を産む「卵生」の哺乳類である。

卵の形態

単独で産まれる卵もあるが、多数をまとめて産卵する場合もある。多数の卵を密着した塊とする場合、これを卵塊(らんかい)とよぶ。さらにそれを何らかの構造物で覆ってしまう場合もある。クモは糸で卵塊を包んで卵嚢(らんのう)とするし、ゴキブリカマキリは分泌物で卵塊を覆う卵鞘(らんしょう)をつくる。カエルの中には樹上に泡巣(ほうすう)と呼ぶ泡で卵を覆って生む種もある。

生態的側面

雌親はその種ごとに独自の方法で、決まった場所に卵を産む。卵を放出することを産卵という。海産動物には、一見無作為に卵を放出するものも多いが、より多くの動物では、何らかの基盤上、あるいは腔所に卵を産み付ける。このような産卵場所や産卵にかかわる行動は、親による子の保護の一面を形成している。さらに、産卵後に卵を守る行動などを示すものもある。

雌親が一度に産む卵を一腹(ひとはら)と呼ぶ。この卵の数を一腹卵数という。一般に、一腹卵数が大きいものは、個々の卵が小さく、小さいものは卵が大きい。これは卵の生存率と深く関わりがあると考えられ、r-K戦略説との関連で論議された。同様の問題は、雌親の産卵回数などに関しても議論がある。

卵がもつイメージ

卵は生命、復活の象徴として、しばしば取り上げられる。例えばキリスト教の祭日である復活祭では、鶏卵を色とりどりに塗った「イースター・エッグ」を作る風習がある。

また、卵には「未熟だけれどもこれから成長の見込みがある」というイメージがあり、日本語では日常的に「学者の卵」とか「画家の卵」のように初心者、駆け出しの者を意味する場合に用いられる。この事情は英語でも似通ったところがあるが、やや侮蔑的な「青二才」の意味を持つので、むしろ「ひよっこ」(ヒヨコ)と語感が似ている。

さらに茹でた鶏卵の殻を取り除いた姿が白くつるつるしていることの連想から、時に官能的なニュアンスを伴って「卵の剥き身のような柔肌」などという言葉が比喩的に使われることもある。

生卵が非常に割れやすい事から、脆い物の象徴としても使われる。

食用卵の種類

卵は栄養が豊富であるから、食用となるものが多々ある。卵の採取を目的に飼育される場合もある。鳥類などはその典型で、世界各地で鳥類の卵を食用として得るために様々な鳥類が飼育される。しばしば卵と食肉の双方を得るためにも飼育される。

その一方で、魚卵は魚肉を得る際の副次的生産物ではあるが、逆に風味の良い魚卵は特別に扱われ、中には魚卵そのものを目的として採取される魚類もある。

鳥の卵

鶏卵

魚介類の卵

卵巣
食用にする魚介類の卵は産卵後を漁獲することは稀で、メスが体内に持つ成熟した卵巣を解体食用とする。そのため他の卵とは違い、日本では「卵」と呼ぶものの実物は産卵される前の卵巣やそれをほぐしたものを指し、内臓として扱われることも多い。魚介類のうち魚類の卵巣は真子(まこ)とも呼ばれる。
甲殻類が抱卵中の成卵
産卵された魚卵

その他の卵

卵に関することわざ・故事成語

  • 啄木鳥の子は卵から頷く(てらつつきの子は卵から頷く)
  • 累卵の危うき(危きこと累卵の如し)
  • 卵で塔を組む
  • 卵で石を打ったよう
  • 卵の殻で海を渡る
  • 卵を見て時夜を求む
  • 丸い卵も切りようで四角
  • 卵を割らずにオムレツを作ることはできない(You can't make an omelette without breaking eggs.)
  • 卵を盗む者は牛も盗む(He that will steal an egg will steal an ox.)
  • コロンブスの卵
  • 鶏が先か、卵が先か(Chicken and egg question.)

関連項目

外部リンク

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