「統一地方選挙」の版間の差分
2007年5月27日 (日) 11:57時点における版
統一地方選挙(とういつちほうせんきょ)とは、日本に於いては、ある一定期間に任期満了となった地方公共団体の首長、議会 議員の選挙日程を全国的に統一して行う選挙。4年に1度(近年は閏年の前年)行われる。日本共産党は「革新統一」などとの混同を避けるため、「いっせい(一斉)地方選挙」と呼んでいる。
概要
一般には当該年の4月に行われ、上旬(一般には第2日曜日)に都道府県知事や政令指定都市の市長、並びにそれぞれの議会 議員選挙が、下旬(同第4日曜日)に政令市以外の市町村(東京都の特別区含む)の首長・議会議員選挙が行われる。
これは元々1947年に、新憲法施行を前に首長・議会議員選挙が実施されたことが始まりである。したがって4年毎に全国の多くの地方公共団体において一斉に改選時期を迎えることとなることから、選挙への関心を高めたり、日程の重複を避けるため、日程を統一的に調整している。更に2000年に公職選挙法などが改正されて、下旬の選挙日には衆議院議員及び参議院議員の補欠選挙も併せて実施される。この統一地方選挙の結果の及ぼす影響は国政にも及ぶことがあり、特に知事選挙の全国的な結果は全国政党の執行部の進退につながることもある。
選挙期日等の臨時特例
毎回の統一地方選挙が実施される直前に、選挙期日等の臨時特例に関する法律が制定され、この特例法により選挙日程が統一される。通常この臨時特例法では、該当年の3月1日から5月31日までに任期満了となる首長・議会議員の選挙を、原則として統一地方選挙の対象とすることが定められる。また該当年の6月1日から6月10日までに任期満了となる場合においては統一地方選挙の日程で選挙を実施することを可能とすることが定められる。この他、上旬に実施される選挙(都道府県・政令市の選挙)に立候補した時、当該選挙区を含む選挙区で行われる下旬の選挙(政令市以外の市町村・東京都の特別区の選挙や、衆議院または参議院の補欠選挙)に重複して立候補することはできない(例:上旬に実施されるA県知事選挙に立候補した時は下旬に実施されるA県にあるB市の市長選挙に立候補できない)。
最近の状況
最近では首長の辞職・死去、議会の解散、市町村合併などにより、少しずつ任期のズレが発生し、そのために統一的に実施される数は回を経る毎に下がり続ける傾向にある。特に、市町村合併は3度にわたる大規模な合併促進(合併ブーム)により、多くの自治体選挙に影響を及ぼしている。
区分 | 都道府県 | 政令指定都市 | 政令市以外の市 | 特別区 | 町村 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
知事 | 議会 | 市長 | 議会 | 市長 | 議会 | 区長 | 議会 | 町村長 | 議会 | |
全体数(a) | 47 | 17 | 765 | 23 | 1022 | |||||
実施数(b) | 13 | 44 | 4 | 15 | 94 | 309 | 13 | 21 | 155 | 448 |
(b/a)×ばつ100 | 27.66% | 93.62% | 23.53% | 88.24% | 12.29% | 40.39% | 56.52% | 91.30% | 15.17% | 43.84% |
2007年4月1日現在 出典:総務省報道資料(PDF形式) | ||||||||||
広島市長・広島市議会議員両選挙は、先述の臨時特例法でいう統一地方選挙の対象ではないが、この表では統一地方選挙の日程で実施される選挙として数に含めた。このため出典元の資料と数値が異なる。詳しくは下記都道府県知事・政令指定都市市長選挙中の広島市において説明。 |
都道府県知事・政令指定都市市長選挙
首長が任期途中で欠けたり、新設合併方式で市町村合併を実施した時に失職したりしたことにより一時、統一地方選挙の日程で実施される都道府県知事選挙は11都道県、政令指定都市市長選挙は札幌市1市のみとなっていた。
ところが、2007年に実施される第16回統一地方選挙において、以下の県と政令指定都市の首長選挙が加わった。これにより、統一地方選挙の日程で実施される知事選挙・政令指定都市市長選挙は13都道県・4市となった。
- 奈良県
- 知事の任期途中での退職に伴うもの。2007年5月2日付での退職となり、臨時特例法の規定を適用して実施された。
- 徳島県
- 2003年の知事不信任決議による知事失職に伴う知事選挙の結果、同県知事の任期満了日が2007年5月17日となり、臨時特例法の規定を適用して実施された。
- 静岡市
- 2005年4月1日に政令指定都市に移行。ちなみに、2003年4月の(旧)静岡市と清水市による新設合併に伴う市長選挙(設置選挙)は統一地方選挙前半と同一日程で投開票が行われた。
- 浜松市
- 2007年4月1日に政令指定都市に移行。告示日は政令市移行前だったが、浜松・新潟両市議会議員選挙と同じく特例で政令市と同一の選挙日程で実施された。
- 広島市
- 市長の任期満了日は2007年2月22日であった一方で、市議会議員の任期満了日は同年5月1日となっている。従来は2月上旬に市長選挙を、統一地方選挙の日程となる4月上旬に市議会議員選挙をそれぞれ実施していた。それを2007年においては、市長選挙について公職選挙法第34条の2に定めるいわゆる90日特例を適用して、統一地方選挙の日程と同一にした[1] 。
都道府県・政令指定都市議会議員選挙
首長選挙と比較して、任期のズレが生まれにくい都道府県議会議員選挙では44道府県(茨城県、東京都、沖縄県以外)が、政令指定都市議会選挙では15市(静岡市と北九州市以外)がそれぞれ統一地方選挙の日程で実施する。
都道府県議会・政令指定都市市議会議員選挙にズレが生まれにくいのは以下に挙げる原因が発生しにくいことが挙げられる。
- 住民発議による解散請求(リコール)の投票により過半数の賛成により議会が解散された場合
- 事例無し(都道府県、政令指定都市の場合、有権者数が多いのでリコールできるだけの署名(有権者の3分の1)が集めにくい)
- 都道府県知事、政令指定都市市長の不信任決議の可決(議員数の3分の2以上の出席で4分の3以上の賛成が必要)に伴う議会の解散
- 事例無し(長野県、徳島県などで、知事の不信任決議が可決されたが、いずれも知事が議会を解散せず失職または失職前の辞職を選択した)
- 都道府県議会、政令指定都市市議会の自主解散(議員数の4分の3以上出席で5分の4以上の賛成が必要)
- 都道府県の統廃合
- 事例無し
- 政令指定都市の新設合併による市町村合併(政令指定都市への移行の前後を問わない)
ただし沖縄県議会については、同県が1972年5月に日本に復帰し、同6月25日に復帰後初の選挙が実施されたという経緯から、統一地方選挙とは異なる日程となっている。
実施される主な選挙
本節においては、統一地方選挙の日程に実施される都道府県・政令指定都市の首長と議会選挙を列挙する。
- 都道府県知事(13都道県)
- 北海道、岩手県、東京都、神奈川県、福井県、三重県、奈良県、鳥取県、島根県、徳島県、福岡県、佐賀県、大分県
- 都道府県議会(44道府県)
- 茨城県、東京都、沖縄県を除く全ての道府県
- 政令指定都市市長(4市)
- 札幌市、静岡市、浜松市、広島市
- 政令指定都市議会(15市)
- 札幌市、仙台市、さいたま市、千葉市、横浜市、川崎市、新潟市、浜松市、名古屋市、京都市、大阪市、堺市、神戸市、広島市、福岡市
プレ統一地方選挙
統一地方選挙が行われる直前の半年間ほどに実施される選挙をプレ統一地方選挙と呼び、福島、沖縄、和歌山、愛媛、山梨、宮崎、愛知の各県知事選挙と福岡、北九州、新潟の各政令指定都市市長選挙や和歌山市、金沢市、甲府市などの県庁所在地の市長選挙が行われ、これらについても各政党は国政選挙並みの体制で臨むなど統一地方選挙までの一連の政治日程の一環として統一地方選挙並みの扱いがされる。
脚注
- ^ したがって厳密に言うと、2007年4月8日に実施される広島市長・市議会議員両選挙は、公職選挙法の規定(90日特例)を適用して同一の日に実施される選挙であって、臨時特例法で定義される統一地方選挙の対象とはならない。なお当記事においては広島市長・広島市議会議員両選挙について、統一地方選挙と同日程で実施される選挙として、他の統一地方選挙の対象選挙と同様に扱う。