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2007年3月22日 (木) 03:14時点における版
株式会社クリスタル(グループ)は人材派遣、業務請負「大手」会社の一つ。傘下には多数のグループ会社があり、100円ショップ(100円ショップクリスタル)や観光バス事業(クリスタル観光バス)などの会社もある。
2006年11月17日、グッドウィル・グループに約880億円で買収された(グッドウィルのプレスリリース)。
会社概要
一部出典:買収に伴うグッドウィルのプレスリリースより
- 設立:1974年 5月1日
- 資本金:3800万円
- 代表:嶋岡 学
- 売上高連結:5911億円(2006年3月期)
- グループ会社数:国内39社 海外9社
- 取引銀行:三菱東京UFJ銀行、みずほ銀行、りそな銀行、京都銀行
グループ全体で見れば、スタッフサービスやテンプスタッフ、パソナなどの同業大手を凌駕する売り上げがある。非上場。業界団体である日本人材派遣協会や日本生産技能労務協会には加盟していない。会計が不明瞭ゆえか、企業ランキングや業界地図などからは除外されており、会社四季報非上場企業版にも掲載されていない。
なお、朝日新聞の買収報道[1]によると、2008年春の株式上場を目指しているという。
会社所在地
創業
1974年に、林純一(※(注記))によって創業。前身は株式会社綜合サービス。日産車体京都工場(京都府 宇治市、2001年閉鎖)の工場内清掃を担当し(現在は子会社ランナーズが清掃業務を継続)、当時の日産工場から工場人員が足りない話を聞いた林が、そこにヒントを得て業務請負業(人材派遣)を展開する。
- (※(注記))買収される前は株式の9割弱を保有しており、事実上のオーナーであった。
分社化戦略について
1986年頃、株式会社綜合サービスとして全国展開を始めていたが、京都(本社)の企業で地元企業との競合に負ける状況が続き、林は地元企業に勝つ策として、総合サービスの営業所を拠点ごとに会社(分社)にする事を決定。これにより、決裁スピード・求人採用力に効果を発揮し、新規取引拡大より更なる分社を進めていく事となる。また、各社が大手と取引を開始した為、工場からの他工場紹介や決済者の人事異動時により、他の分社した拠点にも営業所をグループ各社が出店し、同業からはクリスタル子会社が複数競合となったりする場合が多く、煙たがられていた。
最近の動向について
2005年から2006年にかけて、グループ内同業会社の合併・統合が相次いでいた。理由として、各銀行へ融資を申し込んでも、一般管理費が高く資産がないと評価され断られてしまい、一般管理費を抑える為の所謂合併という名のリストラという説があげられていた。
一部にグループ丸ごとまたは子会社のいくつかの売却を模索していた模様ではあるが、コラボレートの行政処分の余波が最終的な引き金となり、グッドウィルグループへグループごと売却され、連結決算2千億円にも満たないグッドウィルが業界最大手である連結決算6千億弱のクリスタルを買収、すなわち小が大を飲む形となった。
グループ企業リスト
2006年10月現在。なお、2006年11月28日現在のリストがグッドウィルの事業計画書[2]に掲載されているのでそちらを参照のこと。
- (株)クリスタルスタッフ(東京・北海道・東北・名古屋・北陸・神戸・中四国・九州)
- (株) c style(東日本・西日本)
- (株)技能育成センター
- (株)シーテック
- (株)シーテック開発センター
- (株)CIT
- (株)バンテクノ
- (株)ティエスティ
- (株)CSI
- (株)日構シー・エス・エス
- (株)サンヨーナイスコーポレーション
- (株)クリスタルオペレーション
- (株)クリスタルアテンダント
- (株)クリスタルショップ
- (株)ライフクリスタル
- (株)クリスタル旅行
- 奈良日産自動車(株)
- (株)クリスタルサービス
- (株)ハイテック
- (株)クリスタルタクシー
- (株)クリスタル観光バス(東京・名古屋・関西)
- (株)クリスタルサポート
- (株)クリスタルメンテック
- (株)クリスタルサプライ
- (株)クリスタルメディカルケア
- (株)クリスタル整備サービス
- (株)C&B
- (株)CBS
- (株)CAS
- (株)クリスタルズ
- (株)メカニック
- (株)コラボレート
- (株)ランナーズ
- (株)クリスタルエステート
- (株)クリスタルセミナーホテル
- (株)クリスタル法務部
- (株)クリスタル財務部
- (株)クリスタル経理部
- (株)沖縄クリスタル
- (株)レディステージ
- (株)メディカルリサーチ
- (株)メディプランニング
- (株)グローウィン
- (株)クリスタル介護センター
- (株)クリスタル介護施設センター
- ウィルスタッフ・クリスタル
- アドヴァンテージ・クリスタル
- タレントツリークリスタル
- クリスタルUK
- テクニカル・エイド・クリスタルUSA
- テクニカル・エイド・クリスタルUK
問題
同社(グループ)をめぐっては、以下の点が問題視されている。ただし買収に伴い、これらのいくつかは解消に向かっている可能性がある。
これらはこれまでの報道・公的情報を要約して箇条書きにしたものであり、詳細は後述の各報道記事および公的情報源を調査されることを強く推奨する。
- グループ全体にわたる偽装請負行為
- 本件は同社への信用を悪くする基礎となっている。その実態は業界でも突出しているといわれ、共産党が国会でこの手の質問をするときは必ず名前が挙がっていた(詳細は議事録を検索参照せよ)。
- 悪い意味でのワンマン体制
- 不可解な業務命令
- 子会社の頻繁な社名変更や濫造解体(処分逃れの偽装解散・合併を疑われている)
- 契約内容に反した違法・不法就労や不当労働行為
- 人員確保だけを目的とした虚偽の求人広告の乱発
- 企業情報の非公開性(公式サイトの閉鎖、業界団体への非加盟など)
- 申告漏れなどの会計手続きのずさんさ
報道
経済系雑誌
クリスタル批判の先鋒を切ったのは「週刊東洋経済 」である。 同誌は2003年2月と6月の2度にわたり、「異形の帝国」なる表現を用いて同社の異常な体質が綴られた記事を掲載した。また2004年12月、「週刊ダイヤモンド」にも同様の記事が掲載されたが、林の昔の隠し撮り写真が掲載されたことで関係者に衝撃を与えた。さらに続報として、2005年8月に行政処分について掲載した。 このほかに、2004年〜2005年にかけて「週刊エコノミスト」が業界全体を問題視する形で、また「日経ビジネス」も高速バス関連の記事で、間接的に本グループにそれぞれ触れている。
東洋経済はその後、後述する裁判のこともあってか続報を掲載してこなかったが、2006年9月16日号の特集(と編集後記※(注記))にて間接的にふれ、そしてコラボレートの行政処分発令にあわせて2006年10月14日号にてクリスタルの実名入り記事を掲載した。
- (※(注記))裁判のことに関して触れている。ここでは実名は出していない。
そして経済系雑誌の中でまったく触れることのなかった日経ビジネスがついに2006年10月16日号にてクリスタルを名指しで批判する記事を掲載した。ここでコラボレートが処分を受けた受け入れ先企業が明らかとなっている。
その後、買収に関する記事を2006年11月末に東洋経済とダイヤモンドがそれぞれ記事にしている。東洋経済は林純一オーナーの顔写真を掲載、またこの買収を「どうやって買収資金を回収するのか疑問」と評している。東洋経済、ダイヤモンドとも「問題山積」と懸念しつつも、この買収がクリスタル、ひいては業界の健全化への第一歩と一定の評価をしていることは行間からうかがえる。
新聞報道
しんぶん赤旗がたびたび取り上げているが、2005年 1月7日と12月31日に毎日新聞が特集記事を掲載している。毎日新聞では、林が子会社社長に配布した内部資料に、「業界ナンバー1になるには違法行為が許される」との記載があったことを取りあげて、企業倫理の無さを問題視していた。
また、2006年 1月6日付サンケイスポーツにて、クリスタル観光バスにおいて飲酒問題が発覚したと報道がされている。
さらに後述する「コラボレート事業停止命令決定へ」との報道が2006年9月30日付読売新聞・朝日新聞各紙にてなされ、共同通信を通して各地方紙にも配信された。読売新聞大阪版はさらに処分へいたる背景まで記事にした。10月3日に正式な処分発令がなされるとほぼ同様に処分内容についての報道がなされた。いづれの報道もほとんどの機関で"「クリスタル」グループの「コラボレート」"という形での報道であった。
2006年9月末現在、各新聞が大きく取り上げたのは自殺裁判の地裁判決報道、申告漏れ報道、そして上記事業停止命令報道である。自殺裁判地裁判決報道においては毎日新聞が1面トップで伝えているのをはじめ、各新聞が記事の扱いの差こそあれ掲載している。
買収報道を行った新聞社は日本経済新聞および朝日新聞であった。
裁判
2006年11月現在。 一部出典:グッドウィルの事業計画書より
被告として
計7件抱えている。いずれも個人が原告である。請求額は6件1.66億円。
- 子会社アテスト(旧・ネクスター)がニコンへ「裏派遣」していた従業員の過労自殺の責任追及の裁判を提起されており、2005年3月31日に原告へ賠償を命じる地裁判決が下される。被告アテストは即日控訴。ニコン及び原告も後日控訴し、2006年11月現在係争中である。
- クリスタル観光バスの雇用条件をめぐる訴訟を計3件抱えている。
- CITが労災に関して係争中。
- シーテックとコラボレートがそれぞれ退職金に関する係争を抱えている。
原告として
計8件抱えている。請求額は8件23.42億円。
- クリスタルグループにとって少しでもマイナスとなる事件を記事にした東洋経済新報社、ダイヤモンド社、毎日新聞社、日刊現代社に対し、損害賠償請求を行っている。
- このうち東洋経済新報社については2006年4月25日に東京地裁にて判決が下り、その判決報道から係争内容が記事掲載をめぐる損害賠償であることが判明。そして請求額が名誉毀損として1億円、損害賠償として9億6100万円(グッドウィルの事業計画書ではあわせての記載となっている)、つまりは計10億6100万円という名誉毀損裁判史上例がない超高額訴訟だということが明らかとなった(この手の裁判ではきわめて高額であると、のちに被告である東洋経済は批判している)。判決は請求の一部を認めて300万と計3文に限っての記事取り消しの広告掲載を命じているが、東洋経済新報社は即日控訴。その後グッドウィルへの買収により裁判所より和解勧告がなされて全面的に提訴取り下げという形で和解が成立した[3] [4] [5]。詳細報告は東洋経済2007年3月3日号P94を参照のこと[6]。
- そのほかの請求額はダイヤモンド社が1億4千万円、毎日新聞社、日刊現代社がそれぞれ5億円である。それぞれ事業計画書では社名が伏せられているが、記事の掲載時期と訴訟提起時期から容易に判定でき、赤旗の訴訟と利下げ報道がそれを裏づけている。
- サンヨーナイスコーポレーション、コラボレート、C Styleが取引先・社員引き抜きをめぐる訴訟を起こしている。
行政処分
本グループの複数の子会社が以下の行政処分を受けている。2005年の2件については「週刊ダイヤモンド」に取り上げられた。
- 2004年3月24日に近畿運輸局が「クリスタル観光バス」に対して運行停止命令
- 2004年10月18日に公正取引委員会が「クリスタル介護センター」に対して排除命令(PDF)
- 2005年6月30日に東京労働局が「タイアップ」に対して業務改善命令
- 同労働局のサイトからは掲載期間終了のため情報が消えている。
- タ社は翌日「コラボレート」に吸収合併されたが、処分通知の中で命令履行義務がコ社へ引き継がれることが念を押されていた。
- 本件を受けてコラボレートは自主点検を行い、2005年8月に大阪労働局に対して改善報告書の提出を行っている。
- 2005年7月29日に愛知労働局が「C-Style」に対して業務停止&改善命令
- 本処分は「クリスタルプロダクツ」が、労働安全衛生法違反による刑事罰確定を理由とした派遣許可取り消し命令を受ける前に、C社に吸収合併された事に伴うもの。停止対象はプロダクツの事業所のみで、停止期間は約一ヶ月。
- 2006年10月3日に大阪労働局が「コラボレート」に対して業務停止&改善命令
- 先述した東京労働局から業務改善命令を出されているなどの数々の行政指導・命令を受けているにもかかわらず、これらが改善されておらす、悪質と判断された。具体的には大阪労働局への改善報告(先述した05年8月提出のものと06年春に同労働局が職権で求めたものがある)がなされた後で、同年7月に兵庫労働局の調査で姫路営業所において新たな偽装請負が発覚し業務改善命令を受けたことで、「事実と異なる報告がなされ、実効ある遵法体制が確立されていなかった」とされた。
- 命令は全事業所に及ぶ。処分期間は姫路営業所が1ヶ月、他の全事業所が2週間(ただし10月3日付で契約中のものとその更新は対象外とされた)。同時に事業改善命令も発令された。クリスタルグループが受けた行政処分では最も重いものとなった。
- 処分当日あった柳沢伯夫 厚生労働大臣の会見でも取り上げられた[7]。柳沢は「処分が効果をあげ、こういうことがないように期待する」旨を述べている。
関連項目
外部リンク
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