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'''二硫化炭素'''(にりゅうかたんそ、carbon disulfide)は代表的な[[炭素]]の[[硫化物]]で、[[化学式]]は CS<sub>2</sub>。[[(削除) 溶媒 (削除ここまで)]]として用いられる(削除) 無色の液体 (削除ここまで)。
'''二硫化炭素'''(にりゅうかたんそ、carbon disulfide)は代表的な[[炭素]]の[[硫化物]]で、[[化学式]]は CS<sub>2</sub>。(追記) 無色で揮発性の液体であり、主に (追記ここまで)[[(追記) セロハン (追記ここまで)]](追記) や[[レーヨン]]の製造過程で溶剤 (追記ここまで)として(追記) 利用されているほか、[[ゴム]]の[[加硫]]促進剤、有機化学原料や[[浮遊選鉱]]剤などに (追記ここまで)用いられ(追記) てい (追記ここまで)る(追記) 。二硫炭、硫化炭素、硫炭などと略される。[[劇物]] (追記ここまで)。
日本では消防法で第4類[[危険物]]の[[危険物#第4類|特殊引火物]]に指定されている。
純度が高いものは[[芳香]]を持つ無色の液体だが、保存中に分解しやすく(削除) 黄色を呈し、悪臭を持つよう (削除ここまで)に(削除) なる。[[揮発性]]が高く、非常に引火しやすい(引火点 -30 °C)ため、[[危険物]]第4類特殊引火物に指定されている。[[発火点]] (削除ここまで)は(削除) 90 °C。 (削除ここまで)[[硫(削除) 黄]]や[[リン (削除ここまで)]]な(削除) ど (削除ここまで)を(削除) 溶か (削除ここまで)す(削除) [[溶媒]]として用いられる。きわめて有毒であり、[[殺虫剤]]としても使われ (削除ここまで)る。
純度が高いものは(追記) [[ジエチルエーテル|エーテル]]様の (追記ここまで)[[芳香]]を持つ無色の液体だが、保存中に分解しやすく(追記) 一般的 (追記ここまで)には[[硫(追記) 化カルボニル (追記ここまで)]](追記) のよう (追記ここまで)な(追記) 悪臭 (追記ここまで)を(追記) 持つ夾雑物が含まれ黄色を呈 (追記ここまで)する。
[[二酸化炭素]]と[[等電子的]]な分子であるが、二硫化炭素は非常に燃えやすい。また[[求核剤]]と反応しやすく、容易に還元されやすい。この反応性の違いは、硫黄の場合原子核のπ電子供与能が酸素より低く、そのため炭素原子が[[求電子性]]を示すためと考えられる。
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工業的には[[木炭]](削除) と (削除ここまで)[[硫黄]]を(削除) 高温に加熱し (削除ここまで)て(削除) 得られ (削除ここまで)る。低温で反応させると、[[一硫化炭素]]が発生する。
自然界では火山や沼地から微量に放出されるのみである。
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工業的には[[木炭]](追記) ・[[コークス]]など赤熱した[[炭素]]に (追記ここまで)[[硫黄]](追記) の蒸気 (追記ここまで)を(追記) 反応させ (追記ここまで)て(追記) 製造す (追記ここまで)る。低温で反応させると、[[一硫化炭素]]が発生する。
: <math>\rm C + 2S \longrightarrow CS_2</math>
: <math>\rm C + 2S \longrightarrow CS_2</math>
[[天然ガス]]([[メタン]])を炭素源とし、[[シリカ]]や[[アルミナ]][[触媒]]を使えば600{{°C}}という低温で製造することができる。
[[ゴム]]の優秀な溶媒であり、また、[[ビスコース]]の製造に用いる。
: <math>\rm 2CH_4 + S_8 \longrightarrow 2CS_2 + 4H_2S</math>
日本国内での生産量は年間35,000トン(2009年)であり、輸送に困難が伴うことから輸出入はそれほど盛んではない。
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[[有機化合物]]を良く[[溶解]]してプロトン[[核磁気共鳴|NMR]]に検出されないので、[[重水素|重]][[クロロホルム]]に溶けにくいサンプル(削除) で [[核磁気共鳴|<sup>1</sup>H NMR]] (削除ここまで)測定を行う際の溶媒に適している。
引火した場合は大量の[[水]]による消火を行う。燃焼により[[二酸化硫黄]]を発生するのでそれに対する注意も必要である。
[[アミン]]の付加により[[ジチオカルバミン酸]]を生じる。
: <math>\rm 2R_2NH + CS_2 \longrightarrow [R_2NH_2^+][R_2NCS_2^-]</math>
同様に[[アルコキシド]]からは[[キサントゲン酸]]を生じる。この反応は[[ビスコース]]、[[レーヨン]]、[[セロファン]]などの再生[[セルロース]]製造の基本となっている。また[[ヨードメタン]]と反応させて[[シュガエフ脱離]]の基質とすることができる。
: <math>\rm RONa + CS_2 \longrightarrow [Na^+][ROCS_2^-]</math>
硫化ナトリウムの付加により[[トリチオカルボン酸]]を生じる。
: <math>\rm Na_2S + CS_2 \longrightarrow [Na^+]_2[CS_3^{2-}]</math>
二硫化炭素の塩素化は[[四塩化炭素]]を合成するのに使われる。
: <math>\rm CS_2 + 3Cl_2 \longrightarrow CCl_4 + S_2Cl_2</math>
穀物や果実にたいする殺虫剤として、あるいは土壌の病害性昆虫や線虫の殺滅のために使われる。
<ref>{{Greenwood&Earnshaw2nd|page=}}</ref>
<ref>British Crop Protection Council (1987). The Pesticide Manual, A World Compendium, 8th Ed.</ref>
[[リン]]、[[硫黄]]、[[セレン]]、[[臭素]]、[[ヨウ素]]、[[脂質]]、[[樹脂]]、[[ゴム]]などの溶剤として用いられる。<ref>http://www.akzonobel.com/sulfurderivatives/products/carbon_disulfide/</ref>オクタノール/水[[分配係数]]は1.94。
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[[有機化合物]]を良く[[溶解]]してプロトン[[核磁気共鳴|NMR]]に検出されないので、[[重水素|重]][[クロロホルム]]に溶けにくいサンプル(追記) の (追記ここまで)測定を行う際の溶媒に適している。
ビスコースレーヨン、セロファン、四塩化炭素の製造に使われる。
環境省によるリスク評価によれば、呼吸による無毒性量は 3.2 mg/m<sup>3</sup> 、経口摂取による無毒性量は 2.5 mg/kg.day とされている。
蒸気でなく、皮膚からも吸収されるので取り扱いには注意が必要。誤って皮膚から吸収された場合、急性の二硫化炭素中毒症状は、視覚障害、精神の高揚を伴う興奮発作、次いで意識不明、昏睡、呼吸麻痺として現れる。
蒸気でなく、皮膚からも吸収されるので取り扱いには注意が必要。誤って皮膚から吸収された場合、急性の二硫化炭素中毒症状は、視覚障害、精神の高揚を伴う興奮発作、次いで意識不明、昏睡、呼吸麻痺として現れる。
度々、より長時間の吸引による慢性の中毒症状は、頭痛、不眠、記憶・視覚・聴覚障害、神経炎、血管障害として現れる。
度々、より長時間の吸引による慢性の中毒症状は、頭痛、不眠、記憶・視覚・聴覚障害、神経炎、血管障害として現れる。
日本での取り扱いは、[[毒物及び劇物取締法]]、[[労働安全衛生法]]、[[消防法]]、[[高圧ガス保安法]]、[[化学物質排出把握管理促進法]]等の各規制を受ける。
[[変異原性]]については否定的な報告が多いが肯定的な報告もあって明確に判断できない。[[発がん性]]は無いと考えられている。
容器に貯蔵する際はその比重が水より大きいことを利用し、二硫化炭素の上に注水し揮発を防ぐ水没貯蔵方法が用いられる。
[[アルコール]]と[[塩基]]、そして[[ヨードメタン]]と反応して[[キサントゲン酸]]メチルを与える。これは[[シュガエフ脱離]] (Chugaev elimination) の基質であり、全体としてアルコールを[[アルケン]]に変換する手法になる。
: R-OH + CS<sub>2</sub> + CH<sub>3</sub>I + NaOH → R-OC(=S)SCH<sub>3</sub>
[[揮発性]]が高く、非常に引火しやすい(引火点-30{{°C}}、[[発火点]]90{{°C}})。比重が水より大きく水に難溶であることを利用し、二硫化炭素の上に注水し揮発を防ぐ水没貯蔵方法が用いられる。引火した場合は大量の[[水]]による消火を行う。燃焼により[[二酸化硫黄]]を発生するのでそれに対する注意も必要である。
*[[化学物質排出把握管理促進法|化管法]]:第一種指定化学物質(1-241)
*[[化学物質審査規制法|化審法]]:指定化学物質 (第二種監視化学物質;1-172)
*[[労働安全衛生法]]:危険物引火性の物、名称等を表示すべき有害物、名称等を通知すべき有害物、第一種有機溶剤
* [[有機溶剤作業主任者]]
* [[有機溶剤作業主任者]]
* [[毒物劇物取扱責任者]]
* [[毒物劇物取扱責任者]]
*[http://ceis.sppd.ne.jp/fs2011/factsheet/data/1-318.html 化学物質ファクトシート2011年版 二硫化炭素](環境省)
*[http://www.env.go.jp/chemi/report/h17-21/pdf/chpt1/1-2-2-11.pdf 化学物質の環境リスク評価 第4巻 二硫化炭素](環境省環境保健部環境リスク評価室)
*[http://www.safe.nite.go.jp/risk/files/pdf_hyoukasyo/241riskdoc.pdf 化学物質の初期リスク評価書 No.10 二硫化炭素](新エネルギー・産業技術総合開発機構)
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[[Category:特殊引火物]]
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[[Category:労働安全]]
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[[Category:労働災害]]
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[[ar:ثنائي كبريتيد الكربون]]
[[ar:ثنائي كبريتيد الكربون]]
2011年9月19日 (月) 20:22時点における版
二硫化炭素
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識別情報
|
CAS登録番号
|
75-15-0 チェック
|
PubChem
|
6348
|
EC番号
|
200-843-6
|
国連/北米番号
|
1131
|
KEGG
|
C19033 チェック
|
RTECS番号
|
FF6650000
|
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特性
|
化学式
|
CS2
|
モル質量
|
76.139 g/mol
|
外観
|
無色液体(低純度のものは黄色がかっている)
|
密度
|
1.261 g/cm3
|
融点
|
-110.8 °C, 162 K, -167 °F
|
沸点
|
46.3 °C, 319 K, 115 °F
|
水への溶解度
|
0.29 g/100 ml (20 °C)
|
屈折率 (nD)
|
1.6295
|
構造
|
分子の形
|
直線形
|
双極子モーメント
|
0 D
|
危険性
|
安全データシート(外部リンク)
|
ICSC 0022
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EU分類
|
強い可燃性 (F) Repr. Cat. 3 有毒 (T) 刺激性 (Xi)
|
EU Index
|
006-003-00-3
|
NFPA 704
|
|
Rフレーズ
|
R11, R36/38, R48/23, R62, R63
|
Sフレーズ
|
(S1/2), S16, S33, S36/37, S45
|
引火点
|
-30 °C
|
発火点
|
90 °C
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爆発限界
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1.3–50 %
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半数致死量 LD50
|
3188 mg/kg
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関連する物質
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関連物質
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二酸化炭素 硫化カルボニル
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特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。
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二硫化炭素(にりゅうかたんそ、carbon disulfide)は代表的な炭素の硫化物で、化学式は CS2。無色で揮発性の液体であり、主にセロハンやレーヨンの製造過程で溶剤として利用されているほか、ゴムの加硫促進剤、有機化学原料や浮遊選鉱剤などに用いられている。二硫炭、硫化炭素、硫炭などと略される。劇物。
化学的性質
純度が高いものはエーテル様の芳香を持つ無色の液体だが、保存中に分解しやすく一般的には硫化カルボニルのような悪臭を持つ夾雑物が含まれ黄色を呈する。
二酸化炭素と等電子的な分子であるが、二硫化炭素は非常に燃えやすい。また求核剤と反応しやすく、容易に還元されやすい。この反応性の違いは、硫黄の場合原子核のπ電子供与能が酸素より低く、そのため炭素原子が求電子性を示すためと考えられる。
製造
自然界では火山や沼地から微量に放出されるのみである。
工業的には木炭・コークスなど赤熱した炭素に硫黄の蒸気を反応させて製造する。低温で反応させると、一硫化炭素が発生する。
- {\displaystyle {\rm {C+2S\longrightarrow CS_{2}}}}
天然ガス(メタン)を炭素源とし、シリカやアルミナ 触媒を使えば600°Cという低温で製造することができる。
- {\displaystyle {\rm {2CH_{4}+S_{8}\longrightarrow 2CS_{2}+4H_{2}S}}}
日本国内での生産量は年間35,000トン(2009年)であり、輸送に困難が伴うことから輸出入はそれほど盛んではない。
反応
求核付加
アミンの付加によりジチオカルバミン酸を生じる。
- {\displaystyle {\rm {2R_{2}NH+CS_{2}\longrightarrow [R_{2}NH_{2}^{+}][R_{2}NCS_{2}^{-}]}}}
同様にアルコキシドからはキサントゲン酸を生じる。この反応はビスコース、レーヨン、セロファンなどの再生セルロース製造の基本となっている。またヨードメタンと反応させてシュガエフ脱離の基質とすることができる。
- {\displaystyle {\rm {RONa+CS_{2}\longrightarrow [Na^{+}][ROCS_{2}^{-}]}}}
硫化ナトリウムの付加によりトリチオカルボン酸を生じる。
- {\displaystyle {\rm {Na_{2}S+CS_{2}\longrightarrow [Na^{+}]_{2}[CS_{3}^{2-}]}}}
塩素化
二硫化炭素の塩素化は四塩化炭素を合成するのに使われる。
- {\displaystyle {\rm {CS_{2}+3Cl_{2}\longrightarrow CCl_{4}+S_{2}Cl_{2}}}}
利用
殺虫剤
穀物や果実にたいする殺虫剤として、あるいは土壌の病害性昆虫や線虫の殺滅のために使われる。
[1]
[2]
溶剤
リン、硫黄、セレン、臭素、ヨウ素、脂質、樹脂、ゴムなどの溶剤として用いられる。[3] オクタノール/水分配係数は1.94。
有機化合物を良く溶解してプロトンNMRに検出されないので、重 クロロホルムに溶けにくいサンプルの測定を行う際の溶媒に適している。
製造原料
ビスコースレーヨン、セロファン、四塩化炭素の製造に使われる。
毒性
神経系に影響するため、高濃度では致死的である。
環境省によるリスク評価によれば、呼吸による無毒性量は 3.2 mg/m3 、経口摂取による無毒性量は 2.5 mg/kg.day とされている。
蒸気でなく、皮膚からも吸収されるので取り扱いには注意が必要。誤って皮膚から吸収された場合、急性の二硫化炭素中毒症状は、視覚障害、精神の高揚を伴う興奮発作、次いで意識不明、昏睡、呼吸麻痺として現れる。
度々、より長時間の吸引による慢性の中毒症状は、頭痛、不眠、記憶・視覚・聴覚障害、神経炎、血管障害として現れる。
変異原性については否定的な報告が多いが肯定的な報告もあって明確に判断できない。発がん性は無いと考えられている。
体内で代謝されて主に尿から排泄される。
危険性
揮発性が高く、非常に引火しやすい(引火点-30°C、発火点90°C)。比重が水より大きく水に難溶であることを利用し、二硫化炭素の上に注水し揮発を防ぐ水没貯蔵方法が用いられる。引火した場合は大量の水による消火を行う。燃焼により二酸化硫黄を発生するのでそれに対する注意も必要である。
日本における法規制については下記の通り。
参考文献
- ^ グリーンウッド, ノーマン; アーンショウ, アラン (1997). Chemistry of the Elements (英語) (2nd ed.). バターワース=ハイネマン (英語版). ISBN 978-0-08-037941-8。
- ^ British Crop Protection Council (1987). The Pesticide Manual, A World Compendium, 8th Ed.
- ^ http://www.akzonobel.com/sulfurderivatives/products/carbon_disulfide/
関連項目
外部サイト