「陰謀のセオリー」の版間の差分
2007年3月27日 (火) 07:40時点における版
陰謀のセオリー Conspiracy Theory | |
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監督 | リチャード・ドナー |
脚本 | ブライアン・ヘルゲランド |
製作 | ジョエル・シルヴァー、リチャード・ドナー |
製作総指揮 | ジム・ヴァン・ウィック |
出演者 |
メル・ギブソン ジュリア・ロバーツ |
音楽 | カーター・バーウェル |
撮影 | ジョン・シュワルツマン |
公開 | 1997年8月8日 アメリカ |
上映時間 | 135分 |
製作国 | アメリカ |
言語 | 英語 |
製作費 | 75,000,000ドル |
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陰謀のセオリー(Conspiracy Theory)は1997年に公開されたサスペンス映画。
ストーリー
注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。
ニューヨークでタクシー運転手をするジェリー・フレッチャー(メル・ギブソン)。彼は夜な夜な、乗客たちに様々な陰謀論を語り聞かせていた。だが彼は、タクシー運転手になる以前の記憶が無い。ただ一つの記憶は、司法省の官僚であるアリス・サットン(ジュリア・ロバーツ)をストーキングし、その安否を毎日確認しなければならないと言うこと。そして彼のもう一つの顔は、毎月新たな陰謀論を発明して載せるニュースレター「陰謀のセオリー」を個人で編集・発行しているということ。
ある日、その取材のために政府ナンバーの車を尾行していたジェリーだが、それがCIAのものであることを突き止めた直後に拉致され、拷問を受ける。しかしそこで注射された自白剤により、彼の奥底に眠っていた戦闘・殺人術が目覚め、重傷を負いながらも脱出に成功する。
しかし記憶は戻らない。彼はその足で司法省のアリスに会いに行くが、そこで逮捕され、病院に収容される。アリスはCIAの医師ジョナス(パトリック・スチュワート)に同行させられ、ジェリーを取り調べるため病室に向かう。しかしアリスは、ジェリーが逮捕される前に言った拷問者の特徴(ジェリーが抵抗して噛み付いた鼻の傷)がジョナスにあるのに気づく。ジェリーの機転により、同室の患者がジェリーの代わりに死ぬ。ジェリーは急変したふりをして再び病院から脱出。アリスの車に忍び込み、二人でジェリーのアパートに向かう。
そこで秘めた思いを告白しようとするジェリーだが、そこもCIAの襲撃を受ける。しかし襲撃に備えて部屋に仕掛けた発火装置と脱出口やトラップにより、二人は脱出する。そしてアリスは、ジェリーがただの異常者ではないことを知る。だがその直後、アリスは彼のストーキング行為を知って激昂し、二人は別れてしまう。
アリスはジェリーのニュースレターの読者を調べ始めるが、一人を除いて全員が不審な死を遂げていた。そして残る一人の住所に行ってみると、そこはジョナスのオフィスだった。そこで彼女はジョナスから驚くべき事実を聞かされる。アメリカ史上有名な陰謀論「MKウルトラ計画」が実在し、ジェリーはその被験者として殺しの訓練を受けたこと、そして彼女が司法省に入省して以来追い続けている、判事だった父の死の原因が彼であること。
オフィスに戻ったアリスの元に、ジェリーからの誘い出しの手紙が来る。ジョナスはジェリーを捕まえるため、誘いに乗るよう勧める。だがアリスを連れ出したジェリーは、巧みに車を乗り換えて追跡を撒く。その目的は、失われた記憶を取り戻すため、最も古い記憶が残る場所、サットン判事が死んだ現場へ行くことだった。
そこで彼の死の顛末を思い出そうとするジェリー。激昂するアリス。しかしジェリーは、彼を守るためにここに来たこと、ジョナスの手下が犯人であることを思い出す。そしてそこで刷り込まれた命令が、アリスを守ることであったのも。
だが二人はCIAに見つかり、ジェリーは拉致され、アリスは逃げる。生まれ育った土地で持ち前の俊足を生かし、土地勘のない狙撃手たちを撒いてアリスは逃亡する。
アリスはジェリーを救うことを決意し、同じくCIAに協力させられていたFBI捜査官、ロウリー(キルク・カザート)の協力を仰ぐ。そしてジェリーが精神病院に監禁されていることを突き止める。突入、強制捜索を行なうロウリーとFBIのチーム。だがそこでジェリーはジョナスの凶弾に倒れる。アリスは父のみならず恋人までも奪った男を射殺する。
ジェリーはしかし生きていた。ジョナス一味の残党全員が摘発されアリスの安全が確保されるまで、FBIの計らいで死を偽装して隠れることになる。彼の願望「彼女を遠くで見守る守護天使になりたい」は、一連の事件前よりももっと完全な形で実現することになるのだった。
評価
「リーサル・ウェポン」シリーズのスタッフと俳優陣が、ジュリア・ロバーツを迎え入れて作った単発の作品。しかしストーリーの進行は説明不足で強引な展開が随所に見られ(ジョナスの目的が「ジェリーから情報を聞き出す」「ジェリーを殺す」「殺さずに自白させる」と二転三転するのは何故か? 最初の拷問でジェリーはかなりの重傷を負ったのに病院から脱出するシーン以降全く元気なのは何故か? 牧場でアリスは狙撃手の手をどうやって逃れたのか? アリスはクライマックスの前に、ジェリーが拉致されているのが古い精神病院であると何故分かったのか? など)、そのため一般に評価は低い。
しかしヒーロー役の多いメル・ギブソンが敢えてマニアックな特徴を持ち合わせた異常者を熱演している(彼自身陰謀論には詳しいらしい。冒頭の、タクシーの乗客に聞かせる陰謀譯は彼のアドリブである)のを始め、ロバーツやスチュワートの演技も良く、また音楽とそれにマッチした編集もあって娯楽映画として一応の体を成している。