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「魔人探偵脳噛ネウロの登場人物」の版間の差分

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2007年3月10日 (土) 14:44時点における版

魔人探偵脳噛ネウロの登場人物(まじんたんてい のうがみネウロのとうじょうじんぶつ)は、松井優征の漫画作品『魔人探偵脳噛ネウロ』に登場する架空の人物の一覧。

桂木弥子魔界探偵事務所

脳噛ネウロ(のうがみ ねうろ)演:子安武人
本作品の主人公一人称は、「我が輩」。表向きは『桂木弥子魔界探偵事務所』の探偵助手として腰の低い青年を演じているが、魔界の謎をすべて喰らい尽くし人間界に降り立った魔界の突然変異種である魔人。常識を超えた頭脳と身体を持つ。性格は気まぐれで傲岸不遜な上、かなりの傍若無人。弥子曰く「ドS 」でデリカシーが無く、理由の有無に関わらず積極的に奴隷(弥子や吾代)を虐めては楽しんでいる。普段は人間の姿に変身しているが、能力使用時と犯人などを威嚇する時や、「謎の気配」を見つけて嬉しくなった時などには、本来の(鳥類の如き頭部を持つ魔人の)姿になる。瘴気の薄い地上では魔人の力が弱まってしまうため、傷の回復が遅れたり魔界777ツ能力を何度も使えなくなったりという危機を迎えたこともある(HALの事件では重傷を負ってしまい、ボロボロになり倒れた事もあったが、その『謎』を食らい尽くした事で一気に元気になった)。それでも現時点では、手首を切断されても一晩切断面を繋げていれば元通りになる等、回復力も遥かに人間を凌駕している。そんな彼も事務所の立地条件を気にしたり、依頼料をダイヤモンドに換えて蓄財したりと、地上での処世術はある程度心得ている模様。
前述のとおり、普段の一人称は「我が輩」だが、助手を演じている際は「僕」。時として犯人以外の人間の前で本性を現すことも。当初は人間を格下の存在として見ていたが、弥子や怪盗"X"が困難を克服すべく工夫や努力を凝らして進化していく姿を見て、人間を「究極の謎を作り出す可能性を秘めた種族」として評価、少なからずも興味を抱いている。
誕生日は16月344日(ちなみにこれを人間界の日付に換算すると弥子の誕生日と同じ3月10日になる)、年齢は地上の言語では表記不能。劇中で電人HALが述べたところによると、神経細胞を示すニューロン(Neuron)が名前の由来のようである。
余談だが、連載開始時期の近い『ムヒョとロージーの魔法律相談事務所』のムヒョとは気が合う同士で仲が良いようだ。
桂木弥子(かつらぎ やこ)演:植田佳奈
本作品のヒロイン。一人称は「私」、もしくは(時折)「あたし」。表向きは『桂木弥子魔界探偵事務所』の所長兼女子高生 探偵だが、実はネウロの正体を世間に晒さないための傀儡。当初は哀しみを乗り越え、建築家だった父を殺した犯人を見つけてくれたネウロへの恩義と、魔人としての力を使った脅迫による恐怖心から、彼の指示に渋々従って行動していたが、最近は数々の事件を通して、犯人の心理に興味を持ち始め自ら進んで行動をとるようになった。アヤ・エイジアの事件や、「最後の自分」像を巡る怪盗"X"との対決などで徐々に研ぎ澄まされていく観察力を、ネウロも多少認めはじめた節がある。電人「HAL」の事件では在りし日の春川が講義を行う映像から電人「HAL」の目的とパスワードを読み解き、その優れた観察力を存分に発揮している。
貧乳で細身、小柄な体型によらず大食いの美食家で、その食に捧げる情熱は高く、学食の為だけに必死で勉強して難関高に合格するほど(ただし入学によって目的を果たしてしまった為、当然それ以降は全く勉強しておらず、赤点三昧で下の成績)。その食事量は最早人間のレベルを遥かに超えており、周囲はおろかネウロですらあきれる有様である。味覚グルメ漫画の主人公と互角以上に鋭い。宝石キラキラしておいしそうだから詳しくなったり、学校の食堂に迷い込んだカマドウマを見て「あの子、茹でたらプリッとしておいしいかな」と発言したりと、その思考はどれでも構わず食に繋がる。毎週の登場人物紹介では、その食に対するこだわりが垣間見られるような好物が一つずつ紹介されている。春川教授と出会った旅館にてバイキングの料理を30分で壊滅させた。ドラマCDの回想シーンでも小学生程度だったにも関わらず、父親に「今日はまだ五杯しかおかわりしていないじゃないか」(しかも何を食べていたかは不明だが、どんぶり(それも父のものより大きい)で食べていた)と突っ込まれていたほど(本作も含む父親の甘やかしにより、現在の大飯食らいになったと推測できる)。と間違えてガラスおはじきを沢山食べても何ともなかったという、脅威の胃袋を持つ。
誕生日は3月10日。座右の銘は「まず白米ありき」。
吾代忍(ごだい しのぶ)演:谷山紀章
元は『桂木弥子魔界探偵事務所』設立前にビルに入っていた、やくざ運営の金融会社『早乙女金融』の副社長代理。社長の殺人事件解決をネウロ達に依頼しその報酬として事務所そのものを要求され、事件解決をきっかけに建物を追い出される。その後コンビニのバイトなどをしていたが、ネウロに脅しを掛けられ事務所雑用として無理矢理雇われた。現在は望月総合信用調査の副社長兼監査役として出向中、実質的な社長として働いている。
元・チンピラなだけに血の気が多く、キレやすい性格。意外にもアヤ・エイジアの大ファンで、彼女が弥子達によって逮捕されたと知ったときには動揺を隠せなかった。喧嘩の腕は凄まじいほどで、社長のスパルタ教育により裏の世界の情報網にも詳しいが、最終学歴は小卒(悲惨な環境で成長したせいでもあって、義務教育は6年と思い込んでいる)。それが露見されてからは、ネウロにいい虐めネタとして使われるようになり、幼少から社長の早乙女に拾われるまでの過去を思い出してしまうのかトラウマにもなりつつある(ドラマCDでも、彼の幼少期は非常に家が貧乏だったらしく、母親からそれを誤魔化す為に色々と嘘を吹き込まれていたという、悲しい過去が語られていた)。だが、早乙女金融在籍時に法律等の知識を叩き込まれたため仕事はそれなりにできる。望月総合信用調査で副社長として働くようになったおかげでBMW X3の車を30回ローンで購入できたが、ネウロが篚口の追跡に使用した際、完全にスクラップ。ローンだけが残る哀しい結末となった。
誕生日は11月3日。得意技は凶器攻撃、求人誌速読。他の元闇金融会社メンバーや鷲尾の級友のネーミングの傾向から察するに、名前のモデルはファミコンゲームのくにおくんシリーズの名脇役・五代奨であると思われる。
あかねちゃん
探偵事務所の前の、金融会社が入るその前からその部屋にいたと思われる、コンクリート壁に塗り込められた女性の死体。生前は美少女であった模様。ネウロの瘴気にあてられ中途半端に生き返り、髪だけが動く。普段はおさげだけが壁から露出している。直接話す事はできないが、おさげを自在に操って筆談で意思疎通するほか、あらゆる業務を完璧にこなす有能秘書である。弥子が惚れ惚れとするほどの美しい髪の持ち主。ちなみにメールチャットでは英語ペラペラ(だが、筆談やキーボードなどを介さないと話ができないため、ドラマCDでは効果音のみで出演していた)。
普段は壁から離れることが出来ないものの、後にネウロにより、何かしらの物質にくっついてエネルギーを貰うことで、短時間だけならおさげだけで外出できるように改造された。最近は弥子のケータイのストラップとしてエネルギーをもらい活動することが多い。長時間の活動を行う時は、弥子の髪の毛と合体し"弥かねちゃん"となって行動する。この"弥かねちゃん"は、噛み切り美容師の調査に大いに貢献した(「ジャンプアルティメットスターズ」では、ネウロに召喚されて髪で相手を縛り上げることで戦闘用にも役立っている)。
彼女の死には何らかの謎があるようだが、ネウロはその解決を行っていない。しかし、いずれはあかねの謎も「喰う」つもりだという。解決しない理由は鮮度がない(要するに事件発生から時間が経っている)からだと思われる。

警察関係者

この漫画に登場し警察に所属する人物は、犯人キャラなどを入れてそのほとんどが名前の一部に「竹」または「竹冠」を含む。

笹塚衛士(ささづか えいし)演:遊佐浩二
事件現場などで度々会う顎ひげの刑事。31歳。低いテンションと高い実力で有名。普段から無表情でくたびれた感じを漂わせているが、いざという時の動作は俊敏で、射撃の腕前も天才的。事件の資料を提供するなど弥子に協力的姿勢を見せるが、常に付き添うネウロを怪しんでいる節もある。
笛吹、筑紫とは大学時代の旧友。大学生だった頃の性格は比較的に陽気で、笛吹よりも成績は優秀だった。大学在学中、妹の誕生日に家族(父、母、妹)を何者か(怪盗Xと思われる)に皆殺しにされ、それに関連して大学を卒業してから警察に入るまで1年ほど、行方をくらましていた。本来ならキャリア組として警察に入るはずだったが、その一件からノンキャリア組で警察に入っている。姿を消している間に地下(裏世界)に通じ、怪しげな人脈を持っているという噂がある。弥子のことを容姿や雰囲気の似ていた妹と重ねているとみられ、あまり大きな事件に巻き込みたくないようだ。異常なほどに食欲が無く、塩と焼酎と日光だけで2週間も生き延びられるらしく、弥子から「葉緑素でも持ってるの?」と突っ込まれている。
誕生日は7月20日。好物はたこわさ焼酎
石垣筍(いしがき じゅん)演: 鳥海浩輔
弥子父殺人事件解決以降から竹田に代わり、笹塚とコンビを組む若き刑事。高いテンションと低いプライドを合わせ持つ、今時のミーハーな若者っぽい性格。刑事としては有能とは言いがたく、しばしばヘマを起こす。趣味は食玩集め、プラモデルフィギュアなどのモデル系ホビー全般だと思われ、コレクションを揃えたり、よく仕事の合間にプラモデルを作っている。オタクモデラーとしての腕前は確か(雑誌に掲載されたことがあり、ツッパリ系の弟子がいる)だが、その収集物・作成品は大抵の場合、途中で「ウザイ」という理由により笹塚に破壊されたり破棄されてしまう。自分たちより先に事件を解決してしまう弥子達に対してあまり良い感情を持っていない。だが立場と能力は無能そのもの(インタビューを試みた弥子曰く「チキン」)で、全体的に小物感を強く漂わせている。学生時代の頃からカンニングとコネのみで試験を乗り切っていたらしい。
ドラマCD版ではアキバおでん缶を買ってきたり、萌え喫茶(後述)通いが判明したりというエピソードがあった。その為、ファンの間では「原作よりもオタク度がアップしている」と言われている。また、一人称が一箇所だけ「僕」になっている所があり(普段は「オレ」)、ボーナストラックでも弥子を「弥子ちゃん」と呼ぶ等、彼女に対してもフレンドリーに接している面も見られたため、少々違和感を覚えるファンもいた模様。
単行本2巻において、本来の名前の読みは「いしがき しゅん」だったが、誤植によって「じゅん」が正式な名前になったことが明かされた。誕生日は4月18日。年齢・身長・体重が笹塚よりも7ずつ小さい。
笛吹直大(うすい なおひろ)
笹塚の上司で、キャリア組。大学時代は同輩であった笹塚といがみ合いながらも良き友でありライバルであったが、笹塚がXの一件によるショックで国家試験に来なかったことで険悪な関係となり、刺々しい態度を見せていた。一般人にも関わらず事件に首を突っ込む弥子とネウロを快く思っておらず、彼らを「汚い者」と見なし目の仇にする。
根っからのキャリアタイプで、現場では空回りが多いようだが、捜査指揮など管理・戦略側の仕事においては比類なき才能を見せる。コンプレックスを持つせいか態度が大きく、周囲の物や人に八つ当たりしやすく、気に食わない者に対して見下すようなイヤミを言う現場潔癖症。ただし、ヒステリア編以降はそうした面に多少軟化の傾向が見られる。
上記の通りのきつい性格だが、可愛いものと甘い食品を好む意外な一面もあり、何かと憎めない人物。弥子にテディベア好きであることを見抜かれた。可愛らしいを育てる趣味もある。誕生日は4月18日(石垣と同じ)。背が低い(約164cm)事を自分でも気にしているようだ。なお、コーヒーはブラックが苦手。
筑紫侯平(つくし こうへい)
笹塚の同僚、笛吹の部下で、大学時代の旧友(二人の一年後輩)にあたる。非常に無口だが、二人のことを気遣っている。笛吹の数少ない理解者。解説やフォローが得意で仕事もできる。目で語りかけることができるらしい。
誕生日は2月4日。尊敬する人は笹塚、笛吹、ピロリ菌を飲んだ人(バリー・マーシャル)。
篚口結也(ひぐち ゆうや)
環境によっては文字がつぶれて表示される・或いは正しく表示できない可能性があります。正しい表記は匪に竹冠()です。
弱冠19歳にして特例で刑事となった、警視庁・情報犯罪科の刑事。連続放火事件で予備校生を装って「比田夕也(ひだ ゆうや)」と名乗り、弥子達と出会い接触。常に飄々としており、石垣とはまた違った意味で今時の若者風。笛吹や笹塚の後輩にあたるが、彼等に対しても遠慮なくタメ口を使う、およそ刑事らしくない人物。笛吹曰く「口の訊き方を知らないガキ」だが、専門の情報犯罪関係に関する腕は確かで、凄腕の天才を誇る。遠視がひどくなっているらしく、常に所持しているノートパソコンを使う時は眼鏡をかける。本人は同じく眼鏡をかけた笛吹とキャラがかぶるのを嫌がり、本部に居るときは大抵眼鏡を額に上げている。警察関係の中では弥子と親しいが、犯罪を行う人間に対する見解は、弥子の思考と視点とは異なる。
上の命令により、HALの電子ドラッグの特効薬(ワクチン)を作り上げたが、逆にHALの返り討ちを受け、その支配下に置かれる。その時に気付かされた犯罪願望は「混沌願望」。無秩序な犯罪者だらけの世界を作る事を望んでいる。しかし彼の場合は、過去に(自分の行為が原因で)両親を失った経緯から、「普通の家庭を望む事が犯罪なら、世の中は犯罪者ばかり」と思った事が最大の要因。ちなみに自ら開発した特殊偏光グラスによって僅かにHALの洗脳を振り切っており、「犯罪に対する罪の意識」(罪悪感と苦悩)が残った故の不安な表情が弥子にその事を気付かせ、苦痛の心情による動機は弥子が電人「HAL」の目的(パスワード)を解明する際の手懸かりの一つにもなった。HAL消滅後、HALに洗脳された一件で警察を辞めようとしたが、弥子が笛吹に「篚口を残してくれ」という手紙を残していた為、結局は残る事になる。しかし、自ら起こした愚行と生意気さから笛吹に「真っ当な人間にする」為の拷問紛いの手法を受け、電子ドラッグのワクチンと共に人の礼儀を教える為のDVDを無理矢理見せられる破目になる。弥子と再会した時には自分の意思とは関係なく条件反射で一礼などをするようになり、不本意とはいえ礼儀正しく振る舞うようになった。
余談だが、今は亡き彼の両親はインターネット依存症ネット中毒ネトゲ廃人等といった問題への風刺的な意味合い、及びドラマCDにて桂木弥子を演じた声優植田佳奈に対して警告を表した存在であると思われる。もしくは社会問題家庭問題の象徴ともいえる。
名前の由来は、偽名・本名共に火に関連していると思われる。
筒井壮太(つつい そうた)
警視庁の刑事で、怪盗X事件を捜査中にネウロ達と出会う。粗暴な上、出世欲が異常に強く、Xを逮捕することにより一気に昇進しようと息巻くが、そのXによりあえなく「殉職=二階級特進」させられる羽目になる。最期は何が起こったかわからないまま「ぇはん」という情けない断末魔を上げ、惨殺され死んだ。
薪売触二(まきうり ふれじ)
何故か怪盗Xがらみの事件(ドラマCD除く)の時のみ登場する刑事。どこかカマッぽい風貌。名前の由来はフレディ・マーキュリーか。
箕野将三(みの しょうぞう)
警視庁捜査一課の刑事。中年で腰が低いが、良い人。
笠木(かさぎ)
笛吹の部下の一人。下の名前は不明。
管野広志(かんのひろし)
県警刑事。常に扇子を持っている。弥子のファンで、物分りがいい。

怪盗"X"と協力者達

ネウロの命を狙う世界的な犯罪者、怪盗"X"と彼に力を貸す者。現在判明している協力者はアイのみ。

怪盗X (Monster Robber X.I) (かいとうサイ) 演:斎賀みつき
世界を騒がす怪盗。作中ではX(サイ)と略されることが多い。「怪盗X」は日本での略称であり、正しくは未知を表すXと、不可視(Invisible)を表すIを合わせた"怪物強盗X.I"。語源は全く目撃されない上に証拠一つ残さない手際の良さ、後述するある特徴を指して海外のメディアが率直に表現した呼称だが、作者の意図的には"魔人探偵脳噛ネウロ"と対比させたネーミングのキャラと思われる。
人間の突然変異とも言うべき存在で、細胞を変化させ、子供から老婆までありとあらゆる人物の顔に化けることが可能(病名的にはとされている)。また、脳細胞が常に変化する為に記憶が常に失われ続ける。故に年齢や性別などを含め、自身の正体が自分でも分からず、「作った奴の中身が全部詰まった」美術品を盗んだり、その過程で出会った他人を解体(殺害)して中身を"箱"として見る事で、自分が何であるかの答えを探し出そうとしている。自分の姿が分かっていないが便宜上、普段は幼い少年の姿をとる。性格も外見年齢を反映してか極めて無邪気、そのくせ残酷。ただし、内面には「自分の中身がわからない」故の苦悩と不安を抱え込んでいる。
人間でないネウロに深く興味を持ち、純粋な関心と自身の中身の所在の可能性を見て彼の中身を見ることに執着している。殺した人間に化けることで、一般人から著名人まで多くの人間に「なって」おり、内閣総理大臣にすら成り代わっていた事もある。細胞の変異が急ピッチで進行中。現在は外見だけなら動物に成り代わることや体の一部を増やすことすら可能。彼のモチーフ怪人二十面相と思われる。
ちなみに一人称は「オレ」だが、ドラマCDでは何故か石垣筍同様、一箇所のみ「僕」になっている。原作でも本誌掲載時に一度だけ「僕」と間違われた(誤植された?)ことがあったが、単行本で修正された。
アイ 演:上原さやか
Xの犯行を影ながらサポートする、謎の女性。主に死体の処理、Xの記憶の補完、彼が"なっている"人々のリスト管理などを担当しているらしい。性格は寡黙で礼儀正しい。Xに対しても付き従う者としての姿勢を常時崩さないが、時に盗みを面倒がる彼に"怪盗キャラ"としての振る舞いを求めることも。興味が惹かれる(人の思いが詰まった)品が無いためにXが適当に選んだ盗品(B級グッズ)を下げ渡されることもしばしばで、自宅にはそうした品がどんどん溜まっていっている。
素性は不明。Xの正体を知ることだけが自分の望みであると語る。Xは彼女の中身にも興味を持っているが丁重にお断りしている。手術も出来るらしい。桂木弥子に興味を持っている模様。

犯人達

『ネウロ』の最大の特徴であり魅力になっているのは、個性的な犯人たちの描写である。「謎」が解き明かされた瞬間、性格や(時には)姿までが豹変して、狂った本性を見せる犯人のシーンは、同作品の見せ場の一つになっている。そのため本誌では人気投票とは別に「"犯"人気投票」なるものが行われた。ここでは、前述した怪盗Xを除き「犯人気投票」にエントリーされた犯人たちと、その後の事件の犯人たちを掲載するが、厳密には犯人ではない者も含まれている。また、犯人と似たような性質を持つ風刺的なキャラクターなども作中には多数登場するが、殺害や犯罪を起こしているわけでもなく、ストーリーでの重要性も低いため、ここでは省略する。

(注記)また、「推理漫画ではない」事を強調するためなのか、コミックスの目次(ドラマCDではブックレット)の「まじんたんていのうがみねうろ」の文字がたくさん並んでいる部分には、よく見ると犯人の名前が隠されているというギミックがある。

事件解決後に弥子達に協力した犯人達

犯罪を犯し、弥子達に犯行を暴かれた後、弥子達に協力する犯人達のこと。全員一周年記念の「犯」人気投票にエントリーされている(例:アヤ・エイジアは面会時、弥子にアドバイスしてくれた。早坂兄弟は、弥子達と共に電人HALとの戦いに加勢した)。

アヤ・エイジア 演:大原さやか
本名は逢沢綾(あいざわ あや:正確には「逢」の文字はしんにょうの点が二つ)。探偵事務所開設後、最初の依頼客。世界的な知名度と不動の地位を築いた本格派歌手だが「世界中で自分はひとりきり」だと思っており、それが彼女の歌の根源となっている。同じように「世界中で自分はひとりきり」だと思っている人(思考する人間)が彼女の歌を聞くと、ダイレクトに脳を揺らされて感涙し、時には感動のあまり失神する。自分を理解している人ができた事で「ひとりきり」でなくなることに自身の存在感を保てなくなり、親しくなった音楽 プロデューサー台島拓郎(だいじま たくろう)マネージャー大泉ひばり(おおいずみ -)を殺害。ただし、その事(愚行)に罪悪感は感じており、贖罪の賭けとして桂木弥子探偵事務所に捜査を依頼した。脳を揺らすという特異な能力はネウロの興味を引き、犯人たちの犯行動機に興味を一切持たなかったネウロが人間の進化の可能性に気付くきっかけとなった。また、彼女の事件は作品自体のエンターテイメント性をも大きく向上させるきっかけとなり、その意味では至郎田正影と同様に作品への貢献度は高いといえる(「ジャンプアルティメットスターズ」においても、至郎田と同様にネウロの必殺技で召喚されて登場している)。名前の由来はスティーリー・ダンのアルバム「彩(エイジャ)」からと思われる。
現在は罪を償う為に服役しているが、心の整理がついたためにか現在の彼女の歌声は「ひとりきり」ではない人の脳も揺らすまでにレベルアップしている。その歌声は聞いたものを失神させる程で、本人の意思次第では誰にも触れられずに脱獄も可能なようだが、殺した2人への償いのためと、自分の犯行と心理を看破した弥子への敬意(感謝と敬愛)故に行わない。一時は彼女を虐めようと襲いかかった女看守井伊朋子(いい ともこ)とも、現在はそれなりに仲良くしているようである(朋子本人は懲りずに虐めようとするが、すっかり彼女に怖気づいている模様)。二度目の対面では、電人「HAL」のパスワードを解明する手懸かりを与え、弥子のやる気を起こさせた。
"犯"人気投票では堂々一位に輝き、しかも一般人気投票一位のネウロよりも投票数が上回った(分母が違うため単純に比べる事は出来ないが)。
早坂久宜(はやさか ひさのり)
望月総合信用調査の総務部長。常に笑顔で応対する男だが、その笑顔は本物ではなく作り物の笑顔であり、彼のである。麻薬と共に武器(後に、電人「HAL」が学生達を通して発注していた事が明らかになった)の密輸を行い社長である望月建雄を殺してトップに立つ予定だったが、濡れ衣を着せた相手が不運にもネウロだった。ネウロの犯人の中では数少ない、謎らしき謎は持たない犯人(ネウロたちが謎に組み込まれかけた為)である人物。当然、犯行が発覚しても「笑顔の鎧」が崩れる事はなかった。ネウロに犯行を阻止され、最後に笑顔が取れた時も、読者には素顔を見せないようになっていた。弟は同社トラブル処理班の早坂幸宜。
この事件の後、弟と共に有限会社『笑顔』を設立。「香辛料輸入卸販売」を謳っているが、実際は武器麻薬臓器、何でもござれの密輸業を展開している。目だけは本性を表しているのかサングラスをかけ、を生やしてダンディーな姿になり再登場。ネウロと再会を果たした当初は銃で脅したりもしたが、電人「HAL」を倒すことによる利害が一致したので一時的に手を結び、宝石と引き換えに改造を施した中古のAH-64 アパッチを用意した。しかし、やはり本当はネウロとHALの相打ちを期待していたようだ。
早坂幸宜(はやさか ゆきのり)
早坂久宜の弟。通称はユキ。望月総合信用調査のトラブル処理班所属。暗器の扱いを得意とする。故郷が雪里。幼い頃、雪崩に呑み込まれて死にかけた事が原因で、常に冬物のコートを着用していた。「兄弟の絆こそ最強」と豪語し吾代と戦うが、二度目の戦いで吾代に攻撃のトリックを見破られ敗北。その後、燃え盛る倉庫に閉じ込められた兄を助け、二人でどこかへと去っていった。兄共々苗字は、くにおくんシリーズの早坂良麻からか。
この事件の後、兄と共に有限会社『笑顔』を設立。兄を助けるときに燃えてしまった為、現在はコートを脱いでおり、半袖の状態で再登場した。今度は以前より扱いやすく、より強力な"武器"を装備しているらしい。なお、電人「HAL」編では宝石の鑑定攻撃ヘリの操縦などの特殊なスキルを持っている事も明らかになった。
望月建雄(もちづき たてお)
警視庁OB。退職後、警察時代で得た経験やパイプを利用し、望月総合信用調査を設立する。いつも顔がテカっており笑顔を絶やさない。早坂久宜に笑顔を教えたのはこの人。探偵の真似事をするネウロ達に近づき、あわよくば麻薬密輸の現行犯としてでっち上げ自社の評判を上げるつもりだったが、早坂の裏切りとネウロのしたたかさに敗北。ネウロに弱みを握られ、『パトロン』という名の奴隷と化した。設立した頃から早坂兄弟に依存し過ぎたせいか、実際の実力は警察OBとしてのコネを持つだけで、彼ら無しでは何も出来ない無能と化していた。だが彼らが去った後は吾代に依存することで事無きを得た。現在は業務の大半を吾代にまかせっきりの上、ゲーム『殺人兵器丸ロボ』にハマり没頭する(しかも重要なところでいちいち吾代にゲームの攻略法を聞きに来る)日々を過ごし、お飾り社長っぷりは相変わらずだが、漢検一級を持っている事などで吾代の為なら役に立つところがある模様。名前の由来はくにおくんシリーズの望月駿と、「つきたておもち」のアナグラム

「芯」を持った真の犯罪者達

後述の電子ドラッグによって洗脳されても、電子ワクチンによって元通りにしても、変化がない犯罪者達。

毒殺女
本名は不明。愛人下呂光(げろ ひかる)に裏切られた恨みから、下呂を毒殺する。しばらく幸せな日々を過ごしていたが、一枚の写真から全てが壊れ始めたらしい。彼女が語る犯行の動機にネウロは一切の関心を示さなかった。他の犯人達と比べインパクトは薄く、比較的に理性もあるように見えるが、飛び散った被害者の血で自らの頬にピースマークを描くあたり、彼女も他の犯人達と同じくらいではないとはいえ少々狂っていたと言えるだろう。
竹田敬太郎(たけだ けいたろう)
捜査一課の刑事で、笹塚の元・上司。人の良さそうな性格をした老刑事だが、額と舌にピアスを付ける若者のようなファッションをしている。長く殺人事件を調査するうちに、人間が恐怖や悲しみに「加工」された表情を見ることに快感を覚えるようになった。遺族の表情を「加工」するため、建築士である弥子の父親・桂木誠一(かつらぎ せいいち)の他、多数の人間を惨殺してきた。謎を喰われた後、ネウロに(実験的に)脳内をいじられてしまい、廃人と化した。
ちなみに犯行時、手に8本ものナイフを持ったまま窓から侵入する様は圧巻の一言。犯行動機を語る際に頭から直接足が生えているようなポーズをしたりし、その不気味さからこの漫画の人気の軽い火付け役となった。
至郎田正影(しろた まさかげ)演:伊藤健太郎
フレンチレストランのオーナー シェフ
詳しくは至郎田正影を参照
鷲尾正勝(わしお まさかつ)
吾代が勤めていた金融会社の社長代理。小学生の頃から立場にこだわりを持ち、自分が自分のいる巣(集団)の中心(かといって「一番になりたい」わけではない)にいないと気がすまない我侭な性格で、それ故に社長の早乙女國春(さおとめ くにはる)を殺害する。ネウロに気を狂わされ、怯えて奇声を上げながら、必死に逃走。その後の行方は不明。...のはずだったが、HAL編で再登場を果たす。名前のモデルはくにおくんシリーズの鷲尾修二。
糸田(いとだ)
アヤ・エイジアに執着し、動物の死体を事務所に送る、窓を割るなどの過激なストーカー行為を繰り返した。締めつけられる事に快感と万能感を覚える男(初登場シーンがパーカーのひもで自分の首を絞めるという非常にインパクトのある登場であった)。アヤを拘束しようとするが、あまりに過激な面を見かねた笹塚に顔面を蹴飛ばされ、ネウロの「エグい能力」により痛覚神経を直に弾かれあえなく悶絶。逮捕されても異常な性癖は全く直らなかったが、強烈なトラウマにより、もう音すら聴きたくはないようである。
篠原紀夫(しのはら のりお)
ハンディーカメラ片手に情報を集めるフリーライター。過激なパパラッチである人物。報道の自由を勘違いしており、「有名人はマスコミに有名税を払う義務がある」をモットーに、ヤラセ中傷的なデマを出した過剰報道で、多くの芸能人・文化人を失脚させてきた。右目は何故かカメラのレンズと一体化しており、眼球剥き出しになっている。弥子に笑顔で強引な取材を試みたが、たまたま現場にいた吾代に殴られ本性を現すも、ネウロに気を狂わされた挙句、通りかかった怪盗Xに殺され、"箱"にされた。
豹変して本性を現した後、マスコミ対策としてネウロからの制裁を受けはしたが、厳密にはネウロが解決した事件の犯人という訳ではない。名前のモデルは篠山紀信か。余談であるが、彼の着用しているバリ8Tシャツ(後述)はファンの間では有名。回想シーンでは「KENGAI」Tシャツを着ている。
堀口明(ほりぐち あきら)
怪盗Xに憧れて動物などを殺し"箱"に詰めていた、引きこもりの少年。Xのことを考えるだけで鳥肌が止まらないらしく、怪盗Xの模倣犯に到る。異様に怪盗Xに憧れている点を除けば「普通の」犯人であり、犯行が発覚しても「未成年だし大した刑期にもならないでしょ」と居直るのみ。ネウロには全然相手にされず、憧れていたX直々に「形だけ"箱"っぽくまとめ」られ絶命。ガラスの箱には入れられていないので、厳密な意味で"箱"にはされていない。
賀久安由美(かく あゆみ) = 爆弾魔ヒステリア (Histerrier)
二人の子供を持つ一般主婦。犯人であるヒステリアはある一定の法則で爆弾テロを起こす巷で話題の爆弾魔。自分の中に、あらゆる破壊衝動を掻き集めて組み立てた"本能(カレ)"というもう一つの人格を持ち、"本能(カレ)"の言葉に忠実に従う"理性(イヌ)=ヒステリア"として犯行を行う。「人間は本能に忠実なである」が持論で、本能を表にさらけ出すことを「ブッちゃける」と呼ぶ(その"本能(カレ)"の存在と持論は妄想からの構成に近い)。仕掛た爆弾をネウロに暴かれ、もう一つの爆弾は笹塚の精密射撃により爆破を阻止される。必死に反抗した直後、ネウロの圧倒的な気迫に脅され、犬同然に。名前の由来は「核爆弾」。また、ヒステリアという名称はヒステリーと犬種のテリアに由来するものとみられる。偶然にも彼女と共に乗っていたエレベーター内の女性らの名前も火薬品に基づいている。
デイビッド・ライス
私立大学に通う留学生。異文化交流を研究していた。自分を振った友人の露木 さくら(つゆき -)毒ガスで自殺に見せかけ殺害。親日家を装っていたが、実は狂信的なまでの愛国主義者で、自国のネガティブな部分すら全肯定し、日本の文化を見下している。常にリボルバーを携帯していないと眠れないくらい安心できないらしい。異文化交流を勘違いしており、「格上が格下を見下げる事が異文化交流」だと思っていたが、その思考を弥子に「考え方そのものが幼稚で格下」と指摘され逆上。発砲したがネウロに指弾きで鼻に返されて文字通り出鼻をくじかれ、その上に納豆を食べ続けないと呼吸出来ない状態となる。
明らかにアメリカ人(もしくは白人)を風刺したキャラだが、少年漫画としては過激な論を語るせいか劇中では"アメリカ"という具体名は一切登場しなかった(「ボクの国」と言う表現をしている)。ちなみに、ライスを日本語に直すと「米」、つまり「米国」を表しており、露木を始めこの事件の関係者達は全員国名を表す漢字が名前についている(後述の春川英輔も例外ではなく、国名を現す漢字「」が含まれている)。
百舌貴泰(もず たかやす) = 噛み切り美容師
美容院『ファング』を経営するカリスマ美容師。異常なくらいに髪の毛で人を判断し、ネウロが人間でないことも髪を見ただけで見抜いた。美しい髪の持ち主の首を切断して殺害した後、血液を整髪剤に使って髪をセットするという犯行を繰り返し、世間では「噛み切り美容師」と呼ばれていた。自称「髪の神」。無名の頃は女性に暴行を働いた上で無理やりセットするという事件を起こしている。犯行が暴かれた時は目と眉毛が鋏のような形に変化した。結局、最後は彼に捕らえられた"弥かねちゃん"の元に駆けつけたネウロに魂ごと髪の毛を全部刈り取られる。
ちなみに、名前の元ネタは整髪料ブランドのモッズ・ヘアシリーズ。更に彼の用いたアリバイトリックは「百舌の早贄」を模したものと思われる。また彼が語った持論の「髪の毛を支配することは、すなわちその人間を支配すること」という趣旨は、作者の師匠・澤井啓夫の作品『ボボボーボ・ボーボボ』に登場する「髪の毛真拳」に似ているのだが、関連があるのか偶然の一致なのかは不明。

ここからは「犯人気投票」よりも後の話での犯人たちを挙げる。

真栗一茂(まぐり かずしげ)
金銭(遺産)目的で有名芸術家・絵石家塔湖(えしや とうご)と、その夫人である実の妹・妙(たえ)を殺害した犯人。犯行に及んだのは、"家族(えだ)を切れば切るほど残った家族(えだ)に栄養が集中する(=遺産の取り分が増える)"という理屈からであった。豹変時には頭部に髪の毛で枝を形成した。最終的にはネウロが手をチェーンソーらしきものに変化させて髪の毛の枝を刈り取ったことで、彼自身が「剪定(まび)かれる」こととなった。直後にXがネウロを殺そうと放ったショットガンの流れ弾が額に当たり、死亡した。ちなみに、真栗・絵石家という苗字の由来はそれぞれ画家のルネ・マグリットマウリッツ・エッシャーが由来だと思われる。
余談(最早どうでもいい事)であるが、彼の使用していた事務机の横には発毛剤セットが据え付けられている。机の上や設置している頭部のマネキンには、自分の抜け毛を植えて(貼って)いた。
大塚輝希(おおづか てるき)
家具のデザイナー。師である池谷通(いけや とおる)が制作した机「トロイ」を利用し、購入者2名を毒薬で殺害した挙句、自身の考えが合わない池谷に罪を着せた犯人。豹変時には「家具の全てはフィット感」と主張しながら自らの机を変形させ、パワードスーツのように全身に装着し、内部に仕込んだ武器で池谷を直接殺害しようと意気込んだが、ネウロの「虫干し」と評した魔帝7つ兵器の餌食となり、最後は大量の家具の下敷きになった。弥子いわく「主張は滅茶苦茶だけど、結局は池谷を妬んでいた」との事。本作では史上初の倒叙形式の犯人である。名前の由来は家具会社である大塚家具と思われる。

電人「HAL」と、彼に洗脳され犯罪に走った犯人達

電人「HAL」の暴走により、春川教授と電人「HAL」の作り出した電子ドラッグによって洗脳され、犯罪に至った。なお、いずれも何らかの願望は持ってはいるが、犯罪を起こすつもりの無い人物である(些細な感情や持っている願望を電子ドラッグによって、極限まで強化されてしまったといってもいい)。HAL消滅後、犯罪に走り事件を起こした時の記憶を持たない故、彼らの罪は問われなかった。
電人「HAL」(でんじん ハル)
春川が自分の脳をコンピュータに読み取らせて生み出した(複製した)プログラム人格。性格は春川と同一だが、物事の考え方は若干春川と異なり、目的達成の為には手段を選ばない。春川と自分を別人格であると考え、学生達を操り現実世界の春川を殺害した。プログラム人格(すなわちコンピュータの中の存在)であるため、電子ドラッグを用い現実世界の人間を操ることで自己保身を行う。また、コンピューターウィルス等の侵入には無数のトラップを仕掛ける事ができる。
記憶の中の本城刹那をプログラムとして蘇らせる」という無謀かつ、ささやかな願望を実現するために、某国極東駐留軍(デイビッド・ライスと同じように決して「アメリカ軍 」とは呼ばれていない)が日本国内に始めて配備した原子力空母オズワルド』を占拠し、そこを拠点に世界中のスーパーコンピュータを集めようとした(作中における、この空母の存在は現代社会の核武装論や、核抑止に対する風刺的な意味合いもある模様)。だが、ネウロの傀儡だと判断していた弥子にパスワードと目的を破られ、ネウロに謎を解かれ上に叩きのめされ再起不能となった。「手も足も出ない」状態となったところで敗北を認め、弥子に電子ドラッグのワクチンを託し、デリートしてもらうことで自ら消える道を選んだ。一種のテロ行為とも言える大規模な犯罪を起こし、ネウロに対して「良質な謎」を提供することとなった犯人であるが、狂った性分の持ち主ではなく、むしろ正気であった想い故に暴走した行為でもある。自らデリートを受け、消滅していく狭間で一瞬だけ、ようやく刹那に会え、満足の笑みを浮かべ消え去った。名前の由来は「2001年宇宙の旅」に出てきた人工知能を備えたコンピューター・HAL 9000電人Mを「春川」に引っ掛けたものと思われる。
穂村徹行(ほむら てつゆき)
塗装工を勤める青年であり、連続放火魔。消化器型火炎放射器で様々な建物を焼いていた。放火する際には「急に」姿を変えたくなり、ビン底メガネをかけたり、シャツのすそをズボンにしまったり、バンダナの巻き方を変えたり、ニキビを(鳥肌のように)生やしてみたりと、アキバ系 オタクのような格好をしたくなってしまうらしい。放火をすると「燃える(=萌える)」らしく、「人たん燃え〜」や「家たん燃え〜」などとオタクのような言葉を口にする。自ら事件を起こすも何で燃えると萌えるのか分からなくなっており、弥子の詰問に答えられず錯乱し、最後はネウロにより自分自身が「燃えキャラ」にされてしまう。その後の調査で、電子ドラッグを見ていたことが判明する。全国指名手配の連続放火魔・葛西善二郎(かさい ぜんじろう)の甥。HAL消滅後は正気を取り戻したようだが、電子ドラッグによって目覚めた性格がそのまま定着してしまい、すっかりアキバ系オタク(+いろいろなものに萌える性格)となり日常を楽しんでいる模様。しかし、覚えていないとはいえ放火により建物や人が燃えた事で、火の恐怖も感じている。苗字の由来は炎の別名「焔(ほむら)」。彼を始めとした連続放火犯の容疑者達の苗字も火に関係している。
小柴達夫(こしば たつお)
錯刃大学研究生。HALの電子ドラッグによる洗脳兵の内、HALを護衛する「スフィンクス」を現実世界で守る役目を務めるようになった。電子ドラッグによって気付かされた犯罪願望は「撲殺願望」。魔界探偵事務所に(事故に見せかけて)鉄球を叩き込みネウロと弥子を殺そうとしたが失敗、ネウロに軽傷を負わせたのみだった。その後、自身と同じタイプの洗脳兵を率いて、手がかりを求めて錯刃大学にやってきた弥子とネウロを階段や鈍器で襲ったが、失敗に終わる。最後のスフィンクスを守っていたが、ネウロ達と遭遇する前に見限られ、「小柴よりも篚口の方が使える」と判断したHALに解任させられた。苗字は物理学者の小柴昌俊から。
朝永博斗(あさなが ひろと)
錯刃大学院生。元は学科試験に手こずる陽気な兄ちゃんだったが、HALの電子ドラッグによる洗脳兵の内、HALを護衛する「スフィンクス」を現実世界で守る役目を担っていた。電子ドラッグによって気付かされた犯罪願望は「殺願望」。同じタイプの洗脳兵を率いて攻撃し、ネウロを窮地に追い込んでいくが、ネウロの策略より返り討ちとなってしまい、弾丸が腹部に直撃し洗脳兵達と共に負傷した。苗字は物理学者の朝永振一郎から(こちらの読み方は「ともなが」だが)。
江崎志帆(えざき しほ)
錯刃大学研究生。元は春川に好意を寄せる女性だったが、HALの電子ドラッグによる洗脳兵の内、HALを護衛する「スフィンクス」を現実世界で守る役目を担っていた。電子ドラッグによって気付かされた犯罪願望は「刺殺願望」ならぬ「貫通願望」。春川より願望に気づかせてくれたHALの方が好きだからという理由で、春川に止めを刺した。洗脳兵の中では尤も悦に入っている犯人と言える。開発された大量の特殊レーザー砲を駆使し、ネウロの肩と髪を打ち抜いて見せたが、所詮ナメてかかってきたせいか、ネウロの単純な策により、あっさり撃破された。ちなみに、5歳の時にはだんご3兄弟ブームの火付け役となったこともある。苗字は物理学者の江崎玲於奈から。
その他(仮称)
詳細は伏せるが、上記以外にも急に犯罪を起こしたくなった人間(電子ドラッグVer1被洗脳者)や、ネウロらを見ると何故か襲い掛かってくる人間(主にVer2被洗脳者)などが多数登場する。

ドラマCDオリジナルの犯人

ドラマCDの脚本は松井優征自身が手がけている訳ではないので、いわば番外的な事件の犯人である。

磯目亜 愛美(いそめあ まなみ) 演:能登麻美子
ドラマCD第一弾の犯人。天知英生(あまち ひでお、演:宝亀克寿)の屋敷のメイドとして雇われていた。穏やかで優しい性格を装っていたが、実際は自己中心的な性格。看護師免許を持ち、体の弱った天知氏の身辺の世話や食事作りを担当していた。看病することに異常な執着を持ち、その為に彼の病気が完治しないよう細工していたら誤って殺してしまったようなので、今までの犯人達とは違い殺害することが目的ではないが、やはり一種の精神疾患(代理ミュンヒハウゼン症候群)ではないかと推測される。天知氏が発した「暗号文とあるレコードの音声(演:夏樹リオ)を利用したメッセージ」によって犯行が白日の下に晒されて敗北。名前の由来は、他のメイドたち(野々山ミハル(ののやま ―、演:新野美知)空流まゆ(くうる ―、演:木下鈴奈))と合わせて「陸・海・空」だと思われる。

読切版の犯人

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その他の人物

籠原叶絵(かごはら かなえ)
弥子の友人。弥子の大食いぶりにあきれたり振り回されたりだが、元気のない弥子を心配する時があり、親友としては優しい面も見せる。作中、弥子が食べていた讃岐うどんをぶっかけられたのも彼女。8000円も(パスタ 料理8皿)おごらされる破目に遭った事もある。5巻収録のおまけ漫画によると、彼女のポジションは「ツッコミのツッコミ」であるとの事。中学時代での成績はトップで、勉強ができる割に彼氏(男)を求める遊び(合コン)好きな面がある。些細な口論の中から、電人「HAL」のパスワードを解明する際の手懸かりの一つを弥子に与えた。HAL消滅後の最近では、弥子に対して冷淡な態度をとるようになっている節がある。
桂木遥(かつらぎ はるか)
弥子の母。情報誌編集者が仕事で、その関係で弥子に食事券などをあげることもある。しかし、本人は殺人的(あからさまにピントがずれている為)に料理が下手で、弥子の父である夫を危うく殺しかけたことがある。そのため桂木家では家政婦を雇っている。突然、探偵を始めた弥子に最初は戸惑うが、弥子が父の死にポジティブに向き合う様を見て、探偵業に理解を示している。
桂木誠一(かつらぎ せいいち) 演:大西健晴
弥子の父。一級建築士で、理数系の頭脳を持っていた。竹田敬太郎の手により他界。初登場時で既に死亡している為、以降の登場は主に回想シーンが中心だが、その殆どがギャグシーン。番外編では幽霊として登場し、浅田忠信と共に影ながら弥子を見守っていた。
浅田忠信(あさだ ただのぶ)
弥子と同じ学校の生徒。熱烈な弥子のファンらしく、常に弥子のことを見守っている、いわゆるストーカー。太った外見に似合わず、かなり俊敏な動きを見せる。だが勉強はできないのか、弥子のテスト勉強を手助けしなかった(むしろ逃げた)。いつも弥子の直筆サイン入りTシャツを着ている。決め台詞は「僕等は優しく見守る」。この「僕等」とは自分と桂木誠一の事を指すと思われる。現在の弥子とは事務所を気軽に訪れたり、クリスマスプレゼントを貰うくらいの交流を持ち、それなりに親密な関係になっている。名前の元ネタは浅野忠信と思われる。
春川英輔(はるかわ えいすけ)
錯刃大学の教授。専攻は脳科学。性格は沈着冷静でちょっとイヤミ。アヤ・エイジアや弥子(ネウロ)の能力に関心を持つ。元々は化学・物理学・医学など、ありとあらゆる分野に通じた万能の天才科学者だったが、生涯で初めて心を動かされた女性である本城刹那を救えなかったことから、コンピュータ内のプログラム人格として彼女を甦らせることを決心。自らの脳を忠実に転写(トレース)したプログラム人格(後の「電人HAL」)を作り上げ、HALと共に刹那の復活に心血を注いだが、「春川が生きている間に刹那を完成させることは不可能」というHALの判断により、HALに操られた教え子(朝永博斗・小柴達夫・江崎志帆)に殺される。刹那の復活はHALにしかなし得ないことは春川自身も理解しており、最後は江崎の一撃を避けず、自らの意思で殺されることを選んだ。HALと比較すればモラルはあるが、極秘裏に電子ドラッグの人体実験を行うなどをしており(「可哀想なことをした」という自覚はあり、HALと違って効果を検証できたらすぐワクチンで治すつもりではあったが)、HALと同じく目的を果たす為ならばや倫理を無視する事も厭わない人物と言える。
余談であるが、ファンの間では「錯刃大学のモデルは筑波大学ではないか」と噂されており、筑波大構内に似せた風景カットや春川研究室のメンバーの名前など、その根拠を見ることができる(朝永振一朗・江崎玲於奈・白川英樹の全員はノーベル物理学賞受賞者で筑波大名誉教授)。「電人HAL編」連載中に、大学構内で起きた教授惨殺事件の時効が成立したり、大学発ベンチャー製作のロボットスーツ(詳しくはパワードスーツを参照)「HAL」を発表などと、一時話題になった。
本城刹那(ほんじょう せつな)
春川と電人HALが「0と1の狭間」に創りたがっていた人物。有名な数学者の娘であり、誕生日10月18日であったため少数単位の「刹那=1/1018」から名前を付けられている。聡明な人物だが、自らを「変人」と称するなどユーモアのセンスも持ち合わせている。脳細胞が徐々に破壊されていき、少しずつ「体が自分で操作できない時間」=「凶暴になって暴れる時間」が増えていくという治療不可能な脳の難病を患い、脳の権威である春川の元に治療を依頼されてきたが、春川のプライドをかけた必死の治療も空しく、そのまま壊れて息を引き取った。
絵石家 由香(えしや ゆか)
芸術家であった絵石家塔湖の娘。19歳。勝気で態度が悪く、粗暴な言動をするベリーショートの女性。登場初期はフーセンガムを口にしていた。実の母によって父親から愛されていないと思い込まされていたが、Xが起こした事件の際に塔湖が実の父と知り、塔湖の形見である瑪瑙のネックレスをXから渡されて「もしこれを手放すような事があれば、その時はすぐさま殺しにゆく」と脅迫される。その事件後、弥子によって「塔湖さんは不器用だけど、由香さんを大切に思っていた」と聞かされ、父の作品をとても不思議なものと感じるようになり、それらのなりたちを知りたいと思い、美術史の勉強をし始める。父親譲りのパンダ目が特徴。「キモッ」「ウザッ」が口癖。当初は多少ボーイッシュな服装をしていたが、最近では女性らしい格好をしている。
池谷通(いけや とおる)
中古家具屋を勤めていた元・デザイナー。家具を「女」だと置き換えており、客やアシスタントである女性を平気で家具にして従わせる、涼しい顔をした外道(ネウロとは違うタイプのドSであり、彼と気が合う程)。しかし、デザイナーとしての才能は確かであり、かつては高い評価を得ていた。自ら制作した『女(家具)』にお客への謝礼のメッセージを隠すなど、購入者を思っているマメな性格で、一種の職人 気質を感じさせる人物である。デザイナー時代の最後の作品『トロイ』を巡って、後輩の大塚に殺人容疑の濡れ衣を着せられるが、ネウロ達によって冤罪から救出され、交換条件であった家具一式を含めた事務所のリフォームを行った。名前の由来は、「家具会社IKEA」から来ていると思われる。
葛西善二郎(かさい ぜんじろう)
全国指名手配犯。罪名は放火。笑い方は「火火火(ヒヒヒ)...」。穂村徹行の叔父にして火の魅力を教えた張本人。甥の徹行を「てっちゃん」と呼ぶ。ある有名な犯罪者に会った事がある。徹行がもっと火の魅力に近づいていたらその犯罪者に会わせるつもりで、徹行の仕事場に顔を出した。名前の由来は「火災」と「全焼」から。

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