| 対応・取り組み状況 |
県においては,現体育館が築60年以上経過していることや,施設の狭隘の問題を踏まえ,長年にわたり新総合体育館の整備検討を議論してきました。
現体育館は,体操競技などでは大会規定に適合する競技面積を確保できないこと,バスケットボールなどでは使用できるコートの数が少ないことなど,多くの競技で大会を実施するには狭隘であり,現在,本県には,他にも県大会等の開催に十分な競技面積を有する屋内スポーツ競技施設がないという大きな課題を有しています。
このため,バスケットボールなどでは,複数の会場で大会を分散開催せざるを得ないほか,バドミントンなどでは,試合の消化が進まず大会の終了時刻が夜間に及ぶなど,効率的な運営ができないことで,選手や関係者に多大な負担が生じています。特に離島からの参加者については,交通機関が限られていることもあり,表彰式の途中退席や延泊を余儀なくされています。
一方,このような施設の狭隘等の課題があるものの,県大会など各種大会や県民利用を中心に幅広く利用されており,令和元年度の稼働率は9割以上で,年間約10万人の方に利用していただいています。
スポーツ・コンベンションセンター(新総合体育館)の検討に当たっては,場所ありきではなく,新総合体育館に必要な機能,規模・構成等を議論した上で,立地場所についても検討することとし,基本構想検討委員会を設置し,屋内の競技団体等から御意見をお伺いして,議論していただきました。
その結果,同センターについては,アマチュアのスポーツ利用が7割程度であり,残りは多目的な用途で活用することで,施設の効率的な利用を図ることも必要とされたところです。
利用者数については,アマチュアのスポーツ利用で約18万人,多目的利用で約22万人を想定し,このうち,スポーツ利用は,現体育館の利用状況等も踏まえ試算した結果,一般の利用で11万人,小中高生の利用で約7万人と幅広い年代の方々の利用を想定しているところです。
立地場所については,離島を含む県内全域からのアクセスなどを考慮し,鹿児島市内が望ましいとされ,同市内において,国有地,県有地,市有地,民有地から候補となり得る土地を選定し,12項目の客観的評価基準に基づき,評価を行っていただいた結果,ドルフィンポート跡地等を一体的なエリアとして検討することとされたところです。
整備候補地が本港区エリアとされたことを受けて,県民の皆様からも意見募集を行い,景観への配慮や交通渋滞,防災の懸念など多くの御意見をいただきました。こうした御意見を踏まえて,鹿児島市の景観条例における建物の高さ制限の遵守のほか,歩行者動線の確保等による交通対策,施設のかさ上げ等による防災対策など,県としての考え方を整理し,基本構想(案)に盛り込んだところです。
その後,基本構想(案)について,検討委員会や県議会において御論議いただき,ドルフィンポート跡地にふさわしい施設にすべきであることや,中心市街地との回遊性の確保などを検討する必要があるといった御意見をいただきました。これらについて,今後取り組んでいくことも基本構想(案)に盛り込み,再度,県民の皆様から御意見をいただき,県議会から御了承をいただいた上で,基本構想を策定したところです。
スポーツ・コンベンションセンターについては,スポーツ振興の拠点機能に加え,コンサートやイベントなど,多目的利用による交流拠点機能を備えた施設として整備することとしており,これまで県民の皆様に提供できなかった一流のスポーツイベントやコンサート等に触れる機会を創出することとしております。
また,同センターの基本構想において,ドルフィンポート跡地の北側は,フリーマーケットや,キッチンカーにも対応できるイベントなどで使用できる多目的スペースとして活用することとしています。
このほか,ドルフィンポート跡地の立地を活かし,県民や観光客が気軽に立ち寄れるよう錦江湾や桜島を一望できる展望テラス,カフェ,足湯など癒やしの空間や,ウォーターフロントパークと一体となった憩いの場の創出などを検討することとしております。
県としては,スポーツ・コンベンションセンターが屋内競技の中核をなし,子供や青少年だけでなく,高齢者も,あらゆる世代の,また,障害者や県内各地の県民がスポーツに親しむとともに,アスリートにとって,ここから全国・世界に羽ばたいていくシンボル的な施設として,またこれに加えて,コンサート,イベント等を通じて,県内外からの来訪者でにぎわい,感動を与える施設として,長年にわたり県民に親しまれ,誇れるものとなるよう整備に向けた取組を着実に進めてまいりたいと考えております。
なお,鹿児島港本港区エリア一帯の利活用については,同エリアに関連する行政や経済団体の代表者や,まちづくりや都市計画等の専門的な知見を有する方々を構成員とする「鹿児島港本港区エリアの利活用に係る検討委員会」において,スポーツ・コンベンションセンターの基本構想や港湾としての機能を踏まえつつ,県全体に経済効果を波及させていくという視点を念頭に置いて,同エリアを巡る様々な御意見もお聞きしながら,グランドデザインの開発コンセプトに基づき検討していただいているところです。
今後,県としては,同委員会における検討状況を踏まえ,県民の皆様の御意見などもお聞きしながら,令和5年度末を目途に,同エリアの利活用の全体像の策定に向けた取組を進めてまいりたいと考えております。
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