講演概要
最近、欧州共同体の大きな加速器 (LHC)が稼動しはじめ、重要な発見がつづいています。 その一つは、昨年のヒッグス粒子の発見です。ヒッグス粒子は理論的な考察からながらく予想されてきたものですが、この発見により、素粒子の標準模型が正しいことが最終的に確認されました。もう一つの大きな結果は、超対称性が低いエネルギーには存在しないことが検証されたことです。超対称性も、理論的な考察から、可能性が議論されてきたものですが、こちらのほうは実験により否定されたわけです。すなわち、標準模型は正しいが、それ以上の余計なものは考えないほうがいいということです。これはいいかえると、標準模型が重力の量子論と直接つながっている可能性があり、もしそうだとすると、現段階の知識をもとにすこし頑張れば、すべての力を統一的に理解できるかもしれないということです。講演では、ヒッグス粒子の発見と、そこからえられる今後の素粒子論の展望についてお話します。