早稲香る金売り吉次屋敷跡
神蔵器
風土
199811
みちのくの早稲の花掛け曇りかな
神蔵器
風土
199811
早稲の穂に黄金の色のひそみをり
三村禮子
酸漿
199910
早稲の穂は垂るる葉先は天を向く
宮永順子
俳句通信
199910
早稻の香のそこまで蹤いて來て別る
中原道夫
銀化
199910
信濃路の早稲の穂重し越後ぶり
中里カヨ
酸漿
199910
島晴や早稲づつしりと穂を垂れて
朝妻力
俳句通信
199910
一番に早稲掛け篤農にはあらず
丸山海道
海道全句集
199910
早稲だけは終った電話国詑り
松沢久子
いろり
199911
穂孕みの始む早稲の穂尾花沢
石丸弥平
春耕
199911
早稲匂ふ嶺をはなるる白き雲
穴澤光江
遠嶺
199911
早稲の香やカバンの底に子規句集
成定紋子
船団
199912
早稲の香や鯖街道を行くほどに
山田夏子
雨月
199912
早稲穂垂る熟れの田風の陽のしづか
丸山冬鳳
京鹿子
199912
早稲刈るや筑波片裾切れぎれに
木山白洋
馬醉木
199912
ひと巡りできる塚山早稲実る
野口光江
遠嶺
199912
早稲の田に蛻の顔を立ちつくす
西田孝
槐
199912
早稲の香や直ぐなる道が湖へ
武井清子
沖
199912
我もまた案山子一族早稲そよぐ
塩見恵介
虹の種
200005
稲妻よ上総下総早稲どころ
林翔
沖
200010
早稲のいろ早稲の香ここが美濃の国
鷹羽狩行
狩
200011
早稲の香や白川郷の風の音
石鍋みさ代
春耕
200011
極早稲のすでに刈られて島昏るる
岩尾みち子
京鹿子
200011
こともあらうに早稲の香に噎せてをり
竹内悦子
槐
200012
勝手口ひらけば早稲の風にほふ
神山ゆき子
狩
200101
早稲にまだ青味のはしる肥後の国
能村登四郎
沖
200108
早稲の香や高き稲架組む越の国
富田房子
春耕
200110
武川郷早稲分けつの深みどり
関正夫
酸漿
200110
車田といふ早稲の田の稔りかな
大橋克巳
俳句通信
200111
早稲の香の充ちたる朝の道選ぶ
小澤克己
遠嶺
200111
日照雨来て生まるる風や早稲匂ふ
穴澤光江
遠嶺
200111
雨上がる富士の間近さ早稲穂波
高橋とも子
百鳥
200111
早稲の香や石で畦組む志賀郡
原茂美
雲の峰
200112
早稲の香に郷愁覚ゆ野路をゆく
中井久子
雨月
200112
朱の箸を添へ田の神へ早稲の飯
平山節子
春耕
200112
山峡にも早稲と晩稲や豊の秋
芦澤一醒
濱
200112
早稲の香に噎せて乃ち田園派
後藤比奈夫
ホトトギス
200201
早稲刈つて上総に背鰭ほどの山
斎藤棹歌
沖
200201
早稲の穂のきらめき奥の道誘ふ
渡邉友七
あを
200209
夕星の出て早稲酒の座が充てり
小澤克己
遠嶺
200209
まつすぐに農免道路早稲香る
大川陽子
雲の峰
200210
道三も信長も馳せる早稲の道
西田もとつぐ
雲の峰
200211
磐梯山に雲いきいきと早稲の花
加瀬美代子
朝
200211
ほんのりと早稲田色づく越後かな
東芳子
酸漿
200211
山深くふくらむ早稲の棚田かな
青山丈
朝
200212
宝前に利鎌と匂ふ早稲の束
山岸治子
馬醉木
200212
早稲の香や眠りたき血と昂る血
武井清子
銀化
200301
「こぼすな」と爺の躾か早稲の飯
武司琴子
ぐろっけ
200301
早稲の香や姉になる子のおさげ髪
原島ふじ子
遠嶺
200302
潮の香の闇うすうすと早稲の花
渡邊千枝子
馬醉木
200310
早稲の穂に防鳥テープ煌めけり
井関祥子
酸漿
200310
早稲刈るや棚田に一人の音を生み
松本幹雄
馬醉木
200310
衣川早稲の花掛け曇りかな
神蔵器
風土
200310
早稲の香をおしひろげ行く羽越線
長谷川??子
馬醉木
200312
早稲酒のほろり竹山聴きながら
荒川清司
遠嶺
200402
夕されば早稲田刈りあと匂ふ村
淵脇護
河鹿
200410
刈り時の早稲田へ猪の通ひ来る
谷榮子
雨月
200410
早稲の香や路肩あやしき棚田道
後藤眞由美
春燈
200411
眩しさは早稲の実りの印南かな
射場智也
六花
200411
夫とゆく早稲の花咲く畷道
吉田康子
火星
200411
竹生島玲瓏として早稲刈る日
駒井でる太
苑
200412
てらてらと安房の潮照り早稲を刈る
北川英子
沖
200412
早稲の香や綛糸の張り指弾く
藤田佑美子
空
200412
早稲の香の零れむばかりの混ご飯
増田祐三
帆船
200412
早稲の香や崩れしままの流人塚
竹中昭子
百鳥
200412
早稲穂立ち棚田千枚風もなし
長谷川史郊
馬醉木
200510
早稲の田の田の色迫る車窓かな
阿部ひろし
酸漿
200510
一夜明け早稲の番の沈む軒庇
渡邉友七
あを
200510
早稲の香や子供歌舞伎の楽屋口
中條ひびき
百鳥
200511
早稲の香の大地を蹴つて獅子踊
山下良江
万象
200511
背を焦がす日輪熱き早稲を刈る
服部菰舟
雨月
200511
早稲刈つて左右に蒼海ありにけり
小野恵美子
馬酔木
200511
早稲の香や夕日へとどく肩ぐるま
中島あきら
沖
200512
早稲終へしでる太微醺の今宵かな
駒井でる太
苑
200512
早稲刈つて兄饒舌になりにけり
足立のり子
栴檀
200602
山峽をながるる霧に早稻匂ふ
瀧春一
常念
200606
早稲の香にあんぱんバナナ持ち寄れる
山尾玉藻
火星
200609
早稲の香や聖とめたる長がもと
与謝蕪村
ぐろっけ
200610
早稲の花子探しの報有線に
折橋綾子
鴫
200610
早稲の香の満つる見所を人去りぬ
小澤克己
遠嶺
200611
早稲の香の真んまん中の姑の墓
堀田清江
雨月
200611
まつ先に早稲が火を噴くお松明
浅田光代
風土
200611
安曇野の風のわたれる早稲田あり
竹内志げ子
酸漿
200611
早稲刈つて虫喰ひめける盆地の田
沼沢破風
濱
200612
早稲の穂を揺らし外車の駆け抜ける
三浦ひろみ
ぐろっけ
200612
輝やける棚田の早稲を刈る木曽路
松原智津子
万象
200612
行く雲に故山の匂ひ早稲穂波
小宮山勇
遠嶺
200612
つれだちて行けば難波田の早稻の秋
瀧春一
萱
200706
蓮田に花の見ゆれど早稻の秋
瀧春一
萱
200706
そちこちにかゞやく沼や早稻の月
瀧春一
萱
200706
看板はバイオ大学早稲の穂田
品川鈴子
ぐろっけ
200709
旅先はすでに早稲刈るひとところ
稲畑汀子
ホトトギス
200709
早稲かをるわが青春の大糸線
中沢三省
風土
200711
刈取機待たせて四隅早稲を刈る
菊地英雄
酸漿
200711
早稲の香や老犬の綱ゆるやかに
服部早苗
空
200801
早稲刈りし母校は遠き波の音
中村阪子
万象
200806
頑張りの果てのいづくや早稲の花
山崎ゆき子
炎環
200810
月曜の手や早稲の香の残りゐる
徳丸峻二
風土
200811
早稲穂波北国越後なつかしき
斉藤小夜
風土
200811
早稲刈つて真砂女の海を近うせり
安立公彦
春燈
200811
千代鶴は多摩吟醸や早稲の花
関まさを
酸漿
200811
穂孕みの早稲あをあをと尖りをり
柿沼盟子
風土
200811
遠くより風の見えくる早稲の花
大場ましら
鴫
200811
早稲は穂に芝居の村の夏終る
服部菰舟
雨月
200812
老いてなほ未完の塔や早稲の秋
小林和子
風土
200812
田鶴迎ふ八代は早稲を刈り急ぎ
神田一瓢
雨月
200812
コンバインに傘寿つつしみ早稲を刈る
駒井でる太
苑
200812
早稲の香の真つ只中を来し子かな
涼野海音
火星
200902
早稲刈つて空の青さよ敗戦忌
安立公彦
春燈
200910
早稲も刈る三味線も合奏高校生
藤野寿子
あを
200911
早稲の香や左追分右沓掛
神蔵器
風土
200911
早稲の香や野口雨情の仮の宿
竹内弘子
あを柳
200911
阿波海道いたる所に早稲すだち
伊賀則夫
笹
200911
丹波路やすでに刈られし早稲田らし
廣瀬義一
雨月
200912
早稲稔る不矩の好みし色にかな
大村峰子
万象
200912
早稲晩稲東に西に美濃路かな
林かよ
笹
200912
早稲の香や村に秘蔵の観世音
尾崎みつ子
雨月
200912
早稲の香や近づいて来し諏訪太鼓
鈴木隆子
笹
200912
早稲の香の沁む公園に句碑建立
中山皓雪
鴫
200912
細流と早稲の香りと遠き嶺々
小山徳夫
遠嶺
200912
一枚の早稲田に遠く讃岐富士
小原登志春
雨月
200912
千の田へちらばり早稲を刈り始む
田村愛子
万象
201001
山間の早稲の花咲く杜氏の里
塩見英子
雨月
201011
早稲の香や雲を吐きゐる月の山
山田春生
万象
201012
早稲刈るや老の指図にしたがひつ
青木陽子
酸漿
201101
早稲の香や農道に立つ道しるべ
瀬島洒望
やぶれ傘
201101
父ははの忌のくる早稲を刈り急ぐ
下平しづ子
雨月
201101
早稲の香や蛇笏の連山むらさきに
淺場英彦
万象
201101
迎火焚く門田の早稲穂匂ふなか
上辻蒼人
風土
201111
早稲の香の只中にある祠かな
西村節子
火星
201111
風神を祀る集落早稲の香に
塩見英子
雨月
201112
おかはりにひと口残す早稲の飯
苑実耶
空
201112
早稲刈られ阿夫利嶺の空深まりぬ
小川玉泉
末黒野
201211
千枚田模様なしたる早稲晩稲
岡井マスミ
末黒野
201211
侘しらの能褒野みささぎ早稲稔る
尾崎みつ子
雨月
201211
さざ波の運びし早稲の匂ひかな
竹中一花
槐
201211
早稲は穂に天空は雲片寄せて
大竹淑子
風土
201211
早稲の穂の三日見ぬ間に刈り取られ
古林田鶴子
ぐろっけ
201212
極早稲刈る会話にならぬ老の耳
福田かよ子
ぐろっけ
201212
早稲の田や駅弁膝に気まま旅
石川かおり
璦
201310
旅あはれ早稲の案山子に向ひあふ
丸山佳子
京鹿子
201310
単線や風にあかるき早稲の花
豊田高子
万象
201311
早稲の香や足取り軽き鼓笛隊
林紀夫
春燈
201311
早稲の香につつまれ灯る閻魔堂
西村節子
火星
201311
雲を吐く片富士の裾早稲は穂に
石崎浄
風土
201311
早稲の香や幽鬼の奈落のがれ出て
瀧春一
花石榴
201312
みちのくの天眩しめる早稲の波
今田清三
馬醉木
201312
モザイクのごとき早稲の田晩穂の田
久世孝雄
やぶれ傘
201312
早稲の香や十戸に村のたたずまひ
佐藤淑子
雨月
201401
見はるかす早稲の穂波に風やさし
伊藤憲子
璦
201411
早稲の香の風満面にペダル踏む
青野安佐子
峰
201411
早稲の香のふる里近し峠越え
伊東和子
璦
201412
西の墓東に早稲の香りかな
竹内悦子
槐
201412
早稲熟れて一反の田に重さうな
渡邊孝彦
やぶれ傘
201412
早稲の香や堤防高き輪中村
水野節子
雨月
201412
早稲を刈る音軽やかにコンバイン
田中富有能
風土
201412
鳶の輪や隣りあはせに早稲晩稲
広渡敬雄
沖
201501
水郷や早稲の穂に風ゆき渡る
高田令子
鴫
201510
灘の風波打つ早稲を刈りにけり
一民江
馬醉木
201511
盆過ぎの早稲刈られけり街境
田中臥石
末黒野
201511
早稲の香や光芒の束雲間より
田村園子
鴫
201511
早稲は黄に舟舫ひある輪中村
宇都宮敦子
鴫
201511
家ごとに蔵のある村早稲の秋
西住三惠子
空
201511
早稲の香や足形遺る登呂遺跡
井上石動
あを
201511
早稲実る佐屋海道のつづく里
室伏みどり
雨月
201511
故郷に近づくほどに早稲実る
佐藤貞子
雨月
201511
八万石のパッチワークや早稲晩稲
菅谷たけし
沖
201511
積まれたる早稲の袋や雲走る
中谷富子
槐
201512
早稲刈るや筑波紫峰を前に背に
茂木弘子
万象
201512
早稲田有り塔あり子規忌来りけり
上辻蒼人
風土
201512
畦みちに薄日をこぼし早稲熟るる
武生喜玖乃
雨月
201512
早稲穂出づ花掛水を早よ引かな
上辻蒼人
風土
201611
早稲の香を突つ切つてゆく上総かな
原田達夫
鴫
201611
早稲の出来ほめ合つてゐるゴム草履
柴田志津子
空
201611
早稲の穂が出て午後の日はやはらかく
大島英昭
やぶれ傘
201611
早稲の香の弥生遺跡にとどきけり
森清堯
末黒野
201611
三回忌義兄の墓に早稲香る
大村かし子
万象
201612
早稲の香や列車の窓の灯一列
松本正生
やぶれ傘
201612
早稲熟れて志賀の湖風芳しき
森脇貞子
雨月
201701
三輪の里今早稲の香の只中に
江木紀子
雨月
201701
早稲の香や二つ返事の保証印
中川句寿夫
ここのもん
201705
そわそわと箸を揃える早稲の飯
平川陽三
船団
201707
葛飾に守り続けし早稲田かな
山本無蓋
鴫
201710
早稲の香を纏ひつ急ぐ一人旅
山本無蓋
鴫
201710
早稲咲くと鼻がむずむずしてきたる
南うみを
風土
201710
巨花のごと羽開く鷺早稲の波
宇都宮敦子
鴫
201711
早稲の香の小学校を丸のみに
中村風信子
馬醉木
201711
早稲の香や大きく曲る信濃川
布施政子
馬醉木
201712
早稲の香を運べる峡の棚田かな
安斎久英
末黒野
201802
漱石山房訪ぬる早稲田小春かな
落合絹代
雨月
201802
早稲の香や肺の中まで日本人
田中とし江
空
201801
早稲の香を運べる峡の棚田かな
安斎久英
末黒野
201802
一雨来て早稲の走り穂こぞりけり
大畑善昭
沖
201810
早稲穂出で花掛水を急かしけり
上辻蒼人
風土
201811
藍色に迫る赤石嶺早稲実る
間宮あや子
馬醉木
201811
早稲の香の棚田を下る風のあり
藤生不二男
六花
201812
広ごれる早稲の黄金に染まりけり
滋野暁
末黒野
201904
地玉子の黄身こんもりと早稲の飯
窪田粧子
馬醉木
201911
石垣に城の史を見る早稲の風
荒井千佐代
空
201912
早稲の穂を風わたりゆく黙示録
中原幸子
船団
201912
2022年10月6日
作成