悌の又新しく梅に佇つ
稲畑廣太郎
ホトトギス
201601
咲きそむる梅映ゆるらむ朝ぼらけ
遠野あきこ
船団
201512
暁の香に満ちてあり白き梅
遠野あきこ
船団
201512
ぽつぽつと夜半に語らう梅白し
遠野あきこ
船団
201512
曇天の日こそ明るき梅一枝
遠野あきこ
船団
201512
緑苔の梅花つま弾く風のあと
遠野あきこ
船団
201512
白き梅すがれて暗し雨の庭
遠野あきこ
船団
201512
梅三分表具師糊を練りはじむ
岸本順子
京鹿子
201601
秘めごとは懐紙にはさみ梅ふふむ
池永加代
京鹿子
201601
母にやや馴れし雀や梅もどき
柴田佐知子
空
201601
梅ひらく米の祝の母たたへ
?コ田千鶴子
馬醉木
201602
曇天に近づくほどに梅白し
稲畑廣太郎
ホトトギス
201602
楢桂欅従へ梅白し
稲畑廣太郎
ホトトギス
201602
賀の余韻てふ梅が香でありにけり
稲畑廣太郎
ホトトギス
201602
梅が香に江戸の風情を引き寄せて
稲畑廣太郎
ホトトギス
201602
盆梅の気品遺して逝かれけり
稲畑廣太郎
ホトトギス
201602
紅白の遅速を問ふも梅二月
稲畑汀子
ホトトギス
201602
梅咲きて忽ち添へる香りかな
稲畑汀子
ホトトギス
201602
梅咲けば梅に従ふ旅心
稲畑汀子
ホトトギス
201602
冷泉家一千年なり梅ふふむ
橋添やよひ
風土
201602
鳥を呼ぶ色となりけり梅もどき
笠井敦子
鴫
201602
気張らずに行けばなんだ坂梅三分
平野みち代
鴫
201602
言葉では足りぬ思ひや梅の白
?コ田千鶴子
馬醉木
201603
競ふことなく紅白の梅並ぶ
稲畑廣太郎
ホトトギス
201603
梅咲いてやうやく江戸の風情かな
稲畑廣太郎
ホトトギス
201603
梅一樹より二歩三歩五歩六歩
稲畑汀子
ホトトギス
201603
紅白の中に野梅も加はりて
稲畑汀子
ホトトギス
201603
梅の枝の伸び放題に年忘れ
戸栗末廣
空
201603
寺町や卍の風に梅ひらく
鈴鹿呂仁
京鹿子
201603
早梅の希有なる風にふたごころ
鈴鹿呂仁
京鹿子
201603
海遠く山に遠くて梅一輪
井上信子
鴫
201603
老梅の夜毎に重くなるくれなゐ
井上信子
鴫
201603
まつすぐの歩み梅林にふと消えし
井上信子
鴫
201603
石切場そばの早梅咲きにけり
大崎紀夫
やぶれ傘
201603
梅の花咲いて巡回診療所
田邉好美
瓔
201603
梅咲くや夫と歩みし年重ね
斉藤裕子
あを
201603
梅挿しで気高き主の心かな
王岩
あを
201603
病むことも生きる証しや梅真白
荒井書子
馬醉木
201604
梅探る鎖づたひの行者みち
穐好樹菟男
馬醉木
201604
くにさきや仏に侍る梅早し
穐好樹菟男
馬醉木
201604
梅薫る父祖の畑の荒るるまま
石田厚子
馬醉木
201604
山里の梅の香に酔ふ三ヶの月
石田厚子
馬醉木
201604
たもとほる香り十里の梅林
窪田粧子
馬醉木
201604
今し恋ふ母の言の葉梅三分
田中珠生
馬醉木
201604
梅咲いて回覧板のまはる町
安居正浩
沖
201604
臨済宗円覚寺派の梅の花
安居正浩
沖
201604
まだ固き風に蕊張る梅の花
田所節子
沖
201604
梅一輪ビルの反射の日が届く
上谷昌憲
沖
201604
盆梅に押し合ふ力ありにけり
竹内タカミ
沖
201604
再会はかなはぬ夢や梅真白
都丸美陽子
春燈
201604
莟なる闇ときほどき梅ひらく
藤丸誠旨
春燈
201604
老いさびに梅一輪の恵みかな
赤岡茂子
春燈
201604
梅咲くや祈願の絵馬の輝きぬ
丸山允男
春燈
201604
ワイングラスに君ゐぬ不思議梅月夜
鈴鹿呂仁
京鹿子
201604
胞衣塚の宙かたくなに梅ひらく
鈴鹿呂仁
京鹿子
201604
梅真白見知らぬ人とゐて楽し
黒澤登美枝
峰
201604
やうやくに我が家の庭の梅一輪
鈴木阿久
峰
201604
梅の香に誘はれ坂をシルバーカー
松本秀子
峰
201604
たそがれの路地にふつくら豊後梅
鈴木セツ
峰
201604
梅が枝に妻と手をおく神の庭
四條進
峰
201604
ひんがしの枝より咲きぬ加賀の梅
堺昌子
末黒野
201604
参道の梅一輪の淑気かな
前原マチ
末黒野
201604
梅真白島に源氏の旗印
岡野里子
末黒野
201604
藤村の墓や老梅飛竜めき
岡野里子
末黒野
201604
ふれて見る樹齢いくばく梅の下
佐藤良二
末黒野
201604
和三盆梅一輪と掛軸と
竹内悦子
槐
201604
とび梅や絵馬の数だけ夢のあり
大日向幸江
あを
201604
治療の道自分で決める梅の花
斉藤裕子
あを
201604
心地よきこの二三日梅ひらく
長崎桂子
あを
201604
叔母白寿渡してくれし梅の花
大日向幸江
あを
201604
言の葉や尽せば通ず梅の花
斉藤裕子
あを
201604
猫呼んでさがす闇夜は梅の香に
秋川泉
あを
201604
豊満な湖北の風よ梅の花
山田六甲
六花
201604
夕暮れの湖をあかりに梅の花
山田六甲
六花
201604
五分咲きの梅に蕾の五分はあり
山田六甲
六花
201604
梅ふふむ文学館に入館証
林いづみ
風土
201604
絵馬多き湯島天神梅の花
雲所誠子
風土
201604
庭の梅探れば姉の視線ふと
大橋晄
雨月
201604
梅咲きて日に日に庭を明るうす
大橋晄
雨月
201604
磴高き荒磯の宮の梅探る
播磨武子
雨月
201604
時にはこれで終りと思ふ梅咲くも
中江月鈴子
鴫
201604
梅一輪いちりんの紅濃ゆきまま
田部井幸枝
鴫
201604
三千里隔てし母ゆ梅だより
市ヶ谷洋子
馬醉木
201605
庫裏に古る火伏札かな梅遅速
石田阿畏子
馬醉木
201605
紅白の梅咲きそろひ昼ふかし
小野喬樹
馬醉木
201605
梅園をめぐり豊かに心満つ
小野喬樹
馬醉木
201605
島うらに比良展けをり梅日和
服部鹿頭矢
馬醉木
201605
梅が香や身に添ふ杖の小ぶりなる
石川倜子
馬醉木
201605
咲く梅の雪にまぎれぬ白さかな
清水美恵
馬醉木
201605
沈黙を守るは難し梅ふふむ
佐藤澄世
馬醉木
201605
渡殿に鯉の集まる梅二月
小林昌子
馬醉木
201605
梅園に演歌流れてゐたりけり
安居正浩
沖
201605
水音の囁くやうに梅の花
中島あきら
沖
201605
妹は妹のまま梅白し
小嶋洋子
沖
201605
ハミングを誘ふハモニカ梅日和
高村令子
風土
201605
梅白し湯立神事の湯の袖に
小林共代
風土
201605
あおぞらの底に郡衙や梅開く
間島あきら
風土
201605
青空にせせらぎ描く枝垂梅
間島あきら
風土
201605
梅日和半歩踏み出す伎芸芙
吉永すみれ
風土
201605
人は老い終の栖の梅若し
松崎雨休
風土
201605
梅の香の闇うるませて漂へり
飛高隆夫
万象
201605
お隣の梅のかをりは家のもの
宮西修一
万象
201605
逆光に塔を仰ぎて梅の昼
松本鷹根
京鹿子
201605
梅月夜源氏の君へ香薫かむ
塩貝朱千
京鹿子
201605
うす紙のやうな日差や梅ふふむ
北川孝子
京鹿子
201605
古書店に古書の匂ひや梅ふふむ
北川孝子
京鹿子
201605
梅白し考の日記の素顔かな
松山潤子
京鹿子
201605
日溜りを独り占めする梅蕾
岡山敦子
京鹿子
201605
鉄幹に晶子のやうな梅咲けり
松尾龍之介
空
201605
梅林や稲荷鳥居の奥まりて
井浦美佐子
空
201605
なりたしや変種のやうなみどり梅
加藤峰子
鴫
201605
半襟の負けず嫌ひや枝垂梅
石田きよし
鴫
201605
老梅の蔭にて開く恋みくじ
成田美代
鴫
201605
外つ国の言葉も交じり梅談義
成田美代
鴫
201605
碧落や主なき家に梅香る
中山結雪
鴫
201605
父祖の霊移して異郷梅真白
荒木甫
鴫
201605
風に心思ひ切り乗せ梅の里
松本三千夫
末黒野
201605
梅ひかる基地の海より風届き
松本三千夫
末黒野
201605
花持たぬ一枝もあらず梅匂ふ
松本三千夫
末黒野
201605
梅咲くや落ち合ふ川のとどろきに
黒滝志麻子
末黒野
201605
公園の人なき茶店梅真白
黒滝志麻子
末黒野
201605
梅が香や暮るる古刹の鐘の音
安斎久英
末黒野
201605
修善寺の山すつぽりと梅日和
西川みほ
末黒野
201605
小流れの光りて茶屋の梅三分
吉田きみえ
末黒野
201605
夫遣す無骨な壺に庭の梅
久保田優子
末黒野
201605
繰り返す子の入退院梅真白
久保田優子
末黒野
201605
野点傘観梅客も相伴す
加瀬伸子
末黒野
201605
観梅や野点の人の帯の梅
長尾良子
末黒野
201605
九十九里浜風受けて梅香る
長尾良子
末黒野
201605
房総の潮騒届く梅花園
長尾良子
末黒野
201605
梅ひらく子等の声する陣屋跡
上野静子
末黒野
201605
合掌に竜の目ひかる梅二月
上野静子
末黒野
201605
梅一輪荼毘のけむりを仰ぐかに
安立公彦
春燈
201605
友ありけふ天界に去る梅二月
安立公彦
春燈
201605
日の差して軒端の梅の香なりけり
佐藤信子
春燈
201605
鰐口の紐のしめりや梅二月
浅木ノヱ
春燈
201605
疎遠なる隣同士や梅二月
豊谷ゆき江
春燈
201605
切通そよ吹く梅の風に逢ふ
齋藤晴夫
春燈
201605
梅の香に心遊ばす一日かな
大湊栄子
春燈
201605
梅の香にしばし安らぎ人を待つ
大湊栄子
春燈
201605
鉾蔵は閉ざされてあり梅三分
竹内悦子
槐
201605
温(ゆ)泉煙りの梅をはなれず夜となりぬ
久保東海司
槐
201605
しだれ梅ベンチでゲラの校正を
丑久保勲
やぶれ傘
201605
店頭の馬穴に梅の切花が
渡邉孝彦
やぶれ傘
201605
壺の梅咲き切る命の限りまで
杉山瑞恵
雨月
201605
蕊の先まで気の満ちて梅さかり
杉山瑞恵
雨月
201605
道真公満悦ならめ梅紅白
杉山瑞恵
雨月
201605
言の葉のやさしくなりぬ梅を観て
阪上多恵子
雨月
201605
梅ふふむ城下の家並寂として
宮平静子
雨月
201605
梅が香に身の凛として園めぐる
辻田玲子
雨月
201605
梅の里香り千里と競ひ咲く
村上悦子
雨月
201605
迂回して帰りは梅の咲く小路
宮本俊子
雨月
201605
廃業の老舗の名残垂れ梅
宮本俊子
雨月
201605
禅林の由緒の梅の馥郁と
佐藤貞子
雨月
201605
空洞の幹百年の梅真白
佐藤貞子
雨月
201605
棒切れのごと挿されゐて梅一輪
嶋崎豊子
雨月
201605
夫逝きて慟哭止まぬ梅月夜
祐宗千代子
雨月
201605
天麩羅を揚げるにもコツ梅三分
中島陽華
槐
201606
二本の相交差して梅の花
中堀倫子
槐
201606
観梅や順路は風の通り道
七種年男
沖
201606
老梅の皮一枚の力かな
宮井知英
空
201606
異国語も混じる二の丸梅盛り
矢野百合子
空
201606
青き鳥入れて散り初む梅の花
西住三恵子
空
201606
名園の袖より入りぬしだれ梅
山崎靖子
鴫
201606
放心や玻璃戸に写る梅吹雪
笠井敦子
鴫
201606
梅真白午後より風の出て来たる
青山正生
鴫
201606
梅の香やひかりまみれの赤ん坊
平野みち代
鴫
201606
竹垣の男結びや梅真白
土江比露
春燈
201606
盆梅と余生を生きし父なるや
向井芳子
春燈
201606
盆梅の遅速に湖の風姿あり
藤岡紫水
京鹿子
201606
追憶の水より淡き梅二月
北川孝子
京鹿子
201606
梅寒し風が黙つてすれ違ふ
北川孝子
京鹿子
201606
刃の痛みかかへて梅の花ひらく
直江裕子
京鹿子
201606
一音も洩らさぬホール梅固し
高木晶子
京鹿子
201606
梅林や声を出さねばおぼれさう
井上菜摘子
京鹿子
201606
梅の香やひらめき記す備忘録
伊吹之博
京鹿子
201606
梅の香を辿れば格子戸女の名
神田惣介
京鹿子
201606
石鳥居潜れば仄かに梅香る
神田惣介
京鹿子
201606
梅咲くやひとりの為の停留所
高野春子
京鹿子
201606
五六輪つけて老梅洞深し
岡山敦子
京鹿子
201606
足湯する梅の香りに解けだせり
岡山敦子
京鹿子
201606
急く日々の四肢を緩める梅の旅
岡山敦子
京鹿子
201606
訃のメール窓辺に梅の影揺らぐ
岡山敦子
京鹿子
201606
ポスト迄のつもり歩きや梅の花
野中圭子
京鹿子
201606
開運の梅とありたり手を合はす
志方章子
六花
201606
紙白の雲さながらに梅の園
志方章子
六花
201606
掛軸の和敬清寂梅匂ふ
志方章子
六花
201606
青空をこそ入れねばと梅の花
廣畑育子
六花
201606
梅の花こんなところに一里塚
有賀昌子
やぶれ傘
201606
早咲きの梅の便りの来たりけり
萩原久代
やぶれ傘
201606
千波湖に黒鳥の居て梅盛り
橋本美代
やぶれ傘
201606
トンネルを抜けてなぞへの梅畑
小川玉泉
末黒野
201606
万灯の形に吹かれてしだれ梅
安斎久英
末黒野
201606
梅の香や河を遡行の潮頭
田中臥石
末黒野
201606
秀を競ふ細枝の梅の万朶かな
森清堯
末黒野
201606
はにかめる童女の項梅真白
森清堯
末黒野
201606
老梅の楚そと曇天かがやかす
吉田きみえ
末黒野
201606
七輪のまだ使はれて梅の園
岡田史女
末黒野
201606
橋ひとつ渡りぬ庵の梅三分
岡野里子
末黒野
201606
梅が香のなぞへの畑や遠き富士
原和三
末黒野
201606
2021年2月8日
作成