愛の巣が丸燒け盆梅殘りたる
中原道夫
銀化
199812
盆梅の尺に鬱勃たる蕾
内山芳子
雨月
199905
盆梅や文机せまき母の部屋
清水延世
春耕
199905
鉢浅き盆梅の根の声聞ゆ
鈴木浩子
ぐろっけ
199906
盆梅や明神下の蕎麦処
小石秀子
酸漿
200003
魚屋のまづ盆梅に水やりぬ
西畑敦子
火星
200005
盆梅の痼り幾世に佇立せり
水島夜雨
京鹿子
200005
天井が決む盆梅の背の高さ
丁野弘
狩
200103
盆梅を飾りて菓子の老舗かな
越智秀子
俳句通信
200104
盆梅の鉢の形に苔の青
ほりもとちか
円虹
200205
盆梅の幹のくさびら乾びをり
北嶋美都里
槐
200205
盆梅や道頓堀川濁りゐる
元田千重
火星
200205
盆梅に声かけ父の忌を修す
鈴木恭子
沖
200205
洛中図掛けあり盆梅展示中
小林あつ子
火星
200207
盆梅の花を終へしは地に下ろす
稲畑汀子
ホトトギス
200302
色明かしゆく盆梅の紅白に
稲畑汀子
ホトトギス
200302
長浜はさぞ盆梅の盛りなる
山田六甲
六花
200303
盆梅に来て止まりけり瑠璃鶲
城戸愛子
酸漿
200304
盆梅の枝のくねりは年を経て
塩川雄三
築港
200304
歳月が生みし風格盆梅展
岩永草渓
築港
200304
琴の音の流れつづける盆梅展
飯田はるみ
築港
200304
それぞれに雅号をもてる盆梅よ
辻田忠俊
築港
200304
空洞の盆梅咲いて今盛り
藤居長治
築港
200304
不老なる盆梅床に据ゑてあり
藤居長治
築港
200304
盆梅の四百年の命愛づ
谷口ふみ子
雨月
200304
盆梅の古木の洞を畏みぬ
谷口ふみ子
雨月
200304
盆梅や三百年の吐息秘め
竹内悦子
苑
200305
盆梅の天井低くしてをりぬ
宮本幸子
円虹
200305
盆梅や近江の山の輝きぬ
小田道知
円虹
200305
盆梅の天地抱へる腕かな
吉村玲子
円虹
200305
盆梅の白に気魂のありにけり
塩川雄三
築港
200305
盆梅の高さ制限されゐたり
塩川雄三
築港
200305
盆梅の樹齢百余の朽ちし幹
松浦静子
築港
200305
盆梅展喪章を付けし名札あり
庄司由里
築港
200305
盆梅の枝見えぬまで花密に
川口弘子
築港
200305
盆梅の花より幹に魅せられて
鈴木佐和子
築港
200305
盆梅や陽をためてゐる小座布団
鈴木政子
雲の峰
200305
盆梅の雪払ひける筆の先
木野本加寿江
火星
200305
盆梅の身よりも低くなだるさびしら
直江裕子
京鹿子
200305
盆梅に液晶画面かがやきぬ
森賀まり
百鳥
200306
盆梅の蕾も堅き駅ホーム
藤居長治
築港
200403
土を掴みし盆梅の太根かな
深澤鱶
火星
200404
盆梅の老樹もつとも匂ひけり
板倉幸子
築港
200404
盆梅の犇めいて庭匂ひけり
浦松静子
築港
200404
年輪を積みし盆梅生気満つ
井手房野
築港
200404
寒さ言ひ合ふ盆梅展の庭
戸栗末廣
火星
200405
盆梅の鴨居斜めに抜けにけり
深澤鱶
火星
200405
盆梅の開き切つたる五、六輪
金澤明子
火星
200405
盆梅におもしろをかし法話かな
木野本加寿江
火星
200405
盆梅の幹三百年の枯れなりし
堀義志郎
火星
200405
盆梅の皮一枚につながれる
加藤弘一
築港
200405
盆梅展寺領を貸して始めたる
木下栄子
築港
200405
盆梅展神杜も寺も訪ふはめに
木下栄子
築港
200405
盆梅の咲き紛れずに来る忌日
辻口静夫
ホトトギス
200407
盆梅に芽立ちの前の息ひそむ
河本美智雄
築港
200503
盆梅を仕立てる父の眼のきびし
千田久美子
築港
200504
盆梅を飾り客待つ加賀の宿
高木昌子
築港
200504
次の間に盆梅のあるけはひかな
深澤鱶
火星
200504
盆梅の四、五鉢ありてぬくもらず
深澤鱶
火星
200504
盆梅の胴より湖のひろごりぬ
深澤鱶
火星
200504
あとずさる風一尺の盆梅に
宇都宮滴水
京鹿子
200504
盆梅を沓脱石に置きにけり
景山まり子
百鳥
200505
霧吹きで花を誘ふ盆梅展
鈴木一明
築港
200505
盆梅の日を恋ふ心見えそめし
稲畑汀子
ホトトギス
200602
その中に庭に下ろせし盆梅も
稲畑汀子
ホトトギス
200602
盆梅に過ぎ易き日々ありにけり
稲畑汀子
ホトトギス
200602
盆梅の緑萼の白まだ蕾
稲畑汀子
ホトトギス
200602
盆梅を抱へ渡船を降りてくる
大串章
百鳥
200604
盆梅の咲けば変りし場所と向き
三反田輝夫
河鹿
200605
真盛りの盆梅置かれ戸口なる
竹腰千恵子
濱
200605
盆梅や十指に餘る鉢を捨て
伊藤希眸
京鹿子
200605
盆梅を一段高く置き替ふる
西村しげ子
雨月
200605
盆梅のふふみて書軸あらたむる
三由規童
雨月
200605
青き蕾つけし盆梅売られけり
蓮井崇男
対岸
200605
盆梅に手毬つく子に垂氷かな
瀧春一
常念
200606
馥郁の盆梅置かれ剣道部
北尾章郎
苑
200607
盆梅の丈に目を置き目を余す
宇都宮滴水
京鹿子
200702
ひと日臥す盆梅の香に愛されて
和田政子
峰
200704
盆梅の名札そこここ新しく
澤浦緑
ぐろっけ
200705
歳重ぬ大盆梅に膝行す
奈辺慶子
雨月
200705
書院の間に適ふ盆梅馨しき
奈辺慶子
雨月
200705
几帳おく盆梅展の雅ぶなり
奈辺慶子
雨月
200705
盆梅の苔に歳月とどまれり
深澤鱶
火星
200705
盆梅に屏風の天地ありにけり
丸山照子
火星
200705
盆梅をならべ家業の質家嗣ぐ
大西八洲雄
万象
200706
自づから声を慎み盆梅に
園多佳女
雨月
200706
盆梅の紅白火花散らしけり
梶浦玲良子
六花
200706
捨ておきし盆梅実梅の二つ三つ
鈴木愛子
ぐろっけ
200709
歳重ねし大盆梅に膝行す
奈辺慶子
雨月
200801
盆梅を焚きし古武士よ夕吹雪
太田實
ぐろっけ
200801
盆梅と言へど山水景をなす
久津見風牛
槐
200804
盆梅の香気にしばし佇みぬ
桂敦子
璦
200805
盆梅展しづかに混んで来たりけり
吉田康子
火星
200805
盆梅に琴流れけり長屋門
杉野原弘幸
璦
200806
盆梅や思へば父は死に上手
谷村幸子
槐
200806
盆梅の香たしかにありにけり
田宮勝代
酸漿
200806
盆梅展緋の毛艶の苞払ふ
小林成子
璦
200905
盆梅の待つて待つてと紅と白
泉田秋硯
苑
200905
盆梅をめぐる畳のふかふかす
蘭定かず子
火星
200905
へんくつな盆梅二百五十年
渡辺数子
火星
200905
盆梅の身丈に余る花盛り
岩藤礼子
やぶれ傘
200905
地におろしたる盆梅に混み合へる
千原叡子
ホトトギス
200907
旅にゐて風のかれをり盆梅展
長坂ヤス子
酸漿
201004
盆梅の百年の香や緋毛氈
中川すみ子
璦
201005
盆梅の案内待つ日々落着かず
山口キミコ
璦
201005
盆梅に日の廻り来る廊下かな
岩垣子鹿
ホトトギス
201007
織元の盆梅の白凛として
赤座典子
あを
201104
盆梅の香りなつかし湖の国の
吉井潤
ぐろっけ
201105
二つ三つ咲き盆梅の香るかな
廣瀬雅男
やぶれ傘
201105
姿よき盆梅色香充ちゐたり
青木陽子
酸漿
201105
咲分けて盆梅の名のほしいまま
菊地英雄
酸漿
201105
盆梅や蒼天に透く昼の月
久保東海司
槐
201106
この梅は盆梅麻沙子植ゑくれし
大橋敦子
雨月
201106
燈火に盆梅の精夜の能
改正節夫
ぐろっけ
201106
齢百・二百の盛り盆梅展
改正節夫
ぐろっけ
201106
盆梅を大地に下ろす日も近し
稻畑汀子
ホトトギス
201202
盆梅の枝ぶり褒めてゆきにけり
石脇みはる
槐
201202
同齢の盆梅吾れと生きくらべ
松本恒子
ぐろっけ
201203
盆梅を褒めて碁盤に向きにけり
浅井吉雄慈
夕端居
201203
盆梅の香りほのかや書道展
原 和三
末黒野句集
201203
盆梅を飾るや茶舗に焙炉の香
竹内悦子
璦
201204
いとほしや盆梅開く二つ花
松本桓子
ぐろっけ
201204
盆梅の地植ゑの白の花の大
大橋敦子
雨月
201204
盆梅の固きふくらみ紅きざす
市橋香
ぐろっけ
201205
盆梅や虚子に続きて父の書も
大橋晄
雨月
201205
盆梅展蔵の出口に投句箱
古井公代
ぐろっけ
201206
盆梅のよいしょと曲がる女かな
中原幸子
船団
201206
盆梅や抓みてはかる開花どき
松本文一郎
六花
201206
盆梅の粋な枝ぶり眺めゐて
小寺ふく子
六花
201206
紅白の盆梅姿正しけり
岡田史女
末黒野
201206
盆梅の根張りたしかに花一輪
阿久澤利男
やぶれ傘
201206
盆梅の館まるごと香炉かな
宮田香
故郷
201207
盆梅を地に下ろせしは麻沙子さん
大橋敦子
雨月
201304
地に下ろせし盆梅育ちゆきてあり
大橋敦子
雨月
201304
盆梅の背丈今しも三メートル
大橋敦子
雨月
201304
匠らの努力の証盆梅展
秦和子
璦
201305
盆梅の講釈縷縷と庵主さま
粟倉昌子
璦
201305
植ゑ替へを待つ盆梅の杖をつき
中川すみ子
璦
201305
城垣の濡れてをりたる盆梅展
坂口夫佐子
火星
201305
床の間の盆梅賞でて一日暮れ
安藤虎酔
かさね
201310
地に下ろす盆梅やがて一面に
稲畑汀子
ホトトギス
201402
犬褒めて盆梅褒めて立ち話
石川かおり
璦
201404
盆梅や盆梅課ある城下町
小澤菜美
璦
201405
盆梅展いろは匂へと淡海かな
野澤あき
火星
201406
不老てふ盆梅ことに香を放つ
池田光子
風土
201406
盆梅の老木にして艶めけり
塩路五郎
璦
201504
盆梅や朝日に凝りし紅の輝り
鈴木良戈
沖
201505
盆梅の腰のひねりの艶めかし
江島照美
槐
201505
百年を越す盆梅の大広間
大橋晄
雨月
201505
秀長の城址賑はふ盆梅展
村上悦子
雨月
201505
盆梅の力みなぎる枝ぶりに
水谷文謝子
雨月
201505
盆梅の樹齢を誇るものばかり
水谷文謝子
雨月
201505
盆梅の位置換へし夜の夢匂ふ
田村園子
鴫
201506
盆梅やつくだ小橋の舟溜
来海雅手
鴫
201506
盆梅の気品遺して逝かれけり
稲畑廣太郎
ホトトギス
201602
盆梅に押し合ふ力ありにけり
竹内タカミ
沖
201604
和三盆梅一輪と掛軸と
竹内悦子
槐
201604
盆梅と余生を生きし父なるや
向井芳子
春燈
201606
盆梅の遅速に湖の風姿あり
藤岡紫水
京鹿子
201606
盆梅の疎に咲き樹齢百年と
谷村祐治
雨月
201606
声明や盆梅の香のいや高し
中島陽華
槐
201607
盆梅の幹に二つの力瘤
戸栗末廣
空
201607
地に下ろしたる盆梅の咲き継げる
稲畑汀子
ホトトギス
201702
地に下ろす盆梅育ちゆく辺り
稲畑汀子
ホトトギス
201702
盆梅の前にホースがながながと
根橋宏次
やぶれ傘
201805
盆梅や羽音も景の一部分
稲畑廣太郎
ホトトギス
201811
玄関に盆梅の香の満つる宿
田中藤穂
あを
201904
盆梅のとじ込められし梅の精
藤田美耶子
槐
201905
盆梅を日差もろとも取り込めり
稲畑廣太郎
ホトトギス
202002
盆梅の幹くれなゐに暮れ初むる
稲畑廣太郎
ホトトギス
202002
盆梅の三百年を地に還す
稲畑廣太郎
ホトトギス
202002
切株の上の盆梅朝の日矢
和田慈子
末黒野
202005
蕾佳き盆梅買や市の空
尾崎千代一
末黒野
202005
盆梅の鉢に忘れし花鋏
平居澪子
六花
202005
盆梅の瘤にひそみし忍の文字
藤田美耶子
槐
202005
幹太き盆梅の向き変へにけり
太田チヱ子
末黒野
202107
盆梅の苔むす幹の孤高たる
相川健
鴻
202110
盆梅の枝垂れて咲くもありにけり
廣瀬雅男
やぶれ傘
202205
盆梅に夕日差しゐる喫茶店
秋山信行
やぶれ傘
202205
盆梅の幹の太さが語る秘話
本郷桂子
ホトトギス
202207