蜜 柑 1 99句
蜜柑を焼いて喰ふ小供と二人で居る 尾崎放哉
蜜柑 青蜜柑 花蜜柑
み佛に剥きたる蜜柑供へあり
皆川盤水
春耕
199201
七月のレール錆びゐる蜜柑山
直井たつろ
風土
199810
エンジンで動くものあり蜜柑山
堀義志郎
火星
199902
仲直りしてをり蜜柑剥いてをり
小澤克己
遠嶺
199902
海峡の風が染めたる蜜柑山
宇根綾子
遠嶺
199902
蜜柑山より索道が路地奥へ
池内けい吾
春耕
199902
夫に告ぐべきことならず蜜柑むく
萩原記代
朝
199902
蜜柑山へ列車の傾ぎ極まりぬ
杉浦典子
火星
199903
蜜柑山三日おくれの尉鶲
高木伸宜
船団
199903
浦里の山のくぼみの蜜柑畑
黒川悦子
円虹
199909
紀の国の蜜柑となりしてん手鞠
能村登四郎
芒種
199911
蜜柑剥き次の言葉を捜しをり
辻井桂子
俳句通信
200001
罪と云ふ罪でもあらじ蜜柑むく
大和田鏡子
俳句通信
200001
新しきふるさとの街は蜜柑色
尾上有紀子
わがまま
200002
わがままもしおらしいふり蜜柑むく
尾上有紀子
わがまま
200002
明るくて蜜柑の世界のみ昏れず
市場基巳
槐
200003
泣虫の鵯に蜜柑のよく熟れて
長坂ヤス子
酸漿
200003
蜜柑山降りて体のなほ斜め
笠松浩子
狩
200003
転げ落ちさうなケーブル蜜柑山
笠松浩子
狩
200003
段畑に迫る暮色や蜜柑採る
石本秋翠
馬醉木
200003
蜜柑山沖の潮目のくつきりと
藤武由美子
春耕
200003
宅急便解けば蜜柑の光りをり
中川濱子
ぐろっけ
200003
日が暮れて万貫蜜柑木で眠る
田中嘉代子
ぐろっけ
200003
紀州人蜜柑を割って食べる夫
武田正子
ぐろっけ
200003
啓蟄や堆肥の匂ふ蜜柑畑
大塚禎子
春耕
200005
死して生き生きて蜜柑の手の重さ
塩見恵介
虹の種
200005
遠くを見る母よ蜜柑をむきながら
白倉ボラン
ヒッポ千番地
200008
生い立ちに風は集まる蜜柑山
河野志保
海程
200009
たっぷりと日の香潮の香蜜柑山
島津三甫
狩
200010
出かけよう本の袋に蜜柑入れ
中原幸子
遠くの山
200010
旅の記憶蜜柑の網袋より始まる
阿部寒林
夢
200010
山は如何に日向の卓に蜜柑照り
林翔
馬醉木
200101
蜜柑や菓子や高貴など陳腐などなし
金子皆子
海程
200102
蜜柑摘む水軍島に京訛
今井忍
ぐろっけ
200102
幸せの色をひろげて蜜柑山
田渕匡子
狩
200103
かもめ来る広場に朝の蜜柑市
丸田安子
酸漿
200103
帰り路は蜜柑山行くバス選ぶ
丸田安子
酸漿
200103
友を得て良き日と思ふ庭蜜柑
丸田安子
酸漿
200103
席譲る平凡な夜蜜柑買ふ
森山卓郎
船団
200103
嫁がせる娘のごと荷出し初蜜柑
佐々木スガ子
ぐろっけ
200103
山蜜柑陽の落とし子と名付けたり
佐々木スガ子
ぐろっけ
200103
紀の国や河川敷にも蜜柑畑
鷹羽狩行
狩
200104
江の島がぼんやり見ゆる蜜柑山
高畑信子
遠嶺
200104
ささいなる行き違ひあり蜜柑むく
谷野由紀子
俳句通信
200104
蜜柑むく妹の繰り言きりもなし
荒木治代
ぐろっけ
200104
喪に急ぐ車窓に黒き蜜柑山
塩田博久
風土
200105
空広く捥ぎ食む甘き島蜜柑
市橋章子
ぐろっけ
200105
船底の環礁裾礁蜜柑水
柴田由乃
風土
200106
長崎本線海にかたぶく蜜柑山
石橋翠
いろり
200112
くちびるに触れくちびるの蜜柑かな
関洋子
沖
200202
やはらかき皮の蜜柑を選びをり
池崎るり子
六花
200202
蜜柑山南斜面に句碑のあり
小田元
六花
200202
蜜柑熟れ地球儀に黄の点ひとつ
小田元
六花
200202
陽の当る蜜柑甘しと背伸びする
小田元
六花
200202
蜜柑の香ただよふ昼の幕間かな
木村はつえ
春耕
200202
故郷の名にひかれ買ふ蜜柑かな
浅井千鶴子
いろり
200202
団欒の形つくろふ蜜柑かな
まついひろこ
銀化
200202
一族の無事を届けて伊予蜜柑
須賀敏子
あを
200202
日を集む蜜柑の数だけ紀の国は
大森ムツ子
ぐろっけ
200202
ベレー帽いなせに被り蜜柑狩
垣尾美智子
苑
200203
育ちゐる蜜柑に山の道ぬくし
市場基巳
槐
200203
蜜柑色の掌となる初明り
鈴木勢津子
槐
200203
母の膝椅子代りなり蜜柑食ぶ
横山迪子
六花
200203
蜜柑摘む真つ正面に伊豆の海
小澤スミエ
狩
200203
臍に指突つ込んで剥く蜜柑かな
関田実香
狩
200203
サリーの娘趺座を崩さず蜜柑売る
高橋正彦
濱
200204
田舎より待ちし蜜柑の届きけり
大内恵
酸漿
200204
脱稿の夜が更けてをり蜜柑剥く
鳴海清美
六花
200204
熟蜜柑百本ばつさと道普請
足利?ロ子
ぐろっけ
200204
蜜柑樹に先づ語りかけ剪定す
新田巣鳩
馬醉木
200205
当てにせし蜜柑箱来ずまめなるや
平松かをる
六花
200205
ここだけの話ばかりの蜜柑かな
梶浦玲良子
波小舟
200205
蜜柑咲く島の消したる帰帆かな
鷹羽狩行
狩
200207
蜜柑咲く海の匂ひの段畑
市川伊團次
六花
200207
蜜柑山海に裾ひく伊予の国
皆川盤水
春耕
200210
時化幾度のがれし蜜柑色づきぬ
松本静香
帆船
200211
白磁積んで蜜柑の熟るる峠を越ゆ
松崎鉄之介
濱
200301
蜜柑の木蜜柑をつけて黙しけり
宮津昭彦
濱
200301
蜜柑山ふもとに布団たたく音
大串章
百鳥
200301
曇天の山のあかるし蜜柑山
阿部文子
酸漿
200301
山の辺にたわゝの蜜柑万歩計
石井利子
苑
200302
蜜柑熟れ白壁いよよ真白なる
林翔
沖
200302
蜜柑山登るよ海の見えるまで
高澤康子
帆船
200302
潮の目のきらめいてゐる蜜柑山
荒木ゆう子
帆船
200302
手に蜜柑故郷日和授かれり
村越化石
濱
200302
鈴生りの蜜柑の一樹買ふ剛気
仙石君子
雨月
200302
空席の車窓に蜜柑おかれたる
江坂衣代
百鳥
200302
豊穣の全山が黄の蜜柑山
田中嘉代子
ぐろっけ
200302
一山は同期会なり蜜柑狩
安部美和子
ぐろっけ
200302
晴ればれと父の声する蜜柑山
祐森彌香
遠嶺
200303
北国のくらし聞きつつ蜜柑むく
土岐明子
遠嶺
200303
残照をあまさず留め蜜柑山
原島ふじ子
遠嶺
200303
蜜柑売てんびん撓みもれもなし
中村恭子
鴫
200303
酒の座の母に剥きやる蜜柑かな
高島久
百鳥
200303
並べ干す蜜柑の皮と枕かな
山本あかね
百鳥
200303
蜜柑むきテレビなき日々思ひ出す
大橋節子
狩
200303
言の葉をまさぐる蜜柑むきにけり
鉄山幸子
銀化
200303
島浮けり満艦飾の蜜柑被て
泉田秋硯
鳥への進化
200303
駅伝の放映熱し蜜柑むく
古川利子
苑
200304
2020年12月27日
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