黒潮へ出水濁りのふくれ来し
稲畑汀子
ホトトギス
199905
擦りながら黒潮の差す彼岸かな
小形さとる
槐
199906
黒潮の岩に腹這ひ石蓴掻く
加藤和子
春耕
199906
鸞が舞ひ蛇がおどろき黒潮よ
岡井省二
槐
199907
甘庶刈りしあと黒潮の風の音
皆川盤水
春耕
200004
黒潮に錆びてゐたりし白椿
武井美代子
風土
200006
黒潮の音に寝まりぬ雛の日
高村梢子
火星
200006
手をあげて黒潮すでに隠岐を指し
森田緑郎
海程
200007
飛魚の眼下に黒潮しぶきけり
長谷部雉子
澪
200007
黒潮に瞬時影置くとびの魚
長谷部雉子
澪
200007
親潮も黒潮も鯨の遊歩道
松山律子
船団
200007
黒潮にぽつんと置かれ夏の島
中川二毫子
夏木立
200008
黒潮のうねり遥かに鷹柱
益本三知子
馬醉木
200101
鯖地どれわたしも地どれ黒潮滾る
阿辺一葉
海程
200101
黒潮の荒ぶる浦の大根引く
武政礼子
雨月
200101
黒潮の遠州灘や雪を見ず
大平保子
いろり
200102
黒潮に吠ゆる獅子岩寒の凪
山口たけし
俳句通信
200103
人日や黒潮の香を甘しとも
加藤いろは
槐
200103
黒潮のうち砕けたる椿かな
山尾玉藻
火星
200104
黒潮のしぶき眩しみ鹿尾菜干す
高橋好温
馬酔木
200106
黒潮を越え来しならん鰹船
稲畑汀子
ホトトギス
200106
黒潮の海へなだるる椿山
鰍澤真佐子
春耕
200107
黒潮の岬に緑もりあがる
玉川悠
遠嶺
200107
蝦蛄はねる黒潮市場は人の波
万波允恵
ぐろっけ
200108
浜昼顔黒潮浜を洗ひをり
渕江千代
酸漿
200109
黒潮の怒々と崩るる浜薊
石原義輝
馬醉木
200112
黒潮は男の流れ鮪追ふ
松本圭司
沖
200201
鷹舞へり黒潮晴れの沖の空
久保東海司
槐
200203
黒潮の濃し大根の花の上
神蔵器
風土
200205
黒潮の島へ島へと抱卵期
中村智恵子
朝
200206
黒潮の蒼濃き背波鰹時
永井雪狼
苑
200207
黒潮の沖に四股ふむ入道雲
関口ゆき
あを
200209
浜木綿の匂ひ黒潮とどろける
武政礼子
雨月
200210
黒潮と真水のなじむ良夜かな
長岡新一
沖
200211
黒潮の色濃くなりし桃の花
松下八重美
槐
200304
黒潮の恵みあまねし椿咲く
長崎桂子
あを
200304
黒潮を引きて鞦韆戻りけり
高畑信子
遠嶺
200305
黒潮の岬を回して鳥帰る
島玲子
風土
200305
髪と遺書知覧ざくらは黒潮へ
林日圓
京鹿子
200307
海女あがる黒潮の髪曳きながら
苑実耶
空
200308
鯖の斑の黒潮もどき並びをり
河内桜人
京鹿子
200312
黒潮の奔流見たり曼珠沙華
平山風鳥
河鹿
200402
黒潮のにほひのしたる秋遍路
前田美恵子
槐
200403
強東風に触れて黒潮立ち上り
稲畑廣太郎
ホトトギス
200403
遠巻きに黒潮ながれ端午かな
藤原照子
余韻
200403
黒潮の怒濤の島や海老飾る
九万田一海
河鹿
200404
黒潮に鯛の近づく菜の花忌
神蔵器
風土
200404
黒潮の洗ふ開聞岳菜の花忌
沼口蓬風
河鹿
200406
黒潮のよせる岬や花蜜柑
大久保恵美子
遠嶺
200408
黒潮に突き出す岬武者幟
長野純顕
対岸
200408
黒潮に張出す岬麦の秋
山田弘子
ホトトギス
200410
浜木綿や黒潮寄する鬼ヶ城
仲井義明
雲の峰
200410
黒潮の沖に高鳴り鷹渡る
中島ため
濱
200501
黒潮の岸の掛小屋朱欒売る
西屋敷峰水
河鹿
200503
黒潮に乗りし船足風光る
西村梛子
馬醉木
200505
黒潮の潮目の見える二月尽
若泉真樹
集
200506
うねり来る沖の黒潮草田男忌
九万田一海
河鹿
200510
黒潮の水平線に日の永し
佐藤淑子
雨月
200510
黒潮をひきつれて烏賊波打てり
秋千晴
空
200510
灯台の下は黒潮石蕗の花
清水明子
遠嶺
200604
黒潮の洗ふ五島や冬燕
吉村摂護
空
200606
まず一貫黒潮を来し初鰹
宇田喜美栄
槐
200608
黒潮を抜けしばかりの初鰹
稲岡長
ホトトギス
200609
黒潮と照り合ふ安房の花菜畑
館容子
狩
200705
黒潮の「島の花」なり極楽鳥花
有働亨
馬醉木
200706
黒潮の沖へ真向かふ鰆舟
倉谷紫龍
万象
200706
黒潮の怒濤や島の花盛り
宮崎見昭
遠嶺
200706
黒潮や沖の白帆が夏を呼ぶ
宇都宮滴水
京鹿子
200707
黒潮の力にそだつ初鰹
松本圭司
沖
200707
黒潮の耀(りはるかに犬ふぐり
大泉伸
遠嶺
200708
黒潮の幸の太刀魚鮨得たり
池田かよ
ぐろっけ
200708
ちぬ釣や黒潮に息合はせつつ
杉本光??
沖
200709
黒潮の大き蛇行に年迎ふ
水野恒彦
槐
200804
黒潮の流れ見ゆるや雛飾る
田中佐知子
風土
200806
黒潮を渡る鐘の音麦鶉
延広禎一
槐
200808
黒潮の削る断崖花菜畑
山下由理子
狩
200810
黒潮の潮目さだかに鷹渡る
松本圭司
沖
200812
黒潮に友船交はす初汽笛
品川鈴子
龍宮の客
200904
黒潮の涛のうねりや春嵐
増田一代
璦
200905
黒潮の風の岬の寒桜
大坪景章
万象
200905
黒潮にみがかれし艶若布刈鎌
松本圭司
沖
200907
ポピー摘む声に黒潮応へけり
赤羽正行
遠嶺
200908
玉砂利は黒潮の贈青葉闇
加藤みき
槐
200908
青々と曲る黒潮夏蓬
柴田佐知子
空
200908
黒潮を日の躍り出て菜の花黄
武政礼子
雨月
200908
木斛の花に黒潮よりの風
藤井美晴
やぶれ傘
200911
黒潮の香ももろともに鰹釣る
入澤正
春燈
200912
黒潮の海を眼下や鳥渡る
岡田史女
末黒野
201002
黒潮に湧き金風となりにけり
竹下陶子
ホトトギス
201003
黒潮の洗ふ岬の紅椿
原桂子
笹
201005
黒潮や岬にエリカ咲く小径
石川友江
風土
201007
黒潮の砕ける岬木々芽吹く
加藤克
峰
201008
黒潮の直行に夏来たりけり
遠藤真砂明
沖
201008
秋潮となる黒潮の色極め
稲畑廣太郎
ホトトギス
201009
黒潮の遠流の里や夏つばめ
小泉貴弘
春燈
201009
シリウスや黒潮の幅百キロに
雨村敏子
槐
201103
黒潮の入り込む湾や草の絮
吉村摂護
空
201104
春疾風黒潮の海荒れに荒れ
尾崎みつ子
雨月
201105
黒潮の沖縹渺と鰹来る
松本幹雄
馬醉木
201108
枇杷熟るる太平洋の黒潮に
神蔵器
風土
201108
群青のこれぞ黒潮小鯵刺
塩路隆子
璦
201109
黒潮の西日眩しき紀の岬
和田一
雨月
201110
黒潮の横波三里桜鯛
松下八重美
夢見の鐘
201203
黒潮に入日を惜む初景色
西出しず子
雨月
201204
秋鯖の背に黒潮の匂ひけり
小池清司
かさね
201212
黒潮を見る万緑の高みより
柴田佐知子
空
201211
黒潮本流完璧の四温晴
遠藤真砂明
沖
201303
黒潮のぬくもり纏ひ早桜
板倉安正
璦
201305
黒潮のうごいてゐたる雛の市
水野恒彦
夢寐
201306
黒潮の匂う窓辺やデイゴ咲く
名倉悦子
ろんど
201311
黒潮に突つ込む舳先一気に夏
遠藤真砂明
沖
201408
黒潮の北上鮭を周章てさす
土屋草子
ろんど
201502
黒潮の風に猛りしどんどかな
鈴木庸子
風土
201504
黒潮の沖の眩しさ鰹来る
益本三知子
馬醉木
201506
荒神輿黒潮洗ふ御浜入り
石崎和夫
沖
201510
黒潮と親潮の合ふ辻踊
松井志津子
沖
201511
黒潮を出て東京へ桜鯛
柴田佐知子
空
201605
黒潮の潮目はるかに春逝けり
森岡正作
沖
201606
黒潮へ加速促す初鰹
峰崎成規
沖
201607
余花よりも高き黒潮太平洋
山本無蓋
鴫
201608
房総の黒潮守りて雛かな
島田万紀子
馬醉木
201705
黒潮の洗ふ岬の水仙花
榎本秀治
沖
201705
黒潮の洗ふ奇岩や梯梧咲く
中村洋子
風土
201708
黒潮に交す船笛青岬
西村操
雨月
201710
黒潮に突き出す岬銀河濃し
和田紀夫
鴫
201712
黒潮は海の街道鯨来る
栗坪和子
沖
201803
波状岩あらふ黒潮厄おとし
田代民子
空
201806
春昼や黒潮の帯銀色に
岩田洋子
槐
201807
黒潮は大きく蛇行鰹来る
能美昌二郎
沖
201808
ぶつかれる黒潮に反る青岬
柴田佐知子
空
201809
黒潮は海の街道鯨来る
栗坪和子
沖
201901
黒潮の光へなだれ野水仙
三輪温子
雨月
201903
黒潮のたぎる岬や冬すみれ
松本幹雄
馬醉木
201904
黒潮に乗りて来れり七福神
秋津令
空
201907
黒潮に欺かれたる秋刀魚漁
碇天牛
雨月
201911
醤造る沖を黒潮奔流す
栗坪和子
沖
201911
黒潮の香やぞくぞくと芥子咲けり
小河原清江
梛の木
202007
黒潮に銀の風巻く大鰯
澤田英紀
沖
202012
黒潮の匂うてきたる初日の出
戸栗末廣
空
202107
初鰹ここは黒潮番外地
鷺山珀眉
京鹿子
202108
黒潮の帯あをあをと孕馬
戸栗末廣
空
202112
黒潮に上がる緞帳初日の出
池田光子
風土
202204
梅が香の風黒潮の日をたたむ
本郷桂子
ホトトギス
202207