けむり茸煙と消ゆかわが句また
林翔
沖
199812
けむり茸さげて飛鳥にゐたりけり
竹内悦子
槐
199901
新宿にそこそこ老いて煙茸
曽根久順
沖
200001
煙出しの穴を顱頂に煙茸
金森教子
雨月
200101
踏み応へ無きにけむ吐く煙茸
高垣和恵
雨月
200112
旅二日果つとや煙茸を踏み
溝内健乃
雨月
200202
鉛筆の黄色く染まるけむり茸
植松美根子
槐
200202
埃茸わが身叩かばかくあらむ
窪田佳津子
雨月
200202
狼藉の靴に怒るよ煙茸
朝妻力
雲の峰
200211
けむり茸けむりの中にけむりゐる
山田六甲
六花
200211
山の子の笞容赦なし煙茸
酒井康正
百鳥
200212
本名と仮名の間けむり茸
西村葉子
京鹿子
200303
あまた生ゆ忍者の里のけむり茸
高千夏子
空
200601
煙茸見つける度に子の踏めり
滝沢伊代次
万象
200610
戯れし人のあと有り煙茸
渡辺玄子
酸漿
200612
無残なる鎮火のあとや煙茸
渡辺玄子
酸漿
200612
ほこり茸己の埃被りけり
菊地惠子
酸漿
200612
煙茸蹴りて計画たて直す
中田みなみ
空
200812
考へのまなかひにある煙茸
浅田光代
風土
200901
行者みち煙茸にて引き返す
小林成子
火星
201001
煙茸踏まれ踏まれて何も出ず
佐藤山人
鴫
201001
煙茸に触れたる恐るおそるかな
田所洋子
雨月
201002
火の山の眠りを覚ますけむり茸
木内博一
春燈
201101
煙茸地の溜息を吐きにけり
佐川三枝子
沖
201202
甘橿に入鹿のかげのけむり茸
池端英子
ろんど
201402
踏み次がれ種の尽きたる煙茸
佐藤山人
鴫
201501
女らに踏まれうそぶく煙茸
兼久ちわき
馬醉木
201501
けむり茸けむりし穴に人の声
大畑善昭
沖
201511
煙茸けむり出しても消えられず
安居正浩
沖
201611
知恵伊豆の栄華の墓や煙茸
鎌田八重子
馬酔木
201611
吸ふて吐いてわが行末は煙茸
加茂達彌
面
201707
彼いはく嘘も方便けむり茸
三木享
槐
201801
一人蹴りみんな蹴りだす煙茸
南うみを
風土
201901
靴先に弄ばれて煙茸
石谷淳子
雨月
201912
触るる手の何とやはらか煙茸
住田千代子
六花
202003
誉め言葉割り引いて聞く煙茸
能村研三
沖
202012
けむり茸八十歳になるといふ
佐藤喜孝
あを
202012
煙茸けむり吐くまで突つかれて
大崎紀夫
やぶれ傘
202201
2022年11月2日
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