一枚のすだれに隔つ地震の街
山田弘子
春節
199503
地震の街覆ひて余るいわし雲
山田弘子
春節
199503
山眠り地震跡も又鎮もれり
稲畑汀子
ホトトギス
199812
火事の跡留めて地震のありし街
稲畑廣太郎
ホトトギス
199812
三年目春着溢れて地震の街
稲畑廣太郎
ホトトギス
199901
山眠る地震観測計を秘め
神蔵器
風土
199901
冴え返る地震見舞の客来たる
相蘇こいと
春耕
199905
青芝の馴染みて地震に耐へし家
稲畑廣太郎
ホトトギス
199906
地震に覚め夜半の余寒の中にあり
安原葉
ホトトギス
199907
心臓に蝿とまりたる朝の地震
吉田透思朗
海程
199909
地震の痕留めぬ露の神戸港
稲畑廣太郎
ホトトギス
199910
ケーブルは地震より不通花臭木
辻のぶ子
俳句通信
199910
松蝉や地震を耐へ来し音色とも
稲畑廣太郎
ホトトギス
199911
死木立つ地震の跡のお花畑
中田征二
ぐろっけ
199911
大地震のままの更地の花茗荷
田中呑舟
火星
199912
大学の地震計おく草紅葉
神蔵器
風土
199912
地震の街空広くして星月夜
稲畑廣太郎
廣太郎句集
199912
枯芦や芦屋河畔に地震の跡
稲畑廣太郎
廣太郎句集
199912
鰡ぼらとへつぴりごしの地震学者
直江裕子
京鹿子
200001
冬の地震昨夜の仮面を脱がずゐる
田淵昌子
京鹿子
200001
初空や地震八年は遠からじ
稲畑廣太郎
ホトトギス
200001
悴みし記憶は消えず地震の街
稲畑汀子
ホトトギス
200001
地震断層鎮めの宮に蒼朮焼く
川村紫陽
濱
200002
星月夜地震娘が今日もゆく
わたなべじゅんこ
鳥になる
200003
身にひそむ地震の予感や水仙花
川井政子
風土
200004
松蝉や地震を耐へきし音色とも
稲畑廣太郎
ホトトギス
200005
地震の日の土の匂へる内裏雛
朝妻真知子
俳句通信
200005
昼網や地震痕指呼に賑はへる
稲畑廣太郎
ホトトギス
200006
地震のあと月を軽んじゐたりけり
後藤比奈夫
ホトトギス
200006
地震の日は明日三寒の雲厚く
五十嵐哲也
ホトトギス
200006
地震悲し雪の背山を迂回路に
五十嵐哲也
ホトトギス
200006
地震の荷のがらくた今も鳥帰る
浜口高子
火星
200007
家具店を出てきてからの春の地震
寺田良治
船団
200007
医者患者西日の地震に立ち上る
築城百々平
馬醉木
200008
春寒に地震を忘るる一慶事
稲畑廣太郎
ホトトギス
200008
地震を待つやうに使ひぬ秋団扇
岡本高明
槐
200009
小さき地震守宮の出でし夜のこと
星加克己
ぐろっけ
200009
もみづれる事に地震禍の薄れゆく
稲畑廣太郎
ホトトギス
200010
山祇の怒りの地震か栗落つる
澤田緑生
馬醉木
200012
地震あとの鰥鰥とせる夜寒かな
浜明史
風土
200012
さういへば地震より椋鳥の来ぬ庭木
山田弘子
円虹
200012
地震多き年なり芋の露滂沱
小林希世子
朝
200012
地震かな?と吊紐見上ぐ炬燵より
林翔
沖
200101
冬蕨地震はどうも捷歩にて
中原道夫
銀化
200102
地震を乗り越えし開館暖かし
稲畑廣太郎
ホトトギス
200103
雑居家族眠る地震ずれ霜瓦
品川鈴子
船出
200104
炬燵にて処し方較ぶ地震話
品川鈴子
船出
200104
地震あとガラス破片と雪きらめく
品川鈴子
船出
200104
年の豆地震の裂け目へ転がれり
品川鈴子
船出
200104
冬凪の甲板に坐し地震通勤
品川鈴子
船出
200104
陽炎へり地震の秒より長信号
品川鈴子
船出
200104
地震に裂け梅雨に崩るる誓子邸
品川鈴子
船出
200104
地震が崩れの石垣誓子蛇ひそむ
品川鈴子
船出
200104
地震ありしこと短夜でありしかな
稲畑汀子
ホトトギス
200105
地震ゆるるも囀りの声変らざり
村井久美子
濱
200106
筆塚は地震にも堪えて人丸忌
大井邦子
ぐろっけ
200106
地震の来てその儘にゐる衰虫よ
鈴木勢津子
槐
200107
地震怖れゐしが台風まで来ると
稲畑汀子
ホトトギス
200107
地震あるも山椒魚の微動もせず
酒井ひろ子
濱
200108
友といて春の地震の二度三度
坪内稔典
船団
200108
地震のあと春の部屋替え模様替え
岡野峯代
ぐろっけ
200108
露寒や地震とて遠きものならず
稲畑汀子
ホトトギス
200110
旱星赤し地震くる予感せり
三浦晴子
濱
200110
寒月の記憶となりて地震の朝
稲畑汀子
ホトトギス
200201
初雀地震の朝を忘れめや
稲畑汀子
ホトトギス
200201
明日地震のことを心に寒稽古
稲畑汀子
ホトトギス
200201
月凍てゝ地震の記憶の朝かな
稲畑汀子
ホトトギス
200201
冬眠の呑気許さぬ地震一波
泉田秋硯
苑
200204
地震七年寒灯愛しと見ゆるまで
北畠明子
ぐろっけ
200204
鬼の豆まろぶや地震のままの書庫
羽田岳水
馬醉木
200205
夜の地震に牛総立ちの寒牧舎
田中俊尾
馬醉木
200205
煩悩の夢破る地震春の闇
村戸裕子
円虹
200205
地震神戸のポンペイ展の館寒し
中島知恵子
雨月
200205
春暁の地震に覚むれば庭の霜
阿部文子
酸漿
200205
蝿叩地震研究員一人
須佐薫子
帆船
200207
落梅の三つ四つは月の地震
下村志津子
銀化
200209
あの地震も共にせし犬梅雨に熄む
原鐵也
ぐろっけ
200209
地震跡の未だ整はず蝉時雨
島田厚信
火星
200210
早朝の地震が風鈴鳴らしたる
岩松八重
六花
200211
地震の来て涅槃図の中騒ぎ出す
小西瑞穂
ぐろっけ
200211
地震の日を近づけてをり寒の雨
稲畑廣太郎
ホトトギス
200301
寒の水地震の記憶の巡り来し
稲畑汀子
ホトトギス
200301
寒の朝のあの地震知らぬ子どもたち
出口誠
六花
200301
地震と紛ひ真夜を轟く冬の雷
久保晴子
雨月
200302
そののちの地震の証しのすきま風
戸栗末廣
火星
200303
まんさくの十糸はらりと地震すぎて
川勝春
馬醉木
200305
日脚伸ぶ復興しるき地震の街
曷川克
遠嶺
200305
牛蛙鳴くとき地震の感じられ
加藤白狼子
築港
200305
地震疵の波止場にこぼれ冬遍路
山田弘子
草の蝉
200305
寒明けの地震の一揺れ飛び起きる
坂口三保子
ぐろっけ
200305
博多人形一歩せり出す春の地震
木村みかん
鴫
200306
けたたまし雉子が地震を感知して
筒井圭子朗
ぐろっけ
200307
地震跡に増えて竹藪竹の春
稲畑汀子
ホトトギス
200309
さざ波のごと地震過ぎぬ立葵
宮川みね子
風土
200309
梅雨の外を見てゐしが地震どんと来る
橋本梢明
濱
200310
円虹や地震より生れてとこしなへ
伊志嶺亮
円虹
200310
霧深き港に地震のなほつづく
水原春郎
馬醉木
200312
地震もなくいくさもなくて銀河濃し
沼口蓬風
河鹿
200401
地震展出れば盛んに蓮の実とぶ
飯塚雅子
朝
200401
南海地震来る疑はず寅彦忌
西村梼子
ぐろっけ
200401
2021年3月29日
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